2020年08月31日

【遺伝と環境】行動遺伝学を学びたい人のための19冊【生まれか育ちか】



「行動遺伝学を学びたい人のための19冊」をまとめました。

↓リストは、以前の記事(最近読んだ「遺伝学・分子生物学・進化論」の本10冊)で紹介した↑『遺伝マインド』の末尾「さらに読み進む人のために」で安藤寿康さんがオススメしている19冊です。
(短い紹介文はこのブログのオジリナルです)


行動遺伝学とは……
生物、とくに人間の心理やふるまいに「遺伝」がどう影響しているかを、主に統計学的な方法で研究する学問。
遺伝子が異なる二卵性/同一である一卵性のふたごを対象にした「双生児法」が代表的な手法です。


生物学全般はもちろん、以前の記事(【新しい脳】進化心理学を学びたい人のための11冊【究極要因】)で紹介した進化心理学や社会心理学、行動経済学などとも親和性の高いジャンル。


本書『遺伝マインド』は、人の心や社会との関係に”遺伝の影響”があることを、タブーをおそれずにあきらかにしていく刺激的な1冊。
”ふたご研究”の例も紹介されています。

遺伝的な差異を認めたうえで、よりよい社会を目指すべき……ハッとするメッセージがこめられた良書です。
ベストセラーとなった橘玲さんの『言ってはいけない 残酷すぎる真実』にもおおきな影響を与えた本。


 行動遺伝学についての説明は、日本における第一人者である安藤寿康氏の著作に拠っています。安藤氏自らすぐれた入門書を書かれているので、これらの本もぜひ参照してください。
橘玲『言ってはいけない』「あとがき」より




↓リストには専門性の高い本も混じっていますが、なんらかの予備知識を前提としたものはありません。
「人間の行動」という身近なテーマですし、一見とっつきにくそうな参考書でも意外と興味ぶかく読めるはずv

『人間の本性を考える』や『進化と人間行動』など、記事(【新しい脳】進化心理学を学びたい人のための11冊【究極要因】)で紹介したテキストも混じっています。


それでは。
「行動遺伝学を学びたい人のための19冊」をど〜ぞ♪



 1.


双生児研究をはじめ行動遺伝学のトピック全般を語る入門書。研究手法から”誤解されやすいポイント”まで丁寧に教えてくれます。

行動遺伝学とは、双生児や親子、きょうだいのような血のつながった人々、あるいは養子の親子やきょうだいのように遺伝的な関係はないが環境を共有するたくさんの人々の、心理的、行動的形質の類似性を、統計学的な方法によって遺伝的影響の姿を明らかにする学問である。
「第1章 遺伝のメカニズム」より


本書の末尾では「参考文献」がさらに21冊紹介されています(※ 後述します)。

 2.


行動遺伝学やふたご研究を日本に紹介した先駆け的な本。この分野の第一人者、R・プロミンの著作を安藤寿康さんが翻訳したものです。統計学のやさしい解説も収録しています。

 3.


遺伝学のさまざまな研究の成果を紹介しつつ、「生まれか育ちか」の論争に的確な視点を与えてくれる1冊。原題は”Nature via Nurture”……生まれは育ちを通して。

 4.5.6.




以前の記事(【新しい脳】進化心理学を学びたい人のための11冊【究極要因】)でも紹介した3冊。

ブランク・スレート説(人の心はもとは何も書きこまれていない「空白の石板」である)に3冊を通して反論。文化、科学、人生論、政治、暴力、ジェンダー、子育て、芸術……あらゆるジャンルおよぶ”遺伝と環境”論争を丁寧に拾っていきます。

 7.


細胞やタンパク質……行動遺伝学の本としては珍しく、分子生物学のレベルから遺伝子のはたらきを探り、脳と”心”の発生を議論します。

 8.


精神医学の視点から「遺伝と環境」の問題にアプローチ。とくにやっかいな交互作用(遺伝子と環境はたがいに影響を及ぼしあう)について多く筆がさかれています。翻訳は安藤寿康さんです。

 9.


こちらも精神病理学に焦点をあてた行動遺伝学です。うつ病など精神疾患に対する遺伝や環境の影響を、ふたご研究等の手法であきらかにしていきます。本書も安藤寿康さんの訳。

 10.


双生児法を用いて精神疾患、とくに統合性失調症の原因を探る。統計データもふくめ長年の研究の成果を体系的にまとめた、専門性の高い1冊。

 11.


統計学や分子生物学の成果を取りいれながら行動遺伝学を体系的に解説。洋書です。何度も版を重ねているロングセラーですが、邦訳本はおそらくなし。
『遺伝マインド』で紹介されているのは旧版↑ですが、新版↓がリリースされています。



 12.


人間科学、自然科学、社会科学の3つの視点から行動遺伝学を概説。安藤寿康さん自身の研究も紹介しています。

 13.


天羽幸子さん、詫摩武俊さん、安藤寿康さん、3人の研究者が双生児法による研究の成果を解説。

 14.


安藤寿康さんの手による行動遺伝学の体系的な紹介。とくに教育の場において、遺伝がいかに影響するかをあきらかにしていきます。

 15.


子供の性格や将来は、育児によって決まる……この「子育て神話(養育仮説)」にまっこうから反論。遺伝と環境の「環境」は「子育て」のことではけっしてないと主張します。
文庫版↓も上梓されています。



 16.


子供の成長における遺伝と環境の影響を議論。行動研究において重要な「べつべつに育てられたふたご」の事例を紹介しています。父の研究を息子がまとめた、ヌーバウアー親子の共著。

 17.


ニュートン別冊の遺伝特集です。綺麗なイラストとわかりやすい文章で遺伝学をじっくり解説。ふたご研究の紹介も。この2010年2月号だけでなく、ニュートンは定期的に遺伝子やゲノムの特集を組んでいます。

 18.


以前の記事(【新しい脳】進化心理学を学びたい人のための11冊【究極要因】)でも紹介した1冊。

人間の行動研究に進化(選択と淘汰)の視点をとりいれた「進化心理学」の入門書。東京大学教養学部の講義「適応行動論」のテキストとして書かれた本です。ヒトを中心に、生物全般の進化論を解説しています。

 19.


親子や血縁関係などの互恵的利他行動(見返りを前提にして他の個体と助けあう)にフォーカスし、”社会的な”生物たちの選択と淘汰を解説します。進化生物学・社会生物学の古典的テキスト。



さらなる参考文献21冊

※ 前述の『心はどのように遺伝するか』の「参考文献」で挙げられている21冊は以下↓のとおりです。
(すでに紹介した本と一部重複しています)

安藤寿康さん自身が翻訳や解説でかかわった本が中心。行動遺伝学への「批判書」もピックアップされています。
こちらも参考にしてみてくださいね。

R・プロミン『遺伝と環境―人間行動遺伝学入門』
R・グラント・スティーン『DNAはどこまで人の運命を決めるか』
J・リッチ・ハリス『子育ての大誤解――子どもの性格を決定するものは何か』
B・アップルヤード『優生学の復活?――遺伝子中心主義の行方』
J・フィリップ・ラシュトン 『人種 進化 行動』
「日経サイエンス」1998年8月号 R・プロミン、J・C・ディフリース「知能はどこまで遺伝するか」
日経サイエンス編集部編『養老孟司・学問の挌闘―「人間」をめぐる14人の俊英との論戦』 「遺伝と環境が生む人間の能力」


(↓以下6冊は安藤寿康さん自身の解説を掲載している文献です)
『シリーズ・人間と性格 第1巻――性格の理論』 「性格の行動遺伝学」
裳華房編集部「生物の科学 遺伝」No.11(1999年11月)「行動遺伝学の現在 脳・心・進化」
『性格研究の技法』 「行動遺伝学と双生児から性格をとらえる」
「現代のエスプリ 性格のための心理学」 No.372(1998年7月) 「心の遺伝をめぐる11の誤解――再び注目を集める『遺伝・環境』の問題」
「日経サイエンス」1996年8月号 「遺伝する知的能力と教育環境」
並木博(編著)『教育心理学へのいざない』 「遺伝要因と教育環境」


(↓以下3冊は方法論や理論を概説した、やや専門性の高い本)
安藤寿康『遺伝と教育――人間行動遺伝学的アプローチ』
井上英二『遺伝学と医学�U』 「双子研究とその応用」
豊田秀樹『共分散構造分析 入門編――構造方程式モデリング』


(↓以下5冊は批判書)
D・ネルキン、M・スーザン・リンディー『DNA伝説――文化のイコンとしての遺伝子』
S・J・グールド『人間の測りまちがい――差別の科学史』
R・レウォンティン『遺伝子という神話』
J・ホーガン『続 科学の終焉――未知なる心』
R・ハッバード、E・ウォールド『遺伝子万能神話をぶっとばせ』




追記)
最近の「ニュートン」↓でも安藤寿康さん監修の記事が掲載されていました。
双生児法、共有/非共有環境、遺伝(寄与)率、三原則、相互作用など行動遺伝学の基本の解説です。

「知能や性格は遺伝で決まるのか?」(「ニュートン 2020年3月号」に収録)




ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a)

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posted by 姉崎あきか at 00:21| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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