今日のなぞなぞ
「掟破りの”裏ワザ”的な読書術は?」
読書術の本はけっこう読んでいるけれど、この発想はどこにもなかった!
今日は、ほとんど”裏道”なユニークすぎる読書術のお話です。
もくじ
さらっとレビュー
「読まない読書術」の分類学
・ツンドク派
・町へ出よう派
・一生のうちに読める本は限られてるだろ派
「買う」は「読む」より意義がある
紙の本を買いなよ(ただし読まなくても可)
さらっとレビュー
本日紹介するのは、↑『“好き"を仕事にするための77の極意』。
タレントのビビる大木さんが、クリエイターたちに「好きを仕事にするためのノウハウ」を聴きにゆく、インタビュー(対談)本です。
インタビュイー(聴かれ手)は……
嶋浩一郎さん(博報堂ケトル 代表取締役社長・共同CEO)
渡辺圭さん(NHK 歴史番組プロデューサー)
鬼塚忠さん(アップルシード・エージェンシー 代表取締役)
日野晃博さん(レベルファイブ 代表取締役社長/CEO)
坪井貴史さん(フジテレビ バラエティ番組プロデューサー)
柴田陽子さん(柴田陽子事務所 代表取締役)
の6人。
ビビる大木さんのインタビュアーとしての才能がこれでもかというくらい発揮されていて、
「”好き”がどうビジネスにつながるのか」をどんどん引きだしていく。
気づけば私は、たくさんの文章に傍線をひいて、ページの端を折っていました。
(私はこんなふうに本を”汚し”ながら読書しています)。
以前の記事(最近読んだサブカルチャー寄りの本10冊〜聖地巡礼からロバート秋山まで)で紹介した『サブカル・スーパースター鬱伝』と同様、
聴き手がとてもよいアシストをしている良書です♪
たとえどんな”好き”でも。
取るにたらないと思える趣味や習慣でも。
”好き”は必ず「強み」として輝く。
本書を読めば、あなたのなかに眠る”資産”に気づくことができるはず。
「読まない読書術」の分類学
……と、さらっとレビューしたところで。
本題の、買ったら「読まない」読書術について。
これは本書の”一人目”に登場する博報堂ケトルの嶋浩一郎さんが提唱している方法です。
博報堂ケトルは、クライアントの課題を方法を問わずに解決する「クリエイティブエイジェンシー」。
嶋浩一郎さんは、買った本は「読まなくてもいい」という。
これが、今まで語られてきたどの読書術とも視点が異なっている。
読まない読書術?
けっこうあるじゃんそんなの。
……そう思った方もいるかもしれません。
たしかに、「読まない」を斬り口にした読書法は、ないことはない。
たとえば、代表的なのが……
・ツンドク派
買ったけど、読まずに置いておく方法。
積んでおく→積ん読。
ツンドクは私も大賛成です。
気分やそのときの興味によって、吸収率よく読める本をひもとけばいいと思う。
そのためには、ツンでおいて選択肢を増やしておくのが◎。
でもツンドクは「いずれ読む」ことを前提にしているよね?
・町へ出よう派
知識や知恵は本にだけ宿るわけではない。
「書を捨てよ、町へ出よう」……的な。
”書を捨てよ”はべつに、「本はだめだ!」といっているわけじゃなくて。
本とおなじように現実世界のことも読みこめというスタンスです。
嶋浩一郎さんの方法は真逆。
捨てるんじゃなくて、買えとおっしゃっています。買え、でも読むな、と。
・一生のうちに読める本は限られてるだろ派
世にあるすべての書を読めるわけじゃない。
読まなくていい本は読まずにすませろ。
たとえば以前の記事(最近読んだ「読書術」10冊)で紹介した佐藤優さんの『読書の技法』では、
「精読すべき本を見極めるための多読」をススメています。
↓ショウペンハウエルから連綿と続く、
”読むべき/読まなくていい本を見極める”読書術。
でも。どうやら
嶋浩一郎さんの方法は、この派閥でもないようだ……。
「買う」は「読む」より意義がある
ではでは。
嶋浩一郎さんがどういう意味で「読まなくていい」とおっしゃっているのか。
それは、ひとことで言うと……
ログ
なんだよね。
嶋浩一郎さんは、毎日1冊は本を買うらしいのですが、
「買うだけで、読まなくてもいいんですよ」ときっぱり宣言する。
例えば宇宙の「ひも理論」の本を買ったとすれば、その時「ひも理論」という言葉が知りたかった自分がいる。そのマーキングでいいんです。
(中略)
買うだけでオッケーです。前書きだけ読んで終わりでもオッケーです。
「PROFILE.1 広告」より
ツンドク推奨の私だけれど、「読まないことを前提」に本を買ったことは一度もなかった。
長年積まれている本も、いずれは読む予定なのね。気持ちのうえでは。
だから「読まないつもりで買え!」というこの発想は、けっこうな衝撃でした。
伝わるかな、この驚き。
じっさい、聴き手のビビる大木さんも
「読まなきゃっていう強迫観念があるんですけど」と、とまどっていました。
でもこの対談以来、ビビる大木さんは
気になったら読まなくても買う、を実践しているそうです(「あとがき」より)。
やってみるとわかると思いますが。
これ、心理的抵抗がすごいんだよね。
「買ったけど積んじゃってる」のと「はじめから積む(読まない)つもりで買う」のは、
結果だけみるとおなじなのに、必要な覚悟がぜんぜん違う。
でも。やってみるとわかると思いますが、
実践すればなんだか”殻”を破れた感じになる。
掟破りの、裏道のさらに裏道の読書術です。
紙の本を買いなよ(ただし読まなくても可)
ある本を買う。
すると、そのときの自分の興味が「ログ」として本棚に保存される。
ふつうはログというと、ノートやwebに”情報”をストックしていくのだけど。
今日の話はベクトルが逆だよね。
自分の関心というデータが、本という”物質”として「ログ化」されていく。
私は、読書は電子書籍でも紙でもどっちもOKだと思っているのですが、
今回にかぎっていえば
紙の本のほうが「ログ」として面白い効果を生んでくれるかも。
以前の記事(「PSYCHO-PASS(サイコパス)」はノベライズから先に読んでもいいかもしれない)で紹介した
「PSYCHO-PASS」の槙島聖護ふうにいうならば……
「紙の本を買いなよ」
ということになります。
紙の本を買いなよ(ただし読まなくても可)。
そんなこんなで
今日は、ビビる大木さん(聴き手)の『“好き"を仕事にするための77の極意』の紹介でした。
それでは。
いつものメッセージ。
みんな
いっぱい本読もうよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆
……。
…………。
……………………。
……いや、今日はこれじゃ正しくない。
みんな
いっぱい本「買おう」よぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆
ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪
あきか(@akika_a)
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