2017年02月19日

この世界は狂っているんだから。適応できるのは頭のおかしい人なんです――佐藤優『インテリジェンス人生相談』より

 
今日のなぞなぞ
「人生相談……という名の”読書案内”本は?」




世界は「まともであれ」というメッセージに満ちている。
でも、きっと。
誰もがみんなどこかしら”まともじゃない”ところを抱えていて。
ごまかしながら生きている。
おかしいのは自分じゃなくて、世界のほうなのかもしれない。


というわけで。
今日紹介するのは「人生相談」本
以前の記事(最近読んだ「読書術」10冊高校レベルの基礎教養(文系)を身につけるための28冊)で紹介した佐藤優さんの著作です。


現代の”知の巨人”佐藤優さんが読者のお悩みに答える。
週刊誌の連載が書籍化したものです。


「あぁ、そのテの本ね」と思った方もいるかもしれません。
たしかに、”雑誌の悩み相談コーナーの書籍化”という企画はよくある。

ほんとはね。私も、「この本は読んだら読みっぱなしにして、とくにブログで取りあげなくてもいいかな〜」と思っていた。
ページをひらくまでは。



☆★☆


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どういうことかというと。
本書は、じつは「人生相談」の仮面をかぶった「読書案内」なのです。

もちろん相談にはちゃんと答えているのですが、
回答には必ず1冊以上の「推薦図書」がふくまれている。



でね。誤解をおそれずに言い切ってしまうと……。



本書は、すべての相談者に対して、
”本を読むこと”をススメている。





おおぉぉ。
なんというか、僭越ながら……いえほんとに僭越ながら
「仲間発見!」という気分になった、ハッピーな読書タイムでしたv

人生相談をとおして、良質な本を推薦しているブックガイド。
これを”読みっぱなし”にしておくわけにはいかない! という感じ。


このブログもいろいろな切り口の記事を書いているけれど、
けっきょく。伝えたいメッセージはたったひとつだったりします。


みんないっぱい
本読もうよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



と、これだけ。



佐藤優さんの本は、どんなテーマでも
さまざまな文献を引っ張ってきてお話ししてくれるし、
ちょいちょい読書を薦めている
ようなところがあるので、最近お気に入りの作家さんです。



☆★☆


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『インテリジェンス人生相談』で取りあげられている「悩み」は多岐にわたります。
社会や経済、キャリアからアイデンティティや恋愛、家族、宗教にまつわるものまで。

どんな悩みでも「相談者の味方になって」回答しているのがこの本。
拒食症など病理的な葛藤や法務関係の話などは、きちんと専門家に相談することを推奨しているのも誠実です。


↑この記事のタイトル「この世界は狂っているんだから。適応できるのは頭のおかしい人なんです」『インテリジェンス人生相談 復興編』からの引用です。

「生きていく能力が人よりも極端に低い」と悩む相談者に対して
文学を読むことやノートをつけることを提案し、場合によっては心療内科に頼るのもアリだと説く。

その流れで件の言葉がでてきます。


そもそも、この世界は狂っているんだから。こんなところに適応できるのは頭のおかしい人なんです。普通の人間はみんな適応できない。それを見ないようにするか、騙すか、無理をするか。みんなそういうふうにして生きている。真面目に素直にやったら、みんな潰れちゃう。

「第5章 自己」より


ほんとに。
この社会はどこか狂っている。

私たちはいろいろなことごとに、あれこれ想い悩んでしまうけれど、
「自分が悪い」と思いこむ必要なんてひとカケラもないのかもしれないよね。


なんだか<世界>になじめないでいるなぁ……と感じているあなたに。
本書は「希望の本」です。



☆★☆



ちなみに。この相談者に対して佐藤優さんがススメているのは、
五味川純平さんの『戦争と人間』や夏目漱石の『それから』『門』
文学ですね♪


以前の記事(なぜお金を稼ぐのか?)でお話したとおり、抽象的な&答えがひとつじゃない問題を考えるとき、小説はとても相性がいいのですv








そんなこんなで。今日は
人生相談本でありブックガイドでもある『インテリジェンス人生相談』の紹介でした。


本が好きなひとには、面白い読書体験をもたらしてくれます
本書に登場する「推薦図書」は多岐にわたっていて、

もちろん直球なものもあるのですが(ギャンブラーに対して『依存症のすべてがわかる本』をススメていたり)、なかには


ここでこの本が出てくるのか!


みたいな変化球
もあってびっくりする(住職さんに対して村上春樹さんの『1Q84』をススメていたり)。
小説も多くピックアップされているのも嬉しいです。



ではでは。


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a


【関連記事】

最近読んだ「読書術」10冊
高校レベルの基礎教養(文系)を身につけるための28冊
なぜお金を稼ぐのか?
絶望に効くクスリ……は存在するか?
生活や人生が苦しいときの4つの相談窓口〜消費増税後の社会でくたばらないために〜
カテゴリ:読書術







 
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2017年02月13日

「心でっかち」とは何か

 
今日のなぞなぞ
「”心でっかち”って何? ”帰属の基本的エラー”って?」



頭でっかちは知っているけど……心でっかちって何よ?


というわけで。
今日紹介するのは「心でっかち」という概念を提示している社会心理学(※)の本。

※ 個人の心理や行動が社会のなかでどのような影響を受けるのかを研究する分野。社会学と心理学が合体したようなジャンルです。


この本、じつは以前の記事(最近読んだ「未来を予測する」本10冊)で紹介した、荻上チキさんの『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』で取りあげられていて、気になってずっと積んでいたのですが。
やっと読了。


☆★☆



著者の山岸俊男さんは社会心理学専攻の教授なので、
この本もどちらかといえば専門書・学術書の部類にはいると思う。


ところが、意外と読みやすい。
語り口がすごく親切
な本です。


はんぶん学術書なので、↑冒頭にあげた「心でっかち」とか「帰属の基本的エラー」など聴き慣れない言葉や、「ナッシュ均衡」や「囚人のジレンマ」等、専門用語がけっこうでてくる。

でも、専門用語はきちんと説明してくれるし
読む人によって意味があいまいにゆらぐ言葉(集団主義など)や造語は、きちんと定義しながら進めてくれる。


順々に、ゆっくりひもといていけば
社会心理学になじみがなくても、しっかり吸収できる本です。


☆★☆


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でね。
本書のいう「心でっかち」とは何なのかというと。
強引にまとめると……


ほんとうの原因がほかにあるのに
個人の「心」に問題があると考えてしまう態度
のこと。


いじめがなくならないのはひとりひとりが優しくなれないからだ〜みたいな考え方ね。
「心」が問題だと説明されればなんとなく納得して、わかったような気になってしまう。
でも、そんなのぜんぜん科学的じゃないよね、と本書は警告しています。


世のなかを見渡してみれば、
いたるところに「心でっかち」な意見がある。



「心」のせいにして思考停止しないで、
その先を考えてみようよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



☆★☆



……と、そんなふうにリテラシー(※)の本として読んでも実りが大きいのですが、
展開されている議論がとても刺激的なので、知的エンターテイメントとしても面白い。

※ 情報に対する読み書き能力。


たとえばね。
「心でっかち」を説明するときに「帰属の基本的エラー」っていう概念が出てくるんだけど。

これは、他人の行動をみて、その人が”みずから進んで”そうしているのだと考えてしまうこと。


本書では掃除当番の例があがっていました。


当番だから、掃除をしなきゃいけないんだけど、俺はほんとは掃除なんてしたくない。
でも、みんなきちんと掃除やってるよな、すげー。
俺以外の人たちは「集団の利益のために行動する性質」をもっているようだ。
俺はちがう。でもサボると怒られるから、掃除はするけどね?


……みたいな。
ほかの人からみれば、けっきょく「俺」も掃除をしていることに変わりはないわけで。
「俺」も他人からは、「みずから進んで掃除に取り組む意識高いヤツ()」と思われているかもしれない(笑)。



こんなハッとさせられる、刺激的な概念やモデルがうじゃうじゃ登場します。
(ちなみに「帰属の基本的エラー」は山岸教授が生み出した言葉ではなくて、社会学・心理学でよく出てくる一般的な概念です)


☆★☆


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もういっこ。
「頻度依存行動」も面白かった。


これは、個人個人の挙動が外部の環境に左右されること。


本書では、とある教室でいじめが起こるケースと起きないケース、がモデルとして載っています。


「俺」以外の〜人以上がいじめに加勢しているなら、「俺」もいじめる。
逆に「俺」以外の〜人以上がいじめに反対なら、「俺」もいじめない。


個人の「心」ではなく「環境」が「俺」の行動を決定する例です。


〜人が”すでにいじめている”という「初期値」によっても、
そのクラスでいじめが起こる/起こらないが変わってしまう。



「ナッシュ均衡」を援用した、完全に”形而上的なモデル”なんだけど
ほんとうに。このモデルをみせられてしまうと個人の「心」が問題だ、なんてとても言えなくなる。


ちなみに、「ナッシュ均衡」は、経済学のゲーム理論の用語です。
多数のプレイヤーがとる”戦略”によって、状況が決定される。
場合によってはみんなが損するカタチで「均衡」する。

「囚人のジレンマ」という言葉なら聴いたことがあるひとも多いかな。
要は、「囚人のジレンマ」のアレです。


囚人のジレンマについては、このブログでも解説しています↓ので、よかったら参照してみてくださいねv

関連記事:
面白いライトノベル見つけました――土橋真二郎『扉の外』





☆★☆



社会学や心理学、経済学に詳しければ、速読レベルですんなり読めると思います。
でも。繰り返しますが、本書は語り口がとても丁寧で親切なので
じっくりとひとつひとつ進めていけば、予備知識ナシでもしっかり理解できる。


あるいは本書をきっかけに、専門的な分野へ、読書の幅をひろげていくのもいいかもしれません。
教科書的な『教科書 社会心理学』『ミクロ経済学』などへ(私が読んだ参考書はこの2冊だけど、ほかのでも”教科書”をうたっているものならなんでもOKです)。


ナツメ社 の↓「図解雑学」シリーズから入るのもぜんぜんアリだと思います。
あまり明るくない分野にわけ入っていくときは、私も「図解」など入門書をよく使います。







そんなこんなで。今日は


『心でっかちな日本人』っていう本が
オススメだよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆




というお話でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


【関連記事】

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【新しい脳】進化心理学を学びたい人のための11冊【究極要因】
「フェイクニュース」にだまされないための小説3冊と新書2冊





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2017年02月10日

高校レベルの基礎教養(文系)を身につけるための28冊

 
今日のなぞなぞ
「高度な内容の本を読むためには、基礎学力が必要?」



「高校レベルの基礎教養(文系)を身につけるための28冊」を↓「付録」にまとめました。
下のリストは以前の記事(最近読んだ「読書術」10冊)でレビューした↑『読書の技法』で佐藤優さんが取りあげている本です(※ 本書の意図に沿って、じゃっかん注釈をくわえました)。

『読書の技法』は「月平均300冊、多い月は500冊以上」読むという佐藤優さんが、多岐にわたる本を縦横無尽に挙げながら”読書術の極意”を伝授してくれるすごい本。


この本に登場する書籍は80冊以上にのぼります。
今日は、そのなかから

「第5章 教科書と参考書を使いこなす――知識の欠損部分をどう見つけ、補うか」

に出てくる28冊
を紹介。
文系の高校生レベルの学力を身につけるための、国語・数学・世界史・日本史・政治・経済の参考図書です。



佐藤優さんは言います。

読書術は基本的に保守的なのである。本書で、筆者が高校教科書レベルの基礎知識をつけておくことを強調しているのも、それが知の伝統を押さえるために最も確実で効率的だからだ。
(中略)
このレベルの基礎力さえあれば、教養書はもとより、標準的な学術書ならば消化できるはずだ。


大学受験をひかえるあなたも、真の教養人を目指す社会人も。
それから、”読める本の幅を増やしたい”読書好きさんも♪

専門書・学術書にふれられるようになれば、読書の世界はもっとひろがる。


”高度な本”を読めるようになるための基礎をかためる、28冊をど〜ぞ〜♪



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


【関連記事】

最近読んだ「読書術」10冊
カテゴリ:読書術

【付録】

高校レベルの基礎教養(文系)を身につけるための28冊


INDEX
 世界史
 日本史
 政治・経済
 国語
 数学


 1.



※ 佐藤優さんは「歴史小説で歴史を勉強してはいけない」と強調されていますが、特殊な例として、「専門書や新聞記事ではなかなか理解できない沖縄の人々の心情」を表している本だと『琉球処分』を挙げています。

 2.


※ 歴史小説の効用を認めながらも、「歴史小説で歴史を勉強してはいけない」ことの一例として挙がっています。

世界史



 3.


※ 取りあげられていたのは2012年版の『詳説世界史』ですが、最新版を使ってまったく問題ないと思われます。

 4.


※ 同上。以下、新版が出ているものは、なるべく新版のほうを紹介します。

 5.




 6.







 7.



 8.






 9.



※ 新版はこっち↓



 10.



 11.



 12.



 13.



 14.



日本史



 15.



 16.



政治・経済




※ ↑「世界史」の項目で挙がっていた山川出版の教科書が、「政治」「経済」のトピックでふたたび取りあげられています。

 17.



 18.



 19.



 20.



国語



 21.





数学



 22.




 23.



 24.



※ テクネー(体に覚えこませる技術のこと)の説明で、立花隆さんの本が援用されています。

 25.



 26.



 27.



 28.


 
posted by akika at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月07日

「フェイクニュース」にだまされないための小説3冊と新書2冊

 
今日のなぞなぞ
「”フェイクニュース”にまどわされないために読みたい本は?」


「クローズアップ現代」というNHKの番組で「フェイクニュース特集」が組まれていました。

フェイクニュースとは、真実ではないニュース情報のこと。
偽の情報がSNSなどネット上で”拡散”され、事実がどんどん歪んで伝播していってしまう……そんな現代社会の特性に斬りこんだ特集でした。


☆★☆



情報は、伝わるたびに劣化してしまう。
話には尾ひれも背びれもつく。
それは伝言ゲームを例に出すまでもなく、ある意味仕方がないことでもあるのだけれど。

ネットによって、間違った情報がものすごいスピードで”拡散”されるようになってしまった。
(自然と歪んでしまうものだけではなく、はじめからデマを流すことを意図しているケースもあるのが問題を根深くしていると感じました)

必死に真実を訴えても、ニセ情報を信じてしまった人までなかなか届かない。
「訂正」というのはそんなに魅力的なネタではないので、当然、広がりにくいんですよね。



ニセのニュースにまどわされない情報リテラシー(※)を身につけるために。
今日は「フェイクニュースにだまされないための本」を紹介します。

※ 読み書き能力。情報を参照する能力のこと。


☆★☆


まず小説を3冊。


『白ゆき姫殺人事件』は湊かなえさんのミステリ小説です。

『告白』『夜行観覧車』などのひと。
人間の、”目をそらしたいような、嫌な部分”を描きだす、いわゆるイヤミス系の作品が多い作家さんです。

↓映画化もされています。

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ある化粧品会社につとめていた女性社員。
彼女が謎の死をとげる。
そして、
この事件をめぐるさまざまな言説が、あらゆるメディアで飛び交う。


マンマローというSNS、週刊誌の記事、関係者の証言……。


物語が進むうちに、同僚の城野美姫という人物が「怪しい」と目されていきます。

ところが、いろんな人が語る城野美姫の人物像がまるでバラバラなのね。
なにがホントなのか、ぜんぜんわからない。


「記者が関係者に取材をするシーン」があって、
「その取材をもとにして書かれた記事」が出てくるんだけど、これもひどい。

取材のシーンで描写されていた情景とはまるで異なる
「悪意のある記事」がねつ造されています。



最終章は当の城野美姫の視点です。
彼女は、メディアに飛び交う<城野美姫像>をみて愕然とする。


これがわたしなのか……?


と。



現代社会の<情報>について、強い問題提起をはらんだ良い本です。


SNSで流れてくる情報。
そんなの、ぜんぜん真実じゃないかもしれないよ?



☆★☆




続いて、もう1冊小説を。
以前の記事(【恋愛】10代のうちに読んでおきたい小説10冊【青春】)で第1位に推した、私の大好きな本。短編連作の青春小説です。

今日ピックアップするのは、このなかの「〇をつけよ」という作品。
「〇をつけよ」は美少年高校生の時田秀美くんが学校でコンドームを落としちゃう話なのですが(どんな話だ(笑))、

ものごとに簡単に〇×をつけることの身勝手さ・無責任さをテーマにしています。
秀美くんは「子供を殺す親」のニュースをみて、こう考えます。

子供を殺すなんて鬼だ、とある出演者は言った。でも、そう言い切れるのか。
(中略)
明らかになっているのは、子供を殺したということだけで、そこに付随するあらゆるものは、何ひとつ明白ではないのだ。

「〇をつけよ」より


フェイクニュースにかぎらず、
ちゃんとした報道であっても、ニュースが伝えるのはその事象の「一側面」にすぎない。
思い込みでものごとを語ったり裁いたりすることには、慎重でありたいよね。


☆★☆




3冊目は、われらが樋口一葉の「にごりえ」という作品。

関連記事:
【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】


「にごりえ」の主人公のお力は娼婦です。
お力は美人で芸事や教養にも通じているので、
お客や同僚など街中のひとたちから好奇のまなざしを向けられている。
このお力が元カレと心中してしまう……という物語です。

いろいろな人がお力について語っているんだけど、
『白ゆき姫殺人事件』とおなじように、みんな言っていることがバラバラ。

お力は、いわば「野次馬的な目」をつねに向けられている女の子なわけです。
でも、誰ひとりとしてお力の「悩み」を理解してはいない……。



<語られる言葉>というのは、
基本的に真実とはかけ離れている
……くらいに考えておいていいんじゃないかな、と思います。

ニセのニュースを盲信してしまうくらいなら、
はじめから疑ってかかるくらいがちょうどいいのかもしれない。


↑原文は擬古文スタイルで非常に読みにくいので、
↓現代語訳がオススメですv




☆★☆



新書では、やっぱり荻上チキさんの本をピックアップさせてください。
荻上チキさんは何について書いても「情報リテラシー」について語ってしまう……そんな書き手だと思いますv

どの本を選んでも主旨に沿うのですが、
たとえば……


以前の記事(ネットいじめ、スクールカースト、キャラ戦争)で紹介した本書。「ネットいじめ」や「学校裏サイト」について、ちょっと前の状況を論じている本ですが、”メディア論”の本として普遍的

学校裏サイト=悪というわかりやすい構図に短絡されてしまう「有害メディア論」に警鐘を鳴らしています。



それから、おなじく荻上チキさんの『ウェブ炎上』も。


以前の記事(最近読んだ「未来を予測する」本10冊)で紹介しました。挙がっている事例は昔のものですが、「カスケード」や「フィルタリング」など”ネットメディア論”として押さえておきたいお話がいっぱい載っています。




そんなこんなで。
「クローズアップ現代」の特集に刺激を受けて、
思いつきと勢いでかいてしまった^^;記事でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


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ネットいじめ、スクールカースト、キャラ戦争
最近読んだ「未来を予測する」本10冊
オリジナルのない世界――ネット上の拡散文化と”シミュラークル”
カテゴリ:ネット・情報リテラシー





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2017年02月03日

幻想と異形の獣人写真集――シャルル・フレジェ『WILDER MANN (ワイルドマン)』

 
今日のなぞなぞ
「ページをひらいた瞬間に鳥肌が立ってしまう写真集は?」



今日紹介するのは写真集です。
なんというか……出逢えてよかったと心から思える、ものすごい掘り出しもの。
本をひらいた途端、肌が粟立ちました。私の好みのど真中ですv


『WILDER MANN』は、シャルル・フレジェ(Charles Fréger)というフランスの写真家のフォトブック。
世界じゅうの民族衣装――祭りの仮装、装束など――を
芸術的視点かつ民俗学のフィールドワーク的観点から写真に収めているアーティストの作品です。

サブカルやアートが好きなひとにはもちろんおすすめなのですが、
海外をよく旅する方や、文化人類学・民俗学に惹かれるあなたにも推したい1冊。
「どの国のどんな儀式の衣装なのか」も解説されています。


あやしげに美しく、そして
どこかもの悲しい写真の数々……。

本当に。「この1枚もいいよね〜」と中身をお見せしたくてたまらないのですが、
著作権的に……ね。

↑表紙だけでも伝わるものがあると思いますが、
もしよかったら、2016年に銀座のエルメスのお店でひらかれた展覧会のサイト↓もみてみて。


「YOKAINOSHIMA」 シャルル・フレジェ展(HERMES - エルメス公式サイト)
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-forum/archives/14259/




「YOKAINOSHIMA」は、「WILDER MANN」のシリーズ作品のタイトルです。
”日本の獣人”たちを収めています。

ナマハゲや鬼など和風ファンタジーなのだけど、
個人的には『WILDER MANN』のほうが異国情緒を感じて好きかな。
逆に外国人にとっては『YOKAINOSHIMA』のほうがエスニックに思えるのかもしれない。




☆★☆


シャルル・フレジェの写真を、なんと表現すればいいのか。
↓『かいじゅうたちのいるところ』のケモノたちがそのまま現れてしまった世界というか。





獣人っぽい写真だけじゃなくて、
よくわからない原色の衣装や毛皮や麻布を、意味不明にまとった人物が写っていたりとか。
ただの植物にしかみえない人間……とか。

幻想というよりもはや狂気を感じるような異形さというか。
私は、こういうものにどうしようもなく惹かれてしまう。


おなじようなテイストを感じる映画を挙げてみると、たとえば
TORICO監督の「イケルシニバナ」とか。


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ヤン・シュヴァンクマイエルのチェコアニメ(クレイアニメ)とか。

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ライトなところでは、スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」とかね。

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千と千尋はある意味”異形のオンパレード”な映画なのだけど、
絵や音楽も綺麗なアニメだし、行って帰ってくるという「物語の構造」もきっちりあるからかな。
不思議と万人受けしていますよね。




あとね。
映画でも本でもないんだけれど、伊豆に「怪しい少年少女博物館」と「まぼろし博覧会」という美術館があって。
こういうのも好きv


怪しい少年少女博物館 | 静岡県伊東市にある可笑しな博物館
http://ayashii.pandora.nu/
まぼろし博覧会 | 静岡県伊東市にある愉快なテーマパーク
http://maboroshi.pandora.nu/




☆★☆



なんだかだんだんアングラな方向に進んじゃってますが。
シャルル・フレジェの『WILDER MANN (ワイルドマン)』はそこまで無秩序な世界ではありません。

……いえ、けっこうカオスっぽい衣装も満載なのだけど、
基本的には、美しさを感じる写真集です。



ほんとにいい本。
こういう出逢いがあるから読書はやめられないv



ではでは。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


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posted by akika at 17:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記・最近読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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