2015年10月07日

最近読んだ「うさたま」10冊(中村うさぎ×倉田真由美)

 
今日のなぞなぞ
「うさたま……とは?」

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うさぎ……ぃます……。

というわけで、今日は
最近私が乱読した”うさたま”10冊をぷちレビューしていきます。


うさたまとは……
以前の記事(マツコ・デラックスの文章がおいしくて、中村うさぎの自分探しが身につまされる1冊〜吾妻ひでお・菜摘ひかるについて)で紹介した作家・中村うさぎさんと、
漫画家・倉田真由美さんのふたりのこと。

くらたまさんは『だめんず・うぉ〜か〜』でも有名ですね。




恋愛や人生の本音、その裏の裏までを語りつくす
魅力的なエッセイの書き手
たち。

もちろんライトで読みやすい作品ばかりですが、
なかには「愛」や「死」などをテーマに据えている文章も。


かるい気持ちで読みはじめたら、
想いのほか、ふかく考えさせられてしまった。

……そんな秋の夜長の読書タイムをお約束するラインナップですv

あなたのお口にあう本はございますでしょうか?


 マーケティングのおともにも

うさたまの霊長類オンナ科図鑑
中村 うさぎ 倉田 真由美
角川書店
売り上げランキング: 587,059

世に生きるすべての女子を「分類」する、まさに”図鑑”です。「ヨゴレ自慢女」「私が悪いの女」……など、生態系は多種多様。ある意味、”あるある本”なのですが、女性をターゲットに商品・サービスを開発をしているあなたなら、マーケティングの参考にも使えるかも。くらたまさんのゆるいイラストがかわいいv

 「愛」とは……


小説です。これはすごい。オススメです。ホストクラブをめぐるお話が、男女両方の視点で描かれているのですが、とくにカリスマホスト・リョウの視点で語られるパートが読み応えがあります。お金によって与えられる「愛」に、私はアガペー(※)を感じた。それはもはや、真実の愛と区別がつかないかもしれない。

※  神の無限の愛。無償の愛。

 らぶちゅう


倉田真由美さんの恋愛エッセイ&イラスト。ファッション誌「anan」の連載の書籍化です。霊長類くらたま科の求愛日誌。「わかる、わかる」と何度も口にしてしまいそう。

 らぶらぶちゅう


↑の続編。恋愛研究家のくらたまさんが先陣を切って、いろいろ想い悩んでくれているので、なんだか心強いね。ゆるいイラストがかわいいですv

 ド根性、アンチエイジング!


ありとあらゆる手段を講じて、”歳をとること”に抗う中村うさぎさん。その魂の叫びがひとつひつとの文章ににじむ。本領発揮ともいえるエッセイです。でも、以前の記事(マツコ・デラックスの文章がおいしくて、中村うさぎの自分探しが身につまされる1冊〜吾妻ひでお・菜摘ひかるについて)でお話したように、じぶんをとても客観視して戯画化する書き手なので、呑みこまれることなく読めます。

 旦那さんはゲイです


夫を泣かせてまで、デリヘルの世界に踏みこんだ中村うさぎさん。これは、その頃のエッセイです。ちなみに、旦那さんは同性愛者。しかも外国人。日本の永住権を得るため、ふたりは結婚しました。

 カーストの垣根を越えて


この言い方がふさわしいかわからないけれど……「ギャル×オタク」の対談。もちろんふたりともとっくに学校は卒業しているけれど、スクールカースト垣根を越えて、おしゃべりしている雰囲気です。以前の記事(ネットいじめ、スクールカースト、キャラ戦争)でお話したとおり、カーストなんて「地形効果」が変わればすぐに霧散する。じじつ、本書のふたりはどことなく通じあっている感じがありますv

 とまべちっ!


科学者・苫米地英人先生と中村うさぎさんの対談です。苫米地先生が、オカルトや都市伝説にも漸近するような理論を大真面目に語り、中村うさぎさんがどこかうさんくさそうに博士を眺める……そんな構図。とまべちっ!

 毒舌ゴシップたいむ!


中村うさぎさんの毒舌が、芸能人や政治家を斬りまくります。悪口とは、こう書くのだというお手本^^; 面白い……けれど、今読むとネタがずいぶん古いね(笑)。夕刊フジに連載されていたものをまとめた1冊です。続編は↓こちら。



 「生」と「死」


以前の記事(マツコ・デラックスの文章がおいしくて、中村うさぎの自分探しが身につまされる1冊〜吾妻ひでお・菜摘ひかるについて)で紹介した本の終盤では、中村うさぎさんが倒れてしまい、マツコさんとの往復書簡が一時途絶えるというアクシデントがありました。本書は、その頃のエッセイ。

心肺停止状態から復活をはたした、病床日記……かと思いきや、ぜんぜんそんなノリではなく、相変わらずの語り口で社会を批評したり、ひたすら「ドラクエ10」をやっていたりします(笑)。生きるとは、たとえ死の淵にあってもひたすら自分の道を歩んでいくことなのかなぁ……とか、考えさせられたりさせられなかったり。

ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ
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お口にあう本はございましたでしょうか?


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか



【関連記事】

マツコ・デラックスの文章がおいしくて、中村うさぎの自分探しが身につまされる1冊〜吾妻ひでお・菜摘ひかるについて
ネットいじめ、スクールカースト、キャラ戦争
【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】
最近読んだ純文学(J文学・L文学)10冊〜青山七恵さんの”ぼっち文学”について







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2015年05月29日

最近読んだ純文学(J文学・L文学)10冊〜青山七恵さんの”ぼっち文学”について

 
今日のなぞなぞ
「Jポップを聴くように読める純文学は?」

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今日は、最近私が乱読したなかから
”純文学(J文学・L文学)10冊”をぷちレビューしていきます。

どこかポップさを感じる日本の純文学……程度のイミで
私は「J文学」という言葉を使っていますが。
ほんとうは、


J文学……
文芸誌「文藝」が仕掛けたネーミングです。
現代的で新しい日本文学の総称のことですが、いまではほとんど使われていません^^;
(狭義では、阿部和重さんなど、90年代に登場し新風を巻き起こした作家さんたちを言うようです)

L文学……
女性の書き手、読み手を中心とする、女子のための文学作品。
フェミニズムとも関係がふかいジャンルですが、こちらもあまり一般化していない呼び方かも。
(狭義では、江國香織さんや唯川恵さんなど、ジュニア向けから一般小説へ転向した女性作家陣を指すこともあります)


乱読、といっても今回は偏食で。
10冊ちゅう6冊が青山七恵さんの作品。
ハマってます。

以前の記事(バレンタインには世界を呪え―― Valentine's Day に読みたい本10冊)では、
『ひとり日和』という本を紹介しましたが、


青山七恵さんの作品は
「<世界>にすんなりと参加できない”私”」という一貫した強いテーマを持っています。
ここでいう<世界>とは、
いわゆるオトナのふるまいだったり、「常識的」な社会性だったり、
安定した人間関係だったり、心地のよい居場所だったり、いろいろなのですが、

登場人物は必ず、”あたりまえなセカイ”からはじきだされて存在している。
ある意味では「ぼっち(※)文学」と言えるかもしれません。

※ 学校などで友達を持たずひとりぼっちで過ごしている人を指すスラング。


こういうのを描くのが文学の役目だよなぁ、と思います。
シンパシーを感じるひとにとっては、これ以上ないくらい大切な本になるかも。
「もしかして、これ、私のために書いてくれてる!?」と錯覚してしまうくらい。

ピンときたあなたは、ぜひ読んでみて♪
心が揺さぶられるほど、切なすぎる作品群です。


あなたのお口にあう書はございますでしょうか?


 私以外のみんなが、そこに生きている


私以外のみんなが、そこに生きている。でも私は。力を抜いても、緊張してみても、どうがんばったところで、<世界>に参加できなくて。コドモで居続けることもできず、かといってオトナになることも選べない……。ひとりぼっちの切なさが痛いくらい胸につきささります。


 奇妙な味のJ文学


以前の記事(【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】)で『蹴りたい背中』を紹介した、綿矢りささんの短編集。恋愛小説のイメージとはうって変わって、奇妙な味(※)ともいうべき作品たちです。幻想的で、ちょっとホラー。「トイレの懺悔室」が描く異様な人間関係に鳥肌。

※ ミステリ作家・江戸川乱歩が提唱した、変格ミステリのジャンル。謎解きや論理的解決を主眼とせず、読後に違和感ののこる作品を指す。


 当たり前の幸せなんか、いやだ


「あたし、当たり前の幸せなんか、いやだ」。15歳の藍子の家には、37歳のレミちゃんが居候しています。ふつうの人とぜんぜん違うレミちゃん。藍子の方がオトナっぽく見えるほどだけれど、藍子はじつはレミちゃんの内的世界を理解し共感もしていて……。<常識>と<逸脱>との間で揺らぎつづける藍子の心情が、ふかく沁みる。


 文芸、アバンギャルド


精神科に行かなきゃと思いながら、いつもたどりつけずにいる神田憂。彼女の前に、何度も姿形を変えてあらわれるカイズさんとウツイくん。もはやなにが現実の描写で、どこからが妄想の記述なのかわからない幻想文学ですが、ひたすら面白いです♪ 文章がすごく音楽的で気持ちいい。エッジが効いたアバンギャルドを求めるなら、この1冊。


 世界は突然私をはじき飛ばす


魔法使いになれると信じていた、小学生の結仁。でも、「世界は突然私をはじき飛ばす」。クラスでの立ち位置は揺れうごき、幼なじみたちとの関係性はうつり変わり、家族は解体をはじめ……。成長するほどに、あまりにも生きづらい現実がどんどん目の前にたちあらわれてきます。しんどいけれど、イッキ読みしてしまう。長編ならではのどんでん返しもあり。


 私を、見捨ててほしい


以前の記事(【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】)で『ナラタージュ』を紹介した、島本理生さんの長編恋愛小説。『ナラタージュ』の”見捨ててほしい”というモチーフはこの作品でも変奏されています。自分を大事にできない“私”と、ひとところには留まれない”あなた”との、うたかたのような関係。リアルで、苦しいくらい切ないです。


 表参道文学……!?


「そろそろなにか決めなきゃいけないかも」。新規開業した雑貨屋に集う、アラサー女子たちの日常記。とくにおおきな事件が起こるわけでもないですが、ゆるゆると過ごしていく空気感がリアル。ファッションの描きこみも細かかったりして、雰囲気がオシャレです。柴崎友香さんの作品に表参道の香りを感じてしまうのは私だけかな。


 「かけら」より「山猫」


短編集。父と娘のささやかな交流を描いた表題作「かけら」が川端康成文学賞を受賞しています。でも、私が好きなのは「山猫」。新婚夫婦の家にいとこの女の子を泊めるお話なのですが、かすかにすれ違う三人の微妙な空気が、こまかい筆づかいで描き出されます。


 偽りのリア充ライフ


「私」は、恋人も友達もいない社会人。はりあいのない毎日のなか、行方しれずだった弟・風太がふらり突然あらわれて……。風太は、どこにいても、誰とでもすぐに仲良くなってしまう子なのだけど、「私」はそんな弟に、嘘の”リア充ライフ”を話して聴かせる。ほんとは飲み会もランチも行っていないのに、行ったふりをする。青山七恵さんらしい作品です。


 「お上手」がすごい


ささやかな一期一会を描く、短編集です。どの作品も大好きなのですが、「お上手」がすごい。「世界に参加できない感覚」を持ち、それを大事にしつつも、社会性を身につけ、恋人もでき、”あたりまえのセカイ”に居られるようになった主人公。

そしていつの間にか、大事にしていた感覚や感性が、失われてしまっていることに気づく。それは成長とも呼べるけど、喪失でもあるはずだ。「コドモだと思ってたのに、なんかオトナになっちゃったなぁ自分……」と感じたことのある方は、読んでみて!




お口にあう本はございましたでしょうか?


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか



【関連記事】

バレンタインには世界を呪え―― Valentine's Day に読みたい本10冊
【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】
【恋愛】10代のうちに読んでおきたい小説10冊【青春】







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2015年02月02日

未来は予測なんてできないし、売れてる本が良い本とはかぎらない

 
今日のなぞなぞ
「未来は予測できるか? 売れている本は良い本か?」


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こんにちはv
今日のテーマは、「未来予測」と「ベストセラー」についてです。

えっと。
いま、ものすごくツッコミを待っています///


というのは。
このブログを継続して読んでくださっているあなたなら(ありがとうございますv)
本日のエントリのタイトルを見た瞬間……

以前の記事(2010年代を見通す7つの大胆予測今月もっとも売れた本〜2015年1月の月間ベストセラー(ニッパン調べ))を想い出す。

で、


「おい、大胆予測とかベストセラーの紹介したばっかりじゃん!」


って。


というわけで、今日はそのふたつの記事の「あとがき」のようなお話。
舞台裏&楽屋オチなエントリです。



☆★☆




楽屋なのでちょっとダラダラ行きますが(笑)、
さいきんお気に入りな作家さんが↑のタレブなのね。

ナシーム・ニコラス・タレブ、通称NNT。
元金融(デリバティブ)トレーダーの執筆家です。


以前の記事(最近読んだ「投資力を鍛える」本10冊〜金融リテラシーをぐんと高めるために仕事ができない人ほど自己評価が高い、はウソ!)では……




『まぐれ』という本を紹介したけれど、
やっぱり本丸は『ブラック・スワン』


経済や金融のことを知りたかったら1冊目に教科書的な『景気ってなんだろう』(岩田規久男・筑摩書房)を読んで、
2冊目にはもういきなり『ブラック・スワン』をひもといていい

というのが、私の持論です。




ブラックスワン(黒い白鳥)とは……
統計や経験則からは予測不能なものが、突然に起こってしまうリスクのこと。


白鳥は白いのしか見たことないから、黒い個体なんていないだろう。
そう思っていたとたん、目の前にブラックスワンがあらわれる。
とつぜん、世界はひっくり返る。

世界は予測可能な正規分布でできているわけではないのです。
もちろん、いまの延長線上で、かなりの精度で予想できるものごとは多いかもしれない。

でも、
ほんとうに見通さなければならないことは、
事前には予測できないカタチであらわれる。



……そんな本です。
面白い。徹夜本♪ 殿堂入り!



☆★☆


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じゃあ、なんで私が以前の記事(2010年代を見通す7つの大胆予測)で
できもしない未来予測なんでやってしまったのかというと。


未来予測って、素敵なエンターテイメントだよねっ☆


と思うから。


記事(最近読んだ「未来を予測する」本10冊最近読んだ「投資力を鍛える」本10冊〜金融リテラシーをぐんと高めるために)で紹介した本たちも
いろいろな未来を見据えていたけれど。

当たる当たらないはさておくとして、
そこに描き出される未来像は、とても豊饒だ。

読んでいてワクワクするし、
将来見返したとき、「全然違ったじゃん!」とツッコむのもまた一興かな。



私の身近な金融の分野でも、
エコノミストなどが経済や株価を、日々さまざまに予測しています。
ほんとうに、たくさんのシナリオが描かれている。

ある予想が当たったり当たらなかったりすることにこだわるのではなく、
予測にまつわる言葉の数々、その多様性じたいを楽しもうよというスタンスで。



みんな、いろんな視点で
ものを見ようよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



というのは、このブログのメインテーマでもあるのです。


☆★☆


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以前の記事(今月もっとも売れた本〜2015年1月の月間ベストセラー(ニッパン調べ)今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方)で
売れている本を紹介したのも、おなじような理由。

ロングテール(※)な書籍ばかりオススメしているこのブログでは
異端ともいえる記事ですが、
なにも「ベストセラー読もうよ!」と言っているわけじゃないのは、お察しのとおり。


※ 流通や売上分布の裾野に位置する、ほとんど売れない、あまり知られていない商品のこと。以前の記事(書評ブログは矛盾している――フリービジネスとブログのあいまいな関係)でちらっと解説しています。


ベストセラーが良い本とはかぎらない。
それはみんな気づいてる。
もちろん、ベストセラーのなかに良書があるのも
みんな知ってるいることだけど、それより


ベストセラーのラインナップを眺めてみることで
なんとな〜く、時代の空気がみえてくる
んじゃないかな。



ちょっと前までは企業の広告や商品のキャッチコピーが
その時代のテーマをとらえていた
印象があります。

でも、消費の多様化を背景に、
マーケティングはずいぶんピンポイントなものに様変わりしている。

最近は「売れている本のタイトルやジャンル」のほうが
時代の雰囲気を色濃く映している
ような気が、個人的にはします。


あ〜、今はふくらはぎをもむ時代なのね〜、と。
どんなだ(笑)。

それから、いろんな本の企画をくみあわせて、
次のヒット作を考えてみるのも楽しいかもしれませんv


『人生の9割はふくらはぎをもむ雪の女王』


……どんなだ(笑)。


とにかく。
売れてる本でもマイナーな本でも、



みんな、いっぱい
本読もうよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆




と、いつもどおり
それが一番伝えたいことだったりもするのです。



そんなこんなで、


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


【関連記事】

2010年代を見通す7つの大胆予測
今月もっとも売れた本〜2015年1月の月間ベストセラー(ニッパン調べ)
最近読んだ「投資力を鍛える」本10冊〜金融リテラシーをぐんと高めるために
仕事ができない人ほど自己評価が高い、はウソ!
最近読んだ「未来を予測する」本10冊
今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方
書評ブログは矛盾している――フリービジネスとブログのあいまいな関係






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2014年11月06日

私の好きな「歌舞伎町」本3冊

 
今日のなぞなぞ
「"歌舞伎町本"のオススメは?」

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こんばんは。
歌舞伎町生まれ、歌舞伎町育ちの、あきかです。
……いや、ホントに。

私の生まれ育った劇場は、いまはもう
大手食品会社のビルになってしまったけれど。
治安の問題とか、課題はいろいろあるけれど。

やっぱり、私にとっては故郷。
大好きな街です。
(……↑こんな”地獄”な写真のっけといてアレですが。
ちなみに写真は歌舞伎町とは関係ない、としまえんのラーメン屋です)


なので、
歌舞伎町を題材にした本をみると、つい手にとってしまう。

今日はこの街を題材にした”歌舞伎町本”のなかから、
厳選した、とっておきの3冊
を紹介します。


 魂を賭したフォトジャーナリズム


写真家・権徹さんのフォトエッセイです。
いや、フォトエッセイなんていう言葉じゃ弱すぎる。
フォトジャーナリズムです。

15年以上にわたって(デジカメができる前から!)、歌舞伎町を撮り続けてきた
”スナイパー”権徹さんの、魂を賭した写真集。
ものすごく強いものが宿っていて、鳥肌がとまらない写真ばかりです。

魂を賭した……というのは、誇張でもなんでもなくて
このひと、何度も警察のお世話になったり、死にかけています。
でも撮る。撮り続ける。


外国人。
風俗店。
路上の子供。
男女の酔っ払い。
事故。
発砲事件……。



いちばん印象に残っているのは、
食い逃げの犯人を連行しようとしている警察官の写真。


生活苦に泣き叫ぶ食い逃げ犯と、
なんだかすごく楽しそうな笑顔で、彼の髪の毛を引っ張る警官
とり囲む野次馬たちの、顔。顔。顔。

ありふれた映画よりずっと、物語のたちこめる1冊です。


 ”やさしい街”歌舞伎町


僧侶でもあるノンフィクション作家・家田荘子さんのルポタージュ。
家田荘子さんは社会が”見なかったこと”にしてしまいがちなマイノリティの人々におもいっきり寄りそって、声なき声を拾ってゆく、私の好きな作家さんです。

本書は、歌舞伎町を庭とするひとたちがどんなふうにシノギ(稼ぎ)を得ているのか、
に迫ってゆきます。


極道者。
トイチ(高金利の貸出業者)。
家出した未成年。
歌舞伎町の”女”たち……。



この本を読めばおそらく、歌舞伎町の見方が変わるかもしれません。
怖い、とか、危なそう、とかイメージがひとり歩きしているけれど、
ほんとは歌舞伎町は、どんな人間だって受けいれてくれる
”やさしい街”
です。


 極上のラブストーリー


小説です。映画にもなったし、有名ですよね。
私はこの作品をミステリでもサスペンスでも犯罪小説でもなく、
”恋愛小説”としてみています。

日本人と台湾人のふたつの顔をもつ、そしてどちらにも属せない健一。
似たもの同士でもある謎の女、夏美と惹かれあうのですが。
心をゆるしていいのか、あるいは、夏美もじぶんを利用しようとしているだけなのか
いつまでもわからない、ゆえに「おれ」はずっと孤独である

ノワールとしても一級品だけど、
恋愛の部分もとても切ない、名作です♪

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 お仕事に疲れた夜に……

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Muzai Moratorium (Innocence Moratorium) - 椎名林檎(iTunes)

3冊と言っておきながら、おまけでCDを1枚紹介。
伝説の名曲「歌舞伎町の女王」を収録した、”新宿系アーティスト”椎名林檎さんのアルバムです。
レトロ感漂うロックがツボv

このアルバムの9曲目「おなじ夜」
「加爾基 精液 栗ノ花」というアルバムの「おだいじに」
ビジネスパーソンのあなたに、ぜひオススメしたい。

お仕事に疲れた夜に聴くと、
無防備な心に歌詞がひたひたと染みこんでいきます。


空は明日をはじめてしまう
(おなじ夜)

身体はまだ自由が利く
(おだいじに)
 


こういうストレートな言葉が音楽にのって聴こえてくると、やばい。
なんか、泣いちゃいます。

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Karuki Zahmen Kuri No Hana (Kalk Samen Chestnut Flower) - 椎名林檎(iTunes)


 大沢在昌さんは未読です


そんなこんなで。
最後はすこし脱線しちゃったけど、
歌舞伎町を舞台にしたオススメ本の紹介でした。


なんだよ〜、『新宿鮫』(大沢在昌)ナシかよ〜と思われた方。
すみません、未読です^^;

すでに何冊も出ている人気シリーズなので、
なんとな〜く避けてしまって……。

以前の記事(【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】)で紹介した『売れる作家の全技術』で、
大沢在昌さんが↓のようなことをおっしゃっていました。


大沢在昌は読まない、と決めている人が一定数いる。


……はい。
まさに私が”食わず嫌い”なひとりです。
だって、いっぱいありすぎて(>_<)。
いずれ読みます。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか



【関連記事】

【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】

 
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2014年11月03日

ちきりん『自分のアタマで考えよう』に仕掛けられた3つの壮大などんでん返し

 
今日のなぞなぞ
「考えること、をどう考える?」



今日は”おちゃらけ社会派”ブロガー、ちきりんさんの
『自分のアタマで考えよう』をさくっとレビューします。

本書は”考えるチカラを鍛える”本
選挙やプロ野球の将来、自殺、報道……などさまざまな問題について、
考え倒します。

分類やグラフ、マトリクス図(縦軸と横軸にいくつかの項目を記した表のことです)などを使いながら
ロジカルシンキングっぽい手つきで
思考を”みえる”化し、結論を導く。


この「結論」がクセモノで。
導かれた主張には「なるほど!」と思えるものもあれば、
「いや、自分はそうは思わないよ?」というものもあると思います。

だけど、この「結論」に目を奪われ、
賛成だ反対だ〜とやりはじめてしまうと、本書をちゃんと読んだことにはならない。



たまたまさいきん読んだ雑誌に、ちきりんさんのインタビューが載っていたのですが、
そこでちきりんさんは次のようなことを言っていました(↓引用でなく意訳です)。


特定の主張の賛同者を増やすことには、ぜんぜん興味ない。
みんなが「自分で考えられる」ようになってくれればいい。




本書でも、大切なのは
結論ではなく「プロセス」です。
”特定の主張”を凝視すれば、すべてを見失ってしまう。
……ものすごく面白いつくりの本だと思いました。





☆★☆




んでだ。
じゃあ、この本を読んで
「私も自分のアタマで考えてみよっと」って思うよね。
幸い、考えるためのヒントは本書にたくさんある。


・じぶんのなかにある知識が先入観となって思考を誘導していないかチェックして
・対象を分類してみて
・ときには、グラフや図で”みえる化”し
・なぜ? だからなんなの? と問い続け
・「思考の棚」を形成してゆく……。




そんな感じで本書の指導どおり
マトリクス図を描きはじめたとします。
そうすると、心の声がする。


「パクリじゃん!」


って(笑)。



「自分のアタマで考えた方法じゃないじゃん!」


って。



もしかしたら、うがちすぎかもしれません。
ちきりんさん自身は
「このフレームを使ってじぶんのアタマで考えてみてね」というつもりで
思考の技術を紹介したのかもしれない。

でも、やっぱり。
考える方法をパクったら、それはもう思考停止じゃん
……と思う自分がいたりして、
「考える枠組み」さえも「じぶんのアタマで」考えたくなる。


この本はそんな仕掛けになっています。
「考え方も考えろ!」……と行間から強制してくる構造なんですね。
トリッキーすぎる(>_<)。




☆★☆




じゃあ、どうしよう……。
「考え方をゼロから考える」方法は、
直接的にはこの本には載っていません。

”考え抜く態度”は奨励しているけれど、
ではどうしたら……と立ち止まってしまう。

そして、ふと天啓が降りてくる。


「なにを真剣に悩んでるんだ。
この本はエンターテイメントだよ?」




!!
そうだ、この本は「思考の技術」とうたっているけれど
「知的エンターテイメント」として読めるじゃん!
たしかにイッキ読みしちゃうくらい面白かったし。

そこではじめて、
ちきりんさんの”おちゃらけ社会派”という肩書が
伏線となって、回収される
わけです。


この本は、
思考エンターテイメントだ!


ここまでたどり着いて、表紙のちきりんさんのイラスト(アイコン)をながめてみると
「おつかれさまぁ〜」と舌を出しているように見えるのは私だけでないはず(笑)。



☆★☆




でね。
じゃあ、エンターテイメントだから
「あ〜面白かった」とそれだけでいいのかと”考える”と、
どうもそれだけじゃない感じが残る。

すでに↑でぐるぐると
「”考え方”さえ自分のアタマで考ねば」という視点を獲得してしまった私はもう、
あともどりはできないわけです。

「面白かったね」で終わらせることができなくなってる。
そこで、はたと気づく。
この本の”真の仕掛け”は、これなんじゃないか。


考えずにはいられない


そんな、焦燥にも似た情動に読者を突き動かしてしまう。
そこで、”おちゃらけ”であると同時に”社会派”である、という肩書が
ふたたび伏線となって活きてくる。


ああ、これは読んだひとを「思考」させる方向に動かしてしまう
”政治性”
が仕掛けられた本なんだ。ある意味、社会運動……だよなぁ。



”考えながら”読みこむことで、
どんどん本書の<意味>がひっくり返ってゆく、たくらみにみちた1冊。
良書でした♪



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


【関連記事】

最近読んだ「考える力を鍛える」本10冊

【関連リンク】

Chikirinの日記
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/






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