2017年02月03日

幻想と異形の獣人写真集――シャルル・フレジェ『WILDER MANN (ワイルドマン)』

 
今日のなぞなぞ
「ページをひらいた瞬間に鳥肌が立ってしまう写真集は?」



今日紹介するのは写真集です。
なんというか……出逢えてよかったと心から思える、ものすごい掘り出しもの。
本をひらいた途端、肌が粟立ちました。私の好みのど真中ですv


『WILDER MANN』は、シャルル・フレジェ(Charles Fréger)というフランスの写真家のフォトブック。
世界じゅうの民族衣装――祭りの仮装、装束など――を
芸術的視点かつ民俗学のフィールドワーク的観点から写真に収めているアーティストの作品です。

サブカルやアートが好きなひとにはもちろんおすすめなのですが、
海外をよく旅する方や、文化人類学・民俗学に惹かれるあなたにも推したい1冊。
「どの国のどんな儀式の衣装なのか」も解説されています。


あやしげに美しく、そして
どこかもの悲しい写真の数々……。

本当に。「この1枚もいいよね〜」と中身をお見せしたくてたまらないのですが、
著作権的に……ね。

↑表紙だけでも伝わるものがあると思いますが、
もしよかったら、2016年に銀座のエルメスのお店でひらかれた展覧会のサイト↓もみてみて。


「YOKAINOSHIMA」 シャルル・フレジェ展(HERMES - エルメス公式サイト)
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-forum/archives/14259/




「YOKAINOSHIMA」は、「WILDER MANN」のシリーズ作品のタイトルです。
”日本の獣人”たちを収めています。

ナマハゲや鬼など和風ファンタジーなのだけど、
個人的には『WILDER MANN』のほうが異国情緒を感じて好きかな。
逆に外国人にとっては『YOKAINOSHIMA』のほうがエスニックに思えるのかもしれない。




☆★☆


シャルル・フレジェの写真を、なんと表現すればいいのか。
↓『かいじゅうたちのいるところ』のケモノたちがそのまま現れてしまった世界というか。





獣人っぽい写真だけじゃなくて、
よくわからない原色の衣装や毛皮や麻布を、意味不明にまとった人物が写っていたりとか。
ただの植物にしかみえない人間……とか。

幻想というよりもはや狂気を感じるような異形さというか。
私は、こういうものにどうしようもなく惹かれてしまう。


おなじようなテイストを感じる映画を挙げてみると、たとえば
TORICO監督の「イケルシニバナ」とか。


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ヤン・シュヴァンクマイエルのチェコアニメ(クレイアニメ)とか。

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ライトなところでは、スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」とかね。

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千と千尋はある意味”異形のオンパレード”な映画なのだけど、
絵や音楽も綺麗なアニメだし、行って帰ってくるという「物語の構造」もきっちりあるからかな。
不思議と万人受けしていますよね。




あとね。
映画でも本でもないんだけれど、伊豆に「怪しい少年少女博物館」と「まぼろし博覧会」という美術館があって。
こういうのも好きv


怪しい少年少女博物館 | 静岡県伊東市にある可笑しな博物館
http://ayashii.pandora.nu/
まぼろし博覧会 | 静岡県伊東市にある愉快なテーマパーク
http://maboroshi.pandora.nu/




☆★☆



なんだかだんだんアングラな方向に進んじゃってますが。
シャルル・フレジェの『WILDER MANN (ワイルドマン)』はそこまで無秩序な世界ではありません。

……いえ、けっこうカオスっぽい衣装も満載なのだけど、
基本的には、美しさを感じる写真集です。



ほんとにいい本。
こういう出逢いがあるから読書はやめられないv



ではでは。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


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2016年12月31日

おおみそかに読みたい本〜よいお年をお迎えください。

 
今日のなぞなぞ
「おおみそかに読みたい本は?」

368done


みそぼっちなう。


というわけで^^;
みなさま今年もお世話になりました。
よいお年をお迎えください。


今年最後の本の紹介は、おおみそかに読みたい1冊です。




ど〜ん。
樋口一葉・大つごもり!



そのまんまだな。
ひねりなさい……というか、このネタ毎年やっている気がします^^;
おおみそかは、一葉を推す絶好の機会だ。



正直をわが身のたよりとしていた、
弟想いのお峰。

でも、どうしても必要で
職場からお金を盗んでしまいます。


いずれバレるに決まってる。
でも、盗むよりほかはなかった。



お峰はどうなってしまうのか!?



そんなお話。
オチがズバっと決まっている、明治時代の文豪の掌編です。

原典は擬古文体なので、↓現代語訳を推奨。






☆★☆



そんなこんなで。
今年も当ブログをご愛読いただき、ほんとうにありがとうございました。

ちかごろは”金融ブログ”の要素はかけらもなくなってしまっていますが(^^;)
「ノーリスク・ハイリータンの投資は読書」のスローガンはずっと、変わりません。


1冊でも、このブログをきっかけに
あなたが新しい本に出逢えていたとしたら。

それは、私にとってもこの上ない喜びです。



これからも”良い本に出逢える場所”であり続けられますよう。
本日もいつものことばで締めさせていただきます。



せ〜のっ。


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪



よいお年をお迎えください。
紅白歌合戦、はじまるよ〜!


あきか(@akika_a


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2016年12月27日

『エンタテインメントの作り方』を読んでびっくりした話

 
今日のなぞなぞ
「”びっくりする”小説の書き方本は?」


こんばんは。
今日紹介するのは、以前の記事(徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」【徹夜本】地下東京に広がる腐海――貴志祐介『新世界より』の社会システムと生態系がすごい)で取りあげた貴志祐介さんの本。

エンターテイメントに特化した「小説の書き方」本です。


本日は、この本のレビューというよりは、
「これを読んで驚いた、私の読書体験」について語る、日記
です。



☆★☆






えっと。
なにが驚いたかっていうと。


以前の記事(徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」)で、↑『悪の教典』

”読みはじめたらとまらない徹夜本だよ〜”

って紹介した
じゃんね。


本書『エンタテインメントの作り方』には、
貴志祐介さんがじぶんの著作を解説している部分がいくつかあります。
そのなかのひとつに、↓こんな項目がある。

”一気読み”を狙った『悪の教典』

「第四章 文章作法」より


まさに狙いどおりの一気読みをさせていただいて、
イッキ読み必至だよ〜とレビューしてしまった
わけだけど。
驚きはそれだけじゃない。


おなじ記事のなかで、
主人公への印象がぐるっと変わって、そこからが面白い
……みたいな話をしましたが。


この反応も、じつは、作者の計算どおりだった。


第一章とその後の章で、主人公(蓮実)に対するとらえ方を変えてもらう手法である。

「第四章 文章作法」より



ほかにも、細かい例を挙げるときりがないのですが、もうね。
なんというか。


本書の『悪の教典』の解説を読めば読むほどに、
いかに自分が”狙い”どおりの反応をさせられていたか、わかる。


自分なりのレビューを書いたつもりだった。
でも、それは
掌のなかで踊っているだけだった。



書き手というのはここまで精度高く読み手をコントロールできるのか、
とびっくりした次第です。





☆★☆



ところで。
本書の「まえがき」では、頼山陽の有名な歌がでてきます。


京都三條の糸屋の娘
姉は十六妹は十四
諸国大名は弓矢で殺す
糸屋の娘は目で殺す



↑これね。
起承転結の例として、いろいろな本で引用されている和歌です。
以前の記事(【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】)で紹介した久美沙織さんの本↓でも引かれていました。






頼山陽のこの歌を、
貴志祐介さんは、これじゃいかん、と改変します。

京都三條の糸屋の娘、姉は十六妹は十四
 諸国大名は弓矢で殺す、糸屋の娘は吹き矢を使う


「まえがき」より


歌として劣化してるけどね、みたいなみたいな照れ笑いをしつつ、
貴志祐介さんは、力強く言います。

これから小説を書こうという方には、どうか「目で殺す」というような想像力のかけらも感じられない文章には怖気をふるっていただきたい。

「まえがき」より

きれいに落としたでしょうと言わんばかりの、したり顔(今でいうドヤ顔)は、あらゆる分野のクリエイターにとって敵であると承知してほしいのだ。

「まえがき」より


↑前半で述べた「作者の計算どおりだった話」よりも、
”驚き度”は高かったかもしれない。私のなかでは。


小説にかぎらず、あらゆるジャンルのクリエイターにとって、
「目で殺す」をしっかり導くだけでもなかなか大変なことだと思う。
でも、そんなレベルで終わるな。
むしろ、目で殺すことに怖気をふるうくらいの感性を持て。


……座右の書とします。



そんなこんなで今日は



『エンタテインメントの作り方』っていう本が
オススメだよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆




というお話でした。



☆★☆




……。


…………。


…………………………。


…………………………………………。




いや。
これで記事を終えてしまったら目ですら殺していない。

目で殺すどころか、もっとその先へ行け。
貴志祐介さんはそう言ってるんだから。
この記事は、吹き矢を飛ばして締めなくてはいけない。

そうだ。
読書ブログらしく、ラストも本の紹介でいこう。











……。


…………。


…………………………。



いや、そういうことじゃないから!
的な?



……ううん。
この程度のオチなんて、たぶん目で殺しているレベルなんだよね。
ちゃんと吹き矢を飛ばせるよう精進します

吹き矢どころか、大砲、いや……

糸屋の娘は生物兵器を開発する

くらいの勢いで。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


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【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】
最近読んだ「小説の書き方」本10冊〜文章力をめきめきアップさせるために



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2016年11月12日

最近読んだ「世界観が独特な」本10冊

 
今日のなぞなぞ
「世界観がユニークな10冊は?」

P1610598done.jpg

本の雑食家さま、こんばんは。
私も雑食ですv


今日は最近私が乱読したなかから
”世界観が独特な10冊”をぷちレビューしていきます。

以前の記事(【徹夜本】地下東京に広がる腐海――貴志祐介『新世界より』の社会システムと生態系がすごい)で紹介した『新世界より』がとてもよかったので、
ユニークそうな本に食指が引き寄せられてしまうこの頃(笑)。


お口にあう書はございますでしょうか?


 澁澤龍彦の再来


芥川賞作家による”偏愛”に満ちた読書案内。純文学から漫画、奇書、珍書……「文学の魔導書」とのキャッチコピーどおりレアグルーブ(※)たっぷりのセレクトで、本書じたいがあるイミ奇書。澁澤龍彦さんの一連の仕事を思わせるアングラ&フェティッシュ本。

※ 埋もれて忘れ去られてしまった昔の作品の発掘、再評価。音楽の用語です。

 戦後カオスの素描


「闇市」を描く文学作品を集めたアンソロジー。外貨、盗品、転売品。男色あり女装あり、近親相姦、刺青、精神病院……戦後の日本はここまでカオスだった。全集にも収められていない作品が載っていたり「解説」も優れていて、資料的価値も高い1冊。収録作品は↓以下。

〈経済流通システム〉
「貨幣」 太宰治
「軍事法廷」 耕治人
「裸の捕虜」 鄭承博

〈新時代の象徴〉
「桜の下にて」 平林たい子
「にぎり飯」 永井荷風
「日月様」 坂口安吾
「浣腸とマリア」 野坂昭如

〈解放区〉
「訪問客」 織田作之助
「蜆」 梅崎春生
「野ざらし」 石川淳
「蝶々」 中里恒子


「裸の捕虜」は『夜と霧』のような収容所文学かつ『破獄』 を思わせる脱獄もの。「日月様」は女装と日常のミステリ。「浣腸とマリア」は男娼と近親相姦。「蜆(しじみ)」は闇屋を”開業”するまでの心の動きを丁寧に描いた傑作短編。

 女王と奴隷の輪舞


テーブルを囲み。プレイされるは命を賭けたババ抜き。知力を尽くして”イカサマ”を繰り出す頭脳戦が読みどころ……ですが、それ以上にババ抜きシーンの異形さに目を奪われる。反発しつつ”女王様”に服従する悦びを知る主人公……SM好きさんにオススメだよ☆

 渋谷の異能少女


オカルトぶくみの本格ミステリ。卒業制作で映像を撮る主人公が、謎の少女と出逢う。彼女は”悪意”を感知して犯罪を未然にふせぐ能力を持っていた……。以前の記事(最近読んだミステリ10冊〜本格から社会派まで〜)で紹介した↓『消失グラデーション』と同様、緻密で巧みな構成力がきらきら光っています。どんでん返しも鮮やか。


 メルヘン世界の論理系


「不思議の国のアリス」の世界でおこる連続殺人。原作をオマージュしたナンセンスな展開やセリフまわしがめっちゃ楽しいですv 荒唐無稽な話かと思いきや、じつはこの世界観ならではのロジック体系が存在していて、理詰めで考えれば犯人を指摘できる本格ミステリ。

 異形と異形のファブリック


再読。再再読。いえ、再々再々再々……読。大好きな本です♪ 時計中毒の主人公。顔面が文字盤の少女。サカナ男。舞台は横浜〜元町〜山手〜大船〜鎌倉のあのへんなのですが、幻想が入り混じっていて、根岸線沿線は完全に異世界と化している。異形なキャラクターと異形な風景の果てに、強烈などんでん返しがある。すごい本です。

 姥捨て山のコミュニティ


その村にはひとつの掟がある。70歳を過ぎた人間は「山に捨てなければならない」。一方、捨てられた老人たちは、過酷な自然のなかで「デンデラ」という共同体を築いていた。
とぼしい資源から生み出された”文明”がとてもユニーク。サバイバルエンターテイメントです。

 異形文化の風景


いくつもの町を訪ねては去る旅人の物語。それぞれの町が独自の栄え方(衰え方)をしていて、景色もユニーク。たとえば、風ノ町では大量のかざぐるまが洞窟に堆積していたりする。異文化の国々を旅をした気持ちになる一冊です。↓「キノの旅」が好きな人にオススメ。あ、でも文章はライトノベルっぽいわけではなくて。むしろ濃密。ミステリ要素も強い。


 「愛」の誘引力


『ザ・シークレット』と対をなす、引き寄せの法則本の名作です。本書のテーマは「愛」。起こることのすべてに、愛の力が働いている。引き寄せはとっても複雑な概念であると同時に、めちゃくちゃシンプルな原則だとも思います。”掴んで”しまえば、あっけないくらいの。引き寄せ本大好きな私が、とくに推したい一冊。


追記)
ロンダ・バーン氏のこのシリーズから一冊追加♪
『ヒーロー』のテーマは「夢」です。本書は引き寄せというよりも、夢に向かって一歩一歩進んでいくことの大切さを説いています。踏み出すこと、心構え、成功者の体験談……夢を追うすべてのひとが共感し、参考にできる自己啓発本。


 この世界の真実


手術という科学的方法はもちろんのこと、呪術的な能力でも人を治癒することができる医師の物語。ヒーラーやシャーマンがでてくる……というとスピリチュアルなファンタジーかと思われそうですが、田口ランディさんの小説は文化人類学や超心理学的アプローチの裏づけがある。未熟児のアイちゃんと対峙するシーンは圧巻。目に見えない世界の真実が、あなたに心身に流れこんできます。




お口にあう本はございましたでしょうか?


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


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2016年09月18日

【徹夜本】地下東京に広がる腐海――貴志祐介『新世界より』の社会システムと生態系がすごい

 
今日のなぞなぞ
「生態系と社会システムがユニークすぎるジャンル分け不能の徹夜本は?」



不毛の大地・東京の地下。
古代の遺物であるメトロ網を食い散らかすように、無尽の洞窟が伸びている。


動物の生き血を求めるナメクジ。
細長い身体を光らせ、獲物の吸着を待ちわびるヒル。
うごめく影の正体は、集団で壁を這うダニの行進。

……そこは、独自の進化をとげた生物たちが織りなす「地獄」だ。


本書のクライマックスは、こんな地下東京を舞台にしています。



☆★☆





今日紹介するのは、『新世界より』

以前の記事(徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」)にひき続き、貴志祐介さんの徹夜本です。


『悪の教典』は文句なしのノンストップ・サスペンスでしたが、『新世界より』は一筋縄ではいかない。
なんというジャンルに分類したらいいのかわからない作品です。

たいていの本は、ちょっと手に取れば
本読みの勘で「こんな内容なんだろうな〜」というのがだいたいわかるものだけど。

本書は、さらっとページをめくってみても、
帯のコピーを見てみても、どんなジャンルなのか予想がつきませんでした。
それどころか、実際読みはじめてもどんな展開になっていくのかが見通せないのが凄いです。



舞台は、未来の日本。
人類は科学を手放し、”村”単位の原始的な生活を送っている。
でも、人間はみな「呪力」をあやつる術を身につけている。

主人公は魔法学校ならぬ呪力学校みたいなところに通ってるのね。
人は攻撃的な感情が持てないよう遺伝子操作されているから、
とても平和で。ストレスフリーな社会なんだけど。
ひとつの掟があって。


八丁標(はっちょうじめ)の外に出てはならない……。


少年少女は未開の地を冒険するうちに、
「大人達が隠しているもの」の正体に気づいていく……。



☆★☆





伝奇っぽいといえば伝奇っぽい。
冒険・青春小説でもあり、ファンタジーといえばファンタジーなんだけど。
ミノシロモドキという異形の生物が「古代の図書館のデータ端末」になっていたり、
いろいろな生態系や進化の具合が細かく説明されていたり、SFらしさもある。
独自の社会システムもよくわかるように描かれていて、


ほんと、
なんて言ったら言いんだろうね。

「名づけようのないエンターテイメント小説」

としか言えません。


主人公たちは、おおげさではなくどのページでも危険にさらされています。
深呼吸する暇もない。息を切らしながらページをめくってしまう、
極上のエンターテイメント
であるのは確かです。



でも
本書の魅力は、ユニークすぎる社会システムと生態系
これでもかというくらい濃厚に作られています。


攻撃性を芽生えさせぬよう、厳重に管理された教育システム。
ストレスを感じると、人は
ボノボ(ピグミーチンパンジー)のように互いに性的接触をして興奮を抑える。

アリのようにコロニーを作り、なわばり争いを繰り返すバケネズミ。
危険因子を排除するため、品種改良されたフジョウネコ……。


↑冒頭の地下東京の世界は、たとえるなら
「風の谷のナウシカ」の「腐海」みたいな感じかな。

さまざまに進化した異様な生物たちが
おそましくも美しい。


コウモリの糞を起点とする
ユニークな食物連鎖が成り立っていて面白いです。


あ、『蟲師』の世界とかが好きなひとにもオススメかも。

風の谷のナウシカ [DVD]
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↓アニメ化。漫画化もされているようです♪





☆★☆



……なんだかこれだけ書いても
本書の魅力の一割も伝えられてないような気が今日はします^^;


とにかく、

この濃厚な世界観にどっぷりひたってくださいね(笑)。




『新世界より』っていう本が
オススメだよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



というお話でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


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