今日のなぞなぞ
「意図を正しく伝えるための16のルールとは?」
ある種のひとにとっては、タイトルを見ただけで飛びつきたい本でしょう。
ある種のひと……というのは、
コミュニケーション技術を磨きたいあなたのこと。
このブログではカテゴリ:コミュニケーション・セールスで
「コミュニケーション・スキルとは何か」についてずっと考えています。
私が思う、コミュニケーションでいちばん大切なこと。
それは……
「自分の頭のなかにあるイメージ・ビジョン……
意図を正確に相手に伝えること」
です。
まんま、↑この本の副題。
なので、私は飛びついた(笑)。
☆★☆
地下鉄の案内、交通標識、高速道路、街中の看板、商品の説明書……。
本書は、身近にあるさまざまな「わかりにくい表現」を写真つきで載せています。
それらがなぜ「伝わりにくい」のかを分析している。
これがとっても面白くて。
なかには「なんじゃこりゃ」と笑っちゃうような例もあります。
前半はさながら、宝島社の「VOW」シリーズのような様相。
(「VOW」は雑誌「宝島」の読者投稿コーナー。
街中で見かけたヘンなもの、おバカなものが満載。↓単行本化されています)
もちろん『「分かりやすい表現」の技術』のほうは、
ただ笑っておわり、でなはく。
その表現がなぜわかりにくいのかを分析しています。
わかりにくくさせている「犯人」を特定し、
その「犯人」を排除することで、
わかりやすい表現の16のルール
を導きだしています。
今日はこの16のルールをざっくりとおさらいすることでレビューとします。
☆★☆
↓16の項目(「1 〜」)は引用。
その下の補足説明は本書の解説ではなく、「私の解釈」です。
本書では項目別に具体的なテクニックもたくさんあがっていますので、
このエントリを読んだだけで満足せず、
実際に本書にあたってみてくださいね♪
1 おもてなしの心を持て。
すべては「おもてなしの心」からはじまる。
受け手の理解力を頼みに丸投げするのでなく、
発信者側が「もっとわかりやすい表現はないか」と考え続けるのが大切。
2 「受け手」のプロフィールを認定せよ。
相手の前提知識を確認すること。
専門用語は、専門家にしか伝わらない!
3 「受け手」の熱意を見極めよ。
広告の例をあげるのがいちばんわかりやすいと思います。
すべての受け手が、積極的にこちらを理解しようとしているとは限らない。
コンパクトに、関心を惹くように、情報を伝えることも必要。
4 大前提の説明を忘れるな。
「2 「受け手」のプロフィールを認定せよ。」にも通じる項目です。
自分にとって「当然すぎる」ことは、説明を忘れやすい。
5 全体地図を与え、その後、適宜、現在地を確認させよ。
いま、なんについて伝えようとしているのか。
受け手を情報の海のなかで迷子にさせない配慮です。
本書では、「プレゼン中に現在地を確認させる」ための、とても有効なテクニックが載っています。
6 複数解釈を許すな。
「このはしわたるな」。
橋? 端? ……ということ。
7 情報のサイズ制限を守れ。
A4の用紙1枚に、10万文字の情報があったら読むほうはツラいですよね。
媒体によって、伝えられる量の限度があるので、それを守りなさいということ。
8 欲張るな。場合によっては詳細を捨てよ。
ほんとうに必要ではないものを省略すること。
すべて詰めこんでしまい、けっきょくなにも伝わらないくらいなら、
ちゃんと選別して、大切なメッセージだけ届けるほうがいい。
9 具体的な情報を示せ。
動物が好き(?) → 犬が好き(!) → シーズーが好き(♪)
概念やグループだけでは伝わらない。
具体的に言うことで、ピンポイントで正確な表現に近づきます。
また、ときには具体例をあげることで、
劇的にわかりやすくなるケースもたくさんあります。
10 情報に優先順位をつけよ。
重要な情報は大きく、目にはいりやすく!
そんなに大切じゃないものは、小さく……。
11 情報を共通項でくくれ。
ビートたけしさんがよくおっしゃっている「因数分解」といえば、
わかるひとには伝わりやすいかもしれません。
ある男に3人が殺されたことを伝える場合。
3つの殺人シーンをすべて撮らなくてもいい。
3つの死体を順番に映し、返り血をあびた男がナイフを持って歩くシーンがひとつあるだけで、
「男が3人を殺した」ということが伝わります。
ax + bx + cx → x( a + b + c )
ということ。
12 項目の相互関係を明示せよ。
項目どうしが並列なのか、親子関係にあるのかを明確に。
↓この「親」と「子」が一目瞭然になるように伝えなさい、ということです。
T.親
a.子
b.子
U.親
a.子
b.子
13 視覚特性(見やすさ)を重視せよ。
色分け、境界線、枠、書体、大きさ……。
伝わりやすくする工夫は、まず視覚から♪
14 自然発想に逆らうな。
「書類を重ねてください」と言ったとき、
ほとんどのひとは新しい書類を束の「上」に重ねるでしょう。
なので、自然な発想に逆らうような
「下に重ねてください」という指示は、受け手の誤解を招きます。
「下にもぐらせてください」と言えば、
こちらの意図を正確に伝えることができます。
(これ、私が試験監督のアルバイトをしたときの実体験です(笑))
15 情報の受信順序を明示せよ。
いきなり「〜のボタンを押してください」という説明を読んでも、
「〜のボタン」がどこにあるのかわからないひとはイライラするしかない。
最近は家電やパソコンの説明書も親切になって。
「まずはじめにこれをお読みください」という冊子にがついていたりするのでありがたいです♪
16 翻訳はことばではなく意味を示せ。
逐語訳が読みにくいのは、ご存じのとおり。
外国語に限らず、ときには「意訳」することで意味がとおりやすくなります。
☆★☆
ところで。
本書には、関連書籍もたくさんあります。
文章術
マンガ版
説明(プレゼン)の技術
英文術
教え方……
どの本も、基本は『「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール 』にのっとっています。
(漫画版の絵のみを除き、すべて藤沢晃治さんの著作です)
必要な場面にあわせて、
併読してみるといいかも。
すべてのひとに、
正確なコミュニケーションを♪
とっても良い本でした。
ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪
あきか(@akika_a)
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カテゴリ:コミュニケーション・セールス