2020年05月31日

【禁煙】タバコをやめられる本5冊【卒煙】


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「禁煙本」は、面白い。
タバコを吸うこと、やめることについて、私達がどれほど思いこみにとらわれているかをあきらかにしてくれる。

衝撃の事実。
あばかれる”盲点”。
意外すぎる展開。
そして、”逆説”の数々。

まるで、すべてのページにどんでん返しが仕掛けられたサスペンス小説のよう……。


とういわけで、今日は”禁煙本”特集です。
「タバコをやめたいひとの役に立つ」本を紹介していきます。

あ。
べつに「禁煙せよ!」ってススメているわけでは全然なくてね。

吸う/吸わないは、もちろん自由だ。
ただ”やめたい”と思ったときにすんなりとやめられる方法を知っておくのは、選択肢を増やすという意味においても、悪くないと想う。


紹介するのは禁煙・卒煙にまつわる本ですが、
煙草だけでなく、さまざまなジャンルの「依存」全般と向きあうときにも参考になるものばかりです。

意外な真実に満ちていて、喫煙者にとってもノンスモーカーにとっても驚きの連続。それが禁煙本。

読むだけでタバコをやめられる、
魔法のような5冊
をど〜ぞ♪



 禁煙本の決定版


多くの禁煙成功者が「この本でやめることができた」と口をそろえる、ロング&ベストセラー。
小手先のテクニックじゃない。
本書が変えようとしているのは、読者の”考えかた”そのものです。

・減煙は禁煙よりずっと難しい。
・ヘビースモーカーのほうが禁煙しやすい。
・喫煙それじたいではなく、”禁断症状の緩和”を楽しんでいるだけ。

人はなぜ煙草を吸うのか……喫煙のメカニズムをとことん知ることで、認識がガラリと変わり、ある日を境に”まったく吸わない自分”になれる。

”この本を読んでいる最中はどれだけタバコを吸ってもいい”と許してくれているのもユニークv
これ1冊でもじゅうぶん。そう言ってしまっていいほど、禁煙本の決定版です。

「離脱期間中(長くとも三週間)は完全にタバコを断つ」と強く決心すること。そのときの気の持ち様が正しければ禁煙は馬鹿らしいほど簡単なはずです。
「32 禁断症状などもともと存在しない」より


 意志の力は関係ない


2人の父親がいて、どちらも最愛の娘が誘拐されてしまったとする。
いつまでも見つけだせないまま、時間だけが経っていく。

このとき「仕方がないか……」と先にあきらめてしまうのは、
「意志の強い」父親だろうか、それとも「意志の弱い」父親だろうか?

では、タバコをとりあげられてしまった喫煙者の場合はどうだろう。
そう。禁煙と”意志の強い/弱い”は関係ないのである。

……こんな感じの寓話からはじまり、愛煙家の目からウロコを落としまくる内容が盛りだくさん。
タバコに対する認知がリセットされ、吸いたい気持ちがすっと消えていく魔法の本です。

タバコで解消できるのは「ニコチン切れのストレス」だけ
「第3章 『タバコのメリット』の真実」より

タバコが与えてくれる喜びは、もともと、タバコのせいで、感じていたイヤな感じを、吸った時だけ紛らわすこと。
「第3章 『タバコのメリット』の真実」より


とりわけ、根性や意志の力でガマンする「努力型禁煙」にはつよく警鐘を鳴らしています。
つらいし失敗しやすい。悲惨だ、と。

通常何かを成し遂げるには「意志力で頑張る」ほかないと考えられていますが、それ以外にも、変化を生み出す方法があることを実体験してみましょう。きっとその体験は、その後の人生の大きな財産となるでしょう。
「序章 とりあえずここだけは読んでください」より


禁煙は”がんばらない方法”のほうがうまくいく。


 二重洗脳


おなじく磯村毅先生の本です。
タバコを中心に、薬やお酒、ギャンブル、人間関係など、さまざまな依存症をとりあげています。

・薬物等がないと幸せを感じられなくなってしまう「失楽園仮説」
・おなじ対象から<ごほうび>と<恐怖>がもたらされる「二重洗脳」

ひとがなにかにハマってしまう構造を、心理学・脳科学的に徹底解説。
依存に悩むひとでなくても、”人間の心”について多くの気づきを得られる良書です。オススメ!

↑の『リセット禁煙』と一部重なる話もありますので、復習もかねてど〜ぞ♪

 ツボ、ダイエットも


鍼灸院の先生が禁煙術を伝授。
煙草への認識をあらためる定番の方法のほか、

「ツボ応用法」(耳や手のツボを刺激)
「こめかみ圧迫法」(リラックス)
「喫煙者ウォッチング」(吸いたい気持ちを客観視する)

など本書独自のノウハウも多数。
”禁煙太り”への対策法も指導してくれますv
↑で紹介した本たちの補足として◎。

末尾の「参考文献」では、禁煙や心理学の定番本も紹介されています♪
あげられているのは↓以下6冊。

『リセット禁煙』(磯村毅/PHP文庫)
『禁煙セラピー』(アレン・カー/KKロングセラーズ)
『人生を変える! 「心のブレーキ」の外し方』(石井裕之/フォレスト出版)
『喫煙の心理学』(クリスティーナ・イヴィングス/産調出版)(※)
『禁煙学』(日本禁煙学会/南山堂)
『医学的根拠とは何か』(津田敏秀/岩波書店)

※ 本書の「参考文献」では『禁煙の心理学』と掲載されていますが、おそらく誤植。この『喫煙の心理学』のことだと思われます。

 喫煙(吸う人)vs.禁煙(吸わない人)


ラストは作家・姫野カオルコさんのエッセイをおまけ的に。

灰皿の置かれた寿司屋やカフェで、(吸わないお客さんもいるなか)タバコをふかすのはOKかNGか。

この微妙なシチュエーションで、煙草を吸うひと、吸わないひと双方の気持ちに寄りそい、それぞれの言い分と独自の意見を展開していきます。
といっても、議論というよりはユーモアがメイン。
ゆる〜い、くすりと笑える文章です。

「おれが丹精こめてにぎった寿司は、タバコの煙の匂いを嗅ぎながら食ってほしいんだ、べらぼうめ!」

「第一章 喫煙(吸う人)vs.禁煙(吸わない人) V 吸う客に罪はない」より


べらぼうめ!
ちなみに、タバコについての話題は「第一章」のみです。
二章以降も世の中のさまざまなこと対してツッコんだりボケたりしていて楽しい。

卒煙に直接役立つ本というわけではないので、禁煙本を読んでいるときの箸やすめとしてど〜ぞv



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a

(冒頭の写真は深大寺松葉茶屋の焚き火です)

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2020年02月29日

精神世界の名著4冊


今日のなぞなぞ
「スピリチュアル系の定番本4冊は?」



「精神世界の名著4冊」をまとめました。
↓リストは以前の記事(神社がわかる本10冊)で紹介した『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』の「リュウ博士の精神世界名著リーディング」で、八木龍平さんがオススメしている4冊。
(短い紹介文はこのブログのオリジナルです)

八木龍平さんが「霊的エネルギーを読み取った」本として紹介されていますが、
スピリチュアルのジャンルを超えて、思想哲学や人生訓として読みごたえのあるものばかり。
さまざまな本でよく言及されている、鉄板ともいえるリストです。

世界はこれから、”心の時代””愛の時代”へと舵をきっていく。
……かもしれない。

新時代の基礎教養として。
あなたのなかの霊性を高める4冊をど〜ぞ♪



 1.アミ 小さな宇宙人


ボーイ・ミーツ・宇宙人。童話、児童文学ふうの物語です。
少年ペドロは宇宙人アミと出逢い、教わる。宇宙の基準からみれば、地球はまだ”愛の度数”がひくい、野蛮な星である、と……。

アミが語る「宇宙の基本法」の話がとても面白いです。
みなが愛に満ちていて、家族のようで。争わず、個人は何も所有しない。通貨もない世界。

「機械がほどんどやってしまうからね」
「じゃみんな、なにをするの?」
「人生を充実して生きることだよ。楽しんだり、はたらいたり、勉強したり、奉仕したり、たすけの必要な人を援助したり……」
「第9章 宇宙の基本法」より

「じっさいここはほんの少ししか仕事がない。重労働は機械やロボットがやってしまうし」
「第11章 科学が霊性を発見するとき」より


SFといえばSFなのですが、まるで未来予測のよう。人類が今後歩む道を描写しているようにも感じます。
さくらももこさんの挿絵もかわいくて、私もすごく好きな本です。
『星の王子さま』が好きなひとにもオススメv


関連記事:
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↓続編も出ています。全3部作。



 2.ありがとうの神様


こちらも有名な1冊。
生きることや幸せについての本質をダイレクトに語る、「すべての悩みが解決する」本。
自己啓発や精神論が中心ですが、抽象的な話に終始しているわけではなく、アドバイスはとことん具体的。

・威張る、怒鳴る、怒るをなくせ。
・トイレのふたをしめろ。
・「おんくろだのう うんじゃくそわか」と唱えろ。


などなど。
3つめの謎の呪文は、トイレの神様(うすさま明王)のご利益を受けるための真言だそうです。意味はわからなくても、ただ唱えればいいv

小林正観さんのこの”ベストメッセージシリーズ”↓も3冊出ています。



 3.マンガでわかる「引き寄せ」の法則


「よく聴く言葉だけど、けっきょく”引き寄せの法則”ってなんなの!?」というひとにとてもオススメな本。
これ以上ないほどにシンプルに”引き寄せの法則”を教えてくれます。

八木龍平さんも……

引き寄せの法則の本はたくさんありますが、本書はもっともわかりやすく親しみやすいです。
『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』 「第5章/人生を加速させる次元上昇を起こそう」より


と太鼓判を押す。
物語形式のマンガと文章での解説が半々ほど。
さらっと読めて、しかも「これ1冊で充分かも」と想えてしまうくらいの良書です。


関連記事:
【キラキラ】人生を変える「引き寄せ系」成功心理学本19冊【キラキラ】



ちなみに。
本書でも『アミ 小さな宇宙人』が出てきます。
著者の奥平亜美衣さんが「衝撃を受けた」本として紹介されています。


 4.アルケミスト


半飼いの少年は夢を追い、それまでの生活を捨ててエジプトを目指す……。
ダイナミックに展開していく物語にもひきこまれるし、真実をずばり示すような名言や名ゼリフも多い、素敵な本。

結局、人は自分の運命より、他人が羊飼いやパン屋をどう思うかという方が、もっと大切になってしまうのだ

幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ

何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる


少年の”旅”は、人生そのものの縮図。
八木龍平さんも「この本を読んだら、もうスピリチュアルな学びは終わりにしてもいいくらい」と強く推薦しています。
いまこの瞬間も世界中で愛読者を生み続けている、ロング&ベストセラーです。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪ 

あきか(@akika_a


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2020年01月22日

じつは読書案内? 『神様』に出てくる民俗学の本と用語16コ


今日のなぞなぞ
「民俗学を知る本16冊は?」


神様 「矢神・朝比奈」シリーズ
神様
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A.A.Publishing (2019-12-31)


以前の記事(【神隠し】恋愛&伝奇ミステリ小説『神様』をリリースしました【鎮守の森】)で紹介した↑『神様』
じつは「読書案内」といえるほど、さまざまな民俗学の本に言及しています。
この分野の用語も多数、登場します。

物語の舞台となる美香櫛(みかくし)には、いろいろな土着信仰が根づいていて。
主人公のマナは、風変わりな習俗に驚きっぱなし。
なにも知らないマナに、まわりの人物がレクチャーするシーンがたくさんあります。

出てくる本や言葉は、民俗学入門としても最適なものばかり。
今日は『神様』にでてくる本と専門用語を紹介していきます。


〜固有名詞の説明〜

マナ : 本書の主人公、語り手。
先生 : 幼い頃からマナの面倒をみている家庭教師。
来須 : 先生の友人。この物語の”探偵役”となる人物です。
美香櫛 : 秋田県の僻村。先生の故郷。


ではでは。
民俗学を知る16冊をど〜ぞ〜♪


※ 引用は『神様』より。ネタバレを避けるため、どんなシーンで言及されているかをあいまいに濁しているものもあります。

 1.虫送り

「蛇ですか?」
「間違いじゃないけど、いちおう龍ね。今年もちゃんと虫追いをやったんだな」
「むしぼい?」
「いわゆる虫送り」
 いわゆると言われても、どちらも初耳だ。

マナと先生のかけあい。
美香櫛には虫送りの風習が残っていて、なまってムシボイと呼ばれています。

虫送りは豊作を祈願する行事。
藁などで人形や動物をかたどり、これを依り代(後述)として害をはらう呪術です。
以前の記事(【民話伝承】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(中編)【フォークロア】)で紹介した『イタコとオシラサマ』など、様々な民俗学の本で解説されています。




 2.形代、依り代

「龍でなく人形を形代としたり、幟ですませたり、地域によっていろんなバリエーションがある。形代を燃やすパターンも多い」
「かたしろ?」
「形代はわかる?」

その虫送りの解説シーン。
美香櫛ではアマリョウサマと呼ばれる藁の龍が”依り代”となっています。

形代(かたしろ)や依り代(よりしろ)は、目に見えないものを宿す媒体のこと。
よりしろは、柳田国男とならぶ民俗学の大家・折口信夫が提唱した概念です。
「国文学の発生」などでまとめられています。




 3.まれびと

「マレビト信仰というより、美香櫛ではしつけの一環として根づいている。僕も子供の頃はマレビトって言葉さえ知らなかったよ」

先生のせりふ。
美香櫛では”よそ者”を丁重にもてなす習慣があり、マナは子供達から大歓迎されます。

まれびと、も折口信夫が分析した概念。
”よそから来る異人”を来訪神とみなすのがマレビト信仰です。
おなじく「国文学の発生」等で考察されています。




 4.ナマハゲ

「ちなみに、ナマハゲも来訪神の一種な」
 美香櫛にナマハゲが来ることはないという。もっと西のほうの風習らしい。
「ナマハゲー」
「マナハゲー」

先生とマナと子供たちがドタバタするシーン(笑)。
美香櫛は秋田県にある字(という設定)です。

ナマハゲはご存じ異形の怪物、民俗神。
以前の記事(【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】)で取りあげた『日本の神々』でも紹介されています。
ナマハゲファンの方は、以前の記事(幻想と異形の獣人写真集――シャルル・フレジェ『WILDER MANN (ワイルドマン)』)で紹介したシャルル・フレジェの写真集もどうぞv




Yokainoshima: Island of Monsters: Japanese Folk Rituals
Charles Freger
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 5.6.『春と修羅』、『鬼と鹿と宮沢賢治』

 誰かがひっそりと道を歩いている。どこかで鳥がぱりぱりと鳴いた。身体が冷たい。なのに顔は上気し、嫌な汗をかいている。のどが干からびそうなくらい熱い。
 誰か来る。

マナが「見てはいけないもの」に追いかけられるシーン。

作中で言及されているわけではありませんが、この一連の場面は宮沢賢治の「河原坊(山脚の黎明)」という詩へのオマージュです。
『春と修羅 第二集』に収録されています。
宮沢賢治の文学とフォークロワとの関係は、以前の記事(【民話伝承】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(中編)【フォークロア】)で紹介した『鬼と鹿と宮沢賢治』がとても詳しくてオススメですv






 7.『かくし念仏考』

「信者がなかなか口を割らないからまとまった研究はすくないが、高橋梵仙の『かくし念仏考』という本が有名だ」

中盤の謎解きシーン。

隠し念仏は、以前の記事(【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】)でもお話した、浄土真宗系の念仏信仰。
けっしてよそ者には口外してはいけない、秘密主義の宗教です。
『かくし念仏考』はその研究書。


かくし念仏考〈第1〉 (1969年)
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 8.9.『山の人生』、『現代民話考』

「神隠し譚の類例を知りたければ、柳田国男の『山の人生』や松谷みよ子の『現代民話考』をひもといてみるといい」

来須のせりふ。
美香櫛の神隠し伝承について考察するシーンです。

以前の記事(【民話伝承】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(中編)【フォークロア】)でも紹介した『山の人生』『現代民話考』では、神隠しにかぎらず様々なジャンルの民話・伝承を読むことができます。





 10.11.『全国神社名鑑』、『延喜式』

「ぜんぶの神社の名前を把握してるんですか」
「そんなわけないだろ。夢見る少女も度が過ぎるとただの白痴だぞ。『全国神社名鑑』で調べただけだよ」

「式内社でもないだろうね」
 平安時代に編纂された『延喜式』の神名帳に載っている神社のことを式内社というらしい。

マナと来須のかけあい。
美香櫛にある鎮守の森の神社について推理をめぐらすシーンです。

『全国神社名鑑』は全国の主要な神社が探せる、めっちゃ分厚い資料です。
『延喜式』の9巻と10巻は「延喜式神名帳」と呼ばれており、平安時代の神社の一覧が掲載されています。


全国神社名鑒 (1977年)
全国神社名鑒 (1977年)
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全国神社名鑑刊行会史学センター





 12.玉依姫

「タマヨリヒメは特定の神の名であるとともに、神の依り憑となる女性全般をさします」

村の青年・ミモリのせりふ。

玉依姫(タマヨリヒメ)は古事記や日本書紀、風土記に登場する女神です。
以前の記事(【記紀神話】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(後編)【古神道】)で紹介した柳田国男の『妹の力』「玉依姫考」では、タマヨリヒメの”巫女”的な要素が考察されています。




 13.14.15.16.その他参考資料

主な参考文献

 小松和彦『神隠しと日本人』角川書店、平成十四年
 門屋光昭『隠し念仏』東京堂出版、平成元年
 上田篤編著『鎮守の森』鹿島出版会、平成十九年
 柳田国男『妹の力』角川学芸出版、平成二十五年
 秋田県教育委員会編『秋田のことば』無明舎出版、平成十二年

末尾の参考文献リストです。

『神隠しと日本人』は、神隠し譚の類型分析がとても面白い、民話研究の本。
『隠し念仏』は、隠し念仏の数少ないまとまった研究。
『鎮守の森』は、鎮守の森の現状を調査した1冊。
『妹の力』は↑でお話したとおり、柳田国男の代表作のひとつ。
『秋田のことば』は秋田弁辞典です。

関連記事:
【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】
【民話伝承】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(中編)【フォークロア】
【記紀神話】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(後編)【古神道】




隠し念仏 (民俗宗教シリーズ)
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秋田のことば
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 番外編.


『神様』では民俗学以外の本にも言及している箇所があります。
番外編として、五つの場面をピックアップ。


 来須さんはいつも、先生と賢さを競いあっている。『二銭銅貨』の語り手と松村のような関係だという。

マナの独白。秘境の山村に向かって歩くシーンです。
「二銭銅貨」は江戸川乱歩の名作短編。
暗号解読やどんでん返しが魅力的な物語です。

「帰りの旅費を浮かす魂胆だとしたら、屋根裏から口のなかに毒薬を落とす」
 ユニークなおどし文句だ。

来須のせりふ。
マナは気づいていないようですが、こちらも江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」にひっかけた言いまわしです。

「二銭銅貨」と「屋根裏の散歩者」は、以前の記事(【絵本】クリスマスに恋人に贈りたくない本10冊【小説】じつは読書案内? 『狼ゲーム』に出てくる定番推理小説10冊)でも紹介した『江戸川乱歩傑作選』に収録されています。




「これを密室と呼んだらカーに叱られてしまう」
 外国人の知り合いがいるのだろうか。
「密室の講義、ね」

マナと来須のかけあい。
「密室講義」はカーの『三つの棺』のなかで展開されている、密室殺人のトリック分類した講義です。




「想像上の友達、ですか」
 ちいさい頃に読んだ『アンネの日記』を想い出し、私は言った。

「マナちゃん、思考をとめるな。王様は裸だと言える大人になれ」
 裸の王様。

どちらも中盤の謎解きシーンです。

『アンネの日記』はご存じアンネ・フランクの名著。
ナチスに追われる少女がつむぐ、魂の言葉たち。世界的なロング&ベストセラー。
『裸の王様』はアンデルセン童話ですv






ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪ 

あきか(@akika_a


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神様 「矢神・朝比奈」シリーズ
神様
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2019年08月29日

あなたの盲点をあばく「叙述トリックミステリ」10冊


今日のなぞなぞ
「叙述トリック小説のおすすめベスト10は?」

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「叙述トリック」が仕掛けられたミステリ10冊をまとめました。


叙述トリックとは……

ある要素を意図的に”語らない”ことで読み手のミスリードをさそう、ミステリの手法です。

通常の物理トリックやアリバイ偽装などとは異なり、「プロット(構成)」や「文章そのもの」に仕掛けられる、小説ならではの方法ですが、映像作品やマンガでも叙述トリック的などんでん返しがみられることがあります(後述)。



人の脳は、足りない情報を勝手に補完する。
私たちは補完したことに気づかず、「すべて見えている」と思いこむ。
その視界には、ほんとうは「盲点」がある……。


日本の推理小説のなかから、
”面白さ”と”驚き度”を基準にセレクト。

あなたの先入観に狙いをさだめ、固定観念を撃ちぬく、
巧みなミステリ達をど〜ぞ〜♪


※ 犯人やトリック等、ネタバレには配慮していますが、叙述トリック小説は「叙述トリックが仕掛けられている」と事前に知ってしまうこと自体がネタバレともいえます。
この意味での”ネタバレ”を避けたい方は、じゅうぶんにご注意くださいね。※




 第10位


ある夏の日、ミチオは小学校の友人S君が首を吊って死んでいるのを目撃してしまう。
彼の”死体消失の謎”をめぐって、ミチオと妹とS君は調査をはじめる……。

……あれ。死んだはずのS君が調査に?
じつは、この物語には「生まれ変わり」があります。S君はクモの姿に転生して、喋ったり推理したりしている。
理を超えた世界が情感たっぷりに描かれる幻想的な小説。とはいえミステリとしての”ロジック”がおろそかにされているわけではないのでご安心を。

終盤は「これでもか!」というくらい固定観念をくつがえしまくる展開です。
夏の終わりに読みたい1冊♪

 第9位


元私立探偵の主人公はある日、地下鉄で自殺をしようとしていた女性を助ける。
およそ一週間後、フィットネス仲間から依頼されたのは……詐欺まがいの商品を売りつけ、保険金殺人にも関わっている可能性のある、悪徳な会社の調査だった。

叙述トリックとは別におおきなどんでん返しも仕掛けられています。二度驚かされる終盤はイッキ読み必至。
ひと昔前の本ですが現在にも通じる〇〇〇(ネタバレになってしまうので伏せ字><)の問題が描かれていて、社会派ミステリでもあります。

 第8位


孤島に集まった男女を襲う、不可解な失踪と殺人事件。
犯人当てでもトリック当てでもなく、史上初の「タイトル当て」小説です。

エロミス、いやバカミスといってもいいかも。でもえっちシーンすら周到な伏線になっている、本格的なミステリ。
これはなかなか気づけない。叙述トリックはいつも<思考の外>からやってくる不意打ちだ。

 第7位


函館にひっそりと建つ洋館。母が亡くなり、父も病におかされた。
「わたし」は、継母やその娘たちの、遺産相続をめぐる不穏な空気に巻きこまれていく……。

シンデレラを下敷きにした、情感たっぷりの継子譚です。
「独白」「手記」「手紙」の3つからなる構成。鋭いひとは早くに仕掛けを見抜けるかも?
宝石や絵画、ティアラ、水妖(ウンディーネ)など小道具や、文章の雰囲気がとても美しくて素敵な小説です。

 第6位


そのサイコ・キラーは、次々と女性たちを残虐に殺していく……。
犯行のシーンがけっこうエグいのでご注意を。凄惨な場面が多いけれど、怖いものみたさでページをめくる手がとまらなくなります。

周到にはりめぐらされたミスリードに、あなたは必ずだまされる。
叙述トリックの仕掛け自体に問題提起がふくまれているともいえる、本格&社会派ミステリです。

 第5位


主人公は「ハサミ男」。女性をターゲットに、猟奇的な殺人をくり返すシリアルキラーです。
ある日、ハサミ男は自分の手口を真似て殺された死体を発見してしまい……。

倒叙ミステリ(※)でありながら、殺人犯自身がべつの犯罪の調査をすることになる、奇妙な設定です。
雑学やユーモアたっぷりの文章がおいしいv

※ 犯人側の視点も含めて語られるミステリ。警察や探偵に追いつめられていくドキドキ感や、展開される駆け引きなどが魅力。「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」「DEATH NOTE」など名作の多いサブジャンルです。

 第4位


ロートレックの絵が飾られた洋館で、美しき女性たちが次々と銃殺されていく……。
とても重要な要素が伏せて語られています。わかってみるとびっくり。
叙述トリックはある意味では「アンフェア」な仕掛けともいえますが、本書は文章も構成も間取り図も、とことんフェアであろうとしています。

登場人物たちが個性的で、皮肉っぽい語り口が魅力。
なぞるように事件をふりかえっていく「第十七章 解」以降がとても丁寧ですv



……ところで、余談なのですが。
こうしてみると、”美しき女性たちがどんどん殺されていくミステリ”ってけっこう多いですね。
このへん、フェミニズム分析的になにか言えそう、と思ったところで、前に読んだ……


という本を想い出しました。
まるで”シリアルキラーにならないための心構え!”みたいなタイトルだけど、文芸評論です。
物語のなかの<女の子>には<下降>の力学がはたらく。物理的にも、社会的にも。
逆に、<男の子>には<上昇>するチカラがはたらく。

ちなみに女性が物理的に落下するミステリといえば……。


社長令嬢が、文字どおり塔から墜落するお話です。
これも叙述トリック。プロット・構成におおきな仕掛けがほどこされています。
以上、余談おわり!



 ランキング圏外


トップ3の前に、ランキング圏外から4作品を紹介。




大雪のなか、ある特急列車で起こった殺人事件の真相は……!?
漫画です。ですが、叙述トリックと呼んでかまわないミスリードが仕掛けられています。
鉄道ファンをニヤリとさせる描写がたっぷり。雰囲気がステキなミステリ。
小説ではなくコミックなので今回は圏外です。



以前の記事(最近読んだライトノベル10冊〜恋愛・ミステリ・異世界〜)で『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』を紹介した、大澤めぐみさんのライトノベルです。
これといって特徴のない地味な梓には、「男あさりをしているらしい」というウワサが立っていて。彼女はまさにウワサどおりに……。

序盤に大どんでん返しがあります。この設定だとこんなミスリードが成り立つんだ、とハッとする。後半にも叙述トリック的な仕掛けがあります。
ジャンルじたいはミステリではないので圏外にさせていただきました。



6本(7本)の短編を収録。最初に「読者への挑戦状」として「叙述トリックが使われております」と宣言されます。
叙述トリックはたいてい”不意打ち”で驚かされることが多いけれど、本書はフェアに”出題”しているのがユニーク。
ひとつひとつの作品はとても短く、濃厚な読み応えという点ではどうしてもほかの長編に引けをとってしまう。なので圏外にさせていただきました。



映像化は不可能だったはずの同名の小説を、みごと映画として成立させてしまったすごい作品です。
映画ならではの”文法”を逆手にとった”叙述”トリックが仕掛けられています。
本ではなく映像作品なので圏外。まさかこんな方法があるとは……。



 第3位


第3位は、その『イニシエーション・ラブ』。
合コンの席で出逢った女の子に、僕はしだいに惹かれていき……。

男の子の気持ちを描いた上質な恋愛小説なのですが、最後の1ページ。ラブストーリーだったはずの物語がミステリに一変する。
「必ず二回読みたくなる」とのキャッチコピーのもと、たくさんの読者を夢中にさせた名作です。未読ならぜひ♪

 第2位


”憑き物”の血が流れる旧家が対立する、閉鎖的な田舎の村。
ここでは昔から”この世ならざるもの”が跋扈しているとしか思えないような怪事件が相次いでいて……。

神隠し。憑依。蛇神。案山子神。迷い家。
旧家の奇妙な家系図。入り組んだ村の地形。
すべてがおどろおろどしくて、濃厚な世界に飲みこまれてしまいそうなほど。

叙述トリックとして、類例の少ない大仕掛けがほどこされています。
本格ミステリと民俗学的な本格ホラーが融合したすごい作品。オススメですv

 第1位


孤島に集まったミステリマニアの面々。いわくつきの建築家がたてた「十角館」で、ひとりずつ順番に……。

抜群の読みやすさ。驚愕のトリック。心を惹きつけられる、面妖な雰囲気。
推理小説ファンはひとり残らず本書を読んでいるはず。そう断言してもいいくらい。
新本格(※)ムーブメントの嚆矢となった不朽の名作です。

※ 新本格ミステリ。1980〜90年代に日本でおこった新しいミステリの流れのこと。具体的な作風というよりは、以前の記事(【ロジック】新本格ミステリの名作100冊【プロット】)で紹介したような一連の作家たちを指していうニュアンスです。新本格推理小説。



 番外編


ベスト10のあとは、「番外編」としてキラリと光る名品をご紹介。
小説ではなく、叙述トリックにまつわるエッセイや評論をピックアップしました。



「叙述トリック試論」という我孫子武丸さんの文章が収録されています。
叙述トリックの定義論、フェア/アンフェアについての考察、創作にあたっての心構えも。
かっちりとした論考というよりは、ユーモアたっぷりのエッセイです。くすりと笑えて、タメになる♪
電子書籍版のみでリリースされている試論は↓こちら。

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まるまる1冊ミステリ作品の「叙述」について論じた、本格的な文芸評論です。
アクロイド殺し、二銭銅貨、達也が嗤う、殺人交叉点、十角館の殺人、イニシエーション・ラブ……。
芋づる式の読書案内にもなる本。ネタバレをいとわず古今東西のさまざまな作品について論じているので、気をつけてくださいね。

ミステリ以外の小説も取りあげています。たとえば、田山花袋『蒲団』のテクストの「言い落とし(レティサンス、黙話法)」を指摘する……など。
末尾には笠井潔さんと巽昌章さんと法月綸太郎さんの鼎談(途中、我孫子武丸さんも乱入)が収録されています。

叙述トリックは<語り>=<騙り>の操作が如実に意識されるスタイル。
以前の記事(【語り手】文学理論を学びたい人のための15冊【テクスト論】)で紹介したような文学理論に興味がある方も、とても面白く読める1冊です。



叙述トリックをテーマにした本ではありませんが、「第4章 ミステリーをより面白くする」で、折原一さんと我孫子武丸さんが叙述トリックの作り方を指導しています。
↑『十角館の殺人』の綾辻行人さんも寄稿しています。叙述トリックの鬼才が本書で語るのは……物理トリック指南。どうしてこうなった(笑)。

「ミステリ作家、勢ぞろい!」な43名が集結している豪華な1冊。
インタビューを読むようなつもりで楽しめます♪



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a

(冒頭の写真は箱根園水族館のホシエイです)

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2019年07月30日

【禁忌】読んではいけない本10冊【超刺激】

 
今日のなぞなぞ
「けっして読んではいけない本は?」

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※ この記事では、あまり健康的ではないテーマやモチーフも扱っています。不穏な表現、グロテスクな描写などがニガテな方はご注意くださいね。
また、おもに引用部分に関して、現代の人権意識に照らして不適当と感じられる表現がありますが、原文の単語を改変することなく記述しています。 ※



だいぶ暑くなってまいりました。
今日は夏の熱気を吹き飛ばす、ゾッっとする本を紹介していきます。


おおっぴらには語れないタブー。
読んだら気がふれる禁書。
なぜ出版されているのか不思議な奇書。
知るひとぞ知る珍書……。


「読んではいけない本」10冊です。


あまり手にとる機会のないシロモノも多いかもですが。
「ふだん読まないような本を読んでみる」のは、ビジネス書などでも推奨されている、れっきとした読書術のひとつだったりします。

関連記事:
カテゴリ:読書術



運命の出逢いかも。そう想える本は、いつもは手を出さないジャンルだったり、ひとから勧めていただいたもののなかにこそ多いと、個人的にも感じています。

というわけで。

ヘンな本、いっぱい
読もうよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



目をそむけたいものから目をそらさなかったとき、
みえてくるものがある。


世界の深淵をのぞきこむ、
禁断の書10冊を
……(この先は文字がかすれて読めない)。



 タブーへの入口はこの本から


怪談、実話、都市伝説、ブラウザクラッシャー、グロ系など”検索してはいけない言葉”のまとめからはじまり、世界と日本の禁忌の物語を、実際にあった出来事とからめて紹介。
地方の凄惨な風習や、謎めいたフェイクニュース、後味の悪い事件など、さらに「検索」して調べたくなるトピックが満載です。

以前の記事(最近読んだ「怪談・都市伝説」本5冊)で紹介した、伝説のフェイクドキュメンタリー↓「放送禁止」を制作した長江俊和さんの新書です。「放送禁止」シリーズの裏話もアリ。
参考文献が豊富で、次々と関連本を読んでいく”芋づる式読書”の起点ともなる1冊です。

くねくね、コトリバコ、トミノの地獄、ソニー・ビーン事件、エド・ゲイン、御船千鶴子、高橋貞子……などなど、押さえておくべき有名なお話がたっぷり。
タブーに興味がある方は、まず本書から♪

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 読めば精神に異常をきたす



見知らぬ部屋で目をさました記憶喪失の青年。彼はある事件と大きな関わりがあるらしいが……。
読めば精神に異常をきたす、とまことしやかにウワサされているミステリです。
いえ、「ミステリであろうとしている何か得体のしれないモノ」というのが正確かも。

”精神に異常をきたす”は、べつに根も葉もない話ではなくてね。
本書のなかに、まさに「ドグラ・マグラ」という架空の原稿が登場して、

これを読んだものは最小限、二、三回は読み直させられているようです。そうして、やっと全体の機構がわかると同時に、自分の脳髄が発狂しそうになっていることに気が付いたと言っております。
『ドグラ・マグラ(上)』より


と説明されます。
この「ドグラ・マグラ」だけでなく、大量の作中作が入れ子構造になっていて、そのどれもが主人公の青年や事件について書かれている(と思われる)つくりになっています。

「空前絶後の遺言書」はとくに長くて、途中で映画がはじまったり、”作品内作品内作品”という迷宮の様相へ。
一体なんの話だったっけ……と思った頃に、

 ハッハッハッハッ……。
 ……どうです諸君。面喰いましたかね。
 これが吾輩の遺言書の中の最重要なる一部分なぞいうことは、もういい加減忘れて読んでいたでしょう。
『ドグラ・マグラ(下)』より


と(笑)。

チャカポコいいながら七五調で精神病を語る「キチガイ地獄外道祭文」
唯物論的な科学を終焉にみちびく論文「胎児の夢」

など、とにかくぶっとんでいますが、しっかり伏線を回収する”解決編”にあたる部分があります。あるといえばある。でも……。
ひそかに本書を愛読しているアーティストも、ジャンルを問わずとても多い印象。
日本三大奇書(※)のトップを飾る、魅惑のラビリンス。

※ 日本探偵小説三大奇書。『ドグラマグラ』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』の3作品。竹本健治の『匣の中の失楽』をくわえて四大奇書とする場合も。

 愛か狂気か


恋人の遺体と7年間暮らした医師のノンフィクション。実話です。
『検索禁止』でも紹介されていました。

両親に反対されながらも熱い求愛をやめないフォン・コーゼル。徐々に信頼をよせていくエレナ。
主人公が飛行機を製作していたり、恋人が結核におかされていたり、前半はまるでジブリ映画の「風立ちぬ」を連想させるラブストーリーなのですが。

エレナが命を落としてから、トーンが一変。
ホルマリン、義眼、オーデコロン……”花嫁”に「処理」をほどこす”花婿”の様子がこまかく描写されていきます。
凄惨ではあるのですが、彼の「愛」もとても強く感じられて、なんだか純愛物語のようにも読めてしまう。

実際の裁判でもフォン・コーゼルに同情的な意見がたくさんあったようです。
正直にいうと、私もこの物語に、おぞましさよりロマンティックさを強く感じました。

 ロミ

悪食大全
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ロミ
作品社
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”突飛なるものの歴史家”ロミ氏の奇書です。

上は古代から現代にいたるまでの美食、淫食、大食いのエピソードを集めた1冊。
ひたすら牡蠣を食べ続ける皇帝、客を罵倒するレストラン、サソリやヘビを食す猛獣使いたちの饗宴……。
おもにフランスの、豊かなグルメの世界を味わえるお腹いっぱいの珍書。

下は「おなら」にまつわる逸話を蒐集した、奇書ちゅうの奇書。ジャン・フェクサス氏との共著です。

わたしたちの本の主題が「おなら」であることがお判りいただけたと思う。だが、それだけでなく、「透かし屁」にも紙数を費やしている。
「前書きにかえて」より


……。
どうでもいい!

カルダーノは、研究対象をおならにまで拡げ、それを四種に分けられると考えた。すなわち、「鋭き屁」「重々しき屁」「熟慮せる屁」「自由なる屁」。
「14……悪魔をおならで追い払ったマルチン・ルター」より


……激しくどうでもいい!(笑)

訳者の「後書きにかえて」でも真剣に日本のおなら事情が語られます。
どこを読んでも面白く、イラスト資料が盛りだくさんの楽しい1冊。
パリの事例が多く、ちょっとオシャレな雰囲気もありますv
(私信。ついに読みました。すごい本を教えてくださってありがとうございます><)

ちなみに、このロミさん、↓ほかの本も奇書・珍書だらけです。

『突飛なるものの歴史』
『乳房の神話学』
『娼館の黄金時代』
『でぶ大全』
『自殺の歴史』


 マルタン・モネスティエ


カニバリズム(食人)にまつわる記録や考察を集め、人間を食べるという行為の本質に迫っていく。
ひと口に食人といっても、歴史や文化をみていくと様々な「意味」があって。

たとえば、食糧難から起こるものもあれば、グルメの対象だったり、薬としてだとか、儀式や呪術にまつわる食人も。
供養や復讐、裁き、愛としての食人もあるし、腹におさめて消滅させてしまわなければ”敵を倒した”ことにならない……など戦争や政治にかかわる人食いもあったそうです。

ラカン(※)を援用して、食人の意味を「想像の領域」「象徴体系」「現実」の3つの分野から考える……など、とてもアカデミックな手つきですすんでいく。とはいえ、題材が題材だけにやっぱり異形の書。

※ ポスト構造主義に多大な影響を与えたフランスの哲学者、精神分析家。

絵画や閲覧注意な写真もたくさん掲載されていて、読むのにちょっと勇気の要る本です。
(私信。こちらも、すごい書き手を教えてくださってありがとうございます(゚Д゚;))

このマルタン・モネスティエさんの本↓も奇書・珍書だらけです。

『図説 奇形全書』
『図説 死刑全書』
『図説 児童虐待全書』
『図説 自殺全書』
『図説 乳房全書』
『図説 毛全書』
『図説 ハエ全書』
『図説 動物兵士全書』
『図説 決闘全書』
『幼き殺人者全書』
『図説 世界三面記事全書』
『図説 排泄全書』


 都市伝説の生まれかた


あるブティックの試着室にはいった女性が、こつぜんと消えてしまう。
神隠しか。いや、どうやら誘拐され、その身や臓器を売り飛ばされてしまっているらしい……。

そんな話を耳にしたことがあるかもしれません。
各地でいろいろなバリエーションが広まっている、いわゆる”都市伝説”なのですが、いちばん有名なのがフランスの「オルレアン」の事例。

本書は綿密な調査をとおして、うわさが”神話化”していく力学をあばく、社会学の本です。
ほんとうは何も起こっていないのに、さまざまな層を惹きつけて爆発的に広まっていくのはなぜか。
学問的な手つきだけでなく、ときには”調査者の主観”さえ用いて、このうわさの「根源的な魅力」にアプローチしています。これぞフィールドワーク。

綾辻行人さんの『人間じゃない』という短編集でも援用されている、うわさ研究・都市伝説分析の名著。

 フリークス

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本10冊とはべつに、いっこだけ映像作品を。
見世物小屋の舞台裏を描いた、白黒映画です。

シャム双生児や、小人、小頭症、下半身欠損などの俳優たちが出演しています。
はじめて見たときは「CGかな?」と思ってしまったくらい。ストーリーもちょっと悪辣で、こういう映画が存在していることが驚きでした。
1932年の作品です。当時でもかなり物議をかもしたそうです。

観てはいけない映画の代表。
ただ、マイノリティに対してひたすらフタをしていく方向っていうのもなんだか違うと私は感じていて。
目をそらすよりは、目を向けていきたいな、と想っています。

 戦後SF最大の奇書


無念の死をとげた男がある日、墓場からよみがえる!
その復讐心はとどまるところを知らず、東京じゅうを殺戮の恐怖におとしいれる!
彼は、アルコール類を採ると身体が巨大にふくれあがる醗酵人間――別名、ヨーグルト・マンなのだ!

……こんな感じで、トンデモなストーリーがノンストップで展開していくのが、「戦後SF最大の奇書」の異名をもつ『醗酵人間』
銀幕やキャバレーなど、レトロ感たっぷり。古き良きモノクロの特撮映画を観ているみたいです。
怪人の出自や被害者の背景などもこまかく設定されていて、濃厚なエンターテイメント。

発表は1958年。原本はとても希少でほとんど幻の書なのですが、↑「ミステリ珍本全集」に収録されたことで誰もが読めるようになりました。
「醗酵人間」のほか、「改造人間」「台風圏の男」と「短編傑作選」も収録しています。

俺か? 俺は醗酵人間だ。
(中略)
醗酵性の液体とか植物、鉱物の類を口中に投ずれば、たちまち悪の芽が醗酵を起こし、身体中が悪事をしたい、人をなぶり殺しにしたい衝動でふくれ上がるのだ! 判ったか!
「九里魔五郎氏の誕生」より


どうだ、判ったかっ!

 読んじゃダメ、ゼッタイ。


あまりの衝撃に「絶対読んじゃダメ!」と言いたくなるくらい。
フィクションですが、いわゆる小説とはちょっと違う形式です。
手記などで進んでいく、映画でいう”フェイク・ドキュメンタリー”風味。

事前の知識なく読むのが理想ですが、ちょっとだけレビューをしてしまうと。
主人公は、デイケアの現場で老人医療にたずさわる医師です。
彼が、介護者の負担軽減と、なにより患者本人のQOL(人生の質)向上のために開発したのは……「Aケア」。
動かなくなった腕や足を切断してしまう療法です。

というと、ひどい、って感じるかもですが、麻痺して重たいだけの身体をとりのぞかれた患者は笑顔で感謝したりもしているのね。
なかには、江戸川乱歩の『芋虫』のように、両手両足を「ケア」された患者さんもいて。彼の”人生”もちゃんと良くなっているようにみえたり……なんだか、考えさせられるシーンが多い。

語り手を編集者に変えて展開する後半は、それまでの世界がひっくりかえります。
読んじゃダメ、ゼッタイ。
(私信。まさに衝撃の1冊でした>< 徹夜本!)

 変態ホラーワールド



かわいい表紙にダマされてはいけない。
この娘々(ニャンニャン)以外は、ジジイとババアと妖怪と変態しか出てこないのだから……。

漫☆画太郎先生の伝説のギャグマンガです。
妖怪に襲われた村を助けるため……いえ、あらすじを紹介してもイミがないかもこれは(笑)。

流血をともなうツッコミの迫力!
伝奇から秘密結社ものへの超展開!
脈絡カンケーなく出てくるバアさんの群れ!
はうあ! ぶべら! ズコー!

そんな感じ。
”満月の夜にハエ殺し機に変身する赤飯”を大家さんが差しいれてくれる物語「ばばあのちえぶくろ」(どんな話だw)は必読。なにか、常ならざる世界への扉がひらきます。
漫☆画太郎大先生の「変態ホラーワールド」へようこそ♪
(私信。読みました! はうあっ!)

 取扱い注意


ラストは岡本太郎さんの本を。
世界と、そして己と戦いつづけたアーティストが、真に生きるとはどういうことかを問う。

生きる――それは本来、無目的で、非合理だ。

ほとんどの現代人は己の存在のなかの芸術家を圧殺している。

芸術は呪術である。
ともに「第4章 あなたは常識人間を捨てられるか」より


迷ったら危険な道をとれ。挑め。みずからを殺せ……。
ひとたび本書に”感染”してしまったら、もう、読む前の自分には戻れなくなってしまう。

あなたのなかにある”芸術家”を目覚めさせる、魂の書。
取扱い注意! です。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a

(冒頭の写真は調布市深大寺の鬼太郎茶屋です)

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カテゴリ:読書術





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