今日のなぞなぞ
「読んだ後、”読まなくてもよかったんだ”と思える不思議な本は?」
↑なかなかカッコいい表紙だよねv
なんの予備知識もなくジャケットに惹かれて手に取ったのですが、びっくりするくらいの良書でした。
今日紹介するのは『意識は語る―ラメッシ・バルセカールとの対話』。ラメッシ・バルセカールの講義や対談をウェイン・リコーマンという方がまとめた本です。
このラメッシがどんなひとなのかというと。
ニサルガダッタ・マハラジに師事し覚醒した、元銀行マンです。
マハラジは、<存在>や<私>とは何なのかということをとことんまで突き詰めた、覚醒や悟り業界(!)の巨匠ね。
↓『アイ・アム・ザット 私は在る』という本が有名です。
お察しのとおり、『意識は語る―ラメッシ・バルセカールとの対話』は思想哲学系あるいはスピリチュアル系の本です。
この本が不思議なのは、読んだあとに
「ああ、これ、べつに読まなくてよかったんだ」
と思えてしまうことなのね。
もちろん、面白い本です。
知的刺激にあふれているしスリリングだし、ぜひぜひオススメしたい良書なんだけど。
にもかかわらず、「これ、べつに読まなくてもいいよな」と言えてしまう。
……。
どういうことなのか?
☆★☆

本書でラメッシはくり返します。
すべては意識である
と。
この本で語られているのはひたすら「非二元(Nonduality(ノンデュアリティ))」についてなのだけど。
この「非二元」をなんて説明したらいいのかな。難しい。
要はこの世界はたったひとつの”意識”みたいなものでできていて、
人間とか動植物とか物体が存在するようにみえる/感じるのは、あくまで見かけ上のことなのね。
ただ、ぜんぶが”意識”でできている……というふうにいうと、そこにも語弊があって。
ほんとは、とくになにかが”在る”わけでもないんだよね。
べつに”意識”なわけでもない。
便宜上”意識”と呼んでいるだけで、”あるがままのそれ”をどう呼んだって構わないし、呼ばなくたってかまわない。
まぁ、なんというか。言葉では説明できない世界観なの。
言葉というのは何かと何かを「分離」させる作用を持っているわけで。
言葉や概念を介在させたとたんに「私」と「私以外」は分断されてしまうし、
「在る」と「無い」も分離されてしまう。
でも、「非二元」が言っているのは「分離なんてどこにもないんだよ!」ということなので、
分離のないセカイを言葉で語ることじだいが壮大な矛盾なわけだ。
本書が語る「非二元」も、あくまで「非二元」という<概念>についてあれやこれや喋っているだけで、
実際の”あるがままの世界”とはあんまり関係がない。
んー。
伝わってるかな。
たとえば、目の前にリンゴがあるとするじゃん。
このひとつのリンゴと、リンゴでないものを分けているのは
<リンゴ>っていう言葉だったり概念だけだよね。
「ひとつのリンゴがある」って信じるからこそ、リンゴとそれ以外が分かたれているように感じるだけで。
ほんとはそこに分離はない。
虹の色が七色なのは、あの赤から紫のグラデーションを7つに区切っているから七色といっているだけで。
国や時代によっては虹は五色だったり二色だったりする。
ほんとは虹を七色に分ける必要なんてないし、虹と空を分断する必要もないし、虹と虹以外のものが分かれて存在してるわけではない。
<私>と<私以外>もそう。
<有>と<無>もいっしょ。
……そんなイメージかな。
私(全体性のなかで見かけ上「個人」として機能しているところの私)の言葉でざっくりというと、こんな感じ。
☆★☆

とにかく。
言葉で語ることには誤解がずっとつきまとうわけです。
本書が(……というか非二元の本全般が)面白いのは、
言葉で表現するのが無理ゲー(※)だってことに自覚的だからなんだよね。
※ 難しすぎてクリアできないゲーム
無理ゲーだって知りながらも、言葉を使ってワイワイ語り合っている。
何回コンティニューするんだよ! みたいな。
たとえばね。
本書の対話で、探究者(悟りを求めているひと)が質問するわけよ。
では私は、どうすればいいのでしょう?
と。
で、ラメッシはいう。
出た(笑)。みんないうんだよね、どうすればいい? って。そもそも「誰」が悟るっていうの? 悟ることのできる「人」なんてどこにいるんだよ? 何かをする誰もいないってゆってんじゃん。じゃあさ、帰ったら、今日聴いたことを全部わすれて日常にもどるのがいいんじゃない? ぜんぶ今ここにあるのに、何を探してんだよ君はw
みたいな。
……いえ、ラメッシがこのとおり言ったんじゃなくて、あくまで意訳です。
(ひどい意訳だけど、ニュアンス的にはこんな感じ)
もうね。
対話のラストのほうは「結局なにを言ってもやってもジョークでしかないよね」「そうだよね」……みたいな雰囲気に収束していく。
でね。
訳者のあとがきも、「壮大な茶番でしたね!」みたいなトーンなのよ(笑)。
なんというか。
この軽やかさ、私は(全体のなかでキャラクターとして現れているようにみえる「私」は)好きです♪
すごくステキな本なのだけど
「べつに読まなくてもいい」といえるのは、こういうことです。
なにか人生の役に立てようという本じゃない。
ただ、このセカイに対する描写です。
しかも、失敗した描写です。
☆★☆

だからね。
非二元についての本は『意識は語る』を1冊だけ読めばじゅうぶんだし、なんなら1冊も読まなくたってじゅうぶんなわけよ。
でも、私は(全体的な”意識”の戯れのなかで物語として起こっているように錯覚されている私個人は……あぁ、めんどくさい(笑))”役に立たない読書”もぜんぜんオッケーだと思っているので、ほかにもいろいろ読んでみました。
いくつか紹介しますね。
トニー・パーソンズは「公然の秘密(The Open Secret)」という言葉を使って、このありのままの世界を表現しています。いわゆる<個人>のことは「夢」と表現していますね。本書も対談集なので、とても読みやすいです。冒頭の「存在」という詩が良い♪
ちなみにラメッシの『意識は語る』の方では、<個人>については「機能」という言葉がよく使われていました。
こちらはとくに悟り業界(!)のスターではない普通の人達がノンデュアリティについて語っている本です。いろいろな表現の仕方があって面白い。いわゆる覚醒をしたとしても、べつに何かが劇的に変わるわけではないんだよね。フツーの日常はフツーに続いていく。
日本のノンデュアリティ界では大和田菜穂さんがとくに有名です。全体性のことを「愛(love)」や「ライフ(life)」と表現していますね。<個人>のことは「ストーリー」と呼んでいることが多いです。
非二元は、言ってしまえばものすごく単純でシンプルな世界観なので、
大和田菜穂さんのストレートな伝え方が肌にあう人も多そう。
☆★☆
そんなこんなで、今日は『意識は語る―ラメッシ・バルセカールとの対話』および非二元(ノンデュアリティ)の紹介でした。
ノンデュアリティはヒンドゥー教の「アドヴァイタ(不二一元論)」や仏教の「空(くう)」とも近親性のあるワードだし、
流行りのマインドフルネスや、脳科学的な知見と関連づけて語ることも可能なので、
興味を持った方は、芋づる式にいろいろ読んでいくと面白いと思います♪
……とはいえ、ノンデュアリティ的には
そうやって色々調べたり読んだり語ったりするのはぜんぜん意味がないのですが。
でも。読んじゃいけないわけでもないんだよね。
そもそもなにかをすべき/すべきではない、という教えじゃないんだから。
読みたかったら読めばいいし……というか
読みたい/読みたくないに関係なく、読んじゃったり読まないでいたりでいたりすることが「勝手に起こる」というニュアンスがノンデュアリティ的だ。
この底抜けの自由さがいいな、と私(見かけ上の……略)は思いました。
あとね。
たとえば、今あなたが何かに対して
ちょっとでも「苦しみ」を感じているとしたら、
これらの本で語られている「非二元」という<概念>が、もしかするとなんらかの癒しをもたらしてくれるかもしれない。
非二元を「観念的に」理解(誤読)して、メンタル面に利用することで、
なんらかの緩和がもたらされる可能性は大いにあると思う。
あるいは。
あらゆる物事には何の意味も付随しない、と知ることが、
もっともらしい構造を紡いであなたを信じこませようとする物語(広告とかイデオロギーとか教義とか)を徹底的に相対化する力になりうるかもしれない。
それはぜんぜん本質的じゃないよ。
ぜんぜん本質的じゃないし、邪道っちゃ邪道だけど
(……そもそも私のこの主張自体が「もっともらしい物語」のひとつでしかないという自家撞着な!)
べつに(二元的世界のなかでの)実利的な使い方を否定する必要もないと私(……略)は思っています。
もちろんひたすら知的ゲームを楽しむ感じでひもといてもいい。
本はどう読んでも自由だ。
以上。
『意識は語る』っていう本が
面白くてオススメだよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆
というお話でした。
ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪
あきか(@akika_a)
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