2016年10月14日

「ベルセルク」に学ぶ3つの人生哲学〜3つの名場面から〜

 
今日のなぞなぞ
「漫画『ベルセルク(BERSERK)』から何を学ぶべきか?」



お前の死に場所は俺が決めてやる。

……というわけで。全国の狂戦士ファンのみなさま、こんばんは。

このブログで紹介するのは初めてですが、
実は前から大好きでしたv


ご存じでない方のためにいちおう紹介しておくと。
「ベルセルク」は雑誌「ヤングアニマル」連載のダークファンタジー漫画です。

1989年から続く超大作で、”隠れファン”も多かったのですが、
2002年に第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞したこと、
さらに何度もアニメ化されていることなどから、ファンの裾野が広がりました。
いまでは、万人が認める名作です。

今日はこの名作漫画の名場面・名言をとおして、
「哲学」について一緒に考えてみましょ、というエントリです。


 3つの名シーン


3人の登場人物にスポットを当てます。
その3人とは……


グリフィス
四肢を失ってもなお夢を追う白鷹の美青年。




ガッツ
戦い続けることを宿命づけられた黒い狂戦士。




そして……
ニーナ


いや、それニーナじゃない。ベヘリットじゃん!
というファンからのツッコミが聴こえた気がします(笑)。

すみません。ニーナのフィギアは見つかりませんでした。
ニーナは主役格ではなく、脇役です。

聖地のたもとの難民街に、娼婦のコミュニティがあるんだけど、
そこを仕切っているのがルカっていう人物で。
サバサバしているくせに情に熱くて、同性でも惚れてしまうくらいのキャラクターです。

この魅力的なルカ姉の妹分がニーナ。
脇役だ。



俎上にのせる名ゼリフは以下の3つ。
(アニメの脚本ではなく漫画からの引用です)

天空の城めざし
頂きに屍を積み続ける
それがお前だ

それでも なお
お前の目に
あの城が何よりも眩しいのなら
積み上げるがよい


”蝕”の儀式で仲間を贄にすることをためらうグリフィスに対する”悪魔の囁き”(「決別」より)

このまま
あいつの夢に埋もれるわけにはいかねぇんだ

……もうごめんなのさ
あいつの夢の中で
あいつを見上げているのは


グリフィス率いる鷹の団を抜ける覚悟をしたときのガッツの言葉(「炎の墓標2」より)

人は強いってだけで
誰かを傷つけてしまい
弱いってだけで誰かを憎んでしまう

縋(すが)る誰かより
誰かを赦せる自分が欲しい


ルカ姉のもとを離れ恋人と生きていくことを選んだニーナの言葉(「暁(あかつき)」より)


 天空の城


順番にみていきますね。

天空の城めざし
頂きに屍を積み続ける
それがお前だ

それでも なお
お前の目に
あの城が何よりも眩しいのなら
積み上げるがよい


”蝕”の儀式で仲間を贄にすることをためらうグリフィスに対する”悪魔の囁き”


自分の国を手にいれるため、なにも持たないところから傭兵団を組織し
一国の騎士団長にまで昇りつめたグリフィス。
しかし、ガッツが団を離脱したことでいつもの冷静さを失い、焦り
「反逆者」の烙印を押されてしまう失敗をおかす。


夢へと向かう道は途絶えた。


でもそれは、あらかじめ定められていた”運命”で。
グリフィスには、仲間を生贄にすることで新たな”覇者”となれる道がひらかれている。

グリフィスは気づきます。
今までも、同じだったじゃないか。戦争によって地位を築きあげてきた。
敵の、そして命を落とした仲間の、幾千の死骸でつくられた道の先に俺の城はある。
あきらめたら、今度は自分がその屍になってしまう。


夢を追うことの構造的な残酷さ
おぞましくも美しい屍の山で描写した、名シーンです。


なにかを得るためには、
なにかを失わなければならない。

……などという安易な教訓をひきだしてまとめるようなことはしません。


哲学は”答え”ではなく”問い”である。

と私は思う。

この名場面があなたにどんな”問い”を投げかけるのか。
それこそが今日の記事のキモです。


ほんとうに尊い犠牲が必要なのか。ほかに道はないのか?
そのとき自分は屍を積み上げるだろうか?
逆に、あえて”屍になる”のが自分の美意識にかなった生き方か?

……あなたはこの名シーンに
どんな”問い”を感じたでしょうか。




 他人の夢の中


このまま
あいつの夢に埋もれるわけにはいかねぇんだ

……もうごめんなのさ
あいつの夢の中で
あいつを見上げているのは


グリフィス率いる鷹の団を抜ける覚悟をしたときのガッツの言葉


一対一の勝負でグリフィスに破れ、鷹の団に所属した孤高の剣士ガッツ。
魅力的なリーダーと気さくな団員。あたたかい雰囲気のなか、次第に居場所を得ていく。

しかし、あるときグリフィスの”友情観”を知ってしまう。
ガッツが盗み聴きしてしまったのは↓こんなセリフです。


「私にとって友とは……
決して人の夢にすがったりはしない

(中略)
自分の生きる理由(わけ)は自らが定め
進んでいく者……

そして その夢を
踏みにじる者があれば
全身全霊をかけて立むかう…
たとえそれが
この私自身であったとしても…

(中略)
そんな…”対等の者”だと思っています」


ある意味、ガッツに向けて言っているとも取れるセリフなのですが
この言葉を聴いてガッツは、自分がぜんぜん”対等”でなかったことを想い知らされる。
グリフィスの右腕……友ではなく”優秀な部下”だったことを。


俺は俺の生き方をする。
ガッツは、鷹の団を抜けることを決めました。


↑ひとつめの「屍の山」とも対応する名場面です。
狂戦士は、白鷹が踏みしだいていく「屍」のひとつになることに耐えられなかった。
”真の友”となるために別れねばならない。深いシーン。



他人の夢のなかで生きる


……ビジネスパーソンのあなたなら、身につまされる話かもしれません。
もちろん会社員も、鷹の団のメンバーも脅されて強制されて働いているわけでありません。


キャスカもジュドーもコルカスも(団員メンバーの名前です)、
みずからの意志で選択し、鷹の団を居場所にしている。
みなそれぞれ、身の丈にあった自分の”夢”を描いている。

でも、だれもグリフィスと”対等”になろうなんて思ってもいません。


↓以下はコルカスのセリフ。

「あいつは特別なんだよ!!
オレ達とは違うんだ!!」

「勝利者になれるのは
ほんの一握りの人間だけだ!!

大抵の人間は自分の力量や器と自分の置かれた現実に
折り合いをつけて 何とかやっていくもんなんだ!!」

「夢さえあれば か…
そんなもんは現実に目を向けられない弱っちい人間の逃げ口上だよ!」




あ。ところで。
ちょっと話がずれるけど、よく
「私達凡人は……」みたいなことを言ったり書いたりするひと、いるじゃんね。

あれを聴いたり読んだりすると、私はちょっと違和感をおぼえる。
べつに他意はないレトリック(修辞)だとわかっていても、
なんていうのかな。

そんなカンタンに自分の平凡さを認めちゃっていいのかな、とか
いや私達って、むりやり巻き込むなよ、とか。

う〜ん、うまく言えない(笑)。


あ、あとね。
「噴飯もの」「唾棄すべき」「口を酸っぱくして」みたいな表現も、ちょっとあれだな。
いや汚いから! とか思っちゃう。

「垂涎もの」くらいならありかな。
「虫唾が走る」はOKかも。外に飛ばしてないから。


……何の話だ(笑)。
とにかくっ。


あいつの夢に埋もれるわけにはいかねぇんだ

この名ゼリフは、
あなたにどんな”問い”を投げかけましたか?




 弱き者の縁(よすが)


人は強いってだけで
誰かを傷つけてしまい
弱いってだけで誰かを憎んでしまう

縋(すが)る誰かより
誰かを赦せる自分が欲しい


ルカ姉のもとを離れ恋人と生きていくことを選んだニーナの言葉


「ベルセルク」のなかで、個人的に一番好きな言葉です。
グリフィス、ガッツ……”強い者たちの戦い”をメインに据えている物語ですが
ニーナやその恋人のヨアヒムは”弱い者”に寄り添った視点でつくられている良いキャラクターだと思う。


病を患ってしまったニーナは、娼婦として働くこともできず
ルカ姉に頼りっきりの生活をしている。

心の弱さから邪教徒になってしまい、
ヨアヒムをも悪の道に引きずりこむ。

妹分を必死に心配し助けようとするルカ姉に、
ニーナは石を投げつける。



↓以下はルカを罵るニーナのセリフ。

「知ってた!?
私 前からあんたのこと許せなかった!!」

「私を哀れんでるの!! 軽蔑してるの!?
そうやっていい気分になって自分に浸ってるんでしょ!!」

「あんただって私と同じただの淫売じゃないのさ!!
それがどうしてそんな目で
他人を見下せるのよォ!!」



ルカ姉に叱られても救われても、
やっぱりダメダメで弱いまんまのニーナ。
それでも生への執着は強く。
聖地を襲った大災厄から、生き残ってしまう。


強い者は存在じたいが弱い者を傷つけ
弱い者はその強さを憎まずにはいられない。


ふたたびルカ姉を憎んでしまう前に、
ニーナはルカの庇護から離れることを決める……。



あなたが強い者だとしたら。
あなたは無意識に、誰かを傷つけてないだろうか?

あなたにもし弱いという自覚があるのなら。
弱さゆえ誰かを憎んでいることに、気づいているだろうか?


……この名場面は、
あなたにどんな”問い”をもたらしましたか。


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 やっぱり……


以上。
「ベルセルク」に学ぶ3つの人生哲学 でした。
お楽しみいただけましたでしょうか?


以前の記事(「魔法少女まどか☆マギカ」に学ぶ4つの人生訓)がちょっとクサかったので、
今日はすこしひかえたつもりだったけれど。

……やっぱり恥ずかしいね(笑)。
照れる。


ほんとうは……


『ベルセルク』は
名作中の名作だよぉ☆(*´∇`*)ミ☆



と、それだけ伝わればじゅうぶんなのです。
いつもどおり。


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


【関連記事】

「魔法少女まどか☆マギカ」に学ぶ4つの人生訓
カテゴリ:漫画・アニメ・ゲーム・ライトノベル





2015年04月21日

小説版『PSYCHO-PASS<0>(サイコパスゼロ)』の心理描写がスゴくてほとんどBL(ボーイズラブ)

 
今日のなぞなぞ
「心理描写がスゴくてほとんどBL(ボーイズラブ)な小説は?」



小説好きのみなさま、こんばんは。
今日は心理描写がスゴいノベライズ作品の紹介です。


以前の記事(最近読んだ「未来を予測する」本10冊2010年代を見通す7つの大胆予測)で紹介した
アニメ「PSYCHO-PASS(サイコパス)」。そのスピンオフ作品。


「サイコパス」はSF&サスペンス。
どんな世界観なのかというと……。

「そのひとが”犯罪に手を染める潜在的な確率”」を計測できるようになった近未来。
治安維持の形態は、かつてとはすっかり様変わりしていて。
スーパーコンピューターのような「シビュラシステム」とドローン(無人機)が、
たえず個人を監視し続け、犯罪の芽を摘んでいる。


以前の記事(『一般意志2.0』vs『「みんなの意見」は案外正しい』vsビッグデータ)ではビッグデータ(※)についてお話しましたが、

※ 従来では考えられなかったような、数・量のデータの集積物のこと。


ビッグデータの収集とAI(人口知能)による未来予測が精度を増し、
「個人を数値化するシステム」が社会インフラになっている世界です。

IOT(Internet of Things。あらゆるモノがネットに接続されている状態を志向する考え方)ですね。
ホントにありそうな未来のカタチ。


☆★☆



『小説 PSYCHO-PASS サイコパス/ゼロ 名前のない怪物』は、アニメ版で繰りかえされつつも詳細を語られることのなかった「標本事件」を描いた物語です。


・頭蓋を切り取られた国会議員の全裸死体。
・ステージ衣装さながらに筋組織を広げ「展示」された少女の遺体。
・シビュラの目の届かない「廃区画」にしのびこむ、女子学生。


錯綜するそれぞれの「線」やがてひとつにつながっていく、
ノンストップでページをめくってしまう、徹夜本



サスペンスの吸引力もすごいのだけど、なにより
この作品の「心理描写」の部分に私はとても惹かれました。

以前の記事(【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】)で紹介した
有川浩さんの筆づかいをほうふつとさせる感じ。

『塩の街』『図書館戦争』シリーズなど、有川浩さんの初期作品を想いだします。






☆★☆



有川浩さん

「関係性のなかで立ちあがる感情を適確に言葉に置きなおす」作家さん

だとしたら、
本書の高羽彩さん

「感情の流れをとぎれさせずに揺らがせ、変化させていく」書き手……という感じ。


とにかく「心の動きのなめらかさ」がすごいです。


高羽彩さんは小説家ではなく、
ざっくりと言えば演劇関係のひと。
劇団の主宰、脚本、演出、ときには役者もされるそうです。


以前の記事(最近読んだ「発声・演技力をきたえる」本10冊)で紹介した


という本の演技論では
「セリフとセリフの間の感情の流れを断絶させないこと」が強調されていましたが、


『PSYCHO-PASS サイコパス/ゼロ』は、
まさにこの”お芝居の心得”を地でいくように、
相手の挙動に対してどう気持ちが揺らいでいくのか、が描きこまれている。

シナリオライターや劇作家・演出家志望の方が読んだらとても勉強になると思います。
セリフとセリフの間には、ほんとうはこれだけの心の動きがある。


☆★☆



たとえば「第四章 ふたりのおしろ」で
少女が刑事に補導されるシーンがあるのだけど。

反発していたところから、しだいにその刑事を頼るようになっていく過程は
まるで恋愛小説のワンシーンみたいv


それから。
ふたりの刑事……狡噛慎也(こうがみしんや)と佐々山光留(ささやまみつる)という人物がこの物語のキーマンなのですが。

このふたりは立場上の違いから、いつもすれ違っています。
信頼したい気持ちはあるのに、どうしても相棒になりきれない。

それでも、へんなところで相手に弱さを見せてしまったり
必要以上に「立場」を強調してしまったり……。


なんというか、ボーイズラブ(笑)。
BL好きなあなたにも、自信をもってオススメできる小説です♪


「第五章 しょうじきもののおうじさま」から引用します。
決定的なすれ違いをしてしまったあとで、ひとり自省する佐々山。


「二八にもなって、なに年下に甘えてんだ、俺は」
(略)
そうだ、甘えているのだ自分は。
自分の気持ちなんかわかりっこないと当り散らして、親の気をひく子どものように。
(略)
気が引きたかったのだ、狡噛の。そして狡噛であればわかってくれると甘えて傷つけた。



そこに、狡噛があらわれます。


「そんなカッコでいると、風邪引くぞ」
(略)
ジャケットを差し出す狡噛の気迫に、思わず手を伸ばしてハッとする。
「いやっ、いい! いいよ!」
「鼻水たれてるぞ」



差し出されたジャケットを断り、
その場から逃げようとする佐々山。
しかし狡噛は……。


ここで部屋に戻られたらまたいつもの繰り返しだと、狡噛は立ち上がる佐々山に慌てて声をかける。今自分の中に沸き上がる情動を止まらせたくない。
「待て佐々山!」



沸き上がる情動!


その後、二人は佐々山の部屋で初めて……



さて、どうなってしまうのか!?


その後、二人は佐々山の部屋で初めてサシで酒を飲み交わした。



……。
まあ、BL小説ではないので、ここまでです(笑)。
でも、妄想ははかどると思うので、女子のみなさまは思う存分腐ってくださいねv



そんなこんなで、今日は


小説版『PSYCHO-PASS<0>』っていう本は
オススメだよぉ☆(*´∇`*)ミ☆



というお話でした。

↓文庫版も出ています♪




ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか



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2014年10月21日

面白いライトノベル見つけました――土橋真二郎『扉の外』

 
今日のなぞなぞ
「面白いソリッドシチュエーションライトノベルは?」




閉ざされた空間。
謎めいた存在から提示される、一定のルール。
信頼、そして裏切り。
疲弊してゆく精神。
つぎつぎと生まれる、脱落者たち……。


映画『SAW』漫画『LIAR GAME』
小説だと『インシテミル』とか、
そんなソリッドシチュエーションな物語が大好きな私ですが。

今日は、
ライトノベルですっごい面白いソリッドものを見つけたのでご紹介。



ライトノベル最大の新人賞、第13回電撃小説大賞で「金賞」を受賞した『扉の外』です。
土橋真二郎さんのデビュー作。



☆★☆




修学旅行に行くはずだったのに、灰色の閉鎖空間で目を覚ました二年四組の高校生たち。
手首には腕輪がはめられていた。
ソフィアと名乗る謎の存在がここでの「ルール」を説明し、
生徒たちは”配給”をめぐるゲームに巻きこまれてゆく……。


……こんなシチュエーションです。
1巻で展開されるゲームは、
いわゆる「戦略(国取り)ゲーム」

拠点を守りつつ勢力を広げていくような、アレです。


生徒たちは
一定時間ごとに生産されるダイヤを使って、
スペード(偵察や戦闘ができる兵士)やクラブ(食べ物や生活用品に替えることができる)を入手します。


☆★☆




この作品も、例によって
「囚人のジレンマ」がおおきなモチーフになっています。

囚人のジレンマとは、経済学のゲーム理論の用語。
一言でいうと


「協力した方がお互いの利益となるはずなのに
相手の出方がわからない以上、裏切った方が合理的」


である状況
のこと。




警官「お前らふたりの囚人のうち、自白した方を無罪にしてやろう」
囚人A「まじすか!?」
囚人B「心の声(実は俺たち共犯なんだべなぁ)」
警官「ただし、自白しなかった方は懲役10年の刑に処す」

A「ふたりとも自白したらどーするんすか?」
警官「その場合、ふたりとも懲役5年だ」
B「じゃあ、ふたりとも黙っていたら、どうなるんだべ?」
警官「懲役2年ずつでカンベンしてやる。さあ来い、別々の部屋で取り調べるぞ!」



この場合、ふたりの懲役年数の合計がいちばんすくなくなるのは、
両者とも黙っているケース。
でも、囚人Bにとって、Aが自白するかどうかは未知数。

Bは「心の声(Aが自白したら、おら10年もムショ暮らしだわ。Aには悪いけっども、
正直に話しちまうべか〜
)」と考える。

Aもおなじように考えるので、
AもBも自白する……という結果で均衡する。



☆★☆




ちょっとネタバレになるけど
『扉の外』では、物資に直結するダイヤの生産を守るため、
出方がわからない相手から、みずからを守るために


争う

という方向に均衡してしまいます。




国境はなぜできるのか。

とか

どうして戦争が起こるのか。



その原理が、
シンプルに、システマティックに明らかになってゆく。




さらに、おなじ国のなかでも
腕輪をしている者(=配給を受けることができる人)と
腕輪が外れている者(=めぐんでもらうしかない人)との間で
支配被支配という立場の違い、格差もうまれる。


たんにバトルロワイヤルなだけでなく、
「経済」や「社会」の要素がからんでくる
、ものすごい面白い作品でした。


ちなみに、主人公は
目覚めるとすぐ、衝動的に腕輪を外してしまった男の子です。

ルールに飲まれず、ほかの国へも移動できる
「越境者」としてふるまう。
物語上、これがおおきなポイント。



☆★☆




1巻ずつ完結しますが、
本作はぜんぶで3巻あります。



第2巻は「天使・人間・悪魔」からなるカードゲームです。
こちらも配給と腕輪がからみ、1巻より殺伐と……。



3巻はサバイバルゲームです。
といっても、実際に銃で撃ちあうわけではなく、オンライン上。仮想空間です。
配給と腕輪をめぐり、バーチャルな血も流れる。ちょっと百合百合。



以前の記事(碇シンジは夜神月を止められない――宇野常寛『ゼロ年代の想像力』)で紹介した
『ゼロ年代の想像力』は、



ゼロ年代の空気を


決断主義・サヴァイブ系


という言葉で表現していました。まさに『扉の外』も、
生き残りのためにどんどん前に進んでいかなければならない。そんな物語です。

第3巻では、


人間の本質は変わらない。
協調か裏切りか。
そんな人間のコミュニケーションは変化することはない。



という言葉も出てきます。
ほんとに、ゼロ年代らしい小説。


とにかく面白かった。
キャラクターは魅力的ですが、
ライトノベル特有のノリはほとんどないので、
ラノベを読み慣れていない方にもオススメです♪

1日で3冊ぜんぶ読んでしまいました。徹夜本!




ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか
 


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2012年06月05日

絶望に効くクスリ……は存在するか?

  
今日のなぞなぞ
「絶望に効くクスリって本当にあるの?」



絶望の時代に生きるみなさん、こんばんは。


……なんてすごいオープニングをかましておりますが。
今回は、"希望"について、ちょっと一緒に考えてみましょというお話です。



今回取りあげる本は、私の大好きな作家さんの、なかでもとくに大好きな本。
あまりにも好きすぎて、ほんとうは紹介したくない。

自分だけが知っているおいしいラーメン屋。
行列ができちゃうのはいやなので、ホントは誰にも教えたくない。

秘密の宝物。だけど、良書だからやっぱり"シェア"しなきゃダメだよな〜。
……そんな本です。






"絶望に効くクスリ"――そのものズバリなタイトルの、対談漫画です。


山田玲司さんはマンガ家。
手塚治虫を師とあおぎ、エンターテイメントに終始しない"マンガで表現できること"を探り続けていらっしゃる、
ロックでエッジな作家さんです。


初期作品の『Bバージン』や漫画版『ゼブラーマン』が有名かな。






『Bバージン』は80年代バブル期を舞台にした恋愛漫画です。
非モテの生物オタク・住田秋は"大学デビュー"してモテモテに。"童貞の女殺し"となる!
一途に、ひとりの女の子へかなわぬ想いを寄せながら、いろいろな女性に振りまわされていく。

……というコメディタッチの作品なのですが。

後半。
物語は加速し、「ひとりの女を獲得する男の物語」へと変貌していく。
「これはスポ根マンガか!?」と思えるくらい。泥や血の匂いが誌面から漂ってきそうなほど(笑)。
(環境問題に漸近していったり、後半はもう"ラブコメ"という枠ではくくれません)

もうね。終盤に描かれているのは「男のロマン・美学」以外のなにものでもなく。
"桂木ユイ"という女の子と両想いになるまでのお話なのに、相手の女の子はとことん周縁に追いやられて^^;
ひたすら住田秋の人生が描かれていく……。

恋愛風刺的な前半も、ロマン街道まっしぐら(笑)な後半も両方ステキです♪



この『Bバージン』には『完全攻略本』というガイドブックも出ています。
多くのガイドブック本は原作をなぞることに終始しているものが多いと思うのですが。

↓この『完全攻略本』は"占星術"という斬り口で、Bバージンの登場キャラクターを分析しています。
それがとても面白い。
ホロスコープの入門編として、原作を知らなくてもすっと読めてしまうほど、斬新な"攻略本"になっています。
原作と並んで、私のひそかなバイブルです。オススメ♪




☆★☆



さて。
『Bバージン』への愛を語ったところで、話を『絶望に効くクスリ』に戻します。

『絶薬』は山田玲司さんがあらゆる業界のあらゆる人に(そうとしか言いようがない^^:)インタビューをして、
その様子をマンガにする、"対談漫画"です。

インタビュイーはほんとにバラエティに富んでいて……


漫画家・みうらじゅん/タレント・秋山竜次+虻川美穂子/占い師・栗原すみ子/漫画家・井上雄彦/海洋冒険家・白石康次郎/カリスマホスト・七海龍一/逗子市長・長島一由/水中写真家・中村征夫/プロサーファー・木下デヴィッド/文化人類学者・関野吉晴(敬称略)


↑1巻だけでもこんな感じ。


対談相手の"挫折の時代"のお話を聴いたり、"希望の言葉"をもらったりしながら、
今の時代にともる灯りを探していく……という内容です。



ところで、この『絶薬』ですが、
掲載誌「ヤングサンデー」の休刊にともない、vol.15で(ひとまずの)完結となりました。





15巻のラスト。
山田玲司さんは「読者に希望を与えることが、ほんとうにできたのか?」という部分で葛藤し、
ひとつの言葉を残します。

それは……


――あなたは、愛されている――……


というもの。
誰もが誰かに支えられて生きている。
誰かの作ったものを食べ、誰かの作った道を歩いている。


(奇しくも、この"あなたは愛されている""あなたは独りじゃない"というメッセージは、
このブログの以前の記事(「魔法少女まどか☆マギカ」に学ぶ4つの人生訓)で書いた、
私が『まどか☆マギカ』から受けとったテーマのひとつだったりするのですが。
それはさておき。)


私はこの本が好きすぎるので、
愛をもって鞭をペシペシ叩きたい。

なので、言っちゃいます。



"あなたは、愛されている"
――そんな言葉なんて、どうでもいい。




こんなワンフレーズポリティクス(キャッチコピーのようなひと言で政策を表現してしまう政治手法)など、くそくらえです。

『絶薬』がやってきたことの価値は、
こんなワンフレーズでくくれるようなレベルよりも、はるかに高いところにあるだろーと。


希望を探る旅の最後に、誰かに愛されていることを伝える。
……そのことの一定の意味は認めつつ。

もっともっと、高いところに『絶薬』の素晴らしさがある。

私はそう思うんです。



☆★☆



↑冒頭のなぞなぞの答えを示すなら。
私はいちおう"絶望に効くクスリは存在する"と答えます。

この本がそのヒントを示してくれていると思う。
『絶薬』が"絶望に効くクスリ"たりえているのなら、それは


1.さまざまな人間が、異なる価値観・思想で生きていることを示している。

2.個人レベルの絶望を超えた場所に、無数の問題が存在していることを示している。



という2点において、です。


対談本という性質上、(山田玲司さんという個人の編集・バイアスがかかっているとしても)
さまざまな人の異なる考えがそのままゴロンとむき出しにされていることが多い。

なかには矛盾するメッセージなんかもあったりします。

本書でも、たとえば
"自分で選択して生きろ"という主張と"他人のせいにして生きろ"という施策の両方が載っています。

ほかにも。
"最高のサラダを作れ(あなたができる最大限のパフォーマンスを見せろ)""なにもしなくていいんだ"とか。



山田玲司さんは、どちらか一方のメッセージを否定することなどはせず、
"yes"と双方の考え方を受けいれています。

これはべつに山田さんの思考停止なわけではなく。
いろいろなものごとに対して、山田玲司さん(=私たち読者)が複数の思考回路を獲得する過程である、と思うわけです。


そうして、いざ自分の絶望に向かいあったとき、
その絶望が絶対的なものではないという複眼の観方があらわれてくる。

絶望的なできごとに対処するとき、
いくつもの思考回路で処方(=クスリ)を行える可能性がでてくる。



2.も、"じぶんの相対化"という意味ではおなじです。

本書では、山田玲司さんという作家の特性から、
世界の貧困や環境問題にふかく斬りこんでいく回があったりします。


じぶんの外の問題に目が向いてるときって、
意外とじぶんの葛藤を忘れてたりする
んですよね。


"世界にはもっと不幸せなひとがいるんだからガンバレ"とかそういう思考ではなく、
じぶんの辛さを忘れるために、相対化するために、(逃避的に?)個人レベルを超えた社会の問題を考える。

……そういう方法も、あんがい健全なんじゃないかな、と思います。


☆★☆



イルミの奥に屋台done345

ここで。
私はこの本が好きすぎるので、
もっともっと深くツッコんでいきたい///
 のですが。


『絶薬』がある程度、絶望に効くクスリとなることはわかった。
でも、世の中には絶望するヒマもないくらい、深いレベルで希望を失くしているひとがいる。
彼らに『絶薬』のメッセージは届かないんじゃないか?




……具体的には、非正規雇用貧困者・ワーキングプアを想定しています。
『絶薬』連載中にも状況は悪化している。

自立生活サポートセンターもやい・反貧困ネットワークの湯浅誠さんは

"溜めのなさ"

という言葉を使っていたと思いますが。


経済的・精神的に希望をなくしたときに、
そこから抜けだす術をなにも持てずにいる人


……が日本にもたくさんいるわけです。


孤独で貧しくて、困ったときに助けを求められる誰かもおらず、
"あなたは、愛されている"とか言われても、愛してくれている他者の存在なんてまったく感じられない。
(というか、ワーキングプアは構造的に"溜め"がなくっていくライフスタイルになりがちなのですが)


『絶薬』でインタビューされている人たちは、
いろんなジャンルで輝いている文化人ばかり。
いわゆる、知的エリートたち、なんですね。


成功者たちが、"俺らにも絶望の時代があった……"みたいな話をしていても、
だからって希望を持てるわけではない。
すべての人が成功できるわけではないことは、みんな知ってるわけだし。


そもそも、希望のクスリである『絶薬』を手にとる機会すらない。
こういう本があることも知らなければ、
"本のなかに救いがある"という発想を持つことも許されない。



……そういうのが"溜めのなさ"の本質です。

お金が500円あったとしても、本ではなくパンに使うしかない。



告白すると。
私も派遣で肉体労働をしていた時期がありました。

"先が見えない"を通りこして、"先が見えちゃった"と思ってました。
どうみても幸せではないだろーに、"このままでいいし、今は幸せだ"とか思ってました。



仕事場では、10年も20年もずっと単純労働を続けている先輩達がたくさんいるわけです。
彼らと話しながら、"ああ、これはじぶんの10年後、20年後の姿なんだな"とか感じて。

貧乏だったけど、どうしても本だけは読みたかったので、
食費や労働時間(1日休むということは、日給ぶんの収入をまるまる失うことです)を切り詰めて。24時間おなかはグーグー。


筋肉痛で火照った身体。
なんだか、妙に涙もろかったりして。


ちょっと風邪ひいたりすると、
ああ、これで終わりなのかな……なんて。

孤独な人間のもろさ、っていうのはほんとうにすごいものです。


でも、たとえば肉屋のおばちゃんがひき肉を20グラムおまけしてくれた。
うわ、ラッキー。幸せ
というか、こんなちいさなことを幸せと感じられるなんて、私って幸せものだ。
貧乏じゃなくなったら、こんな感性も失われちゃうだろうな。今の状態がいちばんベストなんだ。……みたいにも思ってた。


☆★☆


439


……とここまで想い出話をつらつらと書いてきて、自己解決したのですが。


『絶薬』のメッセージは、貧困者にも届いている!


すくなくとも、ワーキングプア状態だった私には届いてました。
電気を止められても、『絶望に効く薬』だけは買って、読んでいた。
不安なときは、ほんとうにクスリのように、この本を繰りかえしひもといていた。
そのたびに、救われた。


ワーキングプアの本質は"時間貧乏"なことだと私は思います。


本や映画、アート……いろいろな文化に触れる時間とお金の余裕がない。
だからどんどん"溜め"がなくなってしまい、出口がなくなっていく……。


時間の余裕があれば、
1冊の本が、八方ふさがりな状況に光をさしてくれることもあるかもしれないのに。



クスリの効用をもつのは、おそらくこの本だけじゃないと思います。
人それぞれ体質があるので、『絶薬』は効かなかったけど太宰治の小説は効いた、みたいなひともいると思う。

ただ、<病人>がそのクスリに触れる機会を持たなければ、
そのクスリはクスリとしての意味をなさない。


なにもワーキングプアだけじゃありません。
サラリーマンだって、学生だって、家庭の中でだって、
"出口がふさがっている"状態……っていろいろなところにあると思います。



もう抜けだせない……そう思っているときこそ、
しっかりと本を読んでほしい。




私は真摯に、そう思います。


☆★☆


新・絶望に効く薬
新・絶望に効く薬
posted with amazlet at 12.06.05
山田玲司
光文社



さて。
ヤンサン休刊にともない、ひとまず連載を終えた『絶薬』ですが、「FLASH」誌上で"復活"をとげました。
↑単行本にもなってますよ〜♪


ほんとに、希望の本です。中毒必至!
みんなで「薬中」になっちゃいましょ♪



そんなこんなで、
いつもの言葉で締め。
おなじフレーズだけど、今日はいつもより重みがあるかな。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


追記)
↓電子書籍(Kindle)版もリリースされました♪





【関連記事】

「魔法少女まどか☆マギカ」に学ぶ4つの人生訓

【付録】

関連リンク

絶望に効く薬<山田玲司>公式サイト
http://www.zetsuyaku.net/
山田玲司 (yamadareiji) Twitterアカウント
https://twitter.com/#!/yamadareiji
『絶望に効くクスリ』(mixiコミュニティ)
http://mixi.jp/view_community.pl?id=247371


『絶望に効くクスリ』Vol.1〜15 対談者一覧



山田玲司(漫画家)/みうらじゅん(漫画家)/秋山竜次・虻川美穂子(「はねるのトびら」メンバー)/栗原すみ子(占い師「新宿の母」)/井上雄彦(漫画家)/白石康次郎(海洋冒険家)/七海龍一(カリスマホスト)/長島一由(逗子市長)/中村征夫(水中写真家)/木下デヴィット(プロサーファー)/関野吉晴(文化人類学者「グレートジャーニー」)


忌野清志郎(バンドマン)/宮藤官九郎(脚本家/俳優)/坂本洋子(里親)/木村雅史(グリーンピース・ジャパン元事務局長)/田邉亜紀子(アクセサリー・デザイナー)/花輪壽彦(北里研究所東洋医学総合研究所)/町田康(作家/詩人/歌手)/林巧(小説家)/荒俣宏(作家/翻訳家/博物学研究家)


城彰二(サッカー元日本代表)/佐藤未光(医師/同性間性的接触によるHIV感染予防に関する啓発センターakta代表)/五味太郎(絵本作家)/さかなクン(魚業界ポップスター&イラストレーター)/加藤登紀子(歌手)/伊藤嘉明(日本コカ・コーラ株式会社元環境経営グループ部長)/玄侑宗久(禅僧/作家)/畑村洋太郎(失敗学会会長/東京大学名誉教授)/日高正博(スマッシュ代表)


糸井重里(コピーライター)/岩瀬公一(文部科学省宇宙開発利用課長)/沖田耕一(宇宙航空研究開発機構勤務)/今宮純(モータースポーツ・ジャーナリスト)/小黒一三(『ソトコト』編集長)/寺門琢己(整体師)/大西健丞(ピース ウィンズ・ジャパン統括責任者)/哀川翔(役者)/岸裕司(秋津コミュニティ顧問)/水木しげる(漫画家)


富野由悠季(アニメーション監督/作詞家/小説家)/西原由記子(自殺防止センター創設者)/千葉麗子(チェリーベイブ社長/ヨーガインストラクター)/森毅(数学者/哲学者)/伊東明(心理学者/東京心理コンサルティング代表)/渡部陽一(戦場カメラマン)/辻元清美(衆議院議員/NPOコーディネーター)/佐藤琢磨(F1ドライバー)/重松清(作家)/押川剛(コンビンサー/トキワ精神保健事務所代表)/ブル・デービッド(木版画家)


河合隼雄(臨床心理学者/文化庁長官)/よしもとばなな(作家)/下村実(海遊館飼育展示部係長)/程一彦(料理研究家)/K DUB SHINE(MC(ラッパー))/てんつくマン(軌保博光改め、映画監督/路上詩人)/辻井喬(堤清二、詩人/作家)/三田智子(1998,2000年NFLダラスカウボーイズ・チアリーダー)/永田照喜治(永田農法創始者)


ボビー・バレンタイン(千葉ロッテマリーンズ監督)/大槻ケンヂ(ミュージシャン/作家)/小山内美江子(脚本家)/C・W・ニコル(作家/冒険家)/藤村靖之(発明家)/レシャード・カレッド(医師)/寺脇研(文部科学省大臣官房広報調整官)/飯島博(NPOアサザ基金代表理事)/山田バウ(OPEN JAPAN代表)


オノ・ヨーコ(前衛アーティスト)/エリコ・ロウ(ジャーナリスト/作家/翻訳家)/西きょうじ(カリスマ予備校教師)/李禹煥(現代美術作家)/タケカワユキヒデ(シンガーソングライター)/高樹沙耶(女優)/蟹江雅彦(元国際連合世界食糧計画WFP協会専務理事)/芳賀洋一(東北大学先進医工学研究機構)/木村浩一郎(デザイナー)


ほっしゃん。(お笑いタレント)/角川春樹(出版社特別顧問/映画プロデューサー)/高見映(俳優/作家)/高城剛(映像作家/ハイパーメディア・クリエイター)/岡田斗司夫(評論家/作家)/高木ブー(ミュージシャン/タレント)/草間吉夫(大学講師/茨城県高萩市長)/高木善之(NPO法人ネットワーク「地球村」代表)


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山本寛斎(デザイナー/プロデューサー)
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2011年10月20日

「魔法少女まどか☆マギカ」に学ぶ4つの人生訓

 
今日のなぞなぞ
「『魔法少女まどか☆マギカ』から何を学ぶべきか?」




『魔法少女まどか☆マギカ』(アニプレックス)




全国の魔法少女ファンのみなさま、こんばんは。

今日は、シャフト制作のアニメーション作品
『魔法少女まどか☆マギカ』のお話です。


……もう、「投資」でも「読書」でもなんでもないじゃん。
いったい何のブログだかよくわからなくなってきました(笑)


とはいえ、
以前の記事(なぜお金を稼ぐのか?)ととても強い関連があるエントリーです。
この記事の続き、あるいはヒントととして読んでくださってかまいません。


↓まだの方は、よかったら読んでみてくださいね。

なぜお金を稼ぐのか?
http://poonyoponyo.seesaa.net/article/225054221.html






壮大な&抽象的な問いを考えるときの相棒として、
物語というのはとても相性がいい



……でしたね。


今回はアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』を観ながら、


「いかにして生きるのか?」


というおっきなテーマを考えていきましょ♪ 




ところで。
なんで『まどか☆マギカ』を取りあげるのかっていうと……。

先日、実家に帰ったときに弟からものすごい勢いで『まどマギ』を薦められたんです。
観とけ! って。ものすごい勢いで。


誰かから強く薦められたものは、
食わず嫌いをせずに触れてみる


というのが私の持論なので、観てみよっかな〜と思ったわけです。


で。
知人に聴いてみたら……

『エヴァンゲリオン』ほどとはいかないまでも、どうやら
『まどマギ』も、ちょっとした社会現象になっていたらしいんです。
考察本、謎本なども出版され、物語の舞台となった場所を「巡礼」するファンもたくさんいる……みたい。


うわ、乗り遅れた! という感じで、観ました。
そしたら、すごい良かった。だから"シェア"します。



↓「まどマギ」の公式サイトはこちら。

魔法少女まどか☆マギカ(アニプレックス)
http://www.madoka-magica.com/




〜※〜

※以下、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のネタバレを含みます。
未見の方は『まどマギ』本編をご覧になってから、お読みくださいね。

〜※〜



 『魔法少女まどか☆マギカ』って、どんな作品?



本編を観てから読んでね、って言ってるのに、
「ネタバレ上等!」と読み進めているあなたのために(笑)。

いちおう『魔法少女まどか☆マギカ』がどんな作品なのか説明しておきます。


『魔法少女まどか☆マギカ』は、今年(2011年)TBS系列などで放映された、アニメーション作品。
制作を手掛けているのはシャフトという会社です。
この会社、古くは『タイムボカン』シリーズや『ホワッツマイケル?』などの時代から様々なアニメを生みだしてきていますが、
近年。『まりあ†ほりっく』『化物語』などで、その斬新な演出と映像美が注目されています。

ちなみに、『まどマギ』には原作となった小説やコミックなどはありません。
ノベライズ・漫画化はされていますが、アニメ作品の方が原作です。


SHAFT(シャフト)
http://www.shaft-web.co.jp/





『まどマギ』も、「フツーの少女が魔法の力を得て戦う」という
いわゆる"魔法少女モノ"であることは確かなのですが、
いろんな点において斬新だったりします。


たとえば、主人公のまどかは、
話が進んでも全然"魔女っ子"にならない。



アッコちゃんだってサリーちゃんだって、さくらだってなのはだって(←具体的な作品名については、検索してくださいな)
物語のはじめから魔法を使っていたはず。
でも、まどかは、いつまでたっても魔法の力を手にしない




主人公・鹿目まどかは、ある日。
謎の白い生き物"キュゥべえ"から
「僕と契約して、魔法少女になってほしい」と言われます。

魔法少女になると、世界にはびこる「魔女」と戦い続けなくてはならないという運命が課されます。
でも、契約時にたったひとつ。どんな願いでもかなえてもらえるのです。

まどかの親友、美樹さやかは、
幼なじみの不治の怪我を癒すため、命を賭して戦い続ける生き方を選びます。


ところが、まどかはいたって平凡な中学生。
家族にも友達にもめぐまれている。
べつに、「命を張るほどにかなえたい願い」なんてないわけです。


で。
物語が進んでも、主人公だけは、
ずっとフツーの子のまま。



『まどマギ』は主人公が"魔法少女"となって戦う物語ではなく、
まどかが"魔法少女になる"までのお話


です。


このへん、
"魔法少女モノ"というジャンルに対する批評性があるな〜、と思いました。




戦闘シーンの映像も、斬新‼!


物語が戦いの場面になると、それまでのタッチが一変。
画面がコラージュアートになります。

まるでヤン・シュヴァンクマイエルのクレイアニメみたいに、
本能に直接なにかを訴えかけてくるような、
ちょっと怖いんだけど、それでいて目が離せない……そんな雰囲気です。

でも、すごく美しい✨です。


敵キャラは、具体的な姿を持ってはいるのですが、
図形だったり厚みがなかったり、ずいぶん抽象的。


(……そういえば、「エヴァンゲリオン」の使徒(敵)もずいぶん抽象的な形をしていました。
こういう、人物の心象が前景に出てくる物語には、象徴的な戦闘シーンがマッチしているのかもしれません)


音楽もアンビエント系だったりして、
独特の戦闘シーンを観ていると、ちょっとトリップしそうになります(笑)


まあ、このへんの映像のテイストは、
『まどマギ』独自の特性というよりは、監督の新房昭之さんのスタイル……らしいのですが。


ちなみに。↑上で触れたヤン・シュヴァンクマイエルの作品は↓こんな感じです。


『アリス』ヤン・シュヴァンクマイエル(日本コロムビア)





それでは、

「『魔法少女まどか☆マギカ』から何を学ぶべきか?」


について、いっしょに考えていきましょ。



契約して魔法少女になると、
どんな願いでもかなう代わりに、戦い続けなくてはならない。



……この設定がポイント。
これを念頭に置きながら、読んでってくださいね。



 1."願い"は自分の外に置け



『魔法少女まどか☆マギカ』は、

登場人物たちの行動原理が「利他」に貫かれているから
成立している物語である。



と私は思います。


「まどマギ」には数名の魔法少女たちが出てきます。

戦い続けなくてはならない運命を背負ってまで、
彼女たちが願ったもの。


それは……すべて「他人の幸せ」なんですよね。



主人公の親友・美樹さやかは、
幼なじみの男の子が、怪我を治しふたたびバイオリンが弾けるようになる奇跡を願います。

紅髪のベテラン魔法少女・佐倉杏子は、
聖職者である父親の話に、みなが耳を傾けてくれるように……と祈りました。

謎の転向生・暁美ほむらもまた、
友達を守るために、契約を交わしました。


例外は、自分の命の危機から逃れるためにキュゥべえと契約した
先輩魔法少女の巴マミ、なのですが。

彼女は街の人々を魔女の脅威から救うため、という動機で戦い続けています。

(契約して魔法少女になったあと。戦い続ける理由は、
必ずしもマミのような「正義感」である必要はないんです。設定上。
……この話はあとで述べます)


そして主人公・まどかもまた自分を犠牲にして……。


……という感じ。


ここで、
よく考えてみると。


私たちにとっても、

「命をかけてまでかなえたい願い」が
"自分のため"であるケースって、あんまりない
んですよね。



お金がほしい。
地位、名誉がほしい。
異性にモテたい。



……こういうのは、命あってこそ享受できるモノです。




いや、なかには、


死んでもいいから、歴史に名を残したい。


というひともいらっしゃるかもしれませんが。
でも、歴史に刻まれるほどの行為なら、それは必ず他者になんらかの影響を残しているはず。





他人のためになにかを願うからこそ、
戦い続ける人生を選べるほどの覚悟が生まれる。


これを、逆にいうと。


自分だけのため、と思ってする行動には、
たいしたエネルギーが乗らない。



ということです。


「ベンツに乗りたいから稼ぐぞ〜!」
と決意しても、

そのうち、
「中古のBMWでいいやサボっちゃえ」ってなるわけですね(笑)



見まわしてみると、
"成功者"だとか、"なにかを成し遂げたひと"って、けっこう
行動原理が「利他」に貫かれているんですよね。


マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツは財団を作って何億ドルという額を寄付しています。
世界最大の投資家、ウォーレン・バフェットも「いずれ資産の99%を慈善事業に贈る」と公言しています。

アーティストのマイケル・ジャクソンレディ・ガガだって、
とんでもない額を寄付したり積極的に慈善活動を行っているわけで。


もう、
「寄付するために稼いでるんじゃね?」というレベルです。


いや、お金の話に限らなくてもいい。

マザー・テレサだって、
「目の前にいるひとりを救いたい」という気持ちに貫かれて行動した結果、
歴史にその名を刻んでいるわけで。



……えっと。
べつに、

みんな、偉人になろ〜よぉ☆(*´∇`*)ミ☆

というお話ではないのですが。


なにか達成したいことがある場合。


「目標」を自分の外に置いたほうが、
より多くのモチベーションとパワーが生まれる


場合が多いんじゃないかな、ということです。



たとえば、あなたが文具の商品開発の現場で働いているとして。


「たくさん売れる良いペンを作って、出世するぞ〜!」


っていう気持ちよりでかかわるよりも


「このペンを使った子供たちが、能率よく勉強でき、成績もあがりますように……」


という願いで動いたほうが、
結果的には良いペンが出来あがるんじゃないかな、と思うんです。


他人のために奇跡を願うからこそ、
魔女と戦い続けるほどのパワーが生まれる♪




この視点で世のなかを見渡してみると、
ほんとにそうだ! と思えるようなことが目にはいってくることも多いかもしれません。


企業理念に利他や貢献を掲げ、
現場レベルでそれを貫いている会社は強い。


ほんとうの意味での「お客様第一主義」
を実践しているお店は、繁盛している。


自分のためでなく、他人のために動く営業マンは成績がいい。
自己中心でなく、相手のことを考えられる人はモテる。




……ですよね?



"願い"は自分の外に置け


これがひとつ目の教訓です。


 2.生き方は、今この瞬間から変えられる



魔法少女とは着脱可能な衣装ではなく、
生き方そのものである。




……『まどかマギカ』を観ながら、そんなことを感じました。


魔法少女になるべきかどうか迷っているまどかのそばには、いつも
契約を媒介する"キュゥべえ"という、使い魔みたいな動物がいます。


ほとんど、いつもいる。

まどかは「願い」を決めて、覚悟さえすれば
今この瞬間から"魔法少女"になることができる。


ところが、
ひとたび"魔法少女"になってしまえば、後戻りはできない。


無限に生まれる魔女たちと戦い続けないことには、
命を維持できないシステムになっているんです。

魔女が持っている「グリーフシード」という物質によって、
じぶんの分身である宝石「ソウルジェム」が浄化できる。

浄化をおこたると、
穢れによって少女は魔女へと孵化してしまう……。



……すごいダークな設定ですよね💧^^;


いったん魔法少女になってしまった彼女たちは、
もう正義感とかは関係なしに、みずからの「生命維持」のために戦い続けなくてはならない。


で。
彼女たちは「魔法少女という生き方」について、
いろいろな意味づけをして過ごしているわけです。


私達が、
「なんのために生きるのか」を考えるのと一緒
ですね。
「生命維持」のために生きる、では答えにならないんだから。



美樹さやかは、得た魔法の力を「他人のため」だけに使います。
たくさんのひとを助けることに、「魔法少女としての生きがい」を求める。

一方、佐倉杏子のほうは、魔法を「自分のためだけに使わなくてはならない」と考えています。
たとえ街のひとが巻きこまれたとしても、「グリーフシード」を落とさない悪魔は狩るべきではない、と。


とうぜん、↑このふたりは激しく対立するわけですが。


巴マミも、「自分のためか他人のためか」というテーマに関しては独自の考えを持っている。

「その人を助けたい」という想いと、
「その人の恩人になりたいから助ける」という気持ちは別物である。



……そんな意味のセリフを言っていたりします。



ところで。

異なる価値観が作品のなかにしっかりと対立している

のが名作の条件
だと私は思っているんですが、
『まど☆マギ』はこのへんもちゃんとクリアしています💓♪ 
物語も映像も音楽もイイ! ……一部では「歴史に残るアニメ」と言われているみたいですが、ホントにそうかもしれませんね。




少女たちは、"キュゥべえ"にひと声かけるだけで、
いつでも「魔法少女」という生き方を選ぶことができる。

必要なのは、「願い」と「覚悟」だけです。



……これも、私達と一緒だと思うんです。


なんとな〜く、
「他に道はないな」と思うようなときだって、
「願い」と「覚悟」さえあれば、なんでもできる。


気に入らない上司を殴ることもできるし、会社だって辞められる


……まあ、半分は冗談ですが。

いままであたりまえだと思っていた自分の生き方。
それは、"キュゥべえ"に「魔法少女になりたい!」とささやくだけで変えられるんだよ、

ということです。


変わりたいと思ったら、
もうその瞬間からいつでもじぶんを変えられる。


「じゃあ、いつ変わるんだ?
……今だろ!」
(東進予備校ふうに)





幸い、我々は魔法少女たちと違って、
後戻りができます。

新しい生き方が気にいらなかったら、ある程度はもとに戻せるし、
また新たな生き方を選択することもできる。


なので、「覚悟」なんて必要ない。
準備しなきゃいけないのは、「なにを願うのか」
……それだけ。


まどかは、「願い」を決めるまでに
とても時間がかかりました。

でも、願いごとが決まったあとは一直線❗! でしたね。




生き方は、今この瞬間から変えられる


これがふたつめです。


 3.自分という生き方を選んだ人は、みな孤独



少女とは孤独にうち震える魂である


というようなことを言ったのは作家の栗本薫さんです。
「新・やおいゲリラ宣言」『新版・小説道場〈4〉』中島梓(光風社出版)の巻末に収録。「中島梓」は栗本さんのもうひとつのペンネームです)


↑この文頭に「魔法」という文字をつけくわえてみると、
『まどマギ』を観た方は、「ああ、ほんとうにそんな物語だったな〜」と思うかもしれません。


魔法少女とは孤独にうち震える魂である



美樹さやかは、幼なじみの怪我を治すという奇跡を願った。
でも、その男の子はさやかから離れていってしまう……。


暁美ほむらは、ある友達を守るため、魔法少女になりました。
でもその友達は、ほむらに守られ続けていることに、気づきもしない……。


佐倉杏子は、父親のために奇跡を願った。でも、そのせいで一家は不幸になってしまう。
残った自分は、誰のためでもない空しい「魔女狩り」を続け、たったひとりで生きている……。



「魔法少女」という生き方を選んだのは彼女たち自身です。


「魔法少女」という生き方は、ひとりひとり異なるもの。
彼女たちは連帯するわけでもなければ、ときには価値観がぶつかり殺し合いになることもある……というのは↑でお話しました。

でも、彼女たちは戦い続けるわけで。



なにと戦っているのか?


それは……、
魔女という特定の悪者と、ではなく、


自分という存在の孤独と戦っている


わけです。


『まどか☆マギカ』はそういうアニメです。

だから、出てくる魔女は決まった形を持たないし、
戦闘シーンの背景は抽象画になっているんですね。



戦闘場面のコラージュアートに、
ケーキやおもちゃといったものが出てきます。

敵キャラが支配している異空間のなかに、
まどかたちが直前に話題にしていた"ケーキ"がなぜか登場する。


『まどマギ』が心の物語だから……だと思います。




教訓その2.で「あなたはいつでも生き方を変えられる」
という話をしました。


ところが、あなたが「魔法少女という新たな生き方」を選んだその瞬間から、
終わりのない孤独との戦いがはじまる。



目指す場所が高ければ高いほど、
まわりには誰もいなくなる。



この独りぼっちさに耐えかねて、
自殺してしまった芸術家もたくさんいるのは、ご存じのとおりだと思います。



新しい生き方を選択した、その先に
ひとりぼっちの世界が待っている
……そう考えると怖いですよね。


物理的に独りというわけではなくて、
理解者、だとか気持ちの共有者、がいなくなってしまう……っていう感覚だと思います。


私ごとで恐縮なんですが。

私は、高橋昌男先生という小説家の方にとてもお世話になっています。
師弟関係、といってしまってかまわないと思う。すくなくとも弟子と呼ばれました。

日経新聞に連載された『饗宴』という作品などが有名です。


『饗宴』高橋昌男(新潮文庫)



その高橋先生がよくおっしゃっている言葉。


人間は絶対的に孤独。
でも、その絶対的な孤独を本が救ってくれる。




やっぱり、
"ノーリスク・ハイリターンの投資は読書だ♪"

……とか、そういういつものノリの話では全然なくて。今回は。


本を読むことでしか癒されない。
生きるというのは、本質的にはそういう孤独のなかに身をひたすこと
なんだ。


ということを伝えたいわけで。




……。

…………。


なんか、今日はずいぶんと記事が重たいですね💦^^; すみません(>_<)


とにかくっ!



「願い」を決めて、"自分"という生き方を選んだ人は
みな孤独である。




『まど☆マギ』はこんなメッセージを発してくれているわけです。


じゃあ、その孤独をどうするのか?


その答えも『まどか』のなかにある。


 4.だけど、あなたは孤独じゃない


〜※〜

※ここから先はこれまでにも増してネタバレ注意です。
『魔法少女まどか☆マギカ』のエンディングに言及しています。

〜※〜



まどかは最終的に「願い」を決めます。

まどかが願った奇跡は……

「過去、現在、未来、全宇宙に存在する全ての魔女を生まれる前に自分の手で消し去ること

です。


"魔法少女"とは"魔女"へと孵化するために生かされている幼体。
そのシステム自体を、まどかは変えてしまう。


絶望へと繋がる道を、希望に差しかえたわけです。


結果、世界に魔女はいなくなり、
魔法少女となったまどかは、"べつの次元"で魔女を消滅させる戦いを続ける……。

というSFチックなエンディングを迎えます。


まどかが戦っている次元は、この世と繋がってはいても、パラレルワールドなので、
ほむらたちの住む世界では、誰もまどかのことを憶えていない(知らない)んです。

ちょっと切ないですよね……;;



ラストシーンには↓こんな英文が映しだされます。


---------------------

Don't forget.
Always, Somewhere,
someone is fighting for you.
--As long as you remember her,
you are not alone.


---------------------


ちょっと意訳します。



忘れないで。
どこかで誰かが、いつもあなたを応援している。
その存在を感じているかぎり、あなたは孤独じゃない。



この文章の her はもちろん、戦い続ける( fighting )まどかのことだと捉えることができます。
より普遍化すれば、いつも見守ってくれる神様のことだとしても意味が通る。


でも、このブログでは

「あなたと直接の利害関係がない第三者」


のことを考えます。



ここでちょっと飛びますが、
谷山浩子さんの「きみの時計がここにあるよ」という歌についてお話しさせてください。



『月光シアター』谷山浩子(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)

月光シアター - 谷山浩子(iTunes)

↑このアルバムに収録されている曲です。

谷山浩子さんは「まっくら森の歌」「しっぽのきもち」「恋するニワトリ」など、「みんなの歌」でおなじみのアーティスト。
「みんなのうた」や「おかあさんといっしょ」に楽曲を提供する一方で、ときにはダークだったりホラーだったり、トリッキーだったり狂気だったりする曲も多く。
"マイナーのメジャー"と言われるくらい、コアなファンを獲得しているシンガーソングライターさんです。

私も大好きで、親子2代でファンやってます。
(今日はなんて趣味全開のエントリーなんだ(笑))


「きみの時計がここにあるよ」という曲は、

真夜中にひとりで置時計を眺める歌です。



誰か作ったのかも知らない。
誰が図案を描いたのかも、知らない。

これを作ったひとは、いまどこにいてなにをしているんだろう……
知らない。知らないけど、確実にどこかにはいるはずだ。


顔も名前も知らないけれど、
この時計を作ったあなた。

僕はあなたになにをしてあげられるわけでもないけれど。

きみの時計は、確かにここにある。
この時計。僕はとても好きだよ。


(↑これは歌詞ではなく、物語を私が要約しただけです。念のため)



……という曲です。



この物語の<僕>を、↑の英文の her にあてはめてみたいんです。



あなたがこれまでの人生で、すれ違ったひとたち。
すれ違ってさえいないひとたち。


あなたと深い関係があるわけでもない<彼・彼女>が、
あなたの作った<時計>を大好きだと言って、応援してくれている。




Don't forget.

忘れないで。


Always, Somewhere,
someone is fighting for you.


あなたが生きていることを知っている誰かが、どこかにいる。
そのひとは、いつもあなたを応援している。


--As long as you remember her,


気づかないかもしれない。
でも、その誰かは、たしかにどこかにいる。

それを憶えているかぎり――
その存在を感じているかぎり――


you are not alone.


あなたは孤独じゃない。





魔法少女となったまどかは、別の次元で戦い続けています。
もとの世界では誰もまどかのことを憶えていない。

でも、まどかと関わりあったひとたちが、
うっすらと、まどかのことを想い出す瞬間があったりするんです。

なんと〜く、まどかの存在を感じている。
だから、ほむらたちは希望を失わずに「魔法少女」として生きることができる……。

そんな終わり方になっていました。



物語のなかでは、まどかの願いは「神の奇跡」だ、みたいな言い方がされていたと思いますが。


私たちはべつに、
ムリに神様を信仰しなくたっていい。



これまでの人生で、すれ違ったひとたち。
すれ違ってさえいないひとたち。

そのなかの誰かが、いつもあなたを応援しているかもしれない


なんとな〜く
そういう存在があるんだなぁ、ってうっすら感じるだけで、

ちょっとパワーがわいてきません?




あなたは孤独じゃない



これが、4つめのメッセージです。



……って、今日のエントリー
なんかクサいぞ。


深夜にひとりで読んでくださいね。
恥ずかしいから。

間違っても拡散! とかしないよーに(笑)。



 おまけの本の紹介



最後に、関連する本を3冊紹介します。



『成熟という檻 「魔法少女まどか☆マギカ」論』山川賢一(キネマ旬報社)

こんなのが出てるみたいです。

面白そう……。
私はまだ読んでいません。
今回の記事は論考ではないので、先行文献完全無視で書かせていただきました。

読んだらまたレビューしますね。



それから、
このブログ的にはこれ↓も。


『アニメビジネスがわかる』増田弘道(NTT出版)

『もっとわかるアニメビジネス』という続編も出ています。
アニメーション事業・市場に関する様々な数字が満載。
アニメビジネスがどのようなお金の流れでまわっているのか、その実態を浮き彫りにしたすごい本です。



ラストは東浩紀さん。


『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会』東浩紀(講談社現代新書)


とても有名な本です。
オタク文化論のみならず、思想史においても、社会学、文学のひとなんかも、
これを読んでなきゃお話にならない、という1冊。

おそらく「今さらかよ!」って思ってる方も多いかと思いますが^^;
もし未読の方がいらっしゃったら、これを機にぜひぜひ。

東さんが提示する「データベース消費」という概念を理解しておくだけで、
現代社会のいろいろな物事がクリアに見えてくると思います。

続編は『ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2』(講談社現代新書)です。




それでは、今日のまとめ。



『魔法少女まどか☆マギカ』、
面白かったよぉ☆(*´∇`*)ミ☆




って、それが言いたかっただけです(笑)。
ほんとに、いろいろと語りたくなる作品でした🎵♪



今回も長文におつきあいくださり、
ほんとうにありがとうございます。

著作権に配慮して、『まどマギ』のスクリーンショットは載せませんでした。
文字ばかりの記事になってしまい、読みにくくてすみません^^;💨






あなたは孤独じゃないッ‼!




あきか(@akika_a



追記)

この記事を書いた矢先、思想雑誌「ユリイカ」で↓こんな特集が組まれていることを知りました。
まさに、今日発売らしい。
べつにぶつけたわけじゃないです。ホントに知らなかった。……なんという偶然。


「ユリイカ 2011年11月臨時増刊号 総特集=魔法少女まどか☆マギカ 魔法少女に花束を」(青土社)



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【関連リンク】

魔法少女まどか☆マギカ(アニプレックス)
http://www.madoka-magica.com/
SHAFT(シャフト)
http://www.shaft-web.co.jp/

【今日紹介した本・DVD・CD】

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