2022年09月30日

後宮が舞台のライト文芸とライトノベル10冊


oyashirodone.jpg

後宮が舞台の小説をまとめました。
以前の記事(後宮が舞台の小説10冊)に引き続き、”後宮小説”特集の第2弾です。

今回はライト文芸(キャラ文芸)ライトノベルに絞った10冊。
ラノベやライト文芸をうたっているレーベルからリリースされている小説を選びました。

前半がライト文芸、後半がライトノベルです。
レビューは1巻に対してですが、どの作品もシリーズ展開されています。
気になる作品があれば続きも手にとってみてくださいね。


中華風、和風、恋愛ものからミステリまで。

読みやすくて知的な、
後宮ファンタジー10冊をど〜ぞ♪



蟲愛づる姫君の婚姻



蟲毒(虫や動物を使う呪術の一種)の使い手・玲琳は、ある日、敬愛してやまない女帝の命で異国へ嫁ぐことに。
人目も衣が汚れることもはばからず、毒虫を愛でる王妃に周囲は仰天。
政略になど何の興味もない”蟲姫さま”ですが、しだいに陰謀に巻き込まれて……。

以前の記事(後宮が舞台の小説10冊)で紹介した『薬屋のひとりごと』をほうふつとさせる、”毒を愛する姫”が主人公です。
『薬屋』の猫猫以上にぶっとんだキャラクターかも。

毒舌。蟲まみれ。自分は常識人で、まわりがおかしいのだと思っている。
自分を害する者がいても、その”毒”ゆえ好ましく思ってしまう……。

破天荒さが痛快。
会話のひとつひとつに玲琳のキャラクター性がにじみ出ていて、読んでいて心地よい小説です。

テンポも良く一気に読まされてしまう。今もっともオススメの後宮中華ファンタジー♪
ちなみに元ネタは↓古典文学です。


コミック版↓も人気。


神招きの庭



2冊目は中華ではなく和風ファンタジー。
今日紹介するなかではもっとも異色の後宮です。

その国の後宮は斎庭(ゆにわ)と呼ばれ、今上の妻妾が住む場所であるとともに”神を祀る”機能をもっています。
主人公の彩芽は、親友の死の真相を探るため、女官として斎庭にもぐりこむ……。

人や獣、ときには虫のかたちの神々が後宮を闊歩する様子は「千と千尋の神隠し」を思わせる雰囲気。
にぎやかさだけでなく、人とは違う論理で動く神の怖さも描かれています。

自分を大事にできない彩芽や、今上の弟・二藍(ふたあい)との”本音をみせあえない”すれ違いなど、人間模様も繊細。
世界観がすごくいい小説です。オススメ♪

平安あや解き草紙



こちらも和風。平安時代です。
事情により独り身のまま30代をむかえてしまった姫が主人公。
気ままな暮らしを送っていたところ、帝から入内を命じられ後宮に入ります。
帝の歳は……なんと16歳! しかも、元カレまでが想いを寄せてきて……。

まだ青い果実である帝にとって私など、まさに熟しすぎて皺だらけになった果実だというのに!
「第一話 花の色はうつってしまったけれど」より


これだけじゃない。怒涛の自虐の数々><
本格的に平安時代を描いていますが、ユーモアたっぷりで読みやすい。
あや解きのタイトルどおり、本筋は後宮で起こる謎の事件を解決するお話です。
これでもかと繰りだされる”年増ネタ”の数に圧倒されてください><

紅霞後宮物語



こちらもちょっとだけ”年増”設定。
女性でありながら将軍として出世街道を走った小玉の人生は、33歳にして一転。
とつぜん、皇后になってしまう……。

ぜんぜん皇后としてふるまえない、武骨な小玉がカッコかわいいです。
軍人時代の仲間でありながら、皇帝と皇后の関係となった夫との、夫婦にはなりきれない関係性がもどかしい。

語り口やせりふはユーモアたっぷりでとても現代的。
文体がとても強いです。以前の記事(最近読んだ純文学(J文学・L文学)10冊〜青山七恵さんの”ぼっち文学”について)で紹介した純文学作品のよう。
文体じたいがキャラ立ちしている感じです。
コミック版↓もリリースされています♪


後宮の百花輪



集まった候補のなかから皇后を選ぶ「百花輪の儀」。
後宮に憧れる少女・明羽は、候補となった姫・來梨の侍女に選ばれ宮廷へ。
「百花輪の儀」にのぞむことになる……。

主人公の明羽は拳法をたしなみ、古道具の声が聴こえるという力をもっています。
特技を活かし、トラブルを解決していく日常譚なのかな〜と思いきや。
中盤で物語は大きく展開します。

「百花輪の儀」は、皇帝の寵愛を競うだけの上品なものではない。
侍女を”賭け札”とした、妃どうしの”潰し合い”の場だった……。

まさかこんな話になっていくとは思いませんでした。
失態をうながしたり、怪我をさせたり……たがいの侍女を攻撃し、侍女がいなくなった妃は退場。まさにバトルロワイヤル。
謎解きやどんでん返しなど、ミステリ色が強い後宮ものです。

協力者を得、知略を尽くし、おのれと主を守り抜け!
後宮バトロワ、開幕!

後宮染華伝



皇貴妃として凱国の後宮で皇帝に仕えることになった紫連。
得意の染色の知識を活かし、ときにはみずからも事件に巻きこまれながら、策謀うずまく後宮の平穏のため尽力します。

時代設定も登場人物も「歴史書か!」と思うほど細部までつくりこまれていて、冒頭から圧倒されます。
それもそのはず。じつは本書はシリーズものの「第2部」。
ライトノベルのコバルト文庫からライト文芸のオレンジ文庫へ。大きくテイストを変えてひきついだ、異色の「後宮シリーズ」なのです。

すでに描かれてきた膨大な物語を背景にはじまりますが、連作の形式なのでどこから読んでも大丈夫。私も本書が1冊目でした。

とてつもなく密度が濃い小説。
今日紹介するものや、以前の記事(後宮が舞台の小説10冊)で取りあげたどの本よりも、後宮ものの面白さが凝縮されています。

唐代の中国をモデルに、緻密に描かれる中華風後宮ファンタジー。
登場人物が多く、序盤は読むのに時間がかかりますが、自分なりに整理がついてくるとどんどん面白くなっていきます。オススメv

ちなみに”染華”のつぎは”戯華”↓。お芝居がテーマです。




ついでにその「後宮シリーズ」第1部の第1作も紹介。
テーマは”書”。本ではなく書道、書法です。
主人公の淑葉は書が大好きで、能書の才もあったのですが、その能力は現在失われています。
彼女は”手違い”で、おなじく書を愛する夕遼のもとへ嫁いでしまう……。

ライト文芸をうたった2部とは異なり、ちょくちょくイラストが挿入されていたり、恋愛が前面に出ているもライトノベル的。

とはいえ、このシリーズならではの緻密さは1作目でも変わりません。
後宮の様子は中国の金王朝と明王朝がモデルとのこと。まるで見てきたように解像度の高い宮廷が描かれています。きらびやかな衣装の描写が素敵。
テーマの”書”が物語にふかく関わってくるのも本シリーズならではです。

ところでこのふたり。手違いで結ばれたはずなのに相思相愛すぎる///
甘々が好きな人にはめっちゃオススメv

「たおやかな線質には気品と華があるな。字形は綿密だが、まるでひらひらと散り落ちる花びらのような軽やかさをまとっている。見事だ……実にいい」
「第三篇 落花枝に返り 破鏡再び照らす」より


↑書道フェチすぎてすごいところまでいっちゃってる夕遼のせりふ><

↓第1部は10作品 + 電子書籍オリジナルの短編集2作。
それぞれに異なるテーマがストーリーに絡む。うんちくも豊富で、ほんとうにすごいシリーズです。

『後宮詞華伝 笑わぬ花嫁の筆は謎を語りき』
『後宮饗華伝 包丁愛づる花嫁の謎多き食譜』
『後宮錦華伝 予言された花嫁は極彩色の謎をほどく』
『後宮陶華伝 首斬り台の花嫁は謎秘めし器を愛す』
『後宮幻華伝 奇奇怪怪なる花嫁は謎めく機巧を踊らす』
『後宮樂華伝 血染めの花嫁は妙なる謎を奏でる』
『後宮刷華伝 ひもとく花嫁は依依恋恋たる謎を梓に鏤む』
『後宮麗華伝 毒殺しの花嫁の謎咲き初める箱庭』
『後宮瑞華伝 戦戦恐恐たる花嫁の謎まとう吉祥文様』
『後宮剣華伝 烙印の花嫁は禁城に蠢く謎を断つ』

『紅き断章 すべて華の如し』
『白き断章 すべて雪の如し』


後宮香妃物語



主人公の凜莉は、さまざまな効用をもつ”香り”を調合する「香士」。
亡き父が完成させたはずの「秘宝香」を調合するため、凜莉は皇太子のため新たにつくられた後宮でひそかに研究をはじめます。

皇太子との恋の行方はもちろんなのですが、
主人公の欠けた記憶や、毒香をつかったトリックと意外な黒幕……とミステリ的な部分もおいしい作品。
凜莉があらゆる匂いをかぎわける”絶対嗅覚”という特技を持っていて、これが大きな鍵となっていきます(人の感情や病気もかぎわける!)。

ラストはページをめくる手がとまらない。上質な中華ファンタジー。
コミック版↓も出ています。


宮廷恋語り




稜国には、王の妻である”金銀の妃”を試験で選ぶ制度があります。
主人公の翠凛は、故郷の木綿産業を救うべく、金妃を目指して登城します。
身分を隠した太子、謎の女装男子(!?)、美形の武官と異国の王子……などなど、後宮もの定番要素がたっぷり。

あとがきで響咲いつきさんも自認しているとおり、女の子のキャラクターが多く、みんな魅力的。
恋愛物語が好きすぎて妄想がとまらなくなる紅蘭のキャラがいいねv
同室の少女たちとかしましく選考にそなえる様子は、以前の記事(【記紀神話後宮が舞台の小説10冊)で紹介した『後宮小説』を想い出します。
王道の中華風宮廷ファンタジー。↑全2巻なのでセットでどうぞ♪

後宮の錬金術妃



良家の娘・白連は、新皇帝の妃のひとりに選ばれ、後宮へ……。
オーソドックスな中華風後宮ファンタジーかと思いきや、主人公の”目的”が異色なのが本作。

白連は侍女として連れてきた妹を、皇帝とくっつけようとします。
妹の木蘭は異母妹で、実家ではとてもしいたげられてきました。
身をひいたり、ときには嫌われるようふるまいながら、木蘭を守る主人公がカッコよすぎます。

自分が幸せになるのではなく、妹を幸せにしようとする物語。
サスペンスが効いていて、どんでん返しからのエンディングはとても素敵。
面白くてオススメなライトノベルですv

↓コミカライズもされています。


覇帝激愛



ラストはこんなのもあるよ〜という1冊。
璋紀(しょうき)帝は狩りの最中、天界からきた美しい公子・若蘭(じゃくらん)と出逢う。
その美貌をわがものとすべく、帝は彼を後宮に連れていき、愛妾としてしまう……。

官能小説かつBLです。
ほかの後宮もとのは異なり、時代背景や宮廷の描きこみはあっさり。そのかわり、寝台のなかの描写は濃厚。
刻々と変わる唇や両手の位置さえすべて想像できる、濃い描写は圧巻です。
そばに侍る宦官が加わってくるのは後宮ものならでは。

……と真顔でレビューする私><
ちなみにこの後宮。若蘭以外の妃はすべて女性です。
男性は若蘭だけの純愛(?)もの。

璋紀帝の攻めっぷりに沼る、”激愛”な後宮ボーイズラブをどうぞ///



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a

(冒頭の写真は富士白糸の滝で撮った祠です)

【関連記事】

後宮が舞台の小説10冊
【神仙】中国の土着・民間信仰を知る本10冊【道教】
紫禁城の歴史がわかる本5冊
【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】
【恋愛】10代のうちに読んでおきたい小説10冊【青春】
最近読んだ純文学(J文学・L文学)10冊〜青山七恵さんの”ぼっち文学”について
最近読んだライトノベル10冊〜恋愛・ミステリ・異世界〜
【評論】ライトノベルを「学問として」研究するための19冊【論文】






posted by 姉崎あきか at 01:41| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブログパーツ アクセスランキング