
今日は「中国の土着・民間信仰を知る本」の特集です。
以前の記事……
【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】
【民話伝承】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(中編)【フォークロア】
【記紀神話】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(後編)【古神道】
では、日本の土俗の信仰をまとめましたが、
今回はその中国版。
中国の人々や社会に根づく風習や民俗宗教をみていきます。
前半は、あやしげな(?)呪術から易や風水、そして神話伝説。
後半は、道教です。道(タオ)や老荘・神仙思想がわかる本や小説、漫画を紹介します。
異国情緒にあふれながら、日本人の感性とも深くつながっている。
お隣、中国の”精神性”を知る10冊をど〜ぞ♪
呪術
台湾の祠廟の紹介から、道士や童乩(タンキー)の呪術、宗教団体の実態、祭り、雷法、呪符の書き方まで。
ちまたで信じられている様々なものを蒐集した貴重な1冊。
概説もありますが、どちらかといえば実際の廟や行事をつぶさにみていくフィールドワークの本です。
以前の記事(【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】)でもみたような、民間信仰ならではのあやしさやカオスは中国でもおなじ。
儒・仏・道……習合やアレンジが重なって、もはや何の宗教だ! という事態になっちゃっている儀式も。
四日目の放水燈の行列は、竿燈を載せた車や、後ろでショーを行っている車、音楽を流している車など、すべて自動車で構成され、電球で飾られた車も多いため、夜になるとエレクトリックパレードという趣になる。「第一部 民間宗教者と呪術儀式」より
↑台北の霞海城隍廟でおこなわれる祭祀の様子です。もう何がなんだか。
写真や図表の資料も豊富で、イメージがわきやすい。
民俗学が好きなひとにオススメですv
宇宙観
中国で生まれ、東アジア全域に影響を与えている思想哲学や世界の見方……宇宙観(コスモロジー)を丁寧に解きほぐしていく。
膨大な数の文献を渉猟し、解説されるのは……
四季のめぐりとリズム。趨吉避凶。陰陽や五行の理論。八卦。本草学。「未病」を治す養生法。孔子の説く治世や処世。老荘思想。
などなど。
ちょくちょく耳にするけれど、細かくは知らなかった中国思想の数々が網羅されています。
さらに、それらが日本にどう受容されていったかにも筆が割かれていてユニーク。
易や風水好きにとくにオススメな良書です。
人気の神様たち
関帝、八仙、西王母、東学大帝、西遊記でおなじみの斉天大聖(孫悟空)、封神演義の二郎神……などなど。
民間信仰系・道教系・仏教系の3カテゴリから人気の神々を紹介しています。
解説だけでなく、中国でどんなふうに人気なのかが書かれていて面白い。
”日本では知られていないけど、現地では一般常識レベル”の神さまの多いこと多いこと。
新書らしいとっつきやすさで、中国の神話・伝説を学ぶことができます。
入門はここから。知っているようでほとんど知らない、神仙の世界へようこそ♪
神獣・幻獣
当ブログでもおなじみ、新紀元社の「Truth In Fantasy」から1冊。
こちらは神様といっても人の姿のものではなく、幻獣や神獣、霊獣です。
中国の神獣やあやかし、精霊や鬼を、ステキなイラストともに紹介しています。
龍、麒麟、天狐、人虎。
幻想の動物たちともふもふしちゃってくださいねv
……いえ、なかにはおぞましい姿のものや、もふもふできそうにない魚や鳥もいるけれど。
ちなみに「幻想世界の住人たち」のシリーズは全4冊。
1は西洋。2は中近東等。3↑は中国。4は日本。
世界の神話・伝説にどっぷりとひたれる濃ゆ〜いシリーズです。どれもオススメ。
幻想世界の住人たち
幻想世界の住人たち(2)
幻想世界の住人たち(3)
幻想世界の住人たち(4)
山海経の神獣・悪鬼
人を食う妖怪。疫病神。災禍を招く獣。逆に災いを退ける神。
異形の悪鬼。恵の鬼神。縁起のよい善獣や瑞獣……。
中国の地理書『山海経』を中心に、さまざまな妖怪や神獣にまつわる説話を蒐集しています。
本草学にもページをさいていて、病気や懐妊などに効く(迷信ぶくみの)生薬も紹介。
情報量は多いですが、ただの羅列ではありません。説話が生まれる下地となる世界観(民俗学的な意味での)を考察しています。
人の暮らす「内なる世界」と、大自然の危険に満ちた「外なる世界」。妖獣は<外>の生き物だ。
ちょっぴり学術的ですが、写真や図版の史料も多く楽しい。民俗学や説話文学好きにはたまらない1冊です><
☆★☆
ここからは道教関連の本を。
儒教とならぶ中国土着の思想哲学、道教。
実在しないともいわれる老子を祖としながら、中国の民間信仰のすみずみにまで影響を与えている宗教です。
頭ではなく”心”や”肚”で、タオの世界を感じるように読んでみてくださいねv
道教
青土社の「シリーズ世界の宗教」より1冊。
本書では道教の起源や発展、教義や歴史とのかかわりを学ぶことができます。教科書的な1冊。
道(タオ)と一体化し、神仙となって不老不死をめざす。
……というと、何かストイックな求道的なものに思えるけれど、老子や荘子が大事にせよと説くのは勤勉さではなく「無為」や「無用」。
しなやかに生きるのが推奨される「風の時代」ともいわれる今。時代ととても相性のよい教えかも、と個人的に感じています。
「世界はそれを放置する人によって獲得されるであろう」「2 道家の起源と歴史」より
この言葉、好きv
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タオの神々
「Truth In Fantasy」シリーズからもう1冊。
タオ(道、道教)で信仰される神々を「天界神」「文・武・財神」「教祖・始祖神」「自然神」「医神」「生活神」「神仙」のカテゴリに分けて紹介。
70柱を超える神々の特徴やエピソードがつづられています。
辞書的の使うのもいいし、読みとおすことで道教の世界に詳しくなれます。
神だけでなく、タオの思想やアイテム、修行法などの解説も。
もちろん、このシリーズならではのステキなイラストも添えられています。
中国神話ファンは手もとに置いておきたい、密度の濃い1冊です。
老子
なんつータイトルだ。
タオイスト、加島祥造さんが道(タオ)の精神を語る本……なのですが。
本書がメインに扱っているテーマは、なんと英米文学です。
ロレンス、フォークナー、マーク・トウェイン。彼らの作品に息づく”タオっぽさ”を加島祥造さんならではの視点で探っていく。
その解説が道教そのものを深くえぐるような内容になっている。
まるで違う場所にカメラを向けながら、ぜんぜん別の物事の本質を語る。私の好きな手口(!)ですv
無為とは何もしないことじゃなくて
していることだけを喜ぶことだ。「終章 タオの山脈の連なる解放区へ」より
タイトルの「おっぱい」は”あらゆる恵みをもたらしてくれるタオ”をあらわした比喩。加島祥造さん自身が訳した「老子」↓からの引用です。
ついでに紹介しますね。
『老子』を意訳し、詩集として現代によみがえらせた奇跡の本。
本書はすごい。原文からとことん離れた意訳でありながら、老子と深くつながっていて。
詩の力が、いやおうなく心や身体を浄化する。
これは形のない形だけの在るところ、
無いものだけの在るところ、すべてが
捉えがたい抽象でできてるとも言える。「第一四章 形のない形だけの在るところ」より
脳の奥にじかに波を伝えてくるような、頭でなく心で読む、不思議な読書体験をもたらしてくれます。
知識としてでなくスピリチュアルな経験として、読んでみてくださいねv
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精神世界の名著4冊
仙人になる方法
子供向けの学習まんがです。
仙人になるため、李白少年が師匠のもとで修行を積む物語。
食べものを制限して気を整える「辟穀」
体内に気をとどめる呼吸法「導引」
不老長生をもたらす気をつくる「胎息」
体のなかに仙薬をつくりだす「存思」
……などなど、修行法は実際の史料にもとづいて詳しく描かれているので面白い。
じっさいにやったらキケンだよ! みたいな注釈も(笑)。
児童書ですが、さくっと読める仙人入門書としてオススメv
仙人小説
ラストは小説です。
時は唐代……玄宗皇帝の頃の中国。現役をしりぞいた父のもと、毎日を遊んで暮らす王弁は、あるとき仙人と出逢い弟子になる。
仙人の名は僕僕。白髪白髭の老人かと思いきや、なんと美少女だった……。
”仙人小説”らしく中国の神話や伝説に関する逸話が多く面白い。
天界の神仙たちや神獣も、キャラクターとして登場します。
かと思うと、玄宗皇帝の蝗害対策が物語にからんできたり。
王弁と僕僕のかけあいは、ライトノベルふうの甘〜いラブコメだったり。
恋あり、歴史あり、神仙ありの極上エンターテイメント。
どこを楽しむかは人それぞれ。
続編↓も次々とリリースされている人気シリーズです。
薄妃の恋 僕僕先生
胡蝶の失くし物 僕僕先生
さびしい女神 僕僕先生
先生の隠しごと 僕僕先生
鋼の魂 僕僕先生
ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪
あきか(@akika_a)
(冒頭の写真は横浜中華街で撮った関帝です。恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ)!)
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非二元(ノンデュアリティ)の本は「読んでも読まなくてもかまわない」?
精神世界の名著4冊
後宮が舞台の小説10冊
媽祖と中国の民間信仰 単行本 ? 1996/8/1
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中国の呪法 ハードカバー ? 1984/12/1
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