
「脚本・シナリオの書き方」の本10冊をまとめました。
前半は映画の脚本術を中心にした概論。
後半はジャンル別です。映像/ラジオドラマ、漫画、ファンタジー映画、ホラー映画、ゲームに特化した5冊をさがしてまいりました♪
当ブログでは「小説の書き方」を特集したことは幾度かありますが、脚本・シナリオははじめて。
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【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】
最近読んだ「小説の書き方」本10冊〜文章力をめきめきアップさせるために
読んでみると……意外というか当然というか、共通項は多い。
物語の創り手さんにとって学びが多い本ばかりなので、向かいあってらっしゃるジャンルを問わず、参考にしてみてくださいね。
どんなにつまらない作品でもとにかくエンドマークまで書く。
(中略)
傷ついても、立ち上がって書き続けるんです。『シナリオを書きたい人の本』「わたしはこうしてプロになったB 坂田義和」より
後に紹介する『シナリオを書きたい人の本』のインタビュー記事に出てくる言葉です。
なんとしても完成させろ!
つくりあげてきた作品の山は、いずれお前の糧となる!
あなたのオリジナリティや作家性を輝かせるために。
型を知って型を破る10冊をど〜ぞ♪
定番中の定番
定番中の定番。
プロの映画監督でさえ、本書にのっとって作品をつくっていると公言するほど。持ってきゃヤバいレベルの鉄板本です。
コンセプトづくりから、ログラインの練り方、主人公やストーリー設計、三幕構成、何をどう修正すべきか、まで。
脚本術のすべてを過不足なく伝えてくれます。
個人的に好きなのはChapter2の”あらゆる映画は10コのジャンルに分類できる!”という理論です。
10のストーリー・タイプとは……
家のなかのモンスター/金の羊毛/魔法のランプ/難題に直面した平凡な奴/人生の節目/バディとの友情/なぜやったのか?/バカの勝利/組織のなかで/スーパーヒーロー
……なにこれ。ホラーとかラブストーリーとかのジャンルじゃなくて?
そうなんです。この10コは、その映画の”何が面白さの要なのか”をもとにした、独特の分類法。
いわば”物語の本質”に名前がついているようなもの。
すべてのシナリオライターが知っておくべき10コだと私は勝手に想っています。
ユーモアたっぷりの語り口で、楽しく読める名著v
あらゆる物語創作に使えますが、基本的には映画向けのシナリオ指南書です。
物語とキャラの鉄則
人が面白いと感じる物語には、共通の法則がある。
物語研究の分野で有名なキャンベルやプロップを援用しながら、ストーリーやキャラクターの”あるべき形”を教えてくれます。
ストーリー運びやキャラクター造形において、すぐに使えるツールが満載。
本書を読んだあとでは、さまざまな物語が、まるでプログラミング言語で書かれたコードや数式のように想えてきます。
質のいい脚本は、”求めるもの”に向かおうとするキャラクターに、たえず選択を迫る。第10章「キャラクターの代数方程式(及び不自然な仕事について)」より
巻末の解説を書いているのは大塚英志さん。
以前の記事(【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】)で紹介した『ストーリーメーカー』の著者です。
ぐっと理解がふかまるので、『ストーリーメーカー』や『キャラクターメーカー』とあわせて読むのがオススメ。
入門者に強くオススメ
入門者に強くオススメしたい脚本・シナリオ指南本。
前半は、心構えや全体の構成のつくりかた。
後半は、浦島太郎や桃太郎をモチーフにしたオリジナル脚本が教材です。
体裁から小技まで、具体例をとおして学べるようになっています。
オーバーラップ、屋台崩し、アバンタイトル……などなど、ドラマや映画でよく出てくるテクニックをがんがん身につけちゃってくださいv
ちなみに本書、冒頭にシナリオライター三人へのインタビュー記事があります。
プロの方々が口をそろえてアドバイスすることは……
「最後まで書け」ということに尽きますね。
1つの作品をエンドマークまで書いて、ようやく分かることがたくさんある。「わたしはこうしてプロになった@ 井上由美子」より
どんなにつまらない作品でもとにかくエンドマークまで書く。
(中略)
傷ついても、立ち上がって書き続けるんです。「わたしはこうしてプロになったB 坂田義和」より
以前の記事(【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】、最近読んだ「小説の書き方」本10冊〜文章力をめきめきアップさせるために)で紹介した書籍でも、多くの作家さんがおなじことをおっしゃっています。まさにそれだし、それしかない!
密度の濃い入門書
シンプルなタイトルながら、密度がとても濃い。
”精神論でなく、とことん具体的に”との方針が全体をつらぬいています。
会話で伝えるのでなく、映像で語る。
セリフを洗練させるには「削る、ひっくり返す、たとえる、嘘をつかせる」。
長いセリフは分割する。
ドラマチック(劇的)とは、人物の本音があきらかになること。
安易に回想や独白を使うな。
……などなど、なにをどうすれば良いシナリオになるのかが明確に示されています。
ここまで細かく”正解”を差し出す本はあまりない。
本書が教えるすべてを身につけて執筆にのぞむために。
何度でも読み返したい1冊です。
面白さの本質
物語における”面白さ”とは何か。
ともすれば哲学になってしまいそうなこのテーマを、とことん実践的に掘り下げていく良書です。
「感情」と「納得」が視聴者を楽しませる。
プロットを構成する「13フェイズ構造」と、その「重ねがけ」。
主人公の「成長葛藤」と「破滅葛藤」。
その作品の”らしさ”特徴づける「リマインダー」。
いますぐにでも使える本質的な話ばかり。
どんなジャンルのクリエイターさんも参考にできる、普遍的なメソッドがぎゅっとつめこまれています。
「千と千尋の神隠し」「ONE PIECE」「魔法少女まどか☆マギカ」など、有名な映画やアニメのストーリーやキャラクターで具体例を示してくれるので、とても伝わりやすい。
面白いと感じるストーリーが”なぜ面白いのか”を、とことん明確にしてくれるすごい本です。オススメ。
性格・感情辞典
後半に行くまえに、11冊とは別のおまけを。ちょっと変化球です。
人の「性格」や「感情」をあらわす言葉をまとめた辞典。
心理学やコミュニケーションスキルの本ですが、とても創作の役に立つので紹介します。
「愛」から「笑う」まで、五十音順に掲載された性格や感情は……なんと272種類!
目についた単語……たとえば「おっとりした」のページが気になったら、のんきなキャラクターをつくってみればいいし。
「後悔」の項目にピンときたら、無念さが残るようなプロットやシーンを考えてみればいい。
脚本家が読むことを想定した本ではありませんが、キャラ造形やシーンづくりの実践で、とことん助けになってくれます。
↓こんな感じの、示唆に富む言葉も。
負けず嫌いの性格の人が屈辱的な体験をすると野心家になる。「野心」より
この法則がどんな場合も正しいかどうかはべつとして。
「負けず嫌いの性格の人が屈辱的な体験をする」シーンを書いてみようかな〜、とネタ出しに使えるような文言がたくさん。
272種類すべての項目にそえられたイラストからもアイディアを拾えます。オススメ!
☆★☆
後半はジャンル別の「脚本・シナリオの書き方」です。
ジャンル別とはいえ、志をもって読めば拾うべきものは多い。
書く予定のない分野の指南書でも、読んでみれば発見があるかもしれません♪
テレビドラマ・ラジオドラマ
ドラマの脚本に特化した指南書。
映像ドラマ(テレビドラマ)だけでなく、ほかの本ではほとんど見られない、オーディオドラマ(ラジオドラマ)の書き方も解説している貴重な1冊です。
シナリオの中身以上に「体裁」の整え方に多く筆を裂いているのがありがたい。
抽象的な技術論を避け、守るべきルールやコツを丁寧に教えてくれます。
「第4章 書き方の違い」はとくに面白い。
おなじ物語を題材に、映像ドラマとオーディオドラマの2パターンのシナリオを読むことができます。
おなじ素材がまるで異なる脚本に仕上がっていくのが壮観。
若干手に入りにくいのかもしれませんが、ドラマの脚本家を志す方は必携です。
ファンタジー映画
ちょっと珍しい、ファンタジーに特化した脚本ライティング指南書。
細かいテクニックというよりは、世界観やキャラクターをつくっていく段階で役に立つ本です。
ファンタジーのサブジャンル、リサーチの方法、ストーリー&キャラクター、動物や魔法、舞台、戦闘や宗教、政治、ロマンス……。
「ロード・オブ・ザリング」や「ハリーポッター」など、具体的な作品をたくさん取りあげて話してくれます。
物語やキャラについての本質的な、大きな話が多い。脚本家志望でなくとも、ファンタジーをつくりたいすべての方が参考にできます。
セイブル・ジャックさんはくりかえし強調します。
固定観念やステレオタイプにとらわれるな。ファンタジーというジャンルを選んだのだから、もっと自由に羽ばたけ、と。
↓悪役について、個人的にハッとする文章があったので私的メモ。
現代人にとっては、誰かを生まれつきの悪人だと考えるのは難しい
(中略)
”単に悪い奴だから”悪人では、ひどくつまらないキャラクターしか作れない。最高の悪人キャラクターというのは、何か目的をもった悪人だ。「4 多面的なキャラクターを作る」より
ホラー映画
怖さとはなにか。恐怖の種類。シーン配置やせりふのコツ……。
ホラー映画に特化した、シナリオの書き方指南書です。
本書オリジナルの脚本を材料に、ホラーエンターテイメントの作り方を考えていく。
「人物の変化」こそ語る価値がある
せりふはストーリーを前進させるものでなくてはならない
顔をつきあわせて喋るだけの”トーキング・ヘッズ”シーンに注意
……などなど。ホラーを超え、あらゆる物語創作に役立つコツが満載。思わずたくさんメモをとってしまった1冊でした。
第1章の「地獄へのガイド付きツアー」も魅力的。
ホラー映画史のまとめです。”その作品がなにを成し遂げたのか”を解説する……いわば、イノベーションの記録。
恐怖映画はつねに”新しい怖さ”を生み出してきた!
マンガ
マンガ創作の指南書。
作画ではなく”ストーリーのつくりかた”に特化している本です。
モチーフからアイディア、プロット、箱書き、ネーム(コマ割りをつけたシナリオのこと)から推敲まで、具体的なテクニックをふたつの短編作品をみながら学べます。
ふたつの作品とは、高橋留美子さんの「Pの悲劇」と山本おさむさん自身の「UFOを見た日」。末尾に収録されています。
黒澤明監督の方法論をひいたり、ジョージ・ルーカスの「アメリカングラフィティ」が出てきたり、漫画よりも映画への言及が多いほど。
映画のシナリオで勉強した著者ならではの語り口です。
山本おさむさんは強調します。
編集者はストーリーづくりのプロではない。自分の作品を自分で批評できるようになれ、と。
新人さんが編集者とともに迷走してしまう可能性に警鐘を鳴らしているのは、そんな例を数多く見ているからかもしれません。
たった1コマの構図や短いセリフでも、必ずそうすべき理由がある。考え抜け!
なんとなく物語をつくっているクリエイターの気持ちをひきしめてくれる1冊です♪
ゲーム
ラストはゲームのシナリオ指南書。
映画やドラマとは圧倒的に異なるジャンルです。並列や分岐し、フラグによってプロット自体が変わってしまうこともある。やっかいだ。
「E.T.」や「スターウォーズ」などハリウッド映画をお手本に”起承転結”を学んだあとは、実際のゲームソフト2本を題材にした講義にうつります。
その2本とは、「天外魔境U」と「ルナ エターナルブルー」。
名作といわれている、90年代のRPGです。
テキスト、グラフィック、システム、インタラクティブ性……。
ゲームができるあらゆる手段を使い、キャラクター性や物語を表現する。
多彩な工夫の数々は、この分野以外のシナリオライターが読んでも参考になるものばかり。
”天地人(※)””時間を盗む(※)”など、これまで紹介した本で学んできたシナリオ関係の用語がふんだんに使われています。
※ 時代、舞台、登場人物のこと。早めに受け手に伝えるべき物語の3要素。
※ 時間や空間を飛ばすことで、重要でないシーンを省略すること。
ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪
あきか(@akika_a)
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