2017年02月07日

「フェイクニュース」にだまされないための小説3冊と新書2冊

 
今日のなぞなぞ
「”フェイクニュース”にまどわされないために読みたい本は?」


「クローズアップ現代」というNHKの番組で「フェイクニュース特集」が組まれていました。

フェイクニュースとは、真実ではないニュース情報のこと。
偽の情報がSNSなどネット上で”拡散”され、事実がどんどん歪んで伝播していってしまう……そんな現代社会の特性に斬りこんだ特集でした。


☆★☆



情報は、伝わるたびに劣化してしまう。
話には尾ひれも背びれもつく。
それは伝言ゲームを例に出すまでもなく、ある意味仕方がないことでもあるのだけれど。

ネットによって、間違った情報がものすごいスピードで”拡散”されるようになってしまった。
(自然と歪んでしまうものだけではなく、はじめからデマを流すことを意図しているケースもあるのが問題を根深くしていると感じました)

必死に真実を訴えても、ニセ情報を信じてしまった人までなかなか届かない。
「訂正」というのはそんなに魅力的なネタではないので、当然、広がりにくいんですよね。



ニセのニュースにまどわされない情報リテラシー(※)を身につけるために。
今日は「フェイクニュースにだまされないための本」を紹介します。

※ 読み書き能力。情報を参照する能力のこと。


☆★☆


まず小説を3冊。


『白ゆき姫殺人事件』は湊かなえさんのミステリ小説です。

『告白』『夜行観覧車』などのひと。
人間の、”目をそらしたいような、嫌な部分”を描きだす、いわゆるイヤミス系の作品が多い作家さんです。

↓映画化もされています。

白ゆき姫殺人事件 [DVD]
松竹 (2014-09-03)
売り上げランキング: 7,185



ある化粧品会社につとめていた女性社員。
彼女が謎の死をとげる。
そして、
この事件をめぐるさまざまな言説が、あらゆるメディアで飛び交う。


マンマローというSNS、週刊誌の記事、関係者の証言……。


物語が進むうちに、同僚の城野美姫という人物が「怪しい」と目されていきます。

ところが、いろんな人が語る城野美姫の人物像がまるでバラバラなのね。
なにがホントなのか、ぜんぜんわからない。


「記者が関係者に取材をするシーン」があって、
「その取材をもとにして書かれた記事」が出てくるんだけど、これもひどい。

取材のシーンで描写されていた情景とはまるで異なる
「悪意のある記事」がねつ造されています。



最終章は当の城野美姫の視点です。
彼女は、メディアに飛び交う<城野美姫像>をみて愕然とする。


これがわたしなのか……?


と。



現代社会の<情報>について、強い問題提起をはらんだ良い本です。


SNSで流れてくる情報。
そんなの、ぜんぜん真実じゃないかもしれないよ?



☆★☆




続いて、もう1冊小説を。
以前の記事(【恋愛】10代のうちに読んでおきたい小説10冊【青春】)で第1位に推した、私の大好きな本。短編連作の青春小説です。

今日ピックアップするのは、このなかの「〇をつけよ」という作品。
「〇をつけよ」は美少年高校生の時田秀美くんが学校でコンドームを落としちゃう話なのですが(どんな話だ(笑))、

ものごとに簡単に〇×をつけることの身勝手さ・無責任さをテーマにしています。
秀美くんは「子供を殺す親」のニュースをみて、こう考えます。

子供を殺すなんて鬼だ、とある出演者は言った。でも、そう言い切れるのか。
(中略)
明らかになっているのは、子供を殺したということだけで、そこに付随するあらゆるものは、何ひとつ明白ではないのだ。

「〇をつけよ」より


フェイクニュースにかぎらず、
ちゃんとした報道であっても、ニュースが伝えるのはその事象の「一側面」にすぎない。
思い込みでものごとを語ったり裁いたりすることには、慎重でありたいよね。


☆★☆




3冊目は、われらが樋口一葉の「にごりえ」という作品。

関連記事:
【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】


「にごりえ」の主人公のお力は娼婦です。
お力は美人で芸事や教養にも通じているので、
お客や同僚など街中のひとたちから好奇のまなざしを向けられている。
このお力が元カレと心中してしまう……という物語です。

いろいろな人がお力について語っているんだけど、
『白ゆき姫殺人事件』とおなじように、みんな言っていることがバラバラ。

お力は、いわば「野次馬的な目」をつねに向けられている女の子なわけです。
でも、誰ひとりとしてお力の「悩み」を理解してはいない……。



<語られる言葉>というのは、
基本的に真実とはかけ離れている
……くらいに考えておいていいんじゃないかな、と思います。

ニセのニュースを盲信してしまうくらいなら、
はじめから疑ってかかるくらいがちょうどいいのかもしれない。


↑原文は擬古文スタイルで非常に読みにくいので、
↓現代語訳がオススメですv




☆★☆



新書では、やっぱり荻上チキさんの本をピックアップさせてください。
荻上チキさんは何について書いても「情報リテラシー」について語ってしまう……そんな書き手だと思いますv

どの本を選んでも主旨に沿うのですが、
たとえば……


以前の記事(ネットいじめ、スクールカースト、キャラ戦争)で紹介した本書。「ネットいじめ」や「学校裏サイト」について、ちょっと前の状況を論じている本ですが、”メディア論”の本として普遍的

学校裏サイト=悪というわかりやすい構図に短絡されてしまう「有害メディア論」に警鐘を鳴らしています。



それから、おなじく荻上チキさんの『ウェブ炎上』も。


以前の記事(最近読んだ「未来を予測する」本10冊)で紹介しました。挙がっている事例は昔のものですが、「カスケード」や「フィルタリング」など”ネットメディア論”として押さえておきたいお話がいっぱい載っています。




そんなこんなで。
「クローズアップ現代」の特集に刺激を受けて、
思いつきと勢いでかいてしまった^^;記事でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


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ネットいじめ、スクールカースト、キャラ戦争
最近読んだ「未来を予測する」本10冊
オリジナルのない世界――ネット上の拡散文化と”シミュラークル”
カテゴリ:ネット・情報リテラシー





posted by akika at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | ネット・情報リテラシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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