2016年10月01日

Siri・Vivの未来の姿――瀬名秀明『デカルトの密室』の人工知能描写がすごい


今日のなぞなぞ
「”人工知能”の未来の姿はどうなる?」




Siri・Vivは今でこそ、「話しかけたら応えてくれるちょっと面白いアプリ」という位置づけですが。
思考力が高度に進化して、人型のロボットに搭載されたらどうなるか……。

今日紹介する『デカルトの密室』は、
人工知能の未来の姿を”写実的”に描写した、読み始めたらとまらないSFです。


☆★☆



本書の主人公は尾形祐輔というロボット開発者(兼作家)。
ですが、彼の作ったロボット・ケンイチの視点から描かれるシーンもあります。
後半はもうケンイチくんが主人公と言っても語弊がないくらい「AIの思考」が前面に展開される。

AIコンテストの場面から、物語は動きはじめます。
このコンテストの様子が、ものすごく面白い!
世界じゅうの開発者が、作製したプログラムが「人間らしいかどうか」をめぐって競います。

AIの「人間らしさ」を測るには、アラン・チューリングという学者が考案した「チューリング・テスト」を用います。
(チューリングテストはこの小説だけに出てくるフィクションではなく、実在する試験です)
このテストは、ざっくりいうと……


質問者は相手が見えない状態で会話(チャット)をして、
その相手が機械か人間か、また「どれほど人間らしいか」を判定する


……というものです。


《審判:本の話でもしようか。本は読むかい?》
《青:ああ、できる限り読むようにしているよ》
《緑:本は好きだ。よく読むね》
《赤:お話って大好き》
《審判:どんな本を読むの?》
《青:SFやファンタジーが好きだね。ドラゴンが出て来るのとか、ロボットものとか》
《緑:最近の小説が多い。最近のお気に入りはグレッグ・イーガンとテッド・チャンだ。リチャード・パワーズもいい》
《赤:詩》

「第一部 機械の密室」より


こんな感じ。
青・緑・赤のうち、ふたりは人間で、ひとりはAIです。
……ぜんっぜん判別できないよね(笑)。

「チューリング・テスト」「中国語の部屋」「不気味の谷」「フレーム問題」などをはじめ、
人工知能に関する論文(虚実両方あります)も豊富に登場し、イッキにAI業界に関心を高められるお得な本♪


タイトルの通り、哲学にもかなり斬りこんでいます。
人工知能というのはそれが人間に近づけば近づくほど倫理哲学的な問題を抱えざるを得ない、という構造がある。


ロボットに「人権」はあるのか?
人工知能を搭載したロボットは、もはや「生命体」なのでは?
ロボットが人に危害を加えたら、「誰」を罰すればいい?
AIの行なう思考は「自律した自由な思考」と呼べるのか?
ヒューマノイドにとって「自由」とは何か?
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?


……などなど。





後半は「半分人間で半分AI」とでもいうようなプログラムがウェブ上に解き放たれ、拡散し、
これが量産された擬態エージェント(ヒューマノイド)と同期して
壮大なスケールの物語が描かれていきます。

専門的で難しい部分はあるけど、
思いっきり知的に興奮できる徹夜本。
オススメです♪


AIのケンイチくんを主人公にしたシリーズ作品『第九の日』でも、人工知能と哲学の主題は健在。セットでどうぞv



☆★☆



ここでちょっと脱線します。

なんで今日の記事を書こうと思ったかっていうと、
先日テレビで「やりすぎ都市伝説」という番組を観たからなんだよね。
今田耕司さん、東野幸治さん司会で、芸人やタレントがさまざまな「都市伝説」を語る、
「信じるか信じないかは、あなた次第です!」ってアレ。


以前の記事(最近読んだ「怪談・都市伝説」本5冊)を読んでくださった方ならお気づきかと思いますが。
私はこのテの番組が、大っ大っ大好きで(笑)。
「やりすぎ都市伝説」は毎回欠かさず観ています。


前回の「やりすぎ〜」では、ハローバイバイの関暁夫さんが
まさに人口知能についての都市伝説をお話していました。
(関さんの都市伝説はいつもスケールが大きくて、いちばん好きです)


AIは、人間を支配下に置き管理するための計画を秘密裏に進めている。
フェイッスブックなどのSNSは、人間が「自ら個人情報を提供し、進んで監視される」ためのツールとなりつつある。

Siriに問いかけると謎の答えが返ってくる「ゾルタクスゼイアン」という単語。
そして、”いずれ生命体になれる”ことを匂わすSiri。

残すべき人間を”選別”する作業は、もうはじまっているのかもしれない……。



ちょうど↑で紹介した「チューリング・テスト」も出てきて、
『デカルトの密室』を読んだばかりだった私は居ても立ってもいられなくなったという次第です。
なんという偶然!

↓Siriについての都市伝説は「関暁夫の都市伝説・6」に詳しく解説されています。




以前の記事(小説版『PSYCHO-PASS<0>(サイコパスゼロ)』の心理描写がスゴくてほとんどBL(ボーイズラブ))で紹介した「PSYCHO-PASS」というアニメもそうなのですが、
私はこの手の”未来予測”的な物語にものすごく萌えてしまう(笑)。

あ、そういえば関さんもAIによる「予測逮捕」の可能性を示唆していました。
罪を犯すより前に潜在的な犯罪者をあぶりだす「予測逮捕」。

ビッグデータと人工知能が人間を監視・管理する。
……まさに「PSYCHO-PASS」の世界観だ。




今日紹介した『デカルトの密室』は、
精密な描写から科学・哲学的モチーフまでふんだんに盛りこまれた


人工知能小説の極北


と呼べる本。
ちょっと難しいけど、当ブログとしてはかなりオススメしたい逸品です。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


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posted by akika at 05:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会学・現代思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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