2015年07月18日

【文学】ライトノベルを「研究」するための参考文献19冊【社会学】

 
今日のなぞなぞ
「ライトノベルを”学ぶ”ための19冊は?」



「ライトノベルを『研究』するための参考文献19冊」をまとめました。
↓リストは↑『シャカイ系の想像力』の巻末で、中西新太郎さんがオススメしている本です。
(短い紹介文はこのブログのオリジナルです)
当ブログで何度か紹介している本も混じっていますねv


本書は、ライトノベル作品のイミジェリ(特定のトピック、現象、状況についての、心象をともなう描写)を通して、
ゼロ年代(2000年代)以降の時代の空気をあぶりだそうという野心的評論。

作品の引用がとても的確で、時代をおおう閉塞感や「生きづらさ」の問題がこれでもかというくらい目の前にたちあわられてくる。


本書のいう「シャカイ系」作品の問題意識は↓こうです。


強くなれない、あるいは強者になろうとしてはいけない。とすれば弱者から強者に「成長」する道ではない道を見つけなければならない。こうして問題は再び出発点に戻る。社会秩序を支える力に同種の力で対抗できない「弱い存在」が、それでもなお、この秩序に由来する抑圧をはね返すどんなやり方があるのか。
4.「平凡なうちら」が描く友愛 より



……すこし余談になりますが、
当ブログのひとつ前の記事((ドラマ版デスノ)なぜ月は三流大学で、ミサは地下アイドルなのか)で扱ったテーマと、非常に強く呼応しています。

この記事では、漫画版とドラマ版デスノートを比較して
ゼロ年代とテン年代(2010年代)の「社会の空気感」の差異について語りました。
弱肉強食の「生き残りゲーム」にはもう共感できない、そんな時代。


べつにぶつけたわけじゃありません。
本当にたまたまです。
例の記事を書いた時点では、この本を読もうとしていたことさえ忘れていたのですが、
なんだかすごくタイムリー。
そうか。私は「シャカイ系」について語ろうとしていたのか。




今年の夏休みはいっぱい本を読もうv
というわけで
ラノベファンのひとも、そうでないひとも、

ライトノベルをとおして
”今の気分”がみえるようになる19冊をど〜ぞ〜♪


 1.読書案内は本書から


『ロードス島戦記』から『涼宮ハルヒ』まで。書評と作品紹介を兼ねた案内本。

 2.日経ブランドがラノベを斬る!


日経ブランド「日経キャラクターズ」が編集したライトノベル読本。↓3冊持っていれば初期ライトノベルブームの作品群は網羅できます。イラストも多くて、読んでいて楽しいv




 3.このラノ!


このラノ! 毎年タイムリーな作品を紹介してくれる、読書案内の決定版。

 4.ラノベ界を概観する


榎本秋さんといえば、創作指南から評論まで「ライトノベルを語りつくそう」としている方です。「文学論」と銘打っていますが、それほど重たい本ではありませんのでご安心を。ラノベ界を概観したいなら、この1冊♪

 5.ラノベの「先行論」を研究


「修士論文を土台にしてライトノベルに関連する言説を丁寧に集めた」本、だそうです。ラノベの「先行論研究」という感じかな。私は未読。

 6.ラノベを「文学研究」する


学問的な手法でライトノベルを「文学研究」する論集。総論のほか、『我が家のお稲荷さま。』『文学少女』シリーズの作品論も。

 7.読んでなきゃお話にならない


以前の記事(碇シンジは夜神月を止められない――宇野常寛『ゼロ年代の想像力』)で紹介しました。東浩紀さんの名著。『動物化するポストモダン』と並び、読んでいなければお話にならない、というレベル。必読!



 8.ゼロ年代を総括する名著


こちらも、以前の記事(碇シンジは夜神月を止められない――宇野常寛『ゼロ年代の想像力』(ドラマ版デスノ)なぜ月は三流大学で、ミサは地下アイドルなのか)で紹介しました。本書も、もはや読んでなきゃお話にならないレベルの1冊だと私は思っています。サヴァイブ、決断主義、バトルロワイヤル……ゼロ年代の「想像力」をクリアに描き出す名著。

 9.「セカイ系」の系譜


セカイ系とは……「きみとぼく」の小さな関係(近景)が社会(中景)を経ることなく、そのまま世界の命運(遠景)等にリンクしてしまう物語形式。本書はセカイ系の系譜を丁寧に辿っています。

 10.「セカイ系」論、ガチバトル!


セカイ系作品やセカイ系周辺の諸問題に対する、本格的な論考。文学的アプローチはもちろんのこと、社会学、哲学、現代思想をクロスオーバーし、本気で「セカイ系」を語る。すさまじい読みごたえ。

 11.ポストモダン文化論


ライトノベルを語る本ではありませんが、↑東浩紀さんの「データベース消費」(※)の理論的礎として重要な1冊。80年代サブカルチャーを題材にした、ポストモダン文化論です。

※ 『動物化するポストモダン』で東浩紀さんが提示した、現代の消費のあり方。物そのものでもなく、物が提示する<物語>でもなく、対象の背後にある膨大なデータベース、世界観の一部を享受しようとする態度。

 12.物語という「構造」


もう1冊、大塚英志さん。創作指南であると同時に文学論でもある、おトクな1冊。以前の記事(最近読んだ「小説の書き方」本10冊〜文章力をめきめきアップさせるために【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】)で紹介した『ストーリーメーカー』ととても近い内容です。物語という「構造」を見据えるために、必読。

 13.ケータイ小説的


ケータイ小説について包括的に語った、(私の知る限りでは)唯一の評論。刺激的で面白いです。個人的にとてもオススメ。ライトノベル論ではありませんが、ふかい根っこのところで、テーマはつながっています。

 14.少女小説と「やおい」


以前の記事(黒山もこもこ、抜けたら荒野(水無田気流)――名作発見しました♪)でちょこっとだけ触れました、中島梓(栗本薫)さんの「やおい」論。BL(ボーイズラブ)の前身である「やおい」について情熱的に、魂を賭して論じます。やおいとは「君が君自身であること」を愛しているといってくれ、という作品群である。

 15.エヴァ、冨樫義博、やおい



野火ノビタ(榎本ナリコ)さんの評論集。エヴァンゲリオン、冨樫義博さん、やおいについて。

 16.なぜ「少年」に萌えるのか


ボーイズラブ作品の通低音をなす(と思われる)「少年を愛でる」という志向。私達がなぜ「少年」に萌えるのかを、心理学的に論じています。ちょっとフロイト的。

 17.BLレアグルーヴ


腐女子、ボーイズラブ、やおい、JUNE……。そんな言葉が誕生する以前にも、しっかりBL萌えは存在していた。ウェルメイドじゃものたりない、硬派なあなたに。BLレアグルーヴ(※)案内としても使える1冊。『デミアン』(ヘッセ)とか……みんな、大好きだよね?(笑)

※ 古い音楽に「実は宿っていた」グルーヴ感(ノリ)を再発見、再評価すること。

 18.「男装」、そしてジェンダー越境


「男装のヒロイン」を斬り口にして少女文化を俯瞰します。女性向け男性向けレーベルを問わず、ライトノベルに特徴的な”ジェンダーの越境”。考えてみればジェンダー規範も「社会秩序」が”強制”してくる抑圧以外の何者でもないわけで。ジェンダーにどう抵抗(逸脱)していくか、を描いた作品が、今後ますます増えていくだろうと私は期待しています。

私ごとで恐縮ですが。以前の記事(【電子書籍】恋愛&本格ミステリ『アトカタモナイノ国』をkindle、koboでリリースしました)で紹介した『アトカタモナイノ国』という作品は、拙いながらも、このあたりのテーマを扱っています。未読でしたらぜひ♪

 19.ヤンキー文化のイミジェリ


太陽族、みゆき族、暴走族、アンノン族、クリスタル族。オタク、渋谷系、コギャル、裏原系……。サブカル、コミュニティカルチャーの歴史を「族から系へ」とたどる。この本のトピックはライトノベルではありません。中西新太郎さんは、本書の手法でラノベの書き手/読み手の姿を検証できるだろう、と提案しています。





ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


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タグ:ライトノベル






 
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posted by akika at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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