今日のなぞなぞ
「Jポップを聴くように読める純文学は?」

今日は、最近私が乱読したなかから
”純文学(J文学・L文学)10冊”をぷちレビューしていきます。
どこかポップさを感じる日本の純文学……程度のイミで
私は「J文学」という言葉を使っていますが。
ほんとうは、
J文学……
文芸誌「文藝」が仕掛けたネーミングです。
現代的で新しい日本文学の総称のことですが、いまではほとんど使われていません^^;
(狭義では、阿部和重
L文学……
女性の書き手、読み手を中心とする、女子のための文学作品。
フェミニズムとも関係がふかいジャンルですが、こちらもあまり一般化していない呼び方かも。
(狭義では、江國香織
乱読、といっても今回は偏食で。
10冊ちゅう6冊が青山七恵さんの作品。
ハマってます。
以前の記事(バレンタインには世界を呪え―― Valentine's Day に読みたい本10冊)では、
『ひとり日和』という本を紹介しましたが、
青山七恵さんの作品は
「<世界>にすんなりと参加できない”私”」という一貫した強いテーマを持っています。
ここでいう<世界>とは、
いわゆるオトナのふるまいだったり、「常識的」な社会性だったり、
安定した人間関係だったり、心地のよい居場所だったり、いろいろなのですが、
登場人物は必ず、”あたりまえなセカイ”からはじきだされて存在している。
ある意味では「ぼっち(※)文学」と言えるかもしれません。
※ 学校などで友達を持たずひとりぼっちで過ごしている人を指すスラング。
こういうのを描くのが文学の役目だよなぁ、と思います。
シンパシーを感じるひとにとっては、これ以上ないくらい大切な本になるかも。
「もしかして、これ、私のために書いてくれてる!?」と錯覚してしまうくらい。
ピンときたあなたは、ぜひ読んでみて♪
心が揺さぶられるほど、切なすぎる作品群です。
あなたのお口にあう書はございますでしょうか?
私以外のみんなが、そこに生きている
私以外のみんなが、そこに生きている。でも私は。力を抜いても、緊張してみても、どうがんばったところで、<世界>に参加できなくて。コドモで居続けることもできず、かといってオトナになることも選べない……。ひとりぼっちの切なさが痛いくらい胸につきささります。
奇妙な味のJ文学
以前の記事(【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】)で『蹴りたい背中』を紹介した、綿矢りささんの短編集。恋愛小説のイメージとはうって変わって、奇妙な味(※)ともいうべき作品たちです。幻想的で、ちょっとホラー。「トイレの懺悔室」が描く異様な人間関係に鳥肌。
※ ミステリ作家・江戸川乱歩が提唱した、変格ミステリのジャンル。謎解きや論理的解決を主眼とせず、読後に違和感ののこる作品を指す。
当たり前の幸せなんか、いやだ
「あたし、当たり前の幸せなんか、いやだ」。15歳の藍子の家には、37歳のレミちゃんが居候しています。ふつうの人とぜんぜん違うレミちゃん。藍子の方がオトナっぽく見えるほどだけれど、藍子はじつはレミちゃんの内的世界を理解し共感もしていて……。<常識>と<逸脱>との間で揺らぎつづける藍子の心情が、ふかく沁みる。
文芸、アバンギャルド
精神科に行かなきゃと思いながら、いつもたどりつけずにいる神田憂。彼女の前に、何度も姿形を変えてあらわれるカイズさんとウツイくん。もはやなにが現実の描写で、どこからが妄想の記述なのかわからない幻想文学ですが、ひたすら面白いです♪ 文章がすごく音楽的で気持ちいい。エッジが効いたアバンギャルドを求めるなら、この1冊。
世界は突然私をはじき飛ばす
魔法使いになれると信じていた、小学生の結仁。でも、「世界は突然私をはじき飛ばす」。クラスでの立ち位置は揺れうごき、幼なじみたちとの関係性はうつり変わり、家族は解体をはじめ……。成長するほどに、あまりにも生きづらい現実がどんどん目の前にたちあらわれてきます。しんどいけれど、イッキ読みしてしまう。長編ならではのどんでん返しもあり。
私を、見捨ててほしい
以前の記事(【泣ける】女性作家が描く切ない恋愛小説10冊【沁みる】)で『ナラタージュ』を紹介した、島本理生さんの長編恋愛小説。『ナラタージュ』の”見捨ててほしい”というモチーフはこの作品でも変奏されています。自分を大事にできない“私”と、ひとところには留まれない”あなた”との、うたかたのような関係。リアルで、苦しいくらい切ないです。
表参道文学……!?
「そろそろなにか決めなきゃいけないかも」。新規開業した雑貨屋に集う、アラサー女子たちの日常記。とくにおおきな事件が起こるわけでもないですが、ゆるゆると過ごしていく空気感がリアル。ファッションの描きこみも細かかったりして、雰囲気がオシャレです。柴崎友香さんの作品に表参道の香りを感じてしまうのは私だけかな。
「かけら」より「山猫」
短編集。父と娘のささやかな交流を描いた表題作「かけら」が川端康成文学賞を受賞しています。でも、私が好きなのは「山猫」。新婚夫婦の家にいとこの女の子を泊めるお話なのですが、かすかにすれ違う三人の微妙な空気が、こまかい筆づかいで描き出されます。
偽りのリア充ライフ
「私」は、恋人も友達もいない社会人。はりあいのない毎日のなか、行方しれずだった弟・風太がふらり突然あらわれて……。風太は、どこにいても、誰とでもすぐに仲良くなってしまう子なのだけど、「私」はそんな弟に、嘘の”リア充ライフ”を話して聴かせる。ほんとは飲み会もランチも行っていないのに、行ったふりをする。青山七恵さんらしい作品です。
「お上手」がすごい
ささやかな一期一会を描く、短編集です。どの作品も大好きなのですが、「お上手」がすごい。「世界に参加できない感覚」を持ち、それを大事にしつつも、社会性を身につけ、恋人もでき、”あたりまえのセカイ”に居られるようになった主人公。
そしていつの間にか、大事にしていた感覚や感性が、失われてしまっていることに気づく。それは成長とも呼べるけど、喪失でもあるはずだ。「コドモだと思ってたのに、なんかオトナになっちゃったなぁ自分……」と感じたことのある方は、読んでみて!
お口にあう本はございましたでしょうか?
ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪
あきか
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