2014年11月14日

徹夜本見つけました――新堂冬樹『カリスマ』〜あわせて読みたい「カルト宗教」本

 
今日のなぞなぞ
「”カルト宗教本”のオススメは?」


正しいものなんて、ほんとうはなにもない。
世界に満ちる不確かさと、人は向かいあって生きていかなきゃならないのだけど、
たまに、その寄る辺なさに負けそうになる。だから
繰り返される「救い」という言葉を、自分で選んだと思いながら、選ばされてしまう。



……そんな感じかな。
今日は、読み始めたらとまらない徹夜本の紹介です♪

新堂冬樹さんは、なんと闇金融業出身。
『悪の華』など、社会のダークサイドを描いたノワール(暗黒・犯罪小説)が光る作家です。
その新堂さんが「カルト宗教」の世界を濃厚な物語に仕立てあげたのが『カリスマ』
黒い。黒新堂、です。



ある少年を襲った不幸。
それは、母親がカルト宗教団体に洗脳されたことだった。
目を覆いたくなるような惨劇の末、両親を亡くし身寄りを失った少年。

大人になった彼が選んだ職業は……


なんと、教祖!


復讐心や母への慕情をつのらせながら
彼は信者を利用して、欲望を満たしはじめる……。



☆★☆




三人称なんだけど、わりと主人公(教祖)の視点で話が進むことが多い。
そうすると、どうなるかっていうと。

教祖のでたらめぶりが
表から裏からまる見え


なのね。
どんだけやりたい放題だよ(性的な意味でも)。


私は肉は食べない。
とか言いながら、裏ではかぶりついてるの。肉に。

教祖は全知全能ってことになってるのだけど。
知らないことを聴かれたり、できないことを求められたりすると
「私はあえて助けないのだ」って豪語する。
で、信者は「ありがたや〜」って。
それで、楽屋裏では「ふぅ、危なかった……」みたいな。



もうね。
信者たちの肩を揺さぶって言いたくなる。
「騙されてるんだってば!」と。
そのもどかしさが、またページを繰る手をスピードアップさせるのですが。


あと、これは確信犯なんだけど。
描写に品がなさすぎ。
教祖のゲスの極みっぷりに、目を離せなくなります。

怖いものみたさ、的に。
どんどんページをめくってしまう。
洗脳シーンもすごいです。精神的にクル。



☆★☆




後半になるとさらにストーリーは加速する。
神の郷(主人公が主催する宗教団体の名前)に妻を奪われた男と、
洗脳を解く活動をしている民間団体が出てきます。

三者の利害や性格が対立したり、部分的に重なったり、
物語は三すくみの様相を呈してくる。

どんどん面白くなります。
どんでん返しもバッチリ決まっています。


それから、教祖の「右腕」的な人物がいるのですが、
彼の忠誠心がすごい。最後の方は
ダメダメな教祖よりも”宗教的な真実”に近づいていくのだけど、
やっぱり教祖命! なのがまたもどかしい。

執事と主人、騎士と王みたいな、
精神的ボーイズラブがみられます。萌える。


文庫で全3巻(ハードカバーだと2巻)。
鉄板のエンターテイメント作品。ノンストップの読書体験をお約束します♪
↓漫画化もされているようです。






☆★☆




”カルト宗教本”は、じつは私が好きなジャンルでして。
今日は「あわせて読みたい”カルト宗教本”」も紹介します。


1Q84 BOOK 1
1Q84 BOOK 1
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村上 春樹
新潮社
売り上げランキング: 25,591

みんな大好き村上春樹さんの”宗教本”。
ジョージ・オーウェルの『1984年』をオマージュした小説です。
1984年の並行世界「1Q84年」で、すれ違い続ける天吾と青豆。
宗教団体「さきがけ」が、ふたりの運命のキーポイントとなります。

「さきがけ」は、カルトというよりは、ちゃんとした宗教っぽいかな。
『カリスマ』の「神の郷」のようなデタラメさはないです。
宗教団体の内部や原理を細かく描いているので、興味をそそります。
全部で6巻ですが、村上春樹さんの読みやすい文体にノセられて、さくっと読んでしまう。




洗脳の専門家でもある科学者、苫米地英人先生。
数々の洗脳本を出しています。
洗脳を解く「逆洗脳」のむずかしさは、『カリスマ』でも強調されていました。
洗脳を脱する瞬間が、いちばん危険。

苫米地先生は、教育やマスメディアに対しても「洗脳」の視点からアプローチしていて、
面白い本が多いです。とまべちっ。






以前の記事(セミナーにハマる前に……)で紹介した2冊です。
宗教じゃなくて自己啓発セミナーの本ですが、共通する原理があります。
自分にとって心地よい「物語」がそこにあれば、人は
みずからそれを”選びとって”しまう。




なにが正しいかなんて、ホントは誰も言えないけれど。
世界に満ちる不確かさと向きあうとき
手助けになるのは、本、なんじゃないかな。


だから、


みんな、いっぱい
本読もうよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆




って今回もそれだ(笑)。

「ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"!」って毎回繰り返しているわけですが、
ある意味、これも洗脳だよね。
本読めばぜったいメリットがあるよ! ……という”物語”。

でも、世界の不確かさに向きあうとき
絶対的な孤独を助けてくれるのは本だと思うし、
たくさん本を読んで、ひとりひとりがまどわされないしなやかな知恵を身につけてくれれば、
それが私にとっての正義なので、言い続けると思います。



そんなわけで。今日も


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


追記)
宗教関連のミステリで名作をみつけたので追加♪


飛行機をハイジャックした犯行グループ。彼らの要求は教祖ならぬ「師匠」(留置中)を連れてくること。しかし、機内では不可解な殺人事件が発生する……。「師匠」が主宰するのは、不登校児を支援するキャンプです。宗教団体ではありませんが、「師匠」の思想や能力は、あきらかにグル(指導者)のそれです。ミステリとして、名作中の名作なのでぜひ♪


追記)
『カリスマ』が面白かった人にオススメ! ↓『悪の教典』のレビュー記事を書きました♪


徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」





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posted by akika at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会学・現代思想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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