2014年11月11日

1行でわかる。なぜ円安になるのか〜円安だとどうなる?

 
今日のなぞなぞ
「なぜ円安になるのか?」

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「円安」とは、
ほかの通貨に比べて、円の価値が低い(低くなっていく)こと。

ニュースでよくみる「円安」は、
アメリカの通貨、ドルと比べたときの、日本円の値段を指しています。
(ドルでない場合は「ユーロ円」などと言っているはずです)


2012年 およそ 80円=1ドル
2014年 およそ 110円=1ドル
2020年 も およそ 110円=1ドル



上が円高。
下が円安。
1ドルを買おうとすると、30円も多く円を払わなければいけなくなったので、
円の価値が下がった=円安
 ……というイメージです。



ではなぜ、円安になるのか。
今日はそれをわかりやすく1行で説明します。


本日のなぞなぞの答え


円がいっぱい増えたから。




以上。


……と、これだけじゃあまりにあんまりなので^^;
ちょっとだけ、補足していきますね。


あ、その前に。


お金というのは、じつは、かなり相対的なもの。


このことを念頭に置いておくと、
スムーズに読みすすめられると思います。


100円はずっと100円のまま、と考えてしまいがちだけど、
ほんとうは、100円の価値は「毎日」変動しています。


物の値段があがっていけば(インフレ)、100円の価値は(物に対して)下がる。
ドルの価値があがっていけば(円安)、100円の価値は(ドルに対して)下がる。

将来の100円の価値は、今の100円の価値よりも低い(割引現在価値)。
(預金や投資など運用をしていれば、増えているはずなので)

『リスクを取らないリスク』(堀古英司)ってヤツですね。


世界のお金は、「居場所」を探して
日々、世界中をさまよっている。



この考え方がポイント。


(もくじ)
・なぜ円安になるのか?
・円安だとどうなる?
・なぜ1ドル=10,000円にはならない?
・なぜ円高になるのか?
・なにが正しいかはわからない





 なぜ円安になるのか?


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教科書的に言うと、
その国の通貨が安くなる原因には、↓以下のようなものがあります。


(ほかの国と比べて……)
1.金利が安い
2.その国の将来が不安(政府の財政や経済成長など)
3.貨幣の供給量が増え、今後も増えそう(インフレになりそう)
4.トレンドが続いている
5.ほかの国の通貨の方が魅力的



順番に説明すると、


1.金利
金利が高い国でお金を預けておけば、低い国よりも増え方がおおきい。
たとえば、
日本の金利が0.5%、アメリカが2%だった場合、
1年後には1000円が1005円に 1000ドルは1020ドルになる。

もし為替相場がずっとおなじだったなら、
円をドルに替えて運用して、1年後に円にもどせば1.5%もお得です。

……あれ?
だとすると、金利の高い国の通貨はえんえんと高くなりそう。
反対に、超低金利の円は、一瞬で極限まで安くなりそう……ですよね。
でも、1ドル=10,000円まで円安にはなってない。この話は後ほど出てきます。


2.将来性
たとえば、円が将来的に「無価値な紙切れ」になってしまいそうだとすれば。
みんな「円なんてほしくない」と思うから、円の価値はどんどん安くなります。

あー確かに、
財政赤字だし、高齢化だし、景気回復のスピードも遅いよなぁ……

と頷いてしまいそうになるけど、
待った。


じつは、円は国際的には「安全な通貨」とみなされています。
世界からみれば、「紙切れにならなそうな通貨」ナンバーワン。
え、じゃあ、なんで円安になるの?
……この話も後で出てきます。


3.供給量(インフレ)
現在(2012年頃からはじまった円安傾向)は、この影響がいちばん大きいと思います。



景気対策として、
日本銀行(日銀。日本の中央銀行。お札を刷るところ)が金融緩和(お金をたくさん市中に流す)をしたので、
円があふれかえった。
いっぱい増えたので、1円あたりの価値が下がった。
なので、反対にドル高(=円安)になった。

(じつをいうと、アメリカも緩和を実施していたのですが、
景気の強さを背景に、緩和を縮小・終了しました。その結果、
ドルより円がたくさんあふれたので、急速な円安が進みました)


え、1円は1円でしょ。
1円の価値がさがるの?
 ……と思ったあなたは、
最初のポイントを想い出してみてくださいね。

お金の価値は、相対的。
100円の価値は、毎日変動している。


『リスクを取らないリスク』ってヤツです。


4.トレンド
資産の価値は、
動きはじめるとその方向にずっと動きやすい……という性質があります(傾向、トレンド)。


円安が進行すること、それ自体が円安を進ませる


「頭痛が痛い」みたいな話だけど、
これも理由のひとつです。
バブルが起こるのと、まったく同じ理屈。
「トレンドがずっと続く」ことに賭ける人達がどんどん増えていくと、
”実際に”トレンドが長く続いてしまう(たとえ矛盾をはらんでいたとしても)。


5.ほかの国の魅力
「2.将来性」とおなじです。
その国の将来性がまあまあだとしても、
ほかの国の方がずっと魅力的なら、相対的に通貨安になります。


教科書的には、
こんな感じ。


 円安だとどうなる?


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つぎに。
円安だとどうなるのか?

教科書的に言うと、
↓以下のような効果があげられます。


(日本では……)

→輸出産業がもうかる

→海外でつくって海外で売る会社も、円に換算すれば利益が増える
(ドルベースで考えるとそうでもないことに注意!)

→輸入する企業はしんどい(高く仕入れないといけなくなるから)

→材料を輸入に頼っている商品は、値段があがりやすい(円高還元セール! の逆)

→外国人旅行者が増えやすい(安く日本に行ける)

→日本人は海外旅行に行きにくい(高くつく)


こんな感じ。

ちなみに、通貨安と株高は、教科書的には無関係です。
日本では、海外需要が増えれば売上があがる企業がかなりあるので、
結果として、円安→株高
になりやすい、というだけです。


 なぜ1ドル=10,000円にはならない?


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ここですこし話を戻して。
なぜ、一瞬で超円安にならないのか? という問題をいっしょに考えてみましょ。

ドルの方が金利が高いなら、一瞬で超ドル高になってもおかしくないよね。
ドルのが有利なんだし。


ではでは。
ありえないけど、極端なケースを想定してみます。


10,000円=1ドル。


ここまで円安が進行したとします。一瞬で。
で、ハンバーガーの値段が
日本では100円、アメリカでは1ドルだったとします。

でね。
一瞬で円安になったんだから、
物価の水準は、まだおなじままだよね。
ハンバーガーベースで両方の通貨をはかってみると、

1ハンバーガー=100円
1ハンバーガー=1ドル
為替レート:10,000円=1ドル



……!
ハンバーガーを媒介にすれば、
100円があっというまに100倍になる!!


1万円をお財布から取り出して(10,000円)
ハンバーガーを100個買い、(-10,000円)
そのハンバーガーをドルで売り、(+100ドル)
そのドルを円に戻せば100倍(+100ドル=+1,000,000円)


日本でハンバーガーを仕入れ、アメリカで売りまくればとんでもない利益がでることになります。
もし日本中のハンバーガーがなくなったら、
もっと増産だ!

そう考えた世界中のひとたちが日本に押し寄せ、
ハンバーガーをつくりまくる。
借金をしてでも、工場をつくって、
つくる。つくる。つくる。

もう、日本にいるかぎりは職にあぶれることもないし、
ハンバーガーをつくり続ける限り、とんでもない速度で大富豪。

もうね。円をいっぱい手に入れて、ハンバーガーがたくさんほしい。
お金を借りたい人も増えまくり、金利はあがる。
需要も金利もあがり、円をほしいひとはもっと増える。

世界じゅうのみんな。みんな、円を買う。
……そんな国の通貨が安いままであるはずがありません。



ちょっと極端な思考実験だけど、
一瞬で円安が起こらないのは、こういう理由です。

円が下げれば下げるほど、
円の”割安感”は増し、逆に円がほしいと思う人は増えてゆく。
トレンドはいずれ、どこかで反転します。


 なぜ円高になるのか?



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今度は
「円高になる理由」を考えてみましょ。


教科書的には↑の「なぜ円安になるのか?」の逆をみればいいのだけど。


(ほかの国と比べて……)
1.金利が高い
2.将来性がある
3.通貨供給量が減り、今後も減りそう
4.トレンドが続いている
5.ほかの国の通貨の魅力が薄い



んー、なにかが違う。
今日の記事では「教科書的に」という言い方を連発していますが、
これはわざとです。


ほんとうは、
現実は教科書どおりにはならない。



ちょっと前まで日本は「円高不況」の状態にありました。


円高なのに、
1.金利はゼロに近く、
2.財政赤字だし、景気は回復のきざしをなかなかみせない、高齢化問題も深刻、しかも貿易赤字
3.金融緩和をしているので、供給量は増えている

(4.トレンドは円高でした)
5.ほかの国の通貨も、けっこう魅力的だった

でも、円高。

ほとんど教科書と逆! でした。



じつは、日本円は、世界的には「安全通貨」だとされています。
経済はグローバルにつながっているので、
景気がよくないときは、だいたいどの国もそう。

世界同時不況のもと、
居場所を求めてさまよっていたお金は、

「せちがれぇ時代だぜ。とりあえず安全な場所にいるとするか」

と、円に安住
していたわけです。


円が「安全」である理由はいろいろありますが、

・日本が対外資産(外国のお金や株、債権など)をたくさんもっていたり、
・日本国債(国の借金)がドメスティック(ほとんどが日本人に対しての借金なので見放されにくい)だったり

するのが主な要因かな。


輸出企業が多いのに
「世界から円高を押しつけられて」いた日本は、
景気回復で一歩遅れる格好になっていました。


追記)
日本の過剰な金融緩和や債務超過などを鑑みて、最近は円の”安全性”が低下しているのではないか……という論調もあります。
「リスクの回避先」としてこれからも円が選ばれ続けるかどうかは、意見がわかれています。


 なにが正しいかはわからない


イルミの奥に屋台done345

なかなか教科書どおりにはいかないものですね。
それから、

これまで正しかったことが、
これからも正しいとも言えません。


これからもずっと、円が安全通貨であるとは限らないし、
あらゆるトレンドは、いつかは反転する。
でも、「必ず」反転することも、「絶対」とは言い切れない。



いろいろなものが不確かな時代。

みんな、いっぱい本読んで
しなやかな知恵を身につけようよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



というのが、このブログのコンセプトです。


そんなこんなで。
今日はめっちゃひさしぶりに
金融リテラシーのお話でした。


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a
 

追記)
「リスク回避の円高」について学べる良書をみつけたので追加♪


日銀とモルガン・チェース銀行で為替の現場と向かい合ってきた著者が、
”教科書どおりにはいかない”マーケットの性質を解説しています。
円高時代にひろく読まれた本。
佐々木さんは言います。

「為替相場は国力の違いを反映する」「経済力の弱い国の通貨は売られる」「人口減少がその国の通貨の下落に繋がる」といった間違った先入観を捨てて欲しいのである。


「通貨の価値は国力を反映する」などという考え方は、「国力の強い国のワインは美味しい」と言っているのとおなじくらい荒唐無稽である。


すこし専門的ですが、リスクオン/オフといった世界のお金の流れや、
物価上昇率(インフレ率)と為替の関係について、よくわかる一冊。
金融政策や為替介入が市場をどう動かしてきたのか、その事例も豊富です。



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posted by akika at 00:44 | TrackBack(0) | 金融リテラシー・投資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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