今日のなぞなぞ
「民主主義の未来のカタチは?」
「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)
posted with amazlet at 14.11.04
ジェームズ・スロウィッキー
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 13,063
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今日紹介するのは↑この2冊。
続けて読んだのですが、偶然にも
『一般意志2.0』は『「みんなの意見」は案外正しい』に言及して、参考文献として挙げていました。
なので、2冊同時にレビューしてしまおうという荒技です。
☆★☆

『一般意志2.0』の著者は、以前の記事(碇シンジは夜神月を止められない――宇野常寛『ゼロ年代の想像力』)でも紹介した、東浩紀さん。
このブログでもちょくちょく取りあげている、”今”を代表する思想家です。
『「みんなの意見」は案外正しい』は、以前の記事(読書家5氏(伊藤真・本田直之・勝間和代・土井英司・和田裕美)の厳選オススメ本)で
経済評論家の勝間和代さんが「厳選オススメ本5冊」にセレクトしていた本です。
現題は「The Wisdom Of Crowds」……群衆の知恵。
集合知ってヤツですね。
この2冊が、めっちゃ関連がふかい。
いま想いかえしてみても、「あれ? これって、どっちの本に書いてあった話だっけ?」
となってしまうくらい。
エキサイティングな”セット読書”でした。
☆★☆

『一般意志2.0』は、政治哲学の思想家ジャン・ジャック・ルソーの『社会契約論』を
現代に照らして読みなおしてみよーよ、というエッセイです。
『社会契約論』はフランス革命やアメリカ独立におおきな影響をあたえたとされる、
歴史的な名著。18世紀の本です。
そういえば、↑のまんが版「社会契約論」も最近読んだばかりの本でした。
シンクロニシティ続きなこの頃。
ルソーのいう「一般意志」は、
ざっくりいうと「みんなの意見」のことなのだけれど、でも
世論調査! とか、アンケート結果! とはちょっと異なる概念です。
もっと抽象的な、形而上の存在。
なにせ、ルソーは「一般意志は間違わない」というようなことを言っている。
つねに正しく最適で公益的である、と。
『一般意志2.0』はこのへんのおさらいと解釈からはじまります。
一方、『「みんなの意見」は案外正しい』は
概念ではなく、「実際におこったこと」から積みあげていく。
わりとボトムアップな本です。
・テレビ番組「クイズ ミリオネア」では、スタジオ観覧者のアンケートの正答率がいちばん高い
・スペースシャトル チャレンジャー号の爆発原因を、株式市場が予測していた
・選挙やアカデミー賞の予想でも、多数派が間違うことはすくない
……など、具体的な実例をあげて
「ひとりの賢い人間の判断」より「みんなの意見」の方が正解を導きやすいことを示していきます。
☆★☆

ここでポイントなのは、統計的に”正しい”傾向がある「みんなの意見」とは、
べつに「みんなで話しあって合意を得た意見(熟議)」ではなくて、
それぞれが好き勝手にてんでバラバラな価値観で判断したその(差異の)総和である、ということ。
『一般意志2.0』は「熟議」と「一般意志」の違いを何度も強調しています。
ところで『「みんなの意見」は案外正しい』の最後の章のタイトルは
「第12章 民主主義──公益という夢」。
The Wisdom Of Crowds を民主主義に活用していこうよという「夢」を語って終わります。
ここで『一般意志2.0』の帯のコピーをみてみると……。
夢を語ろうと思う。
未来社会に
ついての夢だ。
私はたまたま『みんな』→『一般』の順に続けて読んだのだけど、
なんというか。このたまたまの意味を疑いたくなるくらい。
ほんとに偶然? なにか隠された真実があるんじゃないの、って(笑)。
でね。
『一般意志2.0』は、ニコニコ生放送や水道屋などにたとえながら、
「未来の民主主義の姿」をイメージしてゆきます。
もちろん、それは
国民全員がガンガン政治的に意見する超会議! では全然はなくて。
一般意志2.0を前提条件として
”代替可能な”代表者が政を運営していくような、ドライな世界。
あ、本書がいう一般意志2.0とは、
ITテクノロジーによって”みえる化”された「一般意志」のことです。
ツイッターやグーグルを例にあげていますが……
……これは、ビッグデータ(※)のことだよね。
※ 従来では考えられなかったような、数・量のデータの集積物のこと。
『一般』でも『みんな』でもビッグデータという言葉は出てきませんが、
これはたぶん、両書が上梓された時点では
ビッグデータという言葉がバズワード(※)じゃなかったから、かな。
もしリライトされれば、ぜったいにビッグデータがでてくるはず。
※ はやり言葉のこと。内容の薄い言葉がひとり歩きして流行している状態を揶揄する意味あいをふくむこともあります。
じじつ、「日経新聞」に掲載された鈴木謙介さんの書評では、
一般意志2.0とビッグデータの関連が言明されています。
↓以下は引用。
ビジネスの分野においては既に、消費者の好みを直接訊(き)くような手法に代わって、ビッグデータを統計的に処理して得られる行動予測の方が、市場調査のトレンドになりつつある。同じ手法が政治に応用される可能性はある。
一般意志2.0 東浩紀著 情報技術の進化と政治論じる(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO37844600X00C12A1MZC001/
テクノロジーが上手に活用され、
”案外正しい””一般意志2.0”が政治のインフラとして機能すれば
自動的に、最適に、みんなの幸せ(公益)がもたらされるかもしれない。
希望の2冊です♪
☆★☆

そんなわけで。今日は
社会の「未来」を語る本の紹介でした。
以前の記事(最近読んだ「未来を予測する」本10冊)にいれてもよかったけど、
ものすごい関連の深さにビビっときたので、単体でレビュー。
……単体? いや、2冊セットで、だ。
最後に。
ビッグデータ関連で見つけた、面白い記事を
おまけで紹介します。
ビッグデータを分析できる!可視化を利用したウェブサイトまとめ(株式会社LIG)
http://liginc.co.jp/web/service/other-service/90986
無料でみられるビッグデータまとめ。
風の流れとか、全世界のツイートとか、眺めているだけでワクワクしません?
こういう、
「すべてを把握しきれない世界」に身をゆだねているの、私は好きですv
それでは今日も。
ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪
あきか(@akika_a)
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| 【関連リンク】 |
一般意志2.0 東浩紀著 情報技術の進化と政治論じる(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO37844600X00C12A1MZC001/
ビッグデータを分析できる!可視化を利用したウェブサイトまとめ(株式会社LIG)
http://liginc.co.jp/web/service/other-service/90986










ぜひぜひ!
古典ちゅうの古典ですが、『一般意志2.0』と合わせて読むとまた違った顔をみせてくれますよ〜。
紹介した本を「読みたい」って言ってもらえるのは、読書ブログの書き手としていちばん嬉しいですv
ぜひまた遊びにいらしてくださいね♪