2014年11月03日

ちきりん『自分のアタマで考えよう』に仕掛けられた3つの壮大などんでん返し

 
今日のなぞなぞ
「考えること、をどう考える?」



今日は”おちゃらけ社会派”ブロガー、ちきりんさんの
『自分のアタマで考えよう』をさくっとレビューします。

本書は”考えるチカラを鍛える”本
選挙やプロ野球の将来、自殺、報道……などさまざまな問題について、
考え倒します。

分類やグラフ、マトリクス図(縦軸と横軸にいくつかの項目を記した表のことです)などを使いながら
ロジカルシンキングっぽい手つきで
思考を”みえる”化し、結論を導く。


この「結論」がクセモノで。
導かれた主張には「なるほど!」と思えるものもあれば、
「いや、自分はそうは思わないよ?」というものもあると思います。

だけど、この「結論」に目を奪われ、
賛成だ反対だ〜とやりはじめてしまうと、本書をちゃんと読んだことにはならない。



たまたまさいきん読んだ雑誌に、ちきりんさんのインタビューが載っていたのですが、
そこでちきりんさんは次のようなことを言っていました(↓引用でなく意訳です)。


特定の主張の賛同者を増やすことには、ぜんぜん興味ない。
みんなが「自分で考えられる」ようになってくれればいい。




本書でも、大切なのは
結論ではなく「プロセス」です。
”特定の主張”を凝視すれば、すべてを見失ってしまう。
……ものすごく面白いつくりの本だと思いました。





☆★☆




んでだ。
じゃあ、この本を読んで
「私も自分のアタマで考えてみよっと」って思うよね。
幸い、考えるためのヒントは本書にたくさんある。


・じぶんのなかにある知識が先入観となって思考を誘導していないかチェックして
・対象を分類してみて
・ときには、グラフや図で”みえる化”し
・なぜ? だからなんなの? と問い続け
・「思考の棚」を形成してゆく……。




そんな感じで本書の指導どおり
マトリクス図を描きはじめたとします。
そうすると、心の声がする。


「パクリじゃん!」


って(笑)。



「自分のアタマで考えた方法じゃないじゃん!」


って。



もしかしたら、うがちすぎかもしれません。
ちきりんさん自身は
「このフレームを使ってじぶんのアタマで考えてみてね」というつもりで
思考の技術を紹介したのかもしれない。

でも、やっぱり。
考える方法をパクったら、それはもう思考停止じゃん
……と思う自分がいたりして、
「考える枠組み」さえも「じぶんのアタマで」考えたくなる。


この本はそんな仕掛けになっています。
「考え方も考えろ!」……と行間から強制してくる構造なんですね。
トリッキーすぎる(>_<)。




☆★☆




じゃあ、どうしよう……。
「考え方をゼロから考える」方法は、
直接的にはこの本には載っていません。

”考え抜く態度”は奨励しているけれど、
ではどうしたら……と立ち止まってしまう。

そして、ふと天啓が降りてくる。


「なにを真剣に悩んでるんだ。
この本はエンターテイメントだよ?」




!!
そうだ、この本は「思考の技術」とうたっているけれど
「知的エンターテイメント」として読めるじゃん!
たしかにイッキ読みしちゃうくらい面白かったし。

そこではじめて、
ちきりんさんの”おちゃらけ社会派”という肩書が
伏線となって、回収される
わけです。


この本は、
思考エンターテイメントだ!


ここまでたどり着いて、表紙のちきりんさんのイラスト(アイコン)をながめてみると
「おつかれさまぁ〜」と舌を出しているように見えるのは私だけでないはず(笑)。



☆★☆




でね。
じゃあ、エンターテイメントだから
「あ〜面白かった」とそれだけでいいのかと”考える”と、
どうもそれだけじゃない感じが残る。

すでに↑でぐるぐると
「”考え方”さえ自分のアタマで考ねば」という視点を獲得してしまった私はもう、
あともどりはできないわけです。

「面白かったね」で終わらせることができなくなってる。
そこで、はたと気づく。
この本の”真の仕掛け”は、これなんじゃないか。


考えずにはいられない


そんな、焦燥にも似た情動に読者を突き動かしてしまう。
そこで、”おちゃらけ”であると同時に”社会派”である、という肩書が
ふたたび伏線となって活きてくる。


ああ、これは読んだひとを「思考」させる方向に動かしてしまう
”政治性”
が仕掛けられた本なんだ。ある意味、社会運動……だよなぁ。



”考えながら”読みこむことで、
どんどん本書の<意味>がひっくり返ってゆく、たくらみにみちた1冊。
良書でした♪



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


【関連記事】

最近読んだ「考える力を鍛える」本10冊

【関連リンク】

Chikirinの日記
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/






【関連する記事】
posted by akika at 21:24| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記・最近読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

『自分のアタマで考えよう』
Excerpt: ちきりん 『自分のアタマで考えよう』(ダイヤモンド社)、読了。 「なんだか売れてるらしいぞ」との情報は得ていたのですが、 この本が世の中に出てきた経緯を良く知らないまま、 とりあえず100円..
Weblog: 観・読・聴・験 備忘録
Tracked: 2014-11-03 21:55

ブログパーツ アクセスランキング