2014年10月26日

最近読んだ「未来を予測する」本10冊

 
今日のなぞなぞ
「未来を見通すための本は?」


今日は、最近私が乱読したなかから
”未来を予測する10冊”をぷちレビューしていきます。

未来予測……といっても占いのような超自然的な方法ではなく。
現在の経済や社会を見つめることで延長線上の未来を見通す、
そこからまた現代を眺めたとき
「今」が、よりクリアに見えてくる……そんな10冊です。

「今」どう動けばいいか、その指針となる
まさに ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"! な本たちです♪


あなたのお口にあう書はございますでしょうか?




 未来の日本のパノプティコン

PSYCHO-PASS サイコパス Blu-ray BOX 6枚組
東宝 (2014-10-15)
売り上げランキング: 346

本10冊と言っておきながら、1発目はアニメ。その人が「どれだけ犯罪に手を染める確率が高いか」(犯罪係数)を計測する「シビュラシステム」。これが社会インフラとなった日本を描く、近未来SFです。車は完全に自動運転になっていたり、ホログラムの技術がかなり発展していたり、ホントにありそうな未来の姿。システムに主体性を委ねてしまった人々の姿は、そのまま現代の日本にも通じます。フーコーのいうパノプティコン(※)型社会の描写でもある。

※ 中央に高い監視塔がある刑務所では、監視者の姿が見えないため、たとえ監視者がいなくても「見られているかもしれない……」と囚人が規律に従って行動する。この監獄のように、絶対的な権力者がいないなか、市民が自発的に自らを律するような仕組みが作動している社会のこと。



 どう考えれば未来がみえるか


イギリスの経済誌「エコノミスト」が未来を予測。経済だけでなく、健康や文化、環境、宗教、政治、科学、メディア……など、あらゆる分野を「予言」します。あてずっぽうではもちろんなく、人口(および高齢化)など統計的に高い精度で分析できる対象も。どれくらい的中するだろう、ではなく「どういうふうに考えれば未来がみえるか」という視点で読むのがオススメ。以下、目次。

第1部 人間とその相互関係
人口の配当を受ける成長地域はここだ/人間と病気の将来/経済成長がもたらす女性の機会/ソーシャル・ネットワークの可能性/言語と文化の未来
第2部 環境、信仰、政府
宗教はゆっくりと後退する/地球は本当に温暖化するか/弱者が強者となる戦争の未来/おぼつかない自由の足取り/高齢化社会による国家財政の悪化をどうするか
第3部 経済とビジネス
新興市場の時代/グローバリゼーションとアジアの世紀/貧富の格差は収斂していく/現実となるシュンペーターの理論/バブルと景気循環のサイクル
第4部 知識と科学(次なる科学/苦難を越え宇宙に進路を/情報技術はどこまで進歩するか/距離は死に、位置が重要になる/予言はなぜ当たらないのか


追記)
↓文庫化されました♪


 ミステリ作家が描く未来像


近未来SF小説です。コールドスリープ(冷凍睡眠)を研究する施設で迷ってしまい、目覚めたら30年後の世界にいた。そんな少女の物語。未来予測たっぷりな細部の描写が面白い。化粧ではなくマスクを着けるのが主流になっていたり、ギャルっぽい子が笑えることに対して「わかす〜」と言っていたり。ウケる、じゃなくて、わかす。ありそう。以前の記事(【ミステリ】読み始めたら止まらない徹夜本10冊【SF】)で紹介した『リピート』とセットで読みたい、時間旅行ものの傑作。

 拡張現実、アーキテクチャ


以前の記事(碇シンジは夜神月を止められない――宇野常寛『ゼロ年代の想像力』)で紹介した宇野常寛さんと、おなじく評論家の濱野智史さんの対談本。震災後の社会の「希望」をおもにネットメディアを足場にして語ります。直接未来を予測した本ではありませんが、拡張現実(※)やアーキテクチャ(※)の議論は、将来をながめるうえでかなり強力な補助線になります。

※ ネットワーク上の情報が加わることで現実が”拡張”するように作用する技術や、その仕組み。リアル/ネットという対比構造をもつ「仮想現実(バーチャルリアル)」に代わって、近年注目されている概念。強化現実。増強現実。
※ 建築物の様式をいうが、コンピュータのシステム設計を指し、現在は社会システム全般の構造についても用いられるようになった。


 もっと、アーキテクチャ


以前の記事(ネットいじめ、スクールカースト、キャラ戦争)で紹介した荻上チキさんの新書。テレビで発言するときもそうですが、チキさんはたんに主義主張を叫ぶのではなく「構造(=アーキテクチャ)をどう変えればよりよい社会になるか」という眼でものを見ています。「ダメ出し」でぼやいているだけじゃ、現実を変革するうえでなんの有効性もない。「ひとりひとりが〜を心がけるべき」という「心でっかち」な意見も意味がない。幸せな未来へ向けて、考え方のヒントがぎゅっと詰まった1冊。

関連記事:
「心でっかち」とは何か

 ウェブ社会はどこへ行く?


もう1冊、荻上チキさん。私はチキさんを「リテラシー(情報に対する読み書き能力)の専門家」として見ています。ウェブで起こった祭り・炎上事象のケーススタディをしている本書も、本質はリテラシー論です。ある立場に反対か賛成かと問うとき、その”トピック”のみが重要だと思われてしまい、他の話題はかき消えてしまう(争点のカスケード)。くりかえされた過去を正確に読み解くことで、しっかり未来がみえるはず。↓以下は引用。

私たちの歴史をひもとけば、既に数多くの騒動を経験しています。
そのような騒動が、これからも形を変えて起こっていくのです。

「四章 ウェブ社会はどこへ行く」より


 脳科学の最先端


脳科学のあらたな分野、ソーシャルブレイン=社会脳。他者とのかかわりのなかでの脳の働き研究する、心理学などもふくんだ学問越境的なジャンルです。本書は現在の社会脳研究の議論をわかりやすく整理・紹介しています。「つながり」がおおきなテーマとなっている昨今、この分野から出てくる成果が、未来の人々の「つながりかた」を左右するかも。

 ノマディズムとリゾーム


国内最大級の匿名掲示板「2ちゃんねる」の管理人ひろゆき氏は、いかにしてサイトを売却したのか! ……という本では全然ない(笑)。ひろゆきさんが本書を担当するライターさんとお喋りしてるだけです。テレビやネットの未来予測もありますが、この本をどう使うかはあなた次第。とはいえ、これからはひろゆきさん的なものがたくさんあらわれてくると個人的には思います。ぽっとゲリラ的に生まれたサービスがたくさんの人々に影響を与えていくような。ノマディズム(※)的な人が創っちゃう、リゾーム(※)的なものが。

※ ともにフランスの哲学者、ジル・ドゥルーズが提示した概念。ノマディズム(ノマドロジー)は、定住しない遊牧民のように、流動する社会や人間の”ひらかれた”在り方を志向する。リゾームは地下茎。ごちゃごちゃと張りめぐらされ、何にでもつながってみせる、流動性や自由を称揚する概念。



 電通マーケティングが未来をズバリ当てる


広告代理店・電通の「ソーシャル・プランニング局長」が2015年を大胆予測! ……って来年!? 2009年の本なので、およそ5年先の超近未来の予測です。「答えあわせ」をするように読んでみてくださいね。スマートフォンは「パソフォン」、3Dプリンタは「三次元プリンタ」など細かい言葉の違いはあれど、だいたい的中しています。現状を分析した本だよね、これ? ……という感覚。あと、ありえるかもしれない商品やサービスの企画が満載。クリエイティブなアイディアをたくさん拾えます♪ 以下、目次。

PART1 若者観測 ココロも人間関係もフラット化していく男女
コミュニケーションと若者のライフスタイル 「脱・アイデンティティ型の自分」へ動き出す“キャラ型ケータイ・ネイティブ”/仕事と結婚 トランスジェンダー化の中で、「隠れおひとりさまニーズ」が増えていく
PART2 シニア観測 細胞の代謝で延びゆく青春時代
ビューティ アクティブエイジングと「全方位キレイ」の追求でビューティ複合市場が誕生する/身体と健康 バーチャルからリアル、ケミカルからナチュラルへ 「細胞の声を聞くシステム」が病気を防ぐ
PART3 ファミリー観測 拡大する「食の絆」と「父親の家庭力」
食シーン 多用な「共食縁」が人のネットワークを再活性化する/育児 育児を取る「ポジティブ・ダディ」が生む、消費のアップ・スパイラル
PART4 情報社会観測 文化・技術の底力が市場をジャパンシフトさせる
クリエイティブ・ライフ デジタル表現力の力がコンシューマーをクリエイターに変身させる/ネット起業 「趣味は経営です」マイクロビジネス・ブームが拓く(誰でも社長時代)/携帯電話 「1人3回線3端末」へ ガラパゴスの眠りから目覚める日本ケータイの底力/ゲーム 高収入プロゲーマーも出現 ゲームは公告サービスの巨大メディアに
PART5 コミュニティ観測 新しい信頼関係が人の心と身体を活性化させる
心と健康 地域の新たな連帯が生む「ソーシャルキャピタル」が健康格差を緩和する/ スポーツ 2016年東京五輪へ スポーツの「みる」「する」「ささえる」が大融合
PART6 観光力観測 グローバル時代における、新しい日本の魅力
観光立国 日本人の「ホスピタリティ」と「ダイバーシティ」が世界の人々を引き寄せる/訪日中国人 大陸からやってくる新しい消費者の巨大なポテンシャル
PART7 環境社会観測 「サステナブル消費の時代」を創造する
エコロジー 「環境か経済か」から「環境も経済も」へ CO2本位制の徹底で創エネ社会に転換する/食料 食料の安定確保と地産地消に向けて自給率を5%アップ/生態系 個人、自治体、企業―さまざまな主体が始める「生物多様性を守る消費」


 「啓発された利益」が地球と市場を支える


ハーバードビジネススクール(HBS)のメンバーが、ビジネスを起点に未来を見通す。企業の社会的責任(CSR)が叫ばれてひさしいですが、この本が提示するのは利益を犠牲にして社会貢献する企業の姿ではありません。利潤を追求することがそのまま経済や環境の持続可能性につながる「啓発された利益」とそのビジネスモデルです。未来予測であると同時に、「次世代のリーダー達にはこうあってほしい」という啓発としても良書。ところで、かつて宮沢賢治は言いました。

世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
「農民芸術概論綱要」より


高度成長の時代なら、しめっぽいヒューマニズムに聴こえたかもしれないこの言葉も、成長が鈍化してきた今となっては「やっぱり、その方向しかないよなぁ」という妥当性をもって響きます。ルール(資本主義)にのっとってゲーム(ビジネス)をすることが、サステナビリティ(持続可能性)に直結するモデル……ある種アーキテクチャの議論でもあります。長い目で未来を見たときに「サステナビリティ」はぐんぐん大切なトピックになっていくので、いまからしっかり考えておきたいテーマ。




追記)
池上彰さんの”未来予測本”を追加♪


これからなにが起こるか、を見通すための情報リテラシーを教えてくれます。具体的に、どんなメディアにアクセスすればいいのか。つねにチェックしていることで、”いつもと違う動き”の萌芽に敏感になれる。経済の話が多め。投資家のあなたにもオススメです♪


追記)
グーグル元CEOの”未来予測本”を追加♪


技術がこう発展するからこういう社会ができる……理詰めで見通す本書の未来像は、かなりの確からしさがあります。描かれるのは「私たち」「アイデンティティ、報道、プライバシー」「国家」「革命」「テロリズム」「紛争と戦争」「復興」の未来。万人のコネクティビティ(つながり)は、世界をここまで変容させる。




お口にあう本はございましたでしょうか?
それでは、みなさまひとりひとりの”しあわせな未来”を願いつつ……


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


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posted by akika at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記・最近読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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