2014年01月08日

(対談企画)"視聴者様"じゃいられない!――アマチュア・クリエイターの希望と憂鬱

 
今日のなぞなぞ
「アマチュア・クリエイターは何を想うか」




新春企画として、当ブログ初の対談記事をお送りします。

参加者は、様々なジャンルで活動しているクリエイターさん達。
ちょうど昨年の今日、スカイプチャットで集まったときの模様です。
ログを編集し、対談原稿にまとめました。

とっかかりとして提示したのが、ニコニコ動画に関するお話だったためか
ニコニコ界隈の話題が多め。
アマチュア・クリエイターの”今”の「想い」がぎゅっと詰まった座談会になっています。


新たな年の幕開けに。
ホットでクールな対談をどうぞ♪


なお、
・参加者の名前はすべて仮名です(みなそれぞれハンドルネームを持っていますが、今回は匿名で統一しました)。
・(※)内の注釈は私が付け加えたものです。


☆☆☆☆☆☆(以下、対談)☆☆☆☆☆☆☆

<座談会企画>だべりば! - dub-e-liberty -

"視聴者様"じゃいられない!
――アマチュア・クリエイターの希望と憂鬱――





  ――2013年1月8日。Skype会議チャットに7名の人物の姿があった。
  これは彼らの、ゆるく、尖った、「だべり」の記録である――……。





  ▼はじめに▼



芥川: 今日はお忙しいなか、「だべりば!」に参加していただきありがとうございます。誰も来なかったらどうしよう……と思ってたけど、ちょうどいい感じの人数が集まってほっとしてます。

お集まりのみなさんは、それぞれのフィールドで<ものづくり>に励んでいる方々。「"視聴者様"じゃいられない! ――アマチュア・クリエイターの希望と憂鬱――」というテーマで、ざっくばらんに語りあっていく予定です。

本題にはいる前に、まずは自己紹介をお願いします。(名前・活動分野・発表媒体・ひと言など)



  ▼自己紹介▼



芥川: 芥川。小説書いています。媒体は同人誌、ウェブ同人誌、携帯小説サイト、電子書籍、公募など。それから、書評ブログを運営ちゅう。最近は撮った写真をソーシャル上に流したりもしています。

夏目: 夏目。小説&作曲を趣味でやったりやらなかったり。永遠の17歳。

本田: 本田です。主にニコニコ動画、生放送、USTREAMなどでDJと作曲をしております。リアルイベントにもちょこちょこ出させていただいています。テクノが大好きな東京三鷹市在住の絶滅危惧種です。

川端: 川端です。自分も少々小説を書いたり消したりしてます。夏目から誘われたのをきっかけに参加させていただきました。

高橋: 高橋です。夏目氏とは前からの知り合いです。クリエイターではないのですが、即売会スタッフやってたりアーケードゲームを保存している団体に噛んでたりします。

杉山: 俗にchiptune(チップチューン)と呼ばれている音楽ジャンルで、ファミコンを使った音楽を展開しています。概ねゲーム等のカバー楽曲のファミコン用音楽データの作成を主としていますが、オリジナルもたまぁにやります。ついでに最近はイベントなんかもやらかしています。

森: 趣味で小説と同人ゲームのシナリオを書いてる森といいます。今日はよろしくお願いします。



  ▼「何者」とはなにか▼



芥川: では本題。企画書を見てくれたひとには重複になっちゃうけど。↓のふたつの記事を読んだのがこの企画のはじまりです。

1.ニコニコブロマガ一般開放と「何者かになりたい人たち」の時代(アクトゼロ ソーシャルメディアチーム) - BLOGOS(ブロゴス)
http://blogos.com/article/52733/
2."消費の時代"から"生産の時代"へ - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/269813

1は、「何者か(有名)になりたいひとに課金する」というニコニコのビジネスモデルの分析。
2は、消費でなく「かっこよく生産(クリエイト)する」のが重視される時代になった、という指摘。

1のように「何者かになりたい(けどなれない)人たち」とまとめて括られることには抵抗をおぼえるのが、我々じゃないかな。オリジナルのコンテンツを持っている時点で、すでに私たちは「何者か」であるはずだし、ドラクエ7のキャッチコピーじゃないけど、「人は誰かになれる」♪

プロとアマの境がかぎりなく薄いこの時代、お金を払う側か受け取る側かというのは、創作物のオリジナリティやクオリティとはまた別の問題のような気もする。
個人的には「何者かどうか」なんて問うことなく、2のように「かっこよく生産(クリエイト)する」というスタイルに共感するのだけど。
でも、「何者でもない」現状をそれなりに打破したいと強く願ってることも決して否定できないわけで。

そこで、収益関係なく(むしろ経費をかけて)フリー(無料)で<創作物>を発信しているみなさんと、「(無償で)コンテンツを発信すること」にいて色々語ってみたいと考えた。

まとまらないまま、とりあえず投げるけど。ふたつの記事読んでみて、どう思った?

本田: 何かになれるって言うか、もともと何かだった人が多いのでは? と思いました。

夏目: 気づいたらこんなんになってた。

芥川: 「もともと何かだった」っていうのは、すでに発表できるコンテンツをもってたという意味?

本田: 発表の場は無くてもという意味ですね〜。

高橋: 生産というよりかは発表する敷居が下がった、につきるのかなと。

杉山: IP(※インターネット・プロトコル)という仕組みが、一般への間口を極めて大きく広げた結果の代表例、それが例えばニコニコであったりpixivであったり。特にニコニコの登場によって、「誰でも簡単にクリエイトする環境が整ってきた」。

夏目: ネットが一般化した時には、ネット自体が同人イベントみたいなもんだったよなぁ。

芥川: 敷居がさがった、っていうのは2の記事の指摘でもあるよね。

杉山: そういや、IP以前のいわゆる「パソコン通信」からネットワークにかんでる方ってどれくらいらっしゃいます?

芥川: パソ通時代は私は知らない。

高橋: 本格的な通信はやはりインターネットからですね。周りにはみかか破産(※「みかか」はNTTの隠語。電話回線を通じてネットワークに接続していた時代、通話料金の負担がものすごく増え、支払えなくなる人が続出した)する人がよく見かけられましたが。

杉山: アタシは、しょっちゅう親父にどやされていました。 <草ネット時代

森: ピクシブとかニコ動によって、誰でも何者か。にはなれる表現の場は広がったと思うけど。クオリティがないと、本当の意味で何者として認められるわけではないのかなーと。

高橋: 発表に必要なコストが極端に下がったのです。それに従って間口は広くなりサービスも増え、サービスが増えることでさらに間口が広がる、と。

杉山: そう。その間口が広がりました。じゃあ次のステップというか、壁があって、ソレが森さんのおっしゃる、「結局すげえやつじゃないとPV(※ページビュー)稼げねえじゃん」という壁ができてきた、って状況ですよね。

芥川: 「PV稼げるすげぇやつ」っていうのが1の記事のいう「何者」なわけだよね。

杉山: なんというか、そういう「実はすごいやつがたくさん潜んでいる」ってのをすくいあげる事の出来る環境、であったりしますね、ニコ動なんかは。

高橋: ニコ動のおかげで俗にいう「野生の〜」(※プロと比べても遜色のない作品やクリエイター)ってのに脚光が当たりやすくなったわけで。

森: 客層が乱雑に乱立してるのも、現状として色々な弊害があるのかなとも思うんですよね。

もちろん、それは広く人に知られるといういい意味もあるし、例えば、喧嘩だ露出だっていうような生主(※生放送の配信者)さんまでそういう「何者」に数えだしちゃうと、そこに1000人閲覧者がいたら、じゃあその人は「何者」と認められてるのか。と僕は思ってしまうわけです。

芥川: 炎上マーケティングだ。それはたしかに「何者」に数えたくない気がする。でも、閲覧者の数って気になるところではあるよね。

杉山: ひとつ大事なことがあって、今のニコ動が規模が大きくなりすぎた割に、レギュレーション(※決まりごと・ルール)がぶっちゃけ単一。黎明期のような「希望に胸を膨らませ」的な空気が薄くなってきちゃった。

芥川: たしかに。黎明期の雰囲気はないかもね。誰もが日常の延長で創作&発表できちゃう時代。

夏目: 難しいのが、良いモノは結構沢山埋もれてても、拾い出す人が居ない現状。人増えすぎたんだよなぁ、単純に。

杉山: 多分、(ユーザーが)増えたらどうしようかな的な部分までは考慮されてなかった、というか。

森: 良いものをすくい出すのは確かに今は難しいかもですね。ニコ動とかも規模が大きいし、難しいのはなんとなくわかる。でも、例えば音楽とかお絵かきもそうだけど。すぐにダイレクトにコメントもらえる。という部分ではニコ動とかは良い環境なのだろうなーとは思います。

本田: 「人の反応が距離時間問わず得られる」のは、今までになかったコンテンツですよね。

高橋: 伝える途中でバイアスがかからないでエンドまで届くってのが良くもあり悪くもあり。

芥川: ダイレクトにコメントというのは、まさに本田氏のDJなんかはリアルタイムなリアクションもらえるよね。

本田: 昔はそれに感動してインターネットが躍進しましたが、今はそれにも慣れてきてるのが現状ですかね。純粋にDJ中のコメントはダイレクトに嬉しかったり、恥ずかしかったりします。ニコは匿名だから真摯に受け止めます。

夏目: コミュをうまく回してる人で、匿名コメントにこだわって、誰が誰という馴れあいを防いでいる生主さんも居るよ。

杉山: インターネットは「特殊」から「生活」になりました、と。

芥川: 「バーチャルリアル」から「拡張現実」へ、というのは社会学なんかでも指摘されてる時代性ですわ。

杉山: DJとか、ライブとかってやってる側って、お客さんの顔色、テンション、もんのすごく気になるんだよね。「楽しんでもらえてるんかなあ」的な。



  ▼”視聴者様”は帰るな!▼



芥川: 本田氏から「匿名の意見を真摯に受け止める」っていう発言があったけど、ニコニコ界隈の「視聴者様は帰れ!」という言葉、どう思う? 2の記事にさ、批判的な意見が言いづらい世になったっていうのがあったけど。

高橋: nicoにかぎらずお客様、視聴者様、読者様ってのはどうしても嫌われるねぇ。

杉山: そういえばさ、コミケ前後って「お客様、じゃない。参加者だ!」ってツイートがよく回る。

本田: コミケは人と人が面と向かうので参加者というスタンスでいいと思います。

杉山: その「視聴者様は帰れ」ってのは主の言葉なのか、視聴者の言葉なのか、これ、どっちかで、かなり違いますね。……コメントで「視聴者様は帰れ!」ってハナシか。

本田: 視聴者様は帰れ! ……すごくもったいない言葉だと思いますね。どんな言葉でも匿名で出たコメントはかなり本心に近い言葉だと思います。たとえ的はずれなコメントでも「なぜこの人はこういうコメントを残したんだろう」と考えると、色々改善できる機会が増えると思います。

芥川: 本田はすごく謙虚だ〜。

夏目: 本田氏のとこは、人柄もあって、いい人達集まってるよねぇ。

本田: 良い方に恵まれてます。

高橋: 「視聴者」と「視聴者様」には大きい壁があると思っているけどなぁ?

芥川: 「様」がつくときはエラソーなひとたちを指すものね。

夏目: 濃い人も居るから、そのコメを見て、荒らそうと思って来ても去っていく感じだよね。

森: 批判的な意見が言いにくいってのは、前に夏目氏と言ってた事にもつながりそう。その人の好きな事とかに批判的な意見を言うと、それが自分自身が存在否定されたように感じる人が多いっていうような話をこの間してた。

夏目: 似たような技術レベルの人間が集まって、技術は平均化するけど、そこで止まってしまう……という話もあった。

杉山: ワレワレがこんなことをいうのも正直アレな気もするんですが、視聴者の質が低下してるという事実はありますよね。主としてはソレについて、表でどうこうってことはないんですけど、まあ、なんというか、「もうちょいと広く持とうぜ」とは思っちゃう。

川端: コンビニとかでもそうだと思うんだけど、「見ている」というより「見てやってる」と思うようになった人は多くなったと思う。

芥川: モンスターペアレントにも通じるね。

本田: 僕は放送してて思ったのは、「荒らしでも視聴者様」ってことですかね。コメがないよりずっといい。

杉山: おもしろい事実もあって、そういう荒れたコメントが出てくる場合は大体、コメント全体にいいコメントが潜んでるものです。 なので、ある種のエンブレムのようなものだ、とウチは思ってます。「ああ、罵倒されるようになったか(笑)」的な。結局、いろんな人がいるので、荒らしだけで終始完了してしまうコンテンツは、そもそも有名でない限り、まずありえないです。

高橋: 荒らしコメが出る動画はいい動画だっていう名言があるくらいですし。

杉山: そうそう。

森: 確かに。

夏目: (主が自分の動画が伸びないから自分で荒らしてる説)

杉山: それは正直チートだと思っちゃうかな。ただ、手段としてはアリかとはおもいます。ある種の営業戦略として。

高橋: 一時期自作自演騒動なんてのがありましたなぁ……(遠い目)。

芥川: 本田・杉山は「視聴者様」のリアクションもある意味歓迎してる感じなのね。

本田: ですねー。

杉山: 歓迎、というか、否定も歓迎もしないけど、指標としての解釈かなあ。



  ▼「馴れあい」は是か非か▼



芥川: ↑の、森・夏目の「作者の存在否定」の話、もうちょい詳しく。

夏目: 作者を否定ではなく、作者同士が仲間を見つけたことによって安心して、馴れあっちゃう的な。

本田: 堕サークル的な?

杉山: その空気感を嫌うクラスタはありますねえ。ウチは歓迎なんだけど。 

夏目: チプチュンクラスタは、割と樹齢みたいな感じで年季の入った人が多いから、基礎ができてんのよね。

杉山: というか、チップチューンが、そもそもどこで生き延びているかってと、表のクラスタもあるにはありますけど、 国内じゃもとをただせば実は2ちゃんねるなんですよね。

夏目: だねぇ。

杉山: その結果が、表のイベントとかそういうところにつながってるので、その「馴れあってん(じゃねえよ)な」的な空気をスレで感じることは、ぶっちゃけしょっちゅうです。

馴れあいって、そのコミュニティ・クラスタが前進する要因の一つだと思ってるのよね。馴れあいから派生して、面白いコンテンツが出来たりする可能性って極めて高いわけで。そこを潰すかよ、おまいら。的な。

芥川: 一歩気をゆるめれば馴れあい=堕サークル的、になる。そこでとどまりたくないというのがクリエイターとしての本音だと思うけど。

森: 馴れあっても、孤独にせっせとやってたとしても。まぁ、クオリティなんじゃないだろうかと。とも感じるんですが。あ、クォリティとかでなく楽しく集まって、まず何か創ろうというのを否定するわけではなくて。何かを楽しく創りたい。クオリティなんて二の次。それもいいと思うんですよ。

でも、それでたとえば飯を食いたい。食えなくても人にお金払ってほしい。とかだとそうはいかないじゃないですか。

杉山: そこにくると、ちょっとハナシがかわってくるかもしれませんね。 <生活

芥川: 森たんは創作にまつわるコミュニティよりも、作品そのものの質が一番大事という立場ね。

森: いや、そりゃ僕だって楽しいほうがいいよ!

高橋: コミュニティが固まると妙に高度化・ガラパゴス化して衰退してってしまうよなぁ……flashの時がいい例で。

川端: 馴れあいすぎた結果、「馴れあい>もの作り」になっちゃって、そのサークルが事実上無くなっちゃった、とかは経験あるなー。

芥川: 「馴れあい>もの作り」は小説教室とかでもよくある話。



  ▼「作品が大事」と迷いなく言えるかどうか▼



夏目: ニコ動アマチュア問題「○○手、○○してみた」について。

件の記事の「生産者」という言葉は広義的には当てはまるかもしれない。それは趣味の○○……町内会の趣味の○○と同義のアマチュア活動である。
誰が命名したのかは分からないが、「歌い手」という言い方が気に食わない。「アマチュア歌手」で何故いけないのか? 「歌手なんでしょ? 問題」に通じるモノがある。つまり「○○手」は「俺、歌手じゃないから歌下手だけど文句ある?」という免罪符の意味合いが強いように感じる。

物議を醸すし炎上するからアレだけど、ぶっちゃけ、件の記事の目の付け所は良いけど、果たして全ての人が「生産者」たりえているのか? という部分。「生産者」にはピンからキリまであるわけど、ニコ動的な若い層を見ていて思うのは、「生産者」ではなく「せいさんしゃごっこ」のレベル。中には這い上がろうという人間も居るだろうけど大多数はスタイルでごっこ遊びをしているだけ。そこを間違えない方が良い。

「かっこよく生産する」=「かっこつけたいだけの人がごっこ遊びをしている」。こんなことしてる俺カッケー的な。モテたくてバンドを始める人間に似ているね。

つまり何を言いたいのかって言うと、本気で目指している若者を「○○手」と括られてしまう危険性。これにつきる。

杉山: これはかなり核心ついてる。歌い手とか、そういうくくりの他にすっげえ分かりやすいのがありますよ。そうです。ボカロP(※ボーカロイドを使った音楽の作成者、プロデューサー)です。これも含めていいと思う。上の発言に。

高橋: 実際『歌い手』と称される人、及びそこに群がる人々の対処には困りました。

杉山: うわー。それこそボカロPに置き換えられる。 >高橋さん

高橋: M3(※Music+Media-Mix Market。音系の同人即売会)だとPiO(※大田区産業プラザ)の時は良かったけど、TRC(※東京流通センター)になってひどくなって、ここ最近やっと落ち着いてきた感が。 <歌い手

杉山: なんだろ、馴れあいも結局馴れあいの中の制御の問題なんだろうね。でもやっぱ、分かりやすいところがあって、その馴れあいの中で「どっちが大事?」ってことを聞いた時に「そりゃ作品っすよ」ってはっきりいえるかどうか、ここじゃないかしら。

森: 凄くわかる。

夏目: 俺は打ち込みも小説も(ひとり)ぼっちでやってきたからさぁ、いつも比べるのがプロ作家・作曲家の作品だったから、(音楽はアレだけど)文章が上達できたって部分があるんで。

芥川: 「作品が大事」と迷いなく言えるかどうかが、「ごっこ」か「生産者」かを分けるという感じかな。



 ▼お金をもらわなくてもちゃんとやる!▼



本田: すごく下世話な話になるかもしれませんが、そこにお金が関わるかどうかで意識は少し変わるかと思いました。

芥川: それじゃ、先ほどからちらちらと出ている「生活」のお話に行こうか。

夏目: 金でダメになるサークルもある……。

森: でも、お金をもらわないとちゃんとできない奴は、何ももらわない時もちゃんとやれない。と昔先輩に言われた事がありますね。

杉山: うわあいいことを言う! それ、ほんっとにそのとおりだと思います。

夏目: 同意。

川端: これはそのとおりだろうなぁ。

杉山: ただただ、難しいところなんですよ。 完全なプロだった場合は、金もらわないとやらんよーって意見はごくあたりまえなんですよね。

森: 僕は、この言葉は凄くその通りだと思って。誰に見せるわけでない作品でも、ちゃんとクオリティを考えて。もし、誰かが見る時がきても恥ずかしくないものを創ろうと思いましたね。

本田: 僕、前にお金をもらって曲を売ったことがあって、同じ曲を他の人にタダであげようとしたら「お金を出してくれた方に失礼だよ」と先輩クリエイターさんに言われました。

杉山: それはそのとおりだと思います。だから「ちゃんと俺も出すよ」って言ってもらえたんじゃないかしら。その人は大事にしたほうがいいです。

本田: 公平、不公平の次元からさらにもう少し見て、物に価値を見出してリスクを払ってくれる人がいることに感謝するってことを教わった気がします。どうあがいても、無料はノーリスクで、無責任になります。けど、そこにもしかしたら価値がある場合もある。

高橋: タダだから手を抜いている人って結局普通の仕事でもどこか手を抜いているんじゃないかと思ってしまう節がなきにしもあらず。

杉山: それはあると思いますよ。

芥川: ちなみに、私は電子書籍で「販売」されている作品があるんだけど、(同じ作品が)携帯小説サイトに行けば無料で読めるっていうものがある。出版社が電子書籍化したんだけど、どうなのと思った。

杉山: ええと、Web通販とか、DL販売とか、その辺のハナシは根底からいろいろ覆るから、今詰めないほうがいいと思う。一つだけいうならば、○○○、○○(※伏せ字にて自粛)お前ら考えろアホ、ってところで(笑)。

夏目: まぁ、いえるのはさ、創作に対して、どう向き合ってるかって部分だよね。

杉山: ですよね!

芥川: 話もどすと、お金もらってもフリー(無料)でも、本気でつくる! っていうのが我々の方向性だろうけど。

杉山: そうですね! 同人とかってそういう世界。

芥川: ぶっちゃけ、うちらはそもそも、なにが楽しくて無償でいろんなコンテンツ提供してるんだろう。ってとこに葛藤ない? 「何者にもなれない」的な。

夏目: いや、フリーに限界がと決め付けてる人達に一泡吹かせたい。横の繋がりがどんどんできていく、というのもメインだからね。「ナニモノかになりたい人達」……特になりたいと思ってやってるわけではないんだけどね。横の繋がりを広げていくというアイデアはそのままSNS(※ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がそういう仕組みで目の前にあったから。

杉山: ちょっとおもしろい話があって。フリーで、自由に聞けるようなnsfって形式のファイルを自分は公開してたりするんだけど。webで普通にデータ置いてるんですけど、そういうのを使って、ライブやったりするじゃないですか。そうすると、中には「お前のCDどこでうってんの!?」というクラスタが現れる。非常に嬉しい話なんだけど、ええええ、いいの!? 的な。

森: なにが楽しくてってのは、自分が楽しい。っての抜きで?

芥川: 極論すればそれしかないんだけどね。

本田: 葛藤かぁ……。

森: 葛藤はないかなぁ……どっかの誰かが楽しんでくれるだろー。みたいな、漠然としたもんしかないかなぁ……。

高橋: 自分の煩悩を昇華させるための行為の一つが創作ですんで……。

森: 自分が楽しい。作品を見せて、文句言う人もいるかもしれないけど、楽しいって人もいるだろうし。そういうの、いいよねっていう。

芥川: 「リアクションがうれしい」「純粋に自分のため」「既存のものを超えたい」……そんなところかな。

川端: 自分も楽しめて、なおかつ見てくれた人も楽しめるのが一番いいんでしょうけど、なかなかそう上手くいかないですよね。

夏目: 俺自身の創作は、勿論人に読んでもらって楽しんで貰えるものを目指しているけど、それよりも重要なのは、自分の目指す壁をぶち壊すことにあるからなぁ。



  ▼「フリー(無償)」で生産するのがカッコいい!▼



芥川: とくに「無償で」っていうところにツッコむと。みなさん、プロとしてかなり忙しくなってきたとして、それでもフリーでなにかを発信することは続けたい?

杉山: ウチはそうありたいですね。というか、そういうクリエイターたくさんいます。

森: スケジュールという物理的に無理が出るならともかく、精神的にプロになったらそういうのやめる。ってのは僕はなんか嫌かな?  だって、プロにになっても、本気で遊びたいでしょう、やっぱ。

本田: 無償で行きたいですね〜。いけるところまで。

芥川: おー♪ みこんだとおりの人たちだ。なんか嬉しい。

本田: 「好きなことを仕事にするってことは、好きな事を好きにできなくするってことだ」と何かの漫画で読みました。

高橋: 仕事だと色々なしがらみがあってどうしても、ねぇ?

川端: 自分も続けたいかな。やっぱり創作するなら多くの人に見てもらいたいし、同時にそれってすごくかっこいいんじゃないかと思います。

杉山: なんというか、ポイントはそう、「楽しむ要素を忘れないこと=無償の楽しみを作れるかどうか」だと思います。これが「金ださねーならやらんぜ」とはなりたくないっすね。つまんねえ。そんなの。

芥川: お。川端氏から今さらっと重要な発言が。フリーでも発信するほうが「すごくかっこいい」って。「金ださなきゃやらねー」はつまんねえ……杉山氏も呼応したね。

森: 仕事はお金がからむけど。趣味だったり、遊ぶってのはお金かかっても自分が楽しむって事だしと、僕はおもっています。無償どころか、お金かかっても僕ぁやるよ!

夏目: 俺はオリジナルばっかり書いてて二次創作もやったことなかった頃に、偶然でシナリオのお声がかかったんだけども、他人の世界観を「仕事で」書くのってすげぇ大変だったというか、死んだ。

芥川: 生産者としてのカッコよさって、仕事とか関係なしに追究するものがあって、実際作品に向かいあっている、っていう絵がありそうね。

杉山: カッコいい、のカタチってのがまあ、いろいろあるわけですけど、俺がとりたいカッコいいのカタチの一つは、仮にプロってたとしても、バカは忘れない、これかな。もっとも、プロになるつもりはない(縛られるのがちょっと嫌かも)んですけど。

夏目: なるほど。よいではないか、よいではないか。

森: まったく。良い事いわはる。

夏目: 俺は完全に仕事でやるのに不向きだと悟ったんだよなぁ……。 筆遅いし。

杉山: 俺もオリジナル曲となるとほんとに手が遅いよ。

本田: プロになれるよ……この言葉にあまり魅力を感じなくなってしまった。

夏目: 旨みが減ったかもなぁ。

森: これ、今のタイミングで言う事かどうかわからないんだけど。今の世の中プロである必要があるのかな?

杉山: 変換したらいいんじゃないかしら。プロになるってのは「それで飯くう」ってことだから、変換するなら「飯食えるくらいすげえんだぜ」って。そう解釈すりゃええんちゃうかしら。

森: ああ、そういう意味ですか。了解ですです。

芥川: あと、もうひとつ「カッコいい生産者」の条件としては……つくるもののクオリティが低くちゃしょうがない。さっきの「ごっこ遊び」程度じゃ、正直かっこわるいもんな。

杉山: ああそうそうそう。ソレ大事。

森: ごっこ遊びは正直すぐできちゃうし……。

本田: 逆にプロでもない人が時間と労力かけてすごいものを出してる時「かっけえ!」って思います。

杉山: さっきボカロPって言葉を結構執拗にだしてたとおもうんだけど、俺。これ理由があってねえ。ボカロ曲のいわゆる調教、P名ついてて極端にてっきとーーーーーーーなのが多いんだわこれが。

いやね、それがいい!! ってやってるんなら止めはしないんだけどね……。どう見ても「ベタ打ち」(※歌声らしさを出さず、音階を打ち込んで歌わせただけの曲)って状態で、まぁ、聴けば分かるよね……しかも、コンプ(※音量調整)もEQ(※イコライザー)もかけてないで、P名ですよ。

周りがP名を言うならまだいいけど、投コメで、自分でP名名乗ってる場合にそういうのを聞くとちょっとげんなり来るんですよね……(やべえ、ただの愚痴になってきた)。

夏目: Pに憧れたルーキーだと思えば……。



  ▼おわりに▼



芥川: なるほど。それ聴いて、もういっこテーマを提示したいんだけど。そろそろ90分になりました。1回シメて延長戦いくかな。それじゃ、いったん。本日は参加ありがとうございました。

川端: こうしてみなさんの話聞くだけで色々と勉強になっちゃって、あんまり発言できなくて申し訳なかったです。お疲れ様でした。

森: 凄く面白い繋がりができたと思います。こういうのを定期的にやりたいね。何者にもなれない僕達が、何者かを望む誰かの何かになれる日が、いつか来るといいな。

本田: 僕、今日ボイスチャットするのかと思ってちょっと緊張してました(笑)。

杉山: 今回のようなのを、居酒屋でやりたいですな。このメンツでコラボったら面白いかも。

夏目: ワシが声かけたメンバーだから、面白いのは言うまでもない!

高橋: じゃあ、シメは雑炊で。



  ――以後も話は尽きず、深夜までトークが続くのであった。



(対談日時:2013年1月8日22:30〜24:00 Skype会議チャットにて)




【だべりば! - dub-e-liberty - 】
dub → 音・声をダビング。音楽ジャンルの一。無器用者というスラング。
e → 電子。インターネットのなかの情報。
liberty → フリートーク。スタイルとしての"自由"。



企画・コーディネート:姉崎あきか



【関連リンク】

ニコニコブロマガ一般開放と「何者かになりたい人たち」の時代(アクトゼロ ソーシャルメディアチーム) - BLOGOS(ブロゴス)
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"消費の時代"から"生産の時代"へ - ガジェット通信
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ラベル:ニコニコ 対談
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