2011年12月04日

2行でわかる。なぜデフレはいけないのか

  
今日のなぞなぞ
「なぜデフレはいけないのか?」

光の道エフェクト.jpg


「デフレ(デフレーション・deflation)」とは、
物の値段が下がり続けていく現象
のこと。

(物価が上がることは「インフレーション(inflation)」)


今、日本はデフレ状態
デフレがさらなるデフレを呼ぶ、

デフレスパイラル

といわれています。

これがわが国の経済を苦しめているわけですが。



「でも、なんでデフレはいけないの?」
「欲しいものが安く買えるなら、嬉しいじゃん」



……とも思いますよね。



デフレはなぜ、
あんまりよくないことなのか。

今日はそれを、
2行でまとめてみます。


本日のなぞなぞの答え


デフレは物の値段を下げると同時に、
人の値段(=給料)も下げるから。



以上。




……と。
これで終わっちゃったらあんまりなので^^;
ちょっとだけ、補足していきます。




 ところが、給料は下がりにくい


まず↑で疑問が出てきたと思います。


「賃金が下がるのは悲しいけど、
物の値段も安くなるなら、結果的にはいっしょじゃね?」


って。



実は、賃金というのはカンタンには下がらない性質を持っている。
いちど上がった給料は、下げるのが難しい。
これを「賃金の下方硬直性」と言ったりします。

以前の記事(日本経済はどこへ向かうのか?)でも出てきた言葉ですね。


で。
ここでさらなる疑問が。


「ちょっと待った!
給料は下がらないのに、物が安くなるなら、大歓迎じゃん!」


この問いの答えはちょっと置いといて。
視線を企業の方に向けてみると……。


デフレは商品の値段が下がること。

ある会社がある商品をおなじだけ売っても、
売上は減少してしまう。


企業の利益は確実に減っているわけです。

 誰が企業の減収を埋め合わせるのか?


876done-effected.jpg


デフレスパイラル。


商品の値段が下がる

会社の利益が減る

企業が労働者に払う給料が減る

消費者が使えるお金が減る

もっと安いものしか買わなくなる

さらに商品の価格が下がる



というサイクルです。


企業が労働者に払う賃金は減っている……はずなのに、
賃金には「下方硬直性」があるので、実際はお給料を下げるのが難しい。



じゃあ、誰が会社の減収を補っているのかと言えば、


それは、労働者自身。


です。


 デフレが弱い働き手を苦しめる


ここで、前回の記事(黒山もこもこ、抜けたら荒野(水無田気流)――名作発見しました♪)で紹介した
↓この本からもう一度引用します。


---------------------

女性の場合、真面目に働いても「将来へつながらない」確率は、明らかに男性よりも高い。
これは、いまだに賃金体系が男性の稼ぎ手を中心とした「家族賃金」モデルを前提としているからである。

(中略)

「家族賃金」とは、言い換えれば
「家族のうち一家の大黒柱であるオトーサンさえ厚遇しておけば、あとは補助的収入であるから
パートのオカーサンもハケンのオネーサンもフリーターのオニーサンも給料は安くていい」
という共通了解を生み、
結果として「オトーサンの懐を当てにした」給与体系となる。


(「企業だってパラサイトしている!?」/第一章「黒山もこもこ、抜けたら荒野」より)
---------------------


「家族賃金」……要は、

「君達はオトーサンに生活を支えてもらってね」

というのが、いまの日本の給料体系なわけですが。



↑上で、「下方硬直性があるので、給料は下がりにくい」と書きました。

下がりにくいのは実は
この「オトーサン」たちの賃金だけです。
いわゆる、若手じゃない正社員、の層ですね。


結果、どうなっているのかと言えば。


アルバイト、派遣、パート、若年社員……

……そういった「弱い働き手」たちの給料が、ガンガン下がる。


ひとりひとりの給料を一律に下げるという方法を取らずに、
「失業」「就職率低下」など↓のような形で<コストカット>されているわけです。


ワーキングプア、派遣切り、就職難、昇給無し、リストラ……
ひいては、格差社会、貯蓄率の上昇、漠然とした将来不安。


このへんはおそらくすべて、デフレが遠因。


 オトーサンも、実は苦しい



なるほど、じゃあ

「打倒! オトーサン!!」


という話なのか、というと、
そんなに単純でもないわけで。


実は、オトーサンたちもデフレに苦しめられている。


会社が「弱い働き手」をカットしたからといって、
全体の仕事量が減ったわけではない。


会社に留まっている「オトーサン」たちは、
それほど変わらない給料のなかで、
いままでよりもたくさん働かなきゃならないわけです。


(グローバル化、IT化など、社会が便利なった一方で、
やらなきゃならないことが増えてるような気がするよなぁ……と感じている人も多いはず)


サービス残業、過労、鬱病の増加……


↑このへんも、デフレが犯人。




ここまで見てきて。

デフレ、ってあんまりいいことじゃないですよね。
やっぱり……


「打倒! デフレ!!」


なのです。

 自分の首を絞める結果を望んでしまう



マクロ的に見れば、デフレが悪なのは明らか。
それはわかった。

「でも、もうちょっとデフレが進んでくれれば、
生活も楽になるのになぁ……」



……という想いも出てきやすいのが、デフレの難しいところだと思います。



たとえば、とあるフリーターのA君。
彼は最低時給のアルバイトで日々生活しているとします。

最低時給は法律で定められているので、いま以上に賃金が下がることはない。
くわえて、A君のお店はいつも「人が足りない」と店長が嘆いているほど。
A君は好きなだけシフトを入れることができ、すぐさまシゴトがなくなる心配もないわけです。


こういう状況なら、
物が安く買えるに越したことはない。


A君は「合理的」にデフレを望んでしまう。




人は、自分の首を絞める結果を望んでしまう場合がある


というのは、以前の記事(節電ブームという「病」――"エコ格差"時代の幕開け)でも
扱ったテーマです。



ホントは、経済構造によっては、
A君が最低時給のアルバイトに甘んじている必要なんてぜんぜんなくなる
のにね。





とにかく、
倒すべきはデフレ!


マクロ経済とか難しいことはわからなくても、

今あなたが苦しんでいるとしたら、
それはぜんぶ、デフレが原因。



そう断言しても言い過ぎじゃないところまできている、
そんな気が個人的にはします。


 打倒デフレ! な1冊



最後に。
今日紹介する本は「打倒! デフレ」な1冊です。



経済評論家の勝間和代さん、社会評論家の宮崎哲弥さん、経済学者の飯田泰之さんの対談本。


これしかない! という絶妙な組み合わせの3人♪
私は対談本がけっこう好きなのですが、
こういう、良いケミストリー(化学反応)が起こっている本を読むと嬉しくなりますv


デフレが何を引き起こしているのか。
なんでデフレが止まらないのか。
どうしたらデフレから回復できるのか……。



活動家の勝間さんが(本当にアクティブに)アクションを起こし、
評論家の宮崎さんが(ちょっとシニカルに)注釈し、
学者の飯田さんが(わかりやすく)解説する。


そんな「すてきな三にんぐみ」(笑)の対談集です。

用語の注釈や飯田さんの解説があるので、
経済学・金融論入門として読むのもオススメ



実は今日の記事はかなりの部分、この本を下敷きにさせていただきました。
本書を読んで、「デフレについて書こう!」と思いました。

とってもいい本です。



打倒、デフレ!



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a



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posted by akika at 17:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 金融リテラシー・投資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最低賃金を国が強制的にあげたらどうでしょうか?物価は簡単にあがると思うのですが。
Posted by てつ at 2016年04月28日 19:58
てつさん

ほんとにそうですよね。最低にちかい時給で働いているひとたちがもっともっと豊かになれば、余剰ぶんは確実に消費にまわっていくと私も思います。
そうなれば物価もカンタンにあがりそうなんだけどなぁ……。

コメントありがとうございました♪
また遊びにいらしてくださいv
Posted by あきか at 2016年05月01日 00:15
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