2011年09月29日

書評ブログは矛盾している――フリービジネスとブログのあいまいな関係

 
今日のなぞなぞ
「書評ブログが抱える矛盾点とは?」


全国の書評ブロガーのみなさん、こんにちは。
あなたのブログは矛盾しています。



……。

…………。


いますごい勢いで、
「おまえのブログも書評だろう」というツッコミが聴こえた気が(笑)。


そうなんです。
まあ、私としては本の"批評"というよりは"紹介""推薦"をしているだけ、と思っているんですが。
ジャンル分けすれば書評ブログであることは確かだ。

だからこそ、考えておきたい問題。



……こんな書き出しではじめておいてなんですが。
今日も本の紹介からいきます。


 フリービジネスとはなにか?




『FREE〜〈無料〉からお金を生みだす新戦略』クリス・アンダーソン(NHK出版)


「フリービジネス」という言葉が広く認知されるようになった、
その立役者を務めた本です。

すこし前に大ヒットしたので、
つねにビジネスシーンを追いかけてらっしゃる方にとっては、
「今さら……」な感じがあるかと思いますが、説明しておくと。


「フリービジネス」とは、
商品・サービスの一部もしくは全部を無料で提供することによって収益を得るビジネスモデルの総称。



「無料サンプルをプレゼント♪」など、集客方法として従来からあった手法ですが、
インターネット時代になってこの流れは加速。方法も多様化。
この本は新時代のフリービジネスを分析・分類しています。

さらに。
本書じたいが、フリービジネスの戦略にのっとって中身を無料で公開
それが話題になって、ものすごい売れた……というユニークな書籍です。



クリス・アンダーソン(Chris Anderson)氏はアメリカの雑誌「ワイアード(WIRED)」の編集長。
この誌面上で「ロングテール(The Long Tail)」という考え方を提唱したことで有名です。
これが、ネットビジネス界ではちょっとしたエポックメイキングとなりました。


「ロングテール」とは、ものすごくざっくりと言えば、

ネットビジネスでは、マニアックな商品が主な収益源となる。
 
というもの。

近所の大型量販店などを探しても見つからないニッチな商品を、人々はネットショップに求めるわけですね。超ざっくり説明(笑)。


「ロングテール」については
『ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』クリス・アンダーソン/篠森ゆりこ・訳(早川書房)
梅田望夫さんの『ウェブ進化論』 (ちくま新書)などが詳しいので、
在庫リスクとか流通コストの話とかもっといろいろ知りたい方は、他の本にもあたってみてくださいね。



「ロングテール」あり、「フリービジネス」あり……

クリス・アンダーソン氏は編集者というよりは、もう
新時代のビジネス評論家 と言っちゃってもいいかもしれません。



さておき。

ひとたび「フリービジネス」というキーワードを頭にいれてまわりを見てみると、
世の中はフリー(無料)なものであふれていることに気づきますよね。


街を歩けばティッシュがもらえる。
お腹がすけばデパ地下で試食。
ネットに繋げば、ニュースも読み物も動画も音楽もあふれている。
mixiやtwitterにログインすれば、すぐさま人と繋がれる……。


こんなんで、お客さんはどこにお金を落としてくれるのだろう……。

とくに音楽業界や出版界の方々なんかは、いつも頭を悩ませているテーマかと思います。


 コンテンツ市場は「時間の奪い合い」



コンテンツマーケットは、「顧客の時間の奪い合い」という競争になっている。


……これはもうずいぶん前から、エンターテイメントを扱う業界で言われていることです。
音楽や映像、ゲームや文芸に限らず、遊園地やカラオケなんかも全部。


情報化社会のなか、人々がアクセスできる範囲がぐんぐん広がった。
結果、個人の嗜好・趣味がどんどん細分化されている。
グローバル化、IT化もその一端を担っている。


(……このへんを専門用語でポストモダンと言ったりすることもあります。
カンタンに言えば<大きな物語>が解体され、社会にイデオロギーやブームが起きない状態。
文化の異なる無数の島宇宙が点在して世界ができている……っていうイメージかな。
まあ、これはポストモダンの要素のひとつを説明しただけで。ほんとはもっといろいろある……らしい)


ひと昔まえなら、
スーちゃん派かランちゃんかミキちゃんかという違いはあっても、「キャンディーズが好き」っていう部分ではみんな共通していたわけです。
(いや、べつに私はキャンディーズのド世代ではないんですが^^;)


でも今。
たとえば洋楽好き同士だとしても、話が合うのはマレ
ロックが好き! といっても、ひとによって聴いてるものがてんでバラバラ




だから、例えばあなたがレディ・ガガのファンになった場合。

レコード会社は、
あなたがどれだけの時間をガガ様のために使ってくれるか、に力を注がなくてはならない。

あなたがショッピングを楽しんだり映画を見ている時間は、
ガガ様の歌を聴いたりライブに行ったりすることはできないですからね。


コンテンツ市場は(デジタルをのぞけば)伸びているわけではないので。
音楽業界にとって、お客さんが他の遊びをしている時間は業界の縮小に繋がっているわけです。



ところで。
さいきん、いろんなところの調査で明らかになったことがあります。


人々のテレビ視聴時間は減り、ネット接続時間は伸びている


……ニュースや新聞でもよく耳にしますよね。

いまやエンターテイメント業界の最大のライバルは、同業他社じゃなくてインターネットです。

 「ネットデフレ」は既出でした


たとえば、youtubeやニコニコ動画のサイトを開けば、
さまざまな音楽や映像が無料で手にはいる。


もしかして、音楽や映画業界を小さくさせている犯人って、youtubeなんじゃない!?


そーいえば、
さいきん買い物のときに価格比較サイトを利用するひとが増えているみたい。
どこで買えば安いのか一目瞭然なら、消費者としてはぜったい安いところを選ぶよなぁ……。

でも、これってどうなんだろ。
ネットがなければできなかったことだよね……。



とか、そんなことを考え、
「ネットデフレ」というキーワードを思いつき、コラムを書こうかと思ったんですが。
調べてみたら……




『ネットデフレ 〜IT社会が生み出した負のスパイラル〜 』川北潤(マイコミ新書)



超既出!^^;💦

やめました。


この本、私はまだ読んでいないですが、
どうやら「ネットデフレ」構造を克服するアイディアが書いてあるらしいので、期待♪



「ネットデフレ」はやめて「ブログとフリービジネス」という斬り口にしたわけですが……。

……ここらへんで、そろそろ
今日のなぞなぞの答えがわかってきた方もいらっしゃると思います。


「書評ブログが抱える矛盾点とは?」


いったいなにか。

 ブログは、読者から本を読む時間を奪っている


あなたがブログを読んでいるこの時間
あなたは本を読んでいない!




……そらそーだ(笑)。
いえ、なかにはデスノート
のLみたいにたくさんの画面と書類を並列処理できる方もいるかもしれませんが^^;


言い換えると……


書評ブログは本の推薦をしているのにも関わらず、
読者から本を読む時間を奪っている。





もちろん、世界の片隅にある小さなこのブログが、
読者様から多大な時間を奪っているとはぜんぜん考えてませんが。

書評ブログをやっているのは、
なにも私だけじゃない。

ちょっとずつでも、積み重なれば長い時間が、
「ブログを読む」という行為のために費やされているわけです。

ブログという存在がなかったら、ほかのなにかを読んでいた時間、ですね。




ブログの記事、というコンテンツはほとんどすべてが無料で提供されています。


まさに「FREE」なわけですが、
かといって、
フリー"ビジネス"なのかと問われるとちょっと微妙。


多くのブログが商売でやっているわけではないので、
クリス・アンダーソンの分類によれば「非貨幣市場」(贈与とかボランティア)に近い"フリー"コンテンツです。

(もちろん、ブログサービスを提供する会社にとっては、収益を見込んでのフリービジネスです。
クリス氏の分類でいうと、「三者間市場」(広告収入など)と「フリーミアム」(有料版への窓口)にあてはまります)

 そうだ、本を読もう♪


そろそろまとめると……。




みんな、
もっと本を読もうよぉ(*´∇`*)ミ☆



って、今回もそこに繋がるんですけど(笑)。
要は……



1.フリー化する経済のなか、ブログというサービスは書くのも読むのも無料でできる



2.書評ブログは、"本"という商品に寄りかかっている



3.にも関わらず、フリー(無料)で読み物を提供しているという意味では、多かれ少なかれ出版業界のお客さんを奪っている。




本を読もうよ♪

っていつも言ってるブログなのに、
読者さんの本を読む時間を削いでいるとしたら、ちょっと悲しい。


なので、


せめてこのブログにたどりついてしまったあなただけは、

ちょっとだけ。
意識的に本を読む時間を増やしてもらえたら嬉しいです。


本を閉じる前に、
あと5ページがんばってみたり、とか。


してみてくださいね。


せめて、この記事を読むのに使ったのとおなじくらいの時間は増やしてほしい。
じゃないと浮かばれないです(;;)


それから、
書評ブログを運営しているブロガーさんは、

記事のなかで"本を読もうよ♪"ってもっと言ってほしいな……


という想いがあって、こんなエントリーを書かせていただきました♨。



 日本のフリービジネスを知るならこの本


おまけの、本の紹介です。
フリービジネス関連書から、1冊。




『FREE経済が日本を変える』野口智雄(中経出版)


日本にいるなら本家よりこっちを読んだ方が参考になるかもしれません。

クリス氏の『FREE』の解説も充実していますし、
なにより国内でのフリービジネスの具体例が豊富 です。
大正時代の例まで載ってる!

ちなみに、この本も「フリー」と「デフレ」を結びつけて語っていました。





……そんなこんなで。

みんな、本を読もうぜ〜☀♪(笑)



その本。閉じる前に、
あと5ページ。☆(*´∇`*)ミ☆




やってみてくださいね。


それでは、
いつものキャッチコピー。

今日はきれいに繋がりそう♪


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"!



あきか



【関連記事】
本を推薦するということについて
【今日紹介した本】

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『ウェブ進化論』梅田望夫(ちくま新書)Amazon楽天
『ネットデフレ 〜IT社会が生み出した負のスパイラル〜 』川北潤(マイコミ新書)Amazon楽天
『デスノート(DEATH NOTE)』大場つぐみ/小畑健(集英社)Amazon楽天
『FREE経済が日本を変える』野口智雄(中経出版)Amazon楽天
posted by akika at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム・レポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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