2019年06月28日

今月(2019年6月)もっとも売れた本は『樹木希林のことば』(返り咲きΣ(・ω・ノ)ノ)


今日のなぞなぞ
「2019年6月の月間ベストセラーは?」



6月28日(2019年)、「今月日本でもっとも売れた本」が発表されました。
(日販調べの月間ベストセラー(総合・ビジネス・フィクション)を末尾の「付録」のコーナーにまとめます

「付録」へ飛ぶ

去年(2018年)の年間ベストセラーは↓こちら。
(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
先月(2019年5月)のランキングは↓こちら。
今月(2019年5月)もっとも売れた本は『おしりたんてい かいとうとねらわれたはなよめ』(`・ω・´)
最新のランキングは↓こちら。
カテゴリ:ベストセラー




 『樹木希林のことば』がトップに返り咲き



出版取次会社の日本出版販売(日販)によると、
6月のベストセラーは、『一切なりゆき 樹木希林のことば』

4ヶ月連続で1位を独走していたものの、先月ついに『おしりたんてい かいとうと ねらわれた はなよめ』にトップの座をあけ渡した本書。
今月はふたたび1位に返り咲きましたΣ(・ω・ノ)ノ。
亡くなった名優、樹木希林さんが遺した言葉を集めた1冊です。

『おしりたんてい かいとう〜』は今月は2位。

4位は、おなじく樹木希林さんの『120の遺言』
6位は、『おしりたんてい カレーなる じけん』です。

おしりとキリンのおおいなる戦い。





4月9日に発表された「2019年本屋大賞」の受賞作、瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』は、今月は7位に顔をみせています。



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2019年本屋大賞

大賞
瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』
2位
小野寺史宜『ひと』
3位
深緑野分『ベルリンは晴れているか』
4位
森見登美彦『熱帯』
5位
平野啓一郎『ある男』
6位
木皿泉『さざなみのよる』
7位
三浦しをん『愛なき世界』
8位
知念実希人『ひとつむぎの手』
9位
芦沢央『火のないところに煙は』
10位
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』

翻訳小説部門

1位
アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』
2位
トーン・テヘレン『きげんのいいリス』
3位
陸秋槎『元年春之祭』

本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/

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また、今月は161回芥川賞・直木賞のノミネート作品が決まりました。
受賞作の発表は7月17日(2019年)の予定です。
今月は、直木候補の朝倉かすみさん『平場の月』が、フィクション部門10位にエントリしています。

追記)
7月17日、築地の新喜楽でおこなわれた選考委員会で両賞の受賞作が決まりました。
芥川賞は今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』
直木賞は大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』が受賞しました。
おめでとうございます♪




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第161回芥川龍之介賞候補作品

(受賞!)今村夏子『むらさきのスカートの女』「小説 TRIPPER (トリッパー) 2019年春号」に掲載)
高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』「すばる 2019年5月号」に掲載)
古市憲寿『百の夜は跳ねて』「新潮 2019年6月号」に掲載)
古川真人『ラッコの家』「文學界 2019年1月号」に掲載)
李琴峰『五つ数えれば三日月が』「文學界2019 年6月号」に掲載)

芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/

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第161回直木三十五賞候補作品

朝倉かすみ『平場の月』
(受賞!)大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
窪美澄『トリニティ』
澤田瞳子『落花』
原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』
柚木麻子『マジカルグランマ』

直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/

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 ビジネス書は『Think clearly』がニューエントリ



ビジネス書部門では、ロルフ・ドベリさんの『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』が6位にニューエントリしています。
生きること全般をテーマに、ジャンルを問わない知見を集めた壮大な1冊。

今月は、ほかにも2冊新着本がありました。
9位の門田隆将さん『新聞という病』と、
10位の森新さん『アウトルック最速仕事術 年間100時間の時短を実現した32のテクニック』


余談ですが、最近は「〜という病」がタイトルの新書等が目立っていますね♪
すこし前は、『家族という病』がベストセラーでした。
(もっと前は「〜の品格」という本のリリースラッシュもありました)

次はどんな病の本がでてくるだろうと楽しみv
それから、自分で企画を考えるときの足がかりにもなったりするので、いろいろとブレストしてみるのも面白いかも。


「風邪という病」
……そのまんまだ。

「健康という病」
……えっ、どういうこと? 健康ブームへのアンチテーゼ?

「おしりたんていという病」
……。
今後も意外な「病」がベストセラーになるか!?


関連記事:
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1位は先月と変わらず、SHOWROOM 前田裕二さんの『メモの魔力 The Magic of Memos』
2位も変わらず『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』
3位は『学びを結果に変えるアウトプット大全』でした。






 フィクションは『ノーサイド・ゲーム』が新着1位



フィクション部門では、『ノーサイド・ゲーム』が1位に新着しています。
7月から放映が予定されているドラマの原作小説。
半沢直樹、花咲舞、下町ロケットの原作でおなじみの池井戸潤さんの、新作書き下ろしです。


関連記事:
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【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい



2位には『俺、つしま 2』がニューエントリしています。待望の続編!
新刊効果で6位には『俺、つしま』、1巻もリエントリーしています。
つーさんの愛らしさに溺れよ。

3位は本屋大賞受賞作の『そして、バトンは渡された』
4位は川村元気さんの『百花』がジャンプアップしています。





日販のサイト(http://www.nippan.co.jp/)で各ジャンルのトップ10が確認できます。この記事では取りあげていない「ノンフィクション」「実用」「文庫」「ゲーム攻略本」などのランキングも。
ぜひ”一次情報”にもあたってみてくださいね。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a

※ ↓付録の「〜位」の横の記号は、先月からの順位の変動をあらわします。
△ …… ランクアップ、= ……変わらず、▼ …… ランクダウン


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【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/
芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/

【付録】


 2019年6月の月間ベストセラー 総合

(日販調べ。「全集」「文庫」「ゲーム攻略本」を除く総合ランキング。6月28日時点)

1位 △

2位 ▼

3位 △

4位 △

5位 △

6位 ▼

7位 ▼

8位 △

9位 △

10位 ▼


 2019年6月の月間ベストセラー 単行本ビジネス
(日販調べ)

1位 =

2位 =

3位 △

4位 =

5位 ▼

6位 △

7位 ▼

8位 ▼

9位 △

10位 △


 2019年6月の月間ベストセラー 単行本フィクション
(日販調べ)

1位 △
『ノーサイド・ゲーム』
2位 △
『俺、つしま 2』
3位 ▼
『そして、バトンは渡された』
4位 △

5位 △

6位 △

7位 ▼

8位 △

9位 △

10位 △
posted by akika at 22:52| ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月27日

ぜんぶAIが決めてくれる世界ってどう思う?〜人工知能社会での「選択」と「自由」を考える本10冊


今日のなぞなぞ
「決めたい? それとも決めてほしい?」

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AIは私たちが「統計的存在」であることを突きつけてくる。

”これがほしいんでしょ?”とアルゴリズムが提示してくるものは、
じっさい私の好みにとても合っていて。
喜んで受けいれていいのか、それとも立ちどまるべきなのか、あやふやな気持ちにさせる。


進路もパートナーも、着るものも食べるものも、観る、聴く、読むものも。

自分の歩く道は自分で決めたい。
そうも思う。

一方で。
すべて人工知能が最適化してくれるのならば、
ちっぽけな頭で考えるよりずっと合理的で幸せな未来を、私たちは歩むことができるかもしれない。


ぜんぶ、機械が決めてくれる世界。
これって、どうなの?



以前の記事(「PSYCHO-PASS(サイコパス)」はノベライズから先に読んでもいいかもしれない)で扱ったテーマですが、もはや物語のなかだけの話じゃなくなってきている感触です。


今日は、”人工知能がすみずみまで浸透していく社会”を生きるうえで、指針となる10冊をレビューしていきます。

決めるのと決めてもらうのはどちらが幸せなのか。
なにを根拠に、人はそれを選ぶのか。
あなたが決めたことは本当に「あなたの選択」といえるのか。

目に見えるものが真実とはかぎらない!(コンフィデンスマンJP風に)


唯一の正解があるテーマなわけではないので、フィクション作品もまじえつつ。
未来を生きるための10冊をど〜ぞ〜♪



 フィルターバブル


検索結果やショップの画面はひとりひとりに「パーソナライズ」されている。
この最適化によって、自分と関係の薄い情報がどんどん見えなくなっていく構造が「フィルターバブル」。

Google、Netflix、Facebook……。
それぞれのサービスが行なっているフィルタリングを紹介しつつ、パーソナライゼーションは今後さらに強力になっていくと予測。
気づかないうちに思考がかたよってしまう可能性や、政治的な意図で利用されてしまう(されている)リスクにも言及しています。

たとえコンピューターの前から離れてもフィルターバブルが消えない時代に入りつつある。
「第七章 望まれるモノを――望むと望まざるとにかかわらず」より


行きつく先は「楽園」なのか「タコツボ」なのか。
末尾の佐々木俊尚さんの解説もふくめ、考えさせられる1冊。

 新たな検索ワードを手に入れる旅


グーグルは、あなたが知りたいであろうことさえ予測する。
与えられた検索ワード=他者が規定してきた<私>を裏切るために、東浩紀さんが提示する処方箋は、身体の移動……つまり「旅」です。

というと、ネットを捨てろみたいな話に聴こえるかもしれませんが、本書の主張はまったく逆。
その場にとどまっていては考えることもなかった、”新たな言葉”を検索窓に打ちこむための「旅」。

台湾、インド、福島、アウシュヴィッツ、チェルノブイリ、韓国、バンコク、東京……。
各地をめぐりながら思索をつづる、旅行エッセイです。

↑冒頭であげた、”統計的存在であることの切なさ”に対して、力強い反論がありました。

統計からわかることは、もし何回も何回も人生を生きることができるとしたら、確率的にその選択がもっとも利益が大きいよ、という話でしかありません。一回かぎりの「この人生」については、統計はなにも教えてくれないのです。標準とは統計の操作によって現れるものでしかなく、本当はそのとおりの人生を生きているひとなどひとりもいません。
「7 老いに抵抗する 東京」より(太字は原文ママ)


 「選択」と私たちの絶妙な関係


選択にまつわる人間のふるまいについて、実証的なデータを示しつつさまざまな角度から論じていく。
一般に、なにかを自由に選べるのは良いことだと思えるけど、本書の研究をみていくと、そう単純に一刀両断できないことにも気づきます。

たとえば結婚相手を自分で選べない「取り決め婚」だと、相手への恋愛感情が徐々にあがっていく傾向がある、など(「恋愛婚」だと逆に低下していく)。
じゃあ選択を手放せばいい、みたいな話ではもちろんなくて。裁量権を持ちつづけることが心身の健康や意欲につながる……といった事例もあります。

著者自身も「選択の力」を信じていて、選択は「芸術である」という。
なにかを決めながら生きているすべてのひとに。
ハッとさせられる指摘が満載の良書。

 自由からの逃走


『選択の科学』でも紹介されている、古典的名著です。
近代に確立した<個人>や<自我>が得た「自由」は、”孤独”とふかく結びついている。
この不安にたえかねて、人はみずから自由を捨て、服従へと「逃走」する。
含蓄のあるカッコイイ金言がたっぷりでオススメですv

(マゾヒズム的倒錯で)しばしば求められるのは現実の苦しみや苦痛ではなく、肉体を縛られたり、助けて貰えない弱い状況におかれることによっておこる興奮や満足である。
(中略)
幼児のように取りあつかわれ、話しかけられ、あるいはさまざまの方法で叱責をうけ、はずかしめられることによって、「精神的に」弱くされることである。
「第五章 逃避のメカニズム」より


……なっ。緊縛&赤ちゃんプレイ(*ノωノ)
(どこを引用しているんだ私は(笑))

本書では宗教改革やナチズムの例をあげていますが、”逃走先”となる対象はなんでもありうる、とフロムは言い切っています。
神でも恋人でもアイドルでも、会社でも政府でも、たとえ人工知能でも……なんに対してもひたすら身をゆだねてしまう性質が、私たちのなかにはある。

 理由なんてない。決まっているからそうするだけ


……。
なんでいきなりイスラム?

えっと、イスラム教って、とてもこまかな戒律があって守らなきゃいけないじゃんね。
でも「守らなきゃいけない理由」はとくにない。
豚を食べちゃいけないのも、毎日5回祈らなきゃいけないのも、神がそう言ってるから従うだけ。
人間が”神の考え”を理解しようなんて、おこがましいわけだ。

↑で紹介した『選択の科学』では、こういった制約こそがうつ病を遠ざけるという驚きのデータが出ていました。

原理主義に分類された宗教の信徒は、他の分類に比べて、宗教により大きな希望を求め、逆境により楽観的に向き合い、鬱病にかかっている割合も低かったのだ。
(中略)
制約は必ずしも自己決定感を損なわず、思考と行動の自由は必ずしも自己決定感を高めるわけではない。
『選択の科学』「第2講 集団のためか、個人のためか」より


気になったので、入門書であらためてイスラムの世界にふれてみました。
移民のフィールドワークの経験から、イスラムを通してヨーロッパ全体を見渡す。
中東情勢のお話もあります。

イスラム教徒に対する誤解や偏見をていねいにほどこうとする語り口に好感v
読みやすい文章で、現場があざやかにみえてくる良書です。

近代以降の西洋社会が、神から離れることで人間が自由を得ていくと考えたこととは、まったく、違う考え方です。イスラムは、神とともにあることによって自由を得るのです。
『となりのイスラム』「第5章 ほんとはやさしいイスラム教徒」より


 「主体性」がなくなる怖さ


「ビック・ブラザー」率いる党が人々を支配する、全体主義を描いたディストピア小説です。
ニュースも歴史も都合のいいように改変され。
”裏切り者”がいないかどうか、互いが互いを監視する……。

反体制を象徴する人物をひたすら罵る「二分間憎悪」
みなにおなじ動きを強制する「一斉体操」
なにかに疑問を持つ気持ちを封じる「二重思考」

など、支配を維持する仕組みがたくさん出てきます。
なかでもいちばん怖いのは、党が「ニュースピーク」という公用語を開発し普及させようとしている点。

ニュースピークの語彙はわずかであり、さらにそれを削減する新たな方法が絶えず考案されていた。
(中略)
選択範囲が狭まれば狭まるほど、何かを熟考しようとする誘惑が小さくなるからである。
「附録 ニュースピークの諸原理」より


自由という言葉が辞書から消えてしまえば、人は自由という「概念」に想いを馳せることができなくなる。
この小説に人工知能が登場するわけではないけれど、今日のテーマととてもつながりの深い物語。

 ほんとうに「あなたの選択」なのか?


『一九八四年』は主体性がなくなっていく怖さを描いていましたが。
ここですこし切り返して”主体性ってほんとにあるの?”という視点へ。
本書は脳がいかに「自動操縦」によって動いているかを、神経科学者が解きあかしていきます。

Jで始まる名前の人はJで始まる名前の人と結婚する可能性が高い。
・車線変更の後ではハンドルを”逆方向に切っているはず”なのに、言われるまで人はそれに気づかない
・右手と左手がべつべつの”意思”を持って動く「他人の手症候群」
・身体を動かそうと意識するよりはるか前に、ひとりでに意思決定をしている脳……。

指を上げるという素晴らしいアイディアが生まれたというニュースを私たちが受け取る前に、脳は裏で始動している――神経の連合を築き、行動を計画し、計画を採決する――ようだ。
「第6章 非難に値するかどうかを問うことが、なぜ的外れなのか」より


犯罪行為の”責任”をどう扱うのか、という難しい問題にもアプローチしています。

私たちはみな、自分でなにかを決めたと”思いこんでいるだけ”のNPC(※)なのかも。
信じていた世界がひっくり返る衝撃の1冊。

※ ノン・プレイヤー・キャラクター。ゲームで、人ではなくコンピューターが操作しているキャラクターのこと。

 9Sは2Bを愛しているか?

ニーア オートマタ ゲーム オブ ザ ヨルハ エディション - PS4
スクウェア・エニックス (2019-02-21)
売り上げランキング: 90

本10冊といいながらも、いっこだけゲームソフトを。
アクションRPGです。

舞台は「機械生命体」が支配する荒廃した地球。
人類がつくったアンドロイド兵士による「ヨルハ部隊」は、地球を取りもどすため、今日も戦いに明け暮れる……。

登場するのは機械ばかりなのですが、この機械たちの「心」がとてもこまかく描かれています。

愛する者のために美しさを求める歌姫。
哲学書を読み、平和を願うロボット。
仲間を失い、狂気のなか復讐を誓うアンドロイド。

ものすごく感情をゆさぶられるストーリーです。
……感情?
データとアルゴリズムで動いている機械たちのお話なので、彼らが悲しんでいるように「見える」だけなのだけど……。
そういえば人間だって、なかでなに起きているかぜんぜん解明されていない「脳」ガアヤツル自動人形ダッタヨネ……。

物語、映像、音楽、すべてが美しすぎる名作♪

 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?


脱走した8人のアンドロイドを狩るバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)が主人公。
生き物がとても希少で、高価な本物の動物を飼うことが一種のステータスとなっている独特な世界です。
生き物を養うことは、感情移入できる=人間であることの証。

あらゆる感情を体験させてくれる「情調(ムード)オルガン」
坂をのぼる老人のビジョンを通して、他人との一体感を得る「共感(エンパシー)ボックス」

など、小道具も凝っていて、主人公をはじめ人間たちがほとんど強迫的に「人間らしさ」を求めているのが奇妙です。
まるで”私は人間だ”と証明しつづけなくてはならないような……。

目の前の相手は人かアンドロイドか、みたいなスリリングな面白さもあるのですが、SFであると同時にかなり”文学”していて、後半〜終盤はめちゃ読みごたえがあります。
あらゆるSFや、ほかのジャンルにも多大な影響を与えつづけている不朽の名作v

 スーパーインテリジェンス


超絶知能(スーパーインテリジェンス)が誕生したら、我々はそれをどうコントロールできるか。
ここでいうスーパーインテリジェンスは……

ありとあらゆる関わりにおいて人間の認知パフォーマンスをはるかに超える知能
「第2章 スーパーインテリジェンスへの道程」より


で、究極的には……

人間の知能がゾウやイルカやチンパンジーの知能よりも質的にすぐれているのと少なくとも同程度に、人間の知能よりも質的にすぐれている
「第3章 スーパーインテリジェンスの形態」より


くらいの、人類とはまったく異質なレベルの知性のことです。
本書は、いわゆるマシンAIだけでなく

全脳エミュレーション(人の脳を模倣するソフトウェア)
生物学的認知エンハンスメント(知能の高い遺伝子を何世代もかけあわせる)
ブレインコンピュータ・インタフェース(人間の脳とマシンの直結)
巨大知(人やコンピュータネットワーク全体による集合知)

などの方法で知能爆発が生まれる可能性も考慮しています。
スーパーインテリジェンスは”人類に害をなす”こともありうるので、じゃあどう制御していけばいいのか、が主題。


この本は小説ではないけれど、あえてたとえるならば、”起こっていないかもしれない事件”に対して、あらゆる可能性を検討し推理をかさねるミステリ、みたいな味わいかな。

仮定のうえの仮定の議論なので、ある意味ではとてつもない空中戦。
だけど、かりに超絶知能が実現したなら、ほかのどんなことより優先して対応しなくちゃならない問題だし、起こってから考えるのでは遅すぎる。

ひろく科学の知識がある方は、めっちゃ面白く読めると思いますv
(告白すると、私にはじゃっかんハードルが高めでした><; でもがんばった)

「人類全体の未来」を他人ごとだと思わない感性をお持ちなら、読むべし('◇')ゞ




ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a

(冒頭の写真は埼玉県のムーミンバレーパークのエントランスです)

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心の時代を生きるための本10冊
最近読んだ「幸せについて考える」本10冊〜三大幸福論を中心に〜



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posted by akika at 23:03| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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