2018年10月31日

今月(2018年10月)もっとも売れた本は『下町ロケット ヤタガラス』

 
今日のなぞなぞ
「2018年10月の月間ベストセラーは?」



10月31日(2018年)、「今月日本でもっとも売れた本」が発表されました。
(日販調べの月間ベストセラー(総合・ビジネス・フィクション)を末尾の「付録」のコーナーにまとめます


去年(2017年)の年間ベストセラーは↓こちら。
(2017)今年もっとも売れた本〜2017年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)
先月(2018年9月)のランキングは↓こちら。
今月(2018年9月)もっとも売れた本は『大家さんと僕』
最新のランキングは↓こちら。
カテゴリ:ベストセラー


※ この記事は毎月末に更新している、ベストセラー本の「定点観測」です。ある分野を定期的に観測することで、ちいさな変化にいち早く気づくことができる。これはジャーナリストの池上彰さんも推奨している、未来予測の方法です(『見通す力』)。

もちろん売れている本がすべて良書とは限らない。ベストセラーリストをまじまじと眺めながら、今の(今後の)”時代の空気”を一緒に感じてみましょ。というのが、このエントリの意図です。よかったら、何らかの「発見」を持ち帰っていってくださいねv





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『下町ロケット ヤタガラス』がトップ




出版取次会社の日本出版販売(日販)によると、
10月のベストセラーは、『下町ロケット ヤタガラス』

このブログでも取りあげた池井戸潤さんの名作経済小説『下町ロケット』シリーズの最新刊です。ドラマの放映がはじまったことも手伝って新着1位に輝きました。

関連記事:
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい



電子書籍(Kindle)で無料お試し版↓もリリースされています。



先月1位だった、お笑いユニット・カラテカ矢部太郎さんの『大家さんと僕』は今月は4位です。




4月10日(2018年)に発表された「2018年本屋大賞」および7月18日(2018年)に発表された「第159回芥川賞・直木賞」関連の作品は、今月はランキング圏外でした。

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2018年本屋大賞ノミネート作品

大賞
『かがみの孤城』辻村深月
2位
『盤上の向日葵』柚月裕子
3位
『屍人荘の殺人』今村昌弘
4位
『たゆたえども沈まず』原田マハ
5位
『AX アックス』伊坂幸太郎
6位
『騙し絵の牙』塩田武士
7位
『星の子』今村夏子
8位
『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人
9位
『百貨の魔法』村山早紀
10位
『キラキラ共和国』小川糸


翻訳小説部門

1位
『カラヴァル 深紅色の少女』
2位
『13.67』
3位
『その犬の歩むところ』


本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/

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第159回芥川龍之介賞候補作品

古谷田奈月「無限の玄」「早稲田文学 2018年初夏号 」に掲載)
(受賞!)高橋弘希「送り火」「文學界 2018年5月号」に掲載)
北条裕子「美しい顔」(「群像 2018年6月号」に掲載)
町屋良平「しき」「文芸 2018年 夏号」に掲載
松尾スズキ「もう『はい』としか言えない」「文學界 2018年3月号」に掲載)


芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/

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第159回直木三十五賞候補作品

上田早夕里『破滅の王』
木下昌輝『宇喜多の楽土』
窪美澄『じっと手を見る』
(受賞!)島本理生『ファーストラヴ』
本城雅人『傍流の記者』
湊かなえ『未来』


直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/

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ビジネス書は『四季報業界地図』が8位




ビジネス書部門では、先月からチャートに顔をのぞかせている「『会社四季報』 業界地図」の最新版が8位に。業界別の会社情報が網羅されている、ロング&ベストセラーシリーズです。就活学生、がんばれ!

関連記事:
【就職活動】面接で落とされないためのたった1つの裏技
カテゴリ:就活



大注目の新刊『amazon 世界最先端の戦略がわかる』は、今月は4位にジャンプアップ。
1位は『学びを結果に変えるアウトプット大全』
2位は『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』でした。





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フィクションは『沈黙のパレード』が2位




フィクション部門では東野圭吾さんの新作『沈黙のパレード』が2位にニューエントリしています。名作ミステリ「探偵ガリレオ」シリーズのひさびさの最新刊ですv

「ガリレオ」シリーズはドラマや映画の印象が強く残っているひとも多いかな。福山雅治さん演じる湯川教授のあれです。「実に面白い」ってやつ。
『容疑者Xの献身』は映画も良いけれど、原作小説も実に面白い。名作ちゅうの名作ですv 未読ならぜひ♪

関連記事:
最近読んだミステリ10冊〜本格から社会派まで〜
徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」
【ロジック】新本格ミステリの名作100冊【プロット】





1位はもちろん、総合部門でトップだった『下町ロケット ヤタガラス』
3位は映画の公開がはじまった『コーヒーが冷めないうちに』でした。

映画の効果もあって、今月は川口俊和さんの著作のランクインが目立っています。『思い出が消えないうちに』が5位。『この嘘がばれないうちに』が7位。

今月は、「転生したらスライムだった件」「幼女戦記」「掟上今日子(忘却探偵)」の最新刊もリリースされています。





日販のサイト(http://www.nippan.co.jp/)で各ジャンルのトップ10が確認できます。この記事では取りあげていない「ノンフィクション部門」などのランキングも。


当ブログの記事(今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方)もあわせてご覧ください♪


それでは、


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


※ ↓付録の「〜位」の横の記号は、先月からの順位の変動をあらわします。
△ …… ランクアップ、= ……変わらず、▼ …… ランクダウン

【関連記事】

(2017)今年もっとも売れた本〜2017年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)
今月(2018年9月)もっとも売れた本は『大家さんと僕』
カテゴリ:ベストセラー
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい
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徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」
【ロジック】新本格ミステリの名作100冊【プロット】

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/
本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/

【付録】

2018年10月の月間ベストセラー 総合


(日販調べ。「全集」「文庫」「ゲーム攻略本」を除く総合ランキング。10月31日時点)

1位 △

2位 △

3位 △

4位 ▼

5位 △

6位 △

7位 ▼

8位 △

9位 ▼

10位 △


2018年10月の月間ベストセラー 単行本ビジネス

(日販調べ)

1位 △

2位 =

3位 △

4位 △

5位 ▼

6位 △

7位 ▼

8位 ▼

9位 △

10位 △


2018年10月の月間ベストセラー 単行本フィクション

(日販調べ)

1位 △
『下町ロケット ヤタガラス』
2位 △
『沈黙のパレード』
3位 ▼
『コーヒーが冷めないうちに』
4位 △
『転生したらスライムだった件 13』
5位 △
『思い出が消えないうちに』
6位 ▼

7位 △

8位 △

9位 △

10位 △
posted by akika at 20:02| ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月16日

『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う

 
今日のなぞなぞ
「なぜ『下町ロケット』は『週刊少年ジャンプ』で漫画化されるべきなのか?」



『下町ロケット』はいずれ「週刊少年ジャンプ」で漫画化されるはずだ。
なぜか。
それは、この小説がジャンプの”様式美”にのっとっているからだ。

……今日はそんなお話だっ。


☆★☆


本日紹介する本のは、以前の記事(【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい)で取りあげた池井戸潤さんの作品。

……と、あらためて説明する必要もないかもしれません。
第145回直木賞を受賞し、↓テレビドラマも高い視聴率を記録した、あの『下町ロケット』です。

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☆★☆


舞台は町のちいさな精密機械工場、佃製作所。
ここの経営者・佃さんは、かつては宇宙開発プロジェクトの研究員でした。

ところが、ロケットの打ち上げに失敗した責任を負い、
いまは家業を継いで二代目社長をやっています。


中小企業の”弱さ”を体現するように。
ある日、佃製作所はおおきな取引先を失ってしまう。
資金繰りが悪化するなか、銀行からの融資も断られた泣きっ面に、
特許侵害で他社から訴えられる」という蜂が飛んでくる。

……踏んだり蹴ったりの状況で物語は幕をあけます。
今のままじゃもう倒産するしかない。


以前の記事(【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】)で紹介した↓『売れる作家の全技術』で、大沢在昌さんは
エンターテイメント小説の条件として↓こんなふうなことをおっしゃっています。


主人公に苦難を与えいじめ抜け。
常に死にかけているくらいじゃないと、読者は目を向けてくれない。






『下町ロケット』はほんとうに、
大沢在昌さんの主張を地で行くような小説で。

佃製作所は何度も”死にかけ”ます。

内憂外患。
ひとつのトラブルが解決したと思ったら、今度は別の大問題。
1ページも目が離せない徹夜本です。



☆★☆



ドラマで観た方も多いかもしれないので、あらすじ説明はこれくらいにして。
(ちなみに今日の記事のあらすじ・引用などはすべて、ドラマ版でなく小説に依拠しています。阿部寛さんファンの方ごめんなさい(笑))

「少年ジャンプ」の話にうつりますね。


ここで問題。


Q.漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」の物語が扱う3つのテーマ。
いわゆる”ジャンプ三原則”とは何か?



……。

…………。

……………………。


A.答えは「エロス」「バイオレンス」「マネー」
……のはずはなくて(笑)

「友情」「努力」「勝利」です。


「ドラゴンボール」も「ONE PIECE」も、みんなこの3つの要素でできている♪
そして。
『下町ロケット』もおなじなのだ。




☆★☆


「努力」や「勝利」は説明せずとも伝わりそうなので
とにくスポットを当てたいのは「友情」の要素。


ジャンプ漫画でとても熱い展開として


凶悪な敵だったはずのアイツが、
仲間になって戦ってくれる



というものがあります。
ピッコロ(※)が、ベジータ(※)が、まさかの戦友に。

(※)ともに「ドラゴンボール」のキャラクター。


『下町ロケット』は、この展開が「ドラゴンボール」に負けないくらい熱い!


ではでは。
『下町ロケット』に出てくるベジータたち
ひとりずつ見ていきましょ。


☆★☆


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まずひとりめは、銀行から佃の会社に出向してきた、殿村・経理部長だ。
こいつが、はじめはいけすかないキャラなんだわ。

中小企業を下に見てるのかなんだか知らないが
それじゃ融資はおりませんよとかクールに正論をぶつける。
そんなんわかってんだよ。
あんたにとってはよその会社の台所事情なんだろーよ、あぁふざけるな……

と感じるんだけれど。
いずれ出身銀行を跳ねのけてまで佃製作所を救おうと奔走するようになる。
よそ者だったのに、誰よりも愛社精神のある人物になっていく。


熱い!!


内向的な殿村きゅんが大企業の査定者を相手に啖呵を切るシーン↓は、
かっこいいですv

「なにか勘違いされていませんか(中略)
こんな評価しかできない相手に、我々の特許を使っていただくわけにはいきません。
そんな契約などしなくても、我々は一向に困ることはありません。
どうぞ、お引き取りください」


「第五章 佃プライド」より


☆★☆


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ふたりめは、帝国重工という大会社の財前・開発担当部長だ。
佃製作所が”起死回生の取引”をできるかどうかは、この財前にかかっている。

こいつが、いけすかないヤツなんだわ。
財前は、佃製作所が持つ特許を買い叩いて自社で使いたい。

もうね。ハナから下町の工場をナメていて、お前が特許を持っていても宝の持ち腐れだとでも言いたげな態度なのね。
佃の資金難も知っていて、足元をまじまじと見てくる、もうふざけるな……


って感じなんだけど。
財前が佃の工場と作業員の姿を見学するや、一変。
その技術力の高さに惚れこんでしまい、
自社の方針を曲げてでも「佃に部品を作ってもらいたい!」と声をあげるようになる。


熱い!!


財前たそが帝国重工の社長に”佃品質”を説くセリフが↓これだ。

「佃製作所のバルブシステムは、当社製品の品質を上回る成績をおさめています。
(中略)
このシステムの性能であれば、少なくとも向こう三年間は、国際競争力を維持することができるはずです」


「第七章 リフト・オフ」より


☆★☆




さんにんめは、佃製作所の若手営業マン、江原だ。
こいつが(……以下略)。

社長の方針に反対している”アンチ佃派”の代表みたいなヤツで。
おおきなリスクを取ろうとする佃を裏で、ときには面と向かって批判する。
ったく、文句だけは一人前だな、何様だ、ふざけるな……

と感じるのだけど。
佃製作所に帝国重工の審査がはいったとたん、彼は様変わりする。
大企業の、見下すような態度に腹がたち、「これはプライドの問題だ!」
誰よりも佃社長の方針に賛同するようになる。


熱い!!


同僚たちを鼓舞するため、江原様が社内ポスターに描いたキャッチフレーズ↓は……

――佃品質。佃プライド。

「第五章 佃プライド」より


熱い!!!


☆★☆




そんなこんなで。
名作経済小説を”キャラ読み”してしまいましたが。
ジャンプらしさ、伝わったかな。

あ、ちなみに本書のもっと異端な読み方としては
”腐読み””乙女読み”ができるかと思います。


佃×殿村
なら顔を真っ赤にして悶える殿村きゅんが萌えるだろうし

江原×佃
なら江原の俺様プレイが火を噴きそうですね。


……ああもう何の話だか(笑)。



今日は


『下町ロケット』っていう本が
熱い展開だよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



という記事でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


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タグ:徹夜本






posted by akika at 00:47| コミュニケーション・セールス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月14日

【語り手】文学理論を学びたい人のための15冊【テクスト論】

 
今日のなぞなぞ
「文学理論を学ぶために必読の15冊は?」




「文学理論を学びたい人のための15冊」をまとめました。
↓リストは『文学理論』の訳者あとがきで、富山太佳夫さんがオススメしている15冊。
(短い紹介文はこのブログのオリジナルです)

「理論意識の明確な、文学批評の本」としてチョイスしたそうですが、
文学研究を超えて、現代思想や哲学を学ぶうえでも役立ちそうなラインナップ。
数えきれないくらいの書籍や論文で引用・言及されている、鉄板本ともいえるリストです。

すこし専門的ですが、「言葉」を身近なものとしている読書家のあなたなら、
意外なくらいすんなり読めると思います。
(文学部の学生や文系の大学院生なら必携!)


読書の秋。
ちょっと背伸びして、専門書をひもといてみてはいかがでしょ♪




 1.ニュークリティシズム

曖昧の七つの型〈上〉 (岩波文庫)
ウイリアム・エンプソン 岩崎 宗治
岩波書店
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曖昧の七つの型〈下〉 (岩波文庫)
ウィリアム エンプソン
岩波書店
売り上げランキング: 613,436

ニュークリティシズム(※)を切り拓いた、文学理論家ウイリアム・エンプソンの代表作。シェイクスピアなどの詩の分析をとおして、”多義的”であろうとするテクストの性質と向かい合う。近代文学理論の始祖ともいうべき名著。

※ 1930〜40年代にアメリカで興った新しい文学批評の流れ。作者の意図や歴史状況などを離れ、作品(テクスト)じたいを「客観的」に分析することを志向する。

 2.現象学

人間的時間の研究 (1969年) (筑摩叢書)
井上 究一郎 ジョルジュ・プーレ
筑摩書房
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作品内の時間や空間は、「意識の世界」で起こっていることが記述されたものである。主体と客体、意識と世界の分離を問題にする、現象学(※)的批評の代表作。ぜんぶで4巻ありますが、手にはいりにくいので古本か図書館で。

※ 20世紀初頭、おもにフランスの哲学者フッサールによって打ちたてられた学問的方法論。我々の認識の外に現実世界が存在するという”常識”をいったん判断停止(エポケー)し、純粋な意識をとおしてものごとを知覚する。

 3.比較文学


ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈下〉 (ちくま学芸文庫)
エーリッヒ アウエルバッハ
筑摩書房
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文学における描写は現実の模倣(ミメーシス)であるとし、新旧の文芸作品の文体分析を行う。ホメロスからプルーストまで、ヨーロッパの精神史を俯瞰。

 4.構造主義


バルザックの中編「サランジーヌ」の文学理論的分析。テクストの”意味”がいかに産出されるかについて、言語・精神・社会など読者が前提としているコード(※)に目を向けます。構造主義(※)的分析の実践。

※ 情報伝達において、その社会の人々が共有している約束ごとのようなもの。
※ 1950〜60年代におもにフランスで展開された知的態度の総称。ソシュールの言語学を起点とする。レヴィ・ストロース(文化人類学)、ロラン・バルト(文化研究)、ジャック・ラカン(精神分析学)、ミシェル・フーコー(思想哲学)など。


 5.テクストの空白


テクストはそれ自体が直接言及していないものを内部に持つ。余白こそを読みこむ、今日の文学研究の理論的礎。

 6.ポスト構造主義


芸術はそこで習得されるシーニュ(※)によって本質、真理へと接続していく。プルースト『失われた時を求めて』の分析です。知識や全体性、主体に懐疑の目を向けるポスト構造主義(※)的な文学批評の代表。

※ 記号論では、シニフィアン(意味するもの)とシニフィエ(意味されるもの)の対としての言語的記号をいう。本書ではこの概念をさらに広く芸術全般に応用している。
※ 構造主義というレッテルから距離をとりはじめた思想家たちの一連の仕事をいう。1960〜70年代、おもにフランスにおける思想運動。バルト、ラカン、フーコー、デリダ、ドゥルーズ、リオタールなど。


 7.脱構築(ディスコンストラクション)

狂気と文学的事象
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現代思想や文学作品と対峙し、言語であらわせないものを言語であらわそうと尽力する「テクストの狂気」について論じます。イェール学派(※)の才媛による刺激的な文学理論書。

※ ジャック・デリダの脱構築(ディスコンストラクション)理論を文学理論として確立したアメリカのイェール大学の思想家グループ。ポール・ド・マンを中心とする。

 8.イェール学派


小説における「反復」論。ヴァージニア・ウルフなどイギリス文学の分析です。↑のフェルマンとおなじくイェール学派。

 9.ポストモダン


テクストは原理的にはあらゆる解釈をゆるす「開かれた」ものである。一義的に閉じようとする態度に対し異議を申し立てる、ポストモダン(※)的文学理論。

※ 機能や合理性に重きを置く近代主義(モダニズム)を批判する運動の総称。建築の分野で興ったが、現在ではあらゆるジャンルの知的創作的態度について用いられる用語。

 10.ポリフォニー(多声楽)、カーニバル


ポリフォニーとカーニバル。現代文学理論においてとても重要なふたつの概念を提示しています。前者は真に異なる価値や人格が”多声的(ポリフォニック)”に作品内に存在していること。後者は聖と俗などの対立が反転・無化する物語空間。

 11.新歴史主義(ニューヒストリシズム)


ルネサンス(※)の分析をとおし、文化の盛り上がりに即興演技(アドリブ)をみる。既存のものを利用し、散らばる素材を都合よく自らの言説にまとめあげ、できあがったものが再帰的に既存のものすらも変容させていく。文学は社会の反映ではなく、ときには社会に敵対するエネルギーを秘める。新歴史主義(※)批評の代表作。

※ 14世紀にイタリアで興った文化復興の運動。
※ 従来の歴史主義を批判する歴史記述の態度。言説と主体、文学と歴史の階層的因果関係や対立性を否定する。フーコーの影響を強く受けている。


 12.作家性

『カフカの衣装』
マーク・アンダーソン(著)、三谷研爾(訳)、武林多寿子(訳)
高科書店

フランツ・カフカの作家論。いかにしてモチーフや文体を獲得するにいたったかを試行錯誤を含めて追いかけ、その作家性を論じます。非常に手にはいりにくいので、本書訳者の三谷研爾さん『境界としてのテクスト』も紹介します。同書の第2章「歴史/受容」で「覚え書き」として『カフカの衣装』が言及されています。



 13.ポストコロニアル理論

文化と帝国主義〈1〉
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文化や社会においても西洋の言説が覇権をふるうポストコロニアル(植民地主義後)の時代、文化的支配は被支配地に雑種(ハイブリッド)なアイデンティティを形成させる。支配の手段として、あるいは抵抗の武器として用いられる”言葉”の作用を浮き彫りにします。ポストコロニアル理論(※)の代表作のひとつ。

※ ヨーロッパによる植民地化とその余波が提起した問題系を理論的に捉えようとする思想の総称。

 14.ジェンダー研究、フェミニズム理論


シェイクスピアなどイギリス文学の分析をとおし、社会に存在するホモソーシャル(異性を暗黙裡に排除しようとする同性同士の”絆”)な制度とホモフォビア(ヘテロセクシャル(異性愛者)がもつ同性愛嫌悪の感情)の脅迫をあぶり出します。マイノリティ研究やクィア理論(※)に通じる、ジェンダー(社会的性別)研究のバイブル。

※ 同性愛者への蔑称である「クィア(Queer)」を自ら肯定的に引き受けることで、社会が内にかかえる差別的制度の構造を明らかにし相対化する。マイノリティ解放の理論的実践方法。

 15.都市空間


江戸〜明治の日本文学を”都市”をキーワードに精読する。明確な理論意識のもと、物語世界を都市空間のなかに捉えなおす方法論を提示した、あるいは新たな都市論を構築した、名著です。




あきか(@akika_a


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posted by akika at 01:29| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月13日

(お知らせ)コメント・トラバ機能を終了&ブログタイトルをリニューアル

 
今日のなぞなぞ
「このブログの新しいタイトルは?」

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ひさびさのお知らせ記事です。
告知したいのは2点。


・コメントとトラックバック機能を終了させていただきました。
・ブログのタイトルをリニューアルしました。



コメント&トラバはとても悩みました。
励みになる言葉をいただいたこともたくさんあったのですが、ちょっと困るコメントも多かったので。思い切った。

これ読んだよ! とか、誤字脱字を指摘してくれたりとか、ありがたいコメントもあったんだけどね。
でも、たとえばスパム的な、URLがちょっとあぶなそうなものとか、このブログからリンクを張ることになるわけだから、承認する前に一応確認しに行かなきゃいけないじゃん。
(実際、かなりヤバいのもありました)


こんまりさん風にいえば……


そんなのぜんぜんときめかない!




というわけで。申し訳ないけれど、今後はコメントとトラバ(※)は停止させてください。

※ じつはseesaaブログ全体ではトラックバックは昨年からサービスを終了しています。


あとね。
私にだけじゃなく、紹介した本の著者さんに対する批判コメントもたまにありました。いや、ここに書いてもたぶん作者には届かないんじゃ……みたいな。

なので断捨離です。
SNSもあるし、コメントを閉じてもだいじょぶだよね。


☆★☆



もうひとつのお知らせは、ブログのタイトルのリニューアルです。
新しいタイトルは……



ノーリスク・ハイリターンの投資は読書



……いつものキャッチコピー、そのままです。
記事の締めの言葉をまんまタイトルにもってきました。



これまでのタイトル(「金持ち父さん」のための読書術!)はもちろん、ものすごく想いいれがあって。

これはロバート・キヨサキさんの



という本(あえて旧版で紹介します(笑)。新版はこっちね)から取らせていただいていたのね。

本書にふれたことがきっかけで「金融リテラシーについての本をがんがん読んで学ぼう!」と思いたち、つくったのがこのブログ。


でも、いつのまにか。
ビジネス書全般に対象が広がり、さらに小説やマンガ、絵本まで「本ならなんでもアリ」のサイトに育っていった。

もはやファイナンシャルリテラシーだけのブログではなくなっている。
なので、コメント・トラバ終了と同時にタイトルもリニューアルです。


ノーリスク・ハイリターンの投資は読書


……いちおう”投資”という言葉がはいってるから、昔の面影がありますね。
なんだか名残り惜しいのう。




それから、ラストに。
まだ先のお話なのですが、Google+ が一般向けサービスを終了するそうです。
当ブログの Google+ ページや私のアカウントをフォローしてくださっている方は、今後はほかのSNS↓で更新情報にキャッチアップしていただけるとうれしいです。


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そんなこんなで当ブログ「ノーリスク・ハイリターンの投資は読書」を
これからもよろしくお願いいたします♪



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あきか(@akika_a
 
posted by akika at 18:14| お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月06日

最近読んだ「生産性を上げる」本10冊

 
今日のなぞなぞ
「生産性を高めるためには?」



今日は、最近乱読したなかから
”生産性をあげる本10冊”をぷちレビューしていきます。


仕事の能率を向上させる直球な本はもちろん、
ちょっとした意識・習慣・考え方のカイゼンをもたらす変化球まで、雑食読書家ならではのラインナップに仕上げました。

生産性は、さまざまなアプローチでアップさせることができる。

なるほど言われてみれば。この方法があったのか!
そんな発見があればうれしいかぎりですv




 「生産性」とは何か


生産性とは何なのか、を知りたいあなたに。マッキンゼー出身の伊賀泰代さんが「生産性」を明確に定義。生産性はリソース(コスト)/アウトプットにおける改善/革新のマトリクスで表現できる。人材採用なら「たった10人の応募しかなく、全員内定」という最高パフォーマンスを目指せ。後半は”ムダのかたまり”である会議・プレゼン・資料づくりを狙い撃ちします。

 がむしゃらに、はNG


なんでもかんでも手をつけてしまうあなたに。生産量のひくい仕事をカットしていくことで、どんどんみずからの時給をあげていけ、という本。文章にスピード感があるので、リズムに乗って脳がショートするほどの速さで読むのを推奨♪

 スマホのトップ画面を見直して!


スマートフォンに時間を奪われているかも……と感じるあなたへ。逆に、時間やアウトプットを生み出すスマホの使い方を教えてくれます。本書で推薦されている「lino」という付箋アプリは、私もめちゃめちゃオススメです。使い方も小山竜央さんのおっしゃるとおりでOK。「5キロやせたい」とか書いてちょこちょこ眺めるだけでいいんだけど、「何の魔法だよ!」っていうくらい夢や目標がかないます。

 何もしない時間が集中力をやしなう


集中力がとぎれやすいなぁ……と思っているあなたに。”今”に集中するマインドフルネスを伝授。起業家にはなぜか瞑想を習慣にしているひとが多いですよね。オフィスに「瞑想室」をつくっているベンチャー企業もあるくらい。ただ呼吸だけに意識を向ける時間が、とんでもない集中力をやしなうことにつながる。レッツ・只管打坐♪

 ゲームの”本質”を見抜け!


今の努力が”見当違いかも”とあやぶんでいるあなたに。億単位のお金を奪いあう過酷なゲームを描いたマンガです。どのエピソードにも共通していえるのは……ルールの”本質”を見抜くのがなにより重要ということ。見えてないヤツはまるで意味のない頑張り方をして沈んでいく……。怖いね。「少数決」はチーム戦だし、イス取りゲームは「国盗り」だ。コミックですが、このブログでいつもオススメしている良書ですv

 小技だけどチリも積もる


ファイルの上書き保存をマウスで操作しているあなたへ。コピー&ペーストだけじゃない、パソコンのショートカット操作を網羅して教えてくれます。意外と知らないワザも多い? ちょっとした時短テクニックですが、チリも積もれば山になる。早いうちに身につけておくべし。

 こんまりっ!


探しものがいつも見つからないあなたへ。みんな大好きこんまりさんの片づけ本。「片づけはこの1冊でOK」といえるほどの名著です。どこが生産性? と思うかもしれませんが、じつは今日一番のオススメが本書。ヘタなビジネス書や啓発本を読むより、こんまり流に部屋の片づけをしたほうがよっぽど効果があります。決断力も段取り力もあがる。こんまりっ!

 グーグル時代の情報整理エッセイ


情報の扱い方について考えたいあなたに。元グーグルCIO(最高情報責任者)によるエッセイです。ツールの使い方……みたいな実践的な話よりも、増えつづける情報にいかに接していくか、俯瞰的な視点に寄っています。何を捨て、何をどう選ぶべきか。

 生産性は「省エネ」とは違うよ



ここですこしカウンターパンチぎみに『ユダヤ人大富豪の教え』をセレクトしました。原作↓も名著だけど、コミック版↑も秀逸。ダイナミックなコマ割りが素敵で、ケンの物語にうるっときます。

生産性というと「効率化」や「コスト削減」みたいな話につながってしまいがちだけど、本書が教えてくれるのは熱量の大切さです。気持ち、熱意、ヴィジョン……数字で測れないものが小手先の改善に勝る瞬間が必ずある。大切なものまで「コストカット」しないで。ぜったいに。


 反脆さ(はんもろさ)



ラストは私の大好きなタレブの著作から1冊。本書のいう「反脆弱性・反脆さ」とは、予期せぬ事態に対する強さのことです。強さといっても、頑丈さとは異なる。むしろ常でない出来事が追い風になるような存在こそが”反脆い”といえます。たとえば、誹謗中傷が知名度アップにつながるアーティストなど。

それは、いわゆる生産性とは真逆の世界です。リソースを減らしアウトプットを極限まで高めていくと、そこに残るのはブラックスワン(統計からはずれるような想定外の出来事)にとても脆いシステムだ。でも、黒鳥はいつかかならずあらわれる。そのときに輝くのは”いままで生産性がひくいと思われていたもの”なのかもしれません。


……じゃあ、どうすればいいの? って話じゃないよ。タレブは哲学だから。でも。たとえすぐには役に立たないとしても「反脆さ」という”概念”を手にいれておくことは、とても重要だと私は思います。時代はがんがん変わってくのだし。『反脆弱性』はとっておきのオススメ本です♪





お口にあう本はございましたでしょうか?




ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a



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posted by akika at 01:40| Comment(0) | 日記・最近読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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