2018年10月31日

今月(2018年10月)もっとも売れた本は『下町ロケット ヤタガラス』

 
今日のなぞなぞ
「2018年10月の月間ベストセラーは?」



10月31日(2018年)、「今月日本でもっとも売れた本」が発表されました。
(日販調べの月間ベストセラー(総合・ビジネス・フィクション)を末尾の「付録」のコーナーにまとめます


去年(2017年)の年間ベストセラーは↓こちら。
(2017)今年もっとも売れた本〜2017年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)
先月(2018年9月)のランキングは↓こちら。
今月(2018年9月)もっとも売れた本は『大家さんと僕』
最新のランキングは↓こちら。
カテゴリ:ベストセラー


※ この記事は毎月末に更新している、ベストセラー本の「定点観測」です。ある分野を定期的に観測することで、ちいさな変化にいち早く気づくことができる。これはジャーナリストの池上彰さんも推奨している、未来予測の方法です(『見通す力』)。

もちろん売れている本がすべて良書とは限らない。ベストセラーリストをまじまじと眺めながら、今の(今後の)”時代の空気”を一緒に感じてみましょ。というのが、このエントリの意図です。よかったら、何らかの「発見」を持ち帰っていってくださいねv





+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+*

『下町ロケット ヤタガラス』がトップ




出版取次会社の日本出版販売(日販)によると、
10月のベストセラーは、『下町ロケット ヤタガラス』

このブログでも取りあげた池井戸潤さんの名作経済小説『下町ロケット』シリーズの最新刊です。ドラマの放映がはじまったことも手伝って新着1位に輝きました。

関連記事:
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい



電子書籍(Kindle)で無料お試し版↓もリリースされています。



先月1位だった、お笑いユニット・カラテカ矢部太郎さんの『大家さんと僕』は今月は4位です。




4月10日(2018年)に発表された「2018年本屋大賞」および7月18日(2018年)に発表された「第159回芥川賞・直木賞」関連の作品は、今月はランキング圏外でした。

----------
2018年本屋大賞ノミネート作品

大賞
『かがみの孤城』辻村深月
2位
『盤上の向日葵』柚月裕子
3位
『屍人荘の殺人』今村昌弘
4位
『たゆたえども沈まず』原田マハ
5位
『AX アックス』伊坂幸太郎
6位
『騙し絵の牙』塩田武士
7位
『星の子』今村夏子
8位
『崩れる脳を抱きしめて』知念実希人
9位
『百貨の魔法』村山早紀
10位
『キラキラ共和国』小川糸


翻訳小説部門

1位
『カラヴァル 深紅色の少女』
2位
『13.67』
3位
『その犬の歩むところ』


本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/

----------
----------
第159回芥川龍之介賞候補作品

古谷田奈月「無限の玄」「早稲田文学 2018年初夏号 」に掲載)
(受賞!)高橋弘希「送り火」「文學界 2018年5月号」に掲載)
北条裕子「美しい顔」(「群像 2018年6月号」に掲載)
町屋良平「しき」「文芸 2018年 夏号」に掲載
松尾スズキ「もう『はい』としか言えない」「文學界 2018年3月号」に掲載)


芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/

----------
----------
第159回直木三十五賞候補作品

上田早夕里『破滅の王』
木下昌輝『宇喜多の楽土』
窪美澄『じっと手を見る』
(受賞!)島本理生『ファーストラヴ』
本城雅人『傍流の記者』
湊かなえ『未来』


直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/

----------


+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+*

ビジネス書は『四季報業界地図』が8位




ビジネス書部門では、先月からチャートに顔をのぞかせている「『会社四季報』 業界地図」の最新版が8位に。業界別の会社情報が網羅されている、ロング&ベストセラーシリーズです。就活学生、がんばれ!

関連記事:
【就職活動】面接で落とされないためのたった1つの裏技
カテゴリ:就活



大注目の新刊『amazon 世界最先端の戦略がわかる』は、今月は4位にジャンプアップ。
1位は『学びを結果に変えるアウトプット大全』
2位は『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』でした。





+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+* *+*+*

フィクションは『沈黙のパレード』が2位




フィクション部門では東野圭吾さんの新作『沈黙のパレード』が2位にニューエントリしています。名作ミステリ「探偵ガリレオ」シリーズのひさびさの最新刊ですv

「ガリレオ」シリーズはドラマや映画の印象が強く残っているひとも多いかな。福山雅治さん演じる湯川教授のあれです。「実に面白い」ってやつ。
『容疑者Xの献身』は映画も良いけれど、原作小説も実に面白い。名作ちゅうの名作ですv 未読ならぜひ♪

関連記事:
最近読んだミステリ10冊〜本格から社会派まで〜
徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」
【ロジック】新本格ミステリの名作100冊【プロット】





1位はもちろん、総合部門でトップだった『下町ロケット ヤタガラス』
3位は映画の公開がはじまった『コーヒーが冷めないうちに』でした。

映画の効果もあって、今月は川口俊和さんの著作のランクインが目立っています。『思い出が消えないうちに』が5位。『この嘘がばれないうちに』が7位。

今月は、「転生したらスライムだった件」「幼女戦記」「掟上今日子(忘却探偵)」の最新刊もリリースされています。





日販のサイト(http://www.nippan.co.jp/)で各ジャンルのトップ10が確認できます。この記事では取りあげていない「ノンフィクション部門」などのランキングも。


当ブログの記事(今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方)もあわせてご覧ください♪


それでは、


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


※ ↓付録の「〜位」の横の記号は、先月からの順位の変動をあらわします。
△ …… ランクアップ、= ……変わらず、▼ …… ランクダウン

【関連記事】

(2017)今年もっとも売れた本〜2017年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)
今月(2018年9月)もっとも売れた本は『大家さんと僕』
カテゴリ:ベストセラー
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい
【就職活動】面接で落とされないためのたった1つの裏技
カテゴリ:就活
最近読んだミステリ10冊〜本格から社会派まで〜
徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」
【ロジック】新本格ミステリの名作100冊【プロット】

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/
本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/

【付録】

2018年10月の月間ベストセラー 総合


(日販調べ。「全集」「文庫」「ゲーム攻略本」を除く総合ランキング。10月31日時点)

1位 △

2位 △

3位 △

4位 ▼

5位 △

6位 △

7位 ▼

8位 △

9位 ▼

10位 △


2018年10月の月間ベストセラー 単行本ビジネス

(日販調べ)

1位 △

2位 =

3位 △

4位 △

5位 ▼

6位 △

7位 ▼

8位 ▼

9位 △

10位 △


2018年10月の月間ベストセラー 単行本フィクション

(日販調べ)

1位 △
『下町ロケット ヤタガラス』
2位 △
『沈黙のパレード』
3位 ▼
『コーヒーが冷めないうちに』
4位 △
『転生したらスライムだった件 13』
5位 △
『思い出が消えないうちに』
6位 ▼

7位 △

8位 △

9位 △

10位 △
posted by akika at 20:02| ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月16日

『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う

 
今日のなぞなぞ
「なぜ『下町ロケット』は『週刊少年ジャンプ』で漫画化されるべきなのか?」



『下町ロケット』はいずれ「週刊少年ジャンプ」で漫画化されるはずだ。
なぜか。
それは、この小説がジャンプの”様式美”にのっとっているからだ。

……今日はそんなお話だっ。


追記)
※ 『下町ロケット』は、現在、私の知るかぎりではコミック化されていません(2019年2月現在)。いつかマンガ化してほしいです><(同人誌とかならあるのかな?)
『下町ロケット』の池井戸潤さん原作の漫画↓はいくつか出ています。

「花咲舞が黙ってない」
「空飛ぶタイヤ」
「マンガで読み解くやさしい融資」





☆★☆


本日紹介する本のは、以前の記事(【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい)で取りあげた池井戸潤さんの作品。

……と、あらためて説明する必要もないかもしれません。
第145回直木賞を受賞し、↓テレビドラマも高い視聴率を記録した、あの『下町ロケット』です。

下町ロケット -ディレクターズカット版- DVD-BOX
TCエンタテインメント (2016-03-23)
売り上げランキング: 7,163


☆★☆


舞台は町のちいさな精密機械工場、佃製作所。
ここの経営者・佃さんは、かつては宇宙開発プロジェクトの研究員でした。

ところが、ロケットの打ち上げに失敗した責任を負い、
いまは家業を継いで二代目社長をやっています。


中小企業の”弱さ”を体現するように。
ある日、佃製作所はおおきな取引先を失ってしまう。
資金繰りが悪化するなか、銀行からの融資も断られた泣きっ面に、
特許侵害で他社から訴えられる」という蜂が飛んでくる。

……踏んだり蹴ったりの状況で物語は幕をあけます。
今のままじゃもう倒産するしかない。


以前の記事(【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】)で紹介した↓『売れる作家の全技術』で、大沢在昌さんは
エンターテイメント小説の条件として↓こんなふうなことをおっしゃっています。


主人公に苦難を与えいじめ抜け。
常に死にかけているくらいじゃないと、読者は目を向けてくれない。






『下町ロケット』はほんとうに、
大沢在昌さんの主張を地で行くような小説で。

佃製作所は何度も”死にかけ”ます。

内憂外患。
ひとつのトラブルが解決したと思ったら、今度は別の大問題。
1ページも目が離せない徹夜本です。



☆★☆



ドラマで観た方も多いかもしれないので、あらすじ説明はこれくらいにして。
(ちなみに今日の記事のあらすじ・引用などはすべて、ドラマ版でなく小説に依拠しています。阿部寛さんファンの方ごめんなさい(笑))

「少年ジャンプ」の話にうつりますね。


ここで問題。


Q.漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」の物語が扱う3つのテーマ。
いわゆる”ジャンプ三原則”とは何か?



……。

…………。

……………………。


A.答えは「エロス」「バイオレンス」「マネー」
……のはずはなくて(笑)

「友情」「努力」「勝利」です。


「ドラゴンボール」も「ONE PIECE」も、みんなこの3つの要素でできている♪
そして。
『下町ロケット』もおなじなのだ。




☆★☆


「努力」や「勝利」は説明せずとも伝わりそうなので
とにくスポットを当てたいのは「友情」の要素。


ジャンプ漫画でとても熱い展開として


凶悪な敵だったはずのアイツが、
仲間になって戦ってくれる



というものがあります。
ピッコロ(※)が、ベジータ(※)が、まさかの戦友に。

(※)ともに「ドラゴンボール」のキャラクター。


『下町ロケット』は、この展開が「ドラゴンボール」に負けないくらい熱い!


ではでは。
『下町ロケット』に出てくるベジータたち
ひとりずつ見ていきましょ。


☆★☆


S.H.フィギュアーツ ピッコロ
バンダイ (2009-11-21)
売り上げランキング: 5,062


まずひとりめは、銀行から佃の会社に出向してきた、殿村・経理部長だ。
こいつが、はじめはいけすかないキャラなんだわ。

中小企業を下に見てるのかなんだか知らないが
それじゃ融資はおりませんよとかクールに正論をぶつける。
そんなんわかってんだよ。
あんたにとってはよその会社の台所事情なんだろーよ、あぁふざけるな……

と感じるんだけれど。
いずれ出身銀行を跳ねのけてまで佃製作所を救おうと奔走するようになる。
よそ者だったのに、誰よりも愛社精神のある人物になっていく。


熱い!!


内向的な殿村きゅんが大企業の査定者を相手に啖呵を切るシーン↓は、
かっこいいですv

「なにか勘違いされていませんか(中略)
こんな評価しかできない相手に、我々の特許を使っていただくわけにはいきません。
そんな契約などしなくても、我々は一向に困ることはありません。
どうぞ、お引き取りください」


「第五章 佃プライド」より


☆★☆


ドラゴンボールZ 超造集 其之六 天津飯
バンプレスト
売り上げランキング: 97,045


ふたりめは、帝国重工という大会社の財前・開発担当部長だ。
佃製作所が”起死回生の取引”をできるかどうかは、この財前にかかっている。

こいつが、いけすかないヤツなんだわ。
財前は、佃製作所が持つ特許を買い叩いて自社で使いたい。

もうね。ハナから下町の工場をナメていて、お前が特許を持っていても宝の持ち腐れだとでも言いたげな態度なのね。
佃の資金難も知っていて、足元をまじまじと見てくる、もうふざけるな……


って感じなんだけど。
財前が佃の工場と作業員の姿を見学するや、一変。
その技術力の高さに惚れこんでしまい、
自社の方針を曲げてでも「佃に部品を作ってもらいたい!」と声をあげるようになる。


熱い!!


財前たそが帝国重工の社長に”佃品質”を説くセリフが↓これだ。

「佃製作所のバルブシステムは、当社製品の品質を上回る成績をおさめています。
(中略)
このシステムの性能であれば、少なくとも向こう三年間は、国際競争力を維持することができるはずです」


「第七章 リフト・オフ」より


☆★☆




さんにんめは、佃製作所の若手営業マン、江原だ。
こいつが(……以下略)。

社長の方針に反対している”アンチ佃派”の代表みたいなヤツで。
おおきなリスクを取ろうとする佃を裏で、ときには面と向かって批判する。
ったく、文句だけは一人前だな、何様だ、ふざけるな……

と感じるのだけど。
佃製作所に帝国重工の審査がはいったとたん、彼は様変わりする。
大企業の、見下すような態度に腹がたち、「これはプライドの問題だ!」
誰よりも佃社長の方針に賛同するようになる。


熱い!!


同僚たちを鼓舞するため、江原様が社内ポスターに描いたキャッチフレーズ↓は……

――佃品質。佃プライド。

「第五章 佃プライド」より


熱い!!!


☆★☆




そんなこんなで。
名作経済小説を”キャラ読み”してしまいましたが。
ジャンプらしさ、伝わったかな。

あ、ちなみに本書のもっと異端な読み方としては
”腐読み””乙女読み”ができるかと思います。


佃×殿村
なら顔を真っ赤にして悶える殿村きゅんが萌えるだろうし

江原×佃
なら江原の俺様プレイが火を噴きそうですね。


……ああもう何の話だか(笑)。



今日は


『下町ロケット』っていう本が
熱い展開だよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



という記事でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


【関連記事】

【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい
【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】
小説版『PSYCHO-PASS<0>(サイコパスゼロ)』の心理描写がスゴくてほとんどBL(ボーイズラブ)
【攻め受け】BL(ボーイズラブ)漫画・小説の定番9冊【リバース】
タグ:徹夜本






posted by akika at 00:47| コミュニケーション・セールス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月14日

【語り手】文学理論を学びたい人のための15冊【テクスト論】

 
今日のなぞなぞ
「文学理論を学ぶために必読の15冊は?」




「文学理論を学びたい人のための15冊」をまとめました。
↓リストは『文学理論』の訳者あとがきで、富山太佳夫さんがオススメしている15冊。
(短い紹介文はこのブログのオリジナルです)

「理論意識の明確な、文学批評の本」としてチョイスしたそうですが、
文学研究を超えて、現代思想や哲学を学ぶうえでも役立ちそうなラインナップ。
数えきれないくらいの書籍や論文で引用・言及されている、鉄板本ともいえるリストです。

すこし専門的ですが、「言葉」を身近なものとしている読書家のあなたなら、
意外なくらいすんなり読めると思います。
(文学部の学生や文系の大学院生なら必携!)


読書の秋。
ちょっと背伸びして、専門書をひもといてみてはいかがでしょ♪




 1.ニュークリティシズム

曖昧の七つの型〈上〉 (岩波文庫)
ウイリアム・エンプソン 岩崎 宗治
岩波書店
売り上げランキング: 437,981

曖昧の七つの型〈下〉 (岩波文庫)
ウィリアム エンプソン
岩波書店
売り上げランキング: 613,436

ニュークリティシズム(※)を切り拓いた、文学理論家ウイリアム・エンプソンの代表作。シェイクスピアなどの詩の分析をとおして、”多義的”であろうとするテクストの性質と向かい合う。近代文学理論の始祖ともいうべき名著。

※ 1930〜40年代にアメリカで興った新しい文学批評の流れ。作者の意図や歴史状況などを離れ、作品(テクスト)じたいを「客観的」に分析することを志向する。

 2.現象学

人間的時間の研究 (1969年) (筑摩叢書)
井上 究一郎 ジョルジュ・プーレ
筑摩書房
売り上げランキング: 104,279

作品内の時間や空間は、「意識の世界」で起こっていることが記述されたものである。主体と客体、意識と世界の分離を問題にする、現象学(※)的批評の代表作。ぜんぶで4巻ありますが、手にはいりにくいので古本か図書館で。

※ 20世紀初頭、おもにフランスの哲学者フッサールによって打ちたてられた学問的方法論。我々の認識の外に現実世界が存在するという”常識”をいったん判断停止(エポケー)し、純粋な意識をとおしてものごとを知覚する。

 3.比較文学


ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈下〉 (ちくま学芸文庫)
エーリッヒ アウエルバッハ
筑摩書房
売り上げランキング: 443,581

文学における描写は現実の模倣(ミメーシス)であるとし、新旧の文芸作品の文体分析を行う。ホメロスからプルーストまで、ヨーロッパの精神史を俯瞰。

 4.構造主義


バルザックの中編「サランジーヌ」の文学理論的分析。テクストの”意味”がいかに産出されるかについて、言語・精神・社会など読者が前提としているコード(※)に目を向けます。構造主義(※)的分析の実践。

※ 情報伝達において、その社会の人々が共有している約束ごとのようなもの。
※ 1950〜60年代におもにフランスで展開された知的態度の総称。ソシュールの言語学を起点とする。レヴィ・ストロース(文化人類学)、ロラン・バルト(文化研究)、ジャック・ラカン(精神分析学)、ミシェル・フーコー(思想哲学)など。


 5.テクストの空白


テクストはそれ自体が直接言及していないものを内部に持つ。余白こそを読みこむ、今日の文学研究の理論的礎。

 6.ポスト構造主義


芸術はそこで習得されるシーニュ(※)によって本質、真理へと接続していく。プルースト『失われた時を求めて』の分析です。知識や全体性、主体に懐疑の目を向けるポスト構造主義(※)的な文学批評の代表。

※ 記号論では、シニフィアン(意味するもの)とシニフィエ(意味されるもの)の対としての言語的記号をいう。本書ではこの概念をさらに広く芸術全般に応用している。
※ 構造主義というレッテルから距離をとりはじめた思想家たちの一連の仕事をいう。1960〜70年代、おもにフランスにおける思想運動。バルト、ラカン、フーコー、デリダ、ドゥルーズ、リオタールなど。


 7.脱構築(ディスコンストラクション)

狂気と文学的事象
狂気と文学的事象
posted with amazlet at 14.10.03
ショシャナ フェルマン
水声社
売り上げランキング: 925,455

現代思想や文学作品と対峙し、言語であらわせないものを言語であらわそうと尽力する「テクストの狂気」について論じます。イェール学派(※)の才媛による刺激的な文学理論書。

※ ジャック・デリダの脱構築(ディスコンストラクション)理論を文学理論として確立したアメリカのイェール大学の思想家グループ。ポール・ド・マンを中心とする。

 8.イェール学派


小説における「反復」論。ヴァージニア・ウルフなどイギリス文学の分析です。↑のフェルマンとおなじくイェール学派。

 9.ポストモダン


テクストは原理的にはあらゆる解釈をゆるす「開かれた」ものである。一義的に閉じようとする態度に対し異議を申し立てる、ポストモダン(※)的文学理論。

※ 機能や合理性に重きを置く近代主義(モダニズム)を批判する運動の総称。建築の分野で興ったが、現在ではあらゆるジャンルの知的創作的態度について用いられる用語。

 10.ポリフォニー(多声楽)、カーニバル


ポリフォニーとカーニバル。現代文学理論においてとても重要なふたつの概念を提示しています。前者は真に異なる価値や人格が”多声的(ポリフォニック)”に作品内に存在していること。後者は聖と俗などの対立が反転・無化する物語空間。

 11.新歴史主義(ニューヒストリシズム)


ルネサンス(※)の分析をとおし、文化の盛り上がりに即興演技(アドリブ)をみる。既存のものを利用し、散らばる素材を都合よく自らの言説にまとめあげ、できあがったものが再帰的に既存のものすらも変容させていく。文学は社会の反映ではなく、ときには社会に敵対するエネルギーを秘める。新歴史主義(※)批評の代表作。

※ 14世紀にイタリアで興った文化復興の運動。
※ 従来の歴史主義を批判する歴史記述の態度。言説と主体、文学と歴史の階層的因果関係や対立性を否定する。フーコーの影響を強く受けている。


 12.作家性

『カフカの衣装』
マーク・アンダーソン(著)、三谷研爾(訳)、武林多寿子(訳)
高科書店

フランツ・カフカの作家論。いかにしてモチーフや文体を獲得するにいたったかを試行錯誤を含めて追いかけ、その作家性を論じます。非常に手にはいりにくいので、本書訳者の三谷研爾さん『境界としてのテクスト』も紹介します。同書の第2章「歴史/受容」で「覚え書き」として『カフカの衣装』が言及されています。



 13.ポストコロニアル理論

文化と帝国主義〈1〉
文化と帝国主義〈1〉
posted with amazlet at 14.10.03
エドワード・W. サイード
みすず書房
売り上げランキング: 264,845

文化や社会においても西洋の言説が覇権をふるうポストコロニアル(植民地主義後)の時代、文化的支配は被支配地に雑種(ハイブリッド)なアイデンティティを形成させる。支配の手段として、あるいは抵抗の武器として用いられる”言葉”の作用を浮き彫りにします。ポストコロニアル理論(※)の代表作のひとつ。

※ ヨーロッパによる植民地化とその余波が提起した問題系を理論的に捉えようとする思想の総称。

 14.ジェンダー研究、フェミニズム理論


シェイクスピアなどイギリス文学の分析をとおし、社会に存在するホモソーシャル(異性を暗黙裡に排除しようとする同性同士の”絆”)な制度とホモフォビア(ヘテロセクシャル(異性愛者)がもつ同性愛嫌悪の感情)の脅迫をあぶり出します。マイノリティ研究やクィア理論(※)に通じる、ジェンダー(社会的性別)研究のバイブル。

※ 同性愛者への蔑称である「クィア(Queer)」を自ら肯定的に引き受けることで、社会が内にかかえる差別的制度の構造を明らかにし相対化する。マイノリティ解放の理論的実践方法。

 15.都市空間


江戸〜明治の日本文学を”都市”をキーワードに精読する。明確な理論意識のもと、物語世界を都市空間のなかに捉えなおす方法論を提示した、あるいは新たな都市論を構築した、名著です。




あきか(@akika_a


【関連記事】

【新しい脳】進化心理学を学びたい人のための11冊【究極要因】
【文学】ライトノベルを「研究」するための参考文献19冊【社会学】
【カストリ】闇市を研究する9冊【パンパン】
【電子書籍】アマゾンkindleで樋口一葉論(大つごもり、にごりえ、わかれ道)をリリースしました






posted by akika at 01:29| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月13日

(お知らせ)コメント・トラバ機能を終了&ブログタイトルをリニューアル

 
今日のなぞなぞ
「このブログの新しいタイトルは?」

P1640380done.jpg

ひさびさのお知らせ記事です。
告知したいのは2点。


・コメントとトラックバック機能を終了させていただきました。
・ブログのタイトルをリニューアルしました。



コメント&トラバはとても悩みました。
励みになる言葉をいただいたこともたくさんあったのですが、ちょっと困るコメントも多かったので。思い切った。

これ読んだよ! とか、誤字脱字を指摘してくれたりとか、ありがたいコメントもあったんだけどね。
でも、たとえばスパム的な、URLがちょっとあぶなそうなものとか、このブログからリンクを張ることになるわけだから、承認する前に一応確認しに行かなきゃいけないじゃん。
(実際、かなりヤバいのもありました)


こんまりさん風にいえば……


そんなのぜんぜんときめかない!




というわけで。申し訳ないけれど、今後はコメントとトラバ(※)は停止させてください。

※ じつはseesaaブログ全体ではトラックバックは昨年からサービスを終了しています。


あとね。
私にだけじゃなく、紹介した本の著者さんに対する批判コメントもたまにありました。いや、ここに書いてもたぶん作者には届かないんじゃ……みたいな。

なので断捨離です。
SNSもあるし、コメントを閉じてもだいじょぶだよね。


☆★☆



もうひとつのお知らせは、ブログのタイトルのリニューアルです。
新しいタイトルは……



ノーリスク・ハイリターンの投資は読書



……いつものキャッチコピー、そのままです。
記事の締めの言葉をまんまタイトルにもってきました。



これまでのタイトル(「金持ち父さん」のための読書術!)はもちろん、ものすごく想いいれがあって。

これはロバート・キヨサキさんの



という本(あえて旧版で紹介します(笑)。新版はこっちね)から取らせていただいていたのね。

本書にふれたことがきっかけで「金融リテラシーについての本をがんがん読んで学ぼう!」と思いたち、つくったのがこのブログ。


でも、いつのまにか。
ビジネス書全般に対象が広がり、さらに小説やマンガ、絵本まで「本ならなんでもアリ」のサイトに育っていった。

もはやファイナンシャルリテラシーだけのブログではなくなっている。
なので、コメント・トラバ終了と同時にタイトルもリニューアルです。


ノーリスク・ハイリターンの投資は読書


……いちおう”投資”という言葉がはいってるから、昔の面影がありますね。
なんだか名残り惜しいのう。




それから、ラストに。
まだ先のお話なのですが、Google+ が一般向けサービスを終了するそうです。
当ブログの Google+ ページや私のアカウントをフォローしてくださっている方は、今後はほかのSNS↓で更新情報にキャッチアップしていただけるとうれしいです。


twitter.png Twitterで管理人をフォロー

facebook.png Facebookで更新情報をゲット

feedly.png Feedlyでこのブログをフォロー





そんなこんなで当ブログ「ノーリスク・ハイリターンの投資は読書」を
これからもよろしくお願いいたします♪



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a
 
posted by akika at 18:14| お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月04日

最近読んだ仮想(暗号)通貨関連の本10冊

 
今日のなぞなぞ
「仮想(暗号)通貨やフィンテックを知るための10冊は?」


_1500097done.jpg

今日は、最近乱読したなかから
”仮想(暗号)通貨関連の本10冊”をぷちレビューしていきます。


仮想(暗号)通貨(Cryptocurrency)とは……

暗号技術を用いて信頼性が保たれているネット上のお金。電子マネーやお店が発行するポイントなど違い、独自の変動する価値(値動き)を持つ、まさに「通貨」です。マーケット規模が最大の「ビットコイン(bitcoin/BTC)」が有名。

ビットコイン以外の仮想通貨は「アルトコイン」(オルトコイン・altcoin・alternative coin)と呼ばれており、なかでも規模のちいさいマイナーな通貨を日本では「草コイン」と呼ぶこともあります。



えっとね。
多くの仮想通貨は、仕組み上、管理する(取引きが公正/正統であることを証明する)主体が不特定多数である「非中央集権」を志向しています。多数のコンピュータが計算に加わって取引きの正しさを証明する「マイニング」というシステムがある。

マイニングに貢献したひとは報酬として新規にその通貨を生むことができるので、いわば通貨の発行主体さえ不特定です。
(もちろん例外も。マイニングの仕組みを持たない通貨もあるし、ICO(Initial coin offering)で一企業や個人が資金調達するケースもあります)

そもそも、ビットコインの発案者じたいがサトシ・ナカモトという匿名の謎の人物だったりします。



面白いよね。


ビットコインの歴史はまさにアンダーグラウンドからスタートしていて波乱万丈。
ダークウェブ(※)を巻き込んで大きくなっていく様は、壮大なサスペンスだ。

※ 検索エンジン上には”存在しない”闇サイト。違法な物や契約が取引きされているケースもある。



お金の歴史に位置づけられる 通貨 として。
金融、とくに送金や決済に革新をもたらす 技術 として。
トレードや分散投資の対象にもなる 資産 として。



知れば知るほど面白い
暗号通貨やフィンテックのセカイ
を一緒にみていきましょ♪


お口にあう書はございますでしょうか?




入門はマンガから



ささいなきっかけでビットコインへの投資をすすめられ、仮想通貨を学びはじめた主人公。ブロックチェーン(※)技術の仕組みや暗号通貨のリスクについて、基本の基本をおさえた、入門的な良書です♪ 

※ 分散型台帳(ネットワーク)技術。一定時間ごとにデータのかたまり(ブロック)を生成し、鎖のようにつなげていくことで、取引きの正しさ/正統性をネットワークのなかで上書きし続けていく。正しさを証明(計算)する(プルーフ・オブ・ワーク(PoW))ひとは、ブロックごとに異なっていてもかまわないところが革新的。

ビットコインの歴史と技術



謎の人物、サトシ・ナカモトの論文からはじまったビットコイン黎明期の歴史を、技術的側面もまじえながら解説。偽物のナカモトをマスコミが追いかけはじめたり、展開されるストーリーはさながらミステリです。エンターテイメントとして読むのも◎。

教科書として採用したい



もし経済学や社会学の授業で暗号通貨を扱うなら、教科書として採用したい1冊。ハイエクの貨幣論(※)や、サトシ・ナカモトの”神話”的側面(創世や復活!)などへの目配せもあって、仮想通貨とアカデミックな文脈を接続させるヒントにもなる良書です♪

※ オーストリア(ウィーン)学派の経済学者、フリードリッヒ・ハイエク。”小さな政府”を志向するリバタリアンの代表。「貨幣発行自由化論」という論文のなかで通貨は中央集権的な国営から脱するべきと主張した。


日本のフィンテック事情



仮想通貨だけでなく、フィンテック(※)全般に焦点をあわせた入門書。日本の銀行やベンチャー企業がどのような取り組みをしているのか、こまかく紹介してくれます。暗号通貨やブロックチェーンが既存の金融機関にどう影響を与えていくのか、を考えるために◎。

※ FinTech。金融(Finance)とIT技術(Technology)をあわせた造語。

可能性は無限



元官僚の経済学者・評論家の野口悠紀雄さんが、仮想通貨の未来に斬りこむ。黎明期ならではの、ものすごく楽観的な未来像が描かれています。まさに社会革命。

お金の未来



3人の論者が仮想通貨の未来をそれぞれの視点で語る。ちょっと前の本だけど、今読んでもぜんぜん違和感がない。3人の先見性が光る……ということなのだけど逆に、暗号通貨の発展が意外と遅いことの証拠でもあるのかな。法定通貨に並ぶスタンダードな通貨となるためには、まだまだまだまだ課題が多い。

とまべちっ!



各界をざわつかせる科学者、苫米地英人先生が現代社会にひそむ”洗脳”をあばきだす。メインテーマは「洗脳」ですが、仮想通貨の話題にも多く筆がさかれています。「第5章 仮想現実となる未来」では、仮想通貨の”経済へのインパクトの大きさ”を強調しています。とまべちっ!

ブルーバックスでもビットコイン



講談社の良質な自然科学系新書レーベル、ブルーバックスでも暗号通貨の本が出ています。本書は入門的な解説にくわえ、仮想通貨およびビットコインの、通貨としての”寿命”がどれほどなのかを考えていきます。

投資家さんへ



暗号通貨の本ではありませんが、トレーダー&投資家さんへ。以前の記事(最近読んだ「投資力を鍛える」本10冊〜金融リテラシーをぐんと高めるために)でも紹介した推しの1冊。あなたが実力だと思っていることの大半は「まぐれ」だよ、という本。兜の緒を締めるためにオススメv

このブログではいったい何回タレブの本を紹介するんだよ、ってくらい私はタレブ推しです。↓『ブラックスワン』もいいよ〜。



感情コントロールがいちばん大切



こちらも暗号通貨の本ではありませんが、トレーダー&投資家に超オススメ! 心理学・脳科学の実験にまつわるエビデンスから、リスクを取るときに湧きおこるさまざまな感情を解きあかす。

いろいろな投資術があるけれど、結局最後は感情のコントロールがいちばん大切になってくるよね。テクニカル分析などの技術は学習によっていくらでも身につくけれど、マインドを制御するのはほんとに難しい。コントロールしようという意志の力ではコントロールできないのが感情なのだから。

”心や脳のしくみ”を知ってじぶんを客観視することが「強いマインド」をつくるための第一歩だ♪


追記)
オカルト雑誌「ムー」の2018年9月号で仮想通貨の記事が組まれていたので追加♪

ムー 2018年 09 月号 [雑誌]

学研プラス (2018-08-09)

「ムー」の仮想通貨特集は陰謀論でした。量子コンピュータの登場が既存の仮想通貨のすべてを崩壊させ、AIが人類を支配する超監視社会がはじまる。それらはすべて「ヨハネの黙示録」に記されていた! 新世界の秩序をつくらんとするロスチャイルド家はなにをたくらんでいるのか……!?

ほんとかよ! と思うけれど、実は多くの暗号通貨には「51%問題」(※)というシステム上のリスクがある(本誌には「51%問題」という言葉は出てきませんでしたが、おそらくは想定されていると思う)。量子コンピュータなら難なく「51%攻撃」を仕掛けることができるとはずっと言われていることだけど……。信じるか信じないかはアナタ次第!

※ 特定の個人や集団のマシンが過半数ほどの”計算力”を持ってしまった場合、悪意のある不正な取引き(台帳)の方がブロックチェーン上で正統とされてしまう可能性があること。

追記)
日経出版の良書を見つけたので追加♪


ニューヨークタイムズの記者が追ってきたビットコイン幕開け期の波乱をあますことなく記録。「第1章 二〇〇九年一月一〇日」からはじまる時系列にそった章立てや、冒頭の「主な登場人物」など、体裁はほとんどミステリ小説です。映画化しそう。

ビットコインの歴史をみるなら↑で紹介した『ビットコインとブロックチェーンの歴史・しくみ・未来』『仮想通貨の時代』か本書のうち好きなのを1冊読めばいいけれど、本書がいちばん”物語”に特化しています。徹夜本! 

追記)
アルトコインの解説も豊富な入門書を追加♪


読みやすい入門書です。保有するためのウォレットのつくりかたや決済、採掘(マイニング)まで、実際的な知識が満載。さらに各アルトコインの特徴やハードフォーク(※)など、すこし突っ込んだ内容も。取りあげているアルトコインは、イーサリアム(Ethereum)・ライトコイン(Litecoin)・リップル(Ripple)・NEM・モナーコイン(Monacoin)・DASH・ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)。

※ ブロックチェーンが「分岐」して複数のコインに分裂すること。

追記)
最新の議論が読める解説書を追加♪


ビットコインの仕組みからはじまる入門書でありながら、↑で紹介した本たちのスキマを縫うようなこまかな解説が多い。いろいろと読んだひとでもあらためて学べる1冊です。「通貨・経済・法制度」の三層からビットエコノミーの成立をみていく「第4章」は必読。暗号通貨が「貨幣なのか?」を歴史的視点から問う「第5章」もアカデミック。将来どの国がブロックチェーンを通して覇権をにぎるのかというスリリリングな議論もあります。



お口にあう本はございましたでしょうか?




えっと。最後に。
個人的な意見なのだけど、仮想通貨に投資している方は、くれぐれもリスクを取りすぎないようにしてくださいね。
期待リターンがどうしても低くなってしまうので。

……べつに仮想通貨があやしいとかそういう話じゃなくてね。


株や債券なんかは配当という”マーケット外から入ってくるお金”があるので、期待リターンはプラスになる。
でも、通貨のトレードはゼロサムゲーム(儲かった人の総額と損した人のそれが等しくなる)なので、期待できるリターンは手数料やスプレッドのぶんマイナスです。
さらに、現在(2018年)は税制上、雑所得扱いなので利益の大部分が徴収されてしまう。

やればやるほど、確率論的には損する可能性が高くなる。
ずいぶん不利な投資
だよね、って話。


もちろん不利な条件をおぎなってあまりある未来が仮想通貨にはあるかもしれないし、分散投資としてハイリスクな資産を持つのはぜんぜんアリだと思います。
それから、以前の記事(日本の財政破綻やハイパーインフレに備える3ステップ)でお話したような、国家の信頼がゆらぐとき、仮想通貨はめちゃめちゃ有望なお金の退避先になる可能性もある。


ただね。
「暗号通貨やブロックチェーン技術の未来が明るい」という話と
「あなたがいま買おうとしているビットコインやイーサリアムの値段が適正か」という話はぜんぜんべつもの
だ。

まだ見ぬ通貨がスタンダードになっていくことだってかなりありえると思うし。



そんなこんなで。
ラストはなんだか余計なお世話の蛇足になってしまった気もするけど。


裏切らない投資は”読書”だけだ!


……そこにつなげたかったの(笑)。



ではでは。


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


【関連記事】

最近読んだ「投資力を鍛える」本10冊〜金融リテラシーをぐんと高めるために
日本の財政破綻やハイパーインフレに備える3ステップ
最近読んだ「金融を学べる」本10冊
最近読んだ「未来を予測する」本10冊
【私的メモ】ビットコインの”物語”に登場する主な人物30人
【電子書籍】仮想通貨エッセイ『ナカモトサトシになりたくて』をリリースしました






posted by akika at 19:44| Comment(0) | 日記・最近読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ブログパーツ アクセスランキング