2016年09月18日

【徹夜本】地下東京に広がる腐海――貴志祐介『新世界より』の社会システムと生態系がすごい

 
今日のなぞなぞ
「生態系と社会システムがユニークすぎるジャンル分け不能の徹夜本は?」



不毛の大地・東京の地下。
古代の遺物であるメトロ網を食い散らかすように、無尽の洞窟が伸びている。


動物の生き血を求めるナメクジ。
細長い身体を光らせ、獲物の吸着を待ちわびるヒル。
うごめく影の正体は、集団で壁を這うダニの行進。

……そこは、独自の進化をとげた生物たちが織りなす「地獄」だ。


本書のクライマックスは、こんな地下東京を舞台にしています。



☆★☆





今日紹介するのは、『新世界より』

以前の記事(徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」)にひき続き、貴志祐介さんの徹夜本です。


『悪の教典』は文句なしのノンストップ・サスペンスでしたが、『新世界より』は一筋縄ではいかない。
なんというジャンルに分類したらいいのかわからない作品です。

たいていの本は、ちょっと手に取れば
本読みの勘で「こんな内容なんだろうな〜」というのがだいたいわかるものだけど。

本書は、さらっとページをめくってみても、
帯のコピーを見てみても、どんなジャンルなのか予想がつきませんでした。
それどころか、実際読みはじめてもどんな展開になっていくのかが見通せないのが凄いです。



舞台は、未来の日本。
人類は科学を手放し、”村”単位の原始的な生活を送っている。
でも、人間はみな「呪力」をあやつる術を身につけている。

主人公は魔法学校ならぬ呪力学校みたいなところに通ってるのね。
人は攻撃的な感情が持てないよう遺伝子操作されているから、
とても平和で。ストレスフリーな社会なんだけど。
ひとつの掟があって。


八丁標(はっちょうじめ)の外に出てはならない……。


少年少女は未開の地を冒険するうちに、
「大人達が隠しているもの」の正体に気づいていく……。



☆★☆





伝奇っぽいといえば伝奇っぽい。
冒険・青春小説でもあり、ファンタジーといえばファンタジーなんだけど。
ミノシロモドキという異形の生物が「古代の図書館のデータ端末」になっていたり、
いろいろな生態系や進化の具合が細かく説明されていたり、SFらしさもある。
独自の社会システムもよくわかるように描かれていて、


ほんと、
なんて言ったら言いんだろうね。

「名づけようのないエンターテイメント小説」

としか言えません。


主人公たちは、おおげさではなくどのページでも危険にさらされています。
深呼吸する暇もない。息を切らしながらページをめくってしまう、
極上のエンターテイメント
であるのは確かです。



でも
本書の魅力は、ユニークすぎる社会システムと生態系
これでもかというくらい濃厚に作られています。


攻撃性を芽生えさせぬよう、厳重に管理された教育システム。
ストレスを感じると、人は
ボノボ(ピグミーチンパンジー)のように互いに性的接触をして興奮を抑える。

アリのようにコロニーを作り、なわばり争いを繰り返すバケネズミ。
危険因子を排除するため、品種改良されたフジョウネコ……。


↑冒頭の地下東京の世界は、たとえるなら
「風の谷のナウシカ」の「腐海」みたいな感じかな。

さまざまに進化した異様な生物たちが
おそましくも美しい。


コウモリの糞を起点とする
ユニークな食物連鎖が成り立っていて面白いです。


あ、『蟲師』の世界とかが好きなひとにもオススメかも。

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↓アニメ化。漫画化もされているようです♪





☆★☆



……なんだかこれだけ書いても
本書の魅力の一割も伝えられてないような気が今日はします^^;


とにかく、

この濃厚な世界観にどっぷりひたってくださいね(笑)。




『新世界より』っていう本が
オススメだよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



というお話でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


【関連記事】

徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」
【ミステリ】読み始めたら止まらない徹夜本10冊【SF】
【新しい脳】進化心理学を学びたい人のための11冊【究極要因】
徹夜本見つけました――新堂冬樹『カリスマ』〜あわせて読みたい「カルト宗教」本







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2016年09月09日

徹夜本見つけました――貴志祐介『悪の教典』〜あわせて読みたい「倒叙ミステリ」

 
今日のなぞなぞ
「鬼畜道を体験する方法は?」


さようなら常識人。
こんにちは鬼畜道。


……今日は、そんな感じの
読み始めたらとまらない徹夜本の紹介です♪


主人公は町田市にある高校の教師。
これがとってもよい先生で。
生徒たちが可愛がっていたワンコが保健所に連れていかれたとき、
みんなに黙って取り戻しに行っちゃうような、熱いセンセイ。


この優しい先生が”鬼畜”であることがすぐにあきらかになります(性的な意味でも)。

自分に都合の悪い人間を、あらゆる手段でおとしいれていく、外道者。



☆★☆



えっと。
いわゆる倒叙的なサスペンスなのね。
犯人(悪役)側の視点が描かれている、悪漢小説(ピカレスク)。

以前の記事(徹夜本見つけました――新堂冬樹『カリスマ』〜あわせて読みたい「カルト宗教」本)で紹介した『カリスマ』みたいな魅力があります。


先生の、鬼畜っぷりが
表から裏から丸見え



なの。
おぞましいくらいに。

不良学生を退学させるよう仕組んだり。
弱みをもつ同僚を脅して操ったり。

でも、その”裏”が見えていない周りの人たちは
先生を尊敬し、信頼のまなざしを向ける。


「いや、違うよ! みんな騙されてるんだってば!!!」

って叫びたくなる。
そのもどかしさが、ページをめくる手を早めていく……。



☆★☆



でね。
鬼畜先生側の視点で読んでるわけじゃん。

すると、先生に感情移入している自分に気づくんだよね。
”悪の計画”が土壇場でうまくまわらなかったり、
苦しい言い逃れをせざるを得ない状況になったりすると、

「いやもっといいやり方があるだろ、がんばれ!」と
外道を応援しはじめている自分に気づく。


倒叙ミステリの怖いところです。
探偵にエールを送りながら、一方で
犯人が”うまく逃れる”方にも期待してしまう……。



殺人シーンもあります。
かなり、壮絶な。

あなたは、鬼畜先生に感情移入しながら、
惨殺の場面を読む
ことになります。

うまくやりおおせるよう、応援しながら。
ターゲットをひとり残らず殺せるかどうか、ハラハラしながら……。


それは、もはや
シリアルキラーの疑似体験です。


さようなら。いままでの自分。
こんにちは。鬼畜に目覚めた、あらたな私……。




伊藤英明さん主演で、映画化もされています。
イッキ読み必至のピカレスク。
オススメです♪



悪の教典 DVD スタンダード・エディション
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☆★☆


『悪の教典』は厳密な意味での倒叙ミステリではありませんが、
倒叙ものの魅力がぎゅっとつまった名作です♪

なので今日は「あわせて読みたい」倒叙ミステリをいくつかピックアップしてみますねv




以前の記事(最近読んだミステリ10冊〜本格から社会派まで〜)で紹介した、石持浅海さんのオーソドックスな倒叙。経営者らが集まる箱根のコテージ。主人公は、周到な計画で完全犯罪を成し遂げた。はずだったが……。ほかにも、石持浅海さんの小説には倒叙の名作が多いのでオススメv



隣人が犯してしまった罪をかばうため、天才数学者が知略をめぐらせる。倒叙ミステリですが、「どんなトリックを使ったのか」という点が伏せられて語られるので通常のミステリのハラハラ感もあります。東野圭吾さんもさまざまな趣向をこらした倒叙ものが魅力的な作家さんです。



漫画です。……というか、このブログはいったい何回『DEATH NOTE』を紹介すれば気がすむのかというくらいデスノ推しですね(笑)。倒叙ミステリの最高峰だと思っていますv 天才×天才の頭脳・心理戦に酔いしれろ!



以前の記事(【電子書籍】恋愛&ミステリ小説『闇に走れば』をアマゾンkindle、楽天koboでリリースしました)で紹介した、恋愛&ミステリです。過去の犯罪を暴こうとする友人が、幼なじみのふたりに「暗い選択」を迫る。……作者は私です。毎度のことながら、手前味噌&宣伝すみません^^; 電子書籍のみのリリースです。



そんなわけで。
今日は


『悪の教典』っていう本が
オススメだよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



というお話でした。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


追記)
貴志祐介さんの『新世界より』もレビューしました♪
『悪の教典』とは違うテイストだけど徹夜本!


【徹夜本】地下東京に広がる腐海――貴志祐介『新世界より』の社会システムと生態系がすごい




【関連記事】

徹夜本見つけました――新堂冬樹『カリスマ』〜あわせて読みたい「カルト宗教」本
最近読んだミステリ10冊〜本格から社会派まで〜
【電子書籍】恋愛&ミステリ小説『闇に走れば』をアマゾンkindle、楽天koboでリリースしました
【ミステリ】読み始めたら止まらない徹夜本10冊【SF】
最近読んだ本格ミステリ10冊〜ロジカル思考力をバキバキ鍛えるために
【徹夜本】地下東京に広がる腐海――貴志祐介『新世界より』の社会システムと生態系がすごい






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2016年08月31日

今月もっとも売れた本〜2016年8月の月間ベストセラー(ニッパン調べ)

 
今日のなぞなぞ
「2016年8月の月間ベストセラーは?」


8月31日、「今月日本でもっとも売れた本」が発表されました。
(日販調べの月間ベストセラー(総合・ビジネス・フィクション)を↓「付録」のコーナーにまとめます


出版取次会社の日本出版販売(日販)によると、
7月のベストセラーは『コンビニ人間』

芥川賞を受賞した、純文学です。
先月予想したとおりのベストセラー入りですv

直木賞の『海の見える理髪店』は4位でした。


芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/



ビジネス書部門では、

ロングセラーの『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』が3位に。
「すぐやる」系の本は、もはや一定のマーケットを持っているような気がします(笑)。
先延ばしグセの克服は、みんなの課題!

新顔は6位にランクインした『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』です。



フィクションでは、

西尾維新さんの『撫物語』が2位に登場。千石撫子。

有川浩さんの新作『アンマーとぼくら』が9位。

本屋大賞のノミネート作品でもある『君の膵臓をたべたい』は今月は6位でした。

----------
2016年本屋大賞

大賞 『羊と鋼の森』宮下奈都
2位 『君の膵臓をたべたい』住野よる
3位 『世界の果てのこどもたち』中脇初枝
4位 『永い言い訳』西川美和
5位 『朝が来る』辻村深月
6位 『王とサーカス』米澤穂信
7位 『戦場のコックたち』深緑野分
8位 『流』東山彰良
9位 『教団X』中村文則
10位 『火花』又吉直樹

翻訳小説部門

1位 『書店主フィクリーのものがたり』ガブリエル・ゼヴィン
2位 『紙の動物園』ケン・リュウ
2位 『国を救った数学少女』ヨナス・ヨナソン
3位 『服従』ミシェル・ウェルベック
3位 『歩道橋の魔術師』呉明益

本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/

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日販のサイト(http://www.nippan.co.jp/)で各ジャンルのトップ10が確認できます。
当ブログの記事(今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方)もあわせてご覧ください♪


それでは、


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか


※ ↓付録の「〜位」の横の記号は、先月からの順位の変動をあらわします。
△ …… ランクアップ、= ……変わらず、▼ …… ランクダウン


【関連記事】

今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方
最近読んだ西尾維新5冊――メタフィクショナルな西尾試論

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/
本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/

【付録】


2016年8月の月間ベストセラー 総合
(日販調べ。「全集」「文庫」「ゲーム攻略本」を除く総合ランキング。8月31日時点)

1位 △
『コンビニ人間』
2位 △

3位 △

4位 △

5位 ▼

6位 ▼

7位 =

8位 ▼

9位 ▼

10位 △


2016年8月の月間ベストセラー 単行本ビジネス(日販調べ)

1位 =
自分を操る超集中力
2位 =

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5位 △

6位 △

7位 ▼

8位 △

9位 ▼

10位 △


2016年8月の月間ベストセラー 単行本フィクション(日販調べ)

1位 △
『コンビニ人間』
2位 △
『撫物語』
3位 △
『海の見える理髪店』
4位 ▼
『陸王』
5位 =
『コーヒーが冷めないうちに』
6位 ▼

7位 △

8位 △

9位 △
アンマーとぼくら
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有川 浩
講談社
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10位 △
posted by akika at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
 
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