2019年07月31日

今月(2019年7月)もっとも売れた本は『もっと ざんねんないきもの事典』くコ:彡


今日のなぞなぞ
「2019年7月の月間ベストセラーは?」



7月31日(2019年)、「今月日本でもっとも売れた本」が発表されました。

去年(2018年)の年間ベストセラーは↓こちら。
(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
先月(2019年5月)のランキングは↓こちら。
今月(2019年6月)もっとも売れた本は『樹木希林のことば』(返り咲きΣ(・ω・ノ)ノ)
最新のランキングは↓こちら。
カテゴリ:ベストセラー




 『もっと ざんねんないきもの事典』が新着1位


出版取次会社の日本出版販売(日販)によると、
7月のベストセラーは、『おもしろい! 進化のふしぎ もっとざんねんないきもの事典』

先月まで激しい首位争いをしていた『おしりたんてい かいとうと ねらわれた はなよめ』『一切なりゆき 樹木希林のことば』をさしおいて、「ざんねんないきもの」シリーズの新作がトップ。

今月は絵本や児童文学が多くエントリしています。夏休みv


関連記事:
【深い】大人になったあなたが読みたい絵本10冊【美しい】


総合部門の月間ベストセラートップ10は以下のとおり。

 2019年7月の月間ベストセラー 総合

(日販調べ。「全集」「文庫」「ゲーム攻略本」を除く総合ランキング。7月31日時点)

1位
『おもしろい! 進化のふしぎ もっとざんねんないきもの事典』今泉忠明
2位
『一切なりゆき 樹木希林のことば』樹木希林
3位
『ノーサイド・ゲーム』池井戸潤
4位
『希望の糸』東野圭吾
5位
『おしりたんてい かいとうと ねらわれた はなよめ』トロル
6位
『かみさまにあいたい』当原珠樹
7位
『ころべばいいのに』ヨシタケシンスケ
8位
『かいけつゾロリ うちゅう大さくせん』原ゆたか
9位
『魔女ののろいアメ』草野あきこ
10位
『おしりたんてい カレーなる じけん』トロル




 第161回芥川賞・直木賞受賞作が決定



7月17日、築地の新喜楽でおこなわれた選考委員会で第161回芥川賞・直木賞の受賞作が決まりました。
芥川賞は今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』
直木賞は大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』が受賞しています。

今月のフィクション部門のチャートでは、『むらさきのスカートの女』が第10位にランクインしています。

また、4月9日に発表された「2019年本屋大賞」関連では、大賞に輝いた瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』が、同部門4位に顔をみせています。

----------
第161回芥川龍之介賞候補作品

(受賞!)今村夏子『むらさきのスカートの女』「小説 TRIPPER (トリッパー) 2019年春号」に掲載)
高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』「すばる 2019年5月号」に掲載)
古市憲寿『百の夜は跳ねて』「新潮 2019年6月号」に掲載)
古川真人『ラッコの家』「文學界 2019年1月号」に掲載)
李琴峰『五つ数えれば三日月が』「文學界2019 年6月号」に掲載)

芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/

----------
----------
第161回直木三十五賞候補作品

朝倉かすみ『平場の月』
(受賞!)大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
窪美澄『トリニティ』
澤田瞳子『落花』
原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』
柚木麻子『マジカルグランマ』

直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/

----------
----------
2019年本屋大賞

大賞
瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』
2位
小野寺史宜『ひと』
3位
深緑野分『ベルリンは晴れているか』
4位
森見登美彦『熱帯』
5位
平野啓一郎『ある男』
6位
木皿泉『さざなみのよる』
7位
三浦しをん『愛なき世界』
8位
知念実希人『ひとつむぎの手』
9位
芦沢央『火のないところに煙は』
10位
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』

翻訳小説部門

1位
アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』
2位
トーン・テヘレン『きげんのいいリス』
3位
陸秋槎『元年春之祭』

本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/

----------



 ビジネス書は『心。』が2位にニューエントリ



ビジネス書部門では、稲盛和夫さんの『心。』が新着2位。
”心のありかた”が人生を決める。ロング&ベスト&ミリオンセラーの『生き方』の続編のような位置づけです。


関連記事:
心の時代を生きるための本10冊


ビジネス書部門の月間ベストセラートップ10は以下のとおり。

 2019年7月の月間ベストセラー 単行本ビジネス
(日販調べ)

1位
『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング オーラ・ロスリングほか
2位
『心。』稲盛和夫
3位
『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』ロルフ・ドベリ
4位
『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑
5位
『新聞という病』門田隆将
6位
『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』メンタリストDaiGo
7位
『あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる』堀江貴文
8位
『メモの魔力 -The Magic of Memos-』前田裕二
9位
『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』ヤニス・バルファキス 関美和訳
10位
『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』伊藤羊一





 フィクションは『ノーサイド・ゲーム』がトップをキープ



フィクション部門では、『ノーサイド・ゲーム』が、先月にひき続き1位をキープしています。池井戸潤さんの新作書下ろし小説です。
大泉洋さん主演で、今月からドラマの放映がはじまりました。序盤から熱い展開♪


関連記事:
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい



今月はベストセラー作家の新作ラッシュです。
東野圭吾さんや百田尚樹さん、伊坂幸太郎さん、畠中恵さん、宮部みゆきさんなどの新刊がニューエントリしています。


フィクション部門の月間ベストセラートップ10は以下のとおり。

 2019年7月の月間ベストセラー 単行本フィクション
(日販調べ)

1位
『ノーサイド・ゲーム』池井戸潤
2位
『希望の糸』東野圭吾
3位
『夏の騎士』百田尚樹
4位
『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ
5位
『クジラアタマの王様』伊坂幸太郎
6位
『蜘蛛ですが、なにか? 11』馬場翁
7位
『てんげんつう』畠中恵
8位
『さよならの儀式』宮部みゆき
9位
『俺、つしま 2』おぷうのきょうだい
10位
『むらさきのスカートの女』今村夏子






日販のサイト(http://www.nippan.co.jp/)で各ジャンルのトップ10が確認できます。この記事では取りあげていない「ノンフィクション」「実用」「文庫」「ゲーム攻略本」などのランキングも。
ぜひ”一次情報”にもあたってみてくださいね。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


【関連記事】

(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
今月(2019年6月)もっとも売れた本は『樹木希林のことば』(返り咲きΣ(・ω・ノ)ノ)
【深い】大人になったあなたが読みたい絵本10冊【美しい】
心の時代を生きるための本10冊
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/
芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/





【関連する記事】
posted by akika at 23:59| ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年07月30日

【禁忌】読んではいけない本10冊【超刺激】

 
今日のなぞなぞ
「けっして読んではいけない本は?」

P1240645done.jpg

※ この記事では、あまり健康的ではないテーマやモチーフも扱っています。不穏な表現、グロテスクな描写などがニガテな方はご注意くださいね。
また、おもに引用部分に関して、現代の人権意識に照らして不適当と感じられる表現がありますが、原文の単語を改変することなく記述しています。 ※



だいぶ暑くなってまいりました。
今日は夏の熱気を吹き飛ばす、ゾッっとする本を紹介していきます。


おおっぴらには語れないタブー。
読んだら気がふれる禁書。
なぜ出版されているのか不思議な奇書。
知るひとぞ知る珍書……。


「読んではいけない本」10冊です。


あまり手にとる機会のないシロモノも多いかもですが。
「ふだん読まないような本を読んでみる」のは、ビジネス書などでも推奨されている、れっきとした読書術のひとつだったりします。

関連記事:
カテゴリ:読書術



運命の出逢いかも。そう想える本は、いつもは手を出さないジャンルだったり、ひとから勧めていただいたもののなかにこそ多いと、個人的にも感じています。

というわけで。

ヘンな本、いっぱい
読もうよぉ〜☆(*´∇`*)ミ☆



目をそむけたいものから目をそらさなかったとき、
みえてくるものがある。


世界の深淵をのぞきこむ、
禁断の書10冊を
……(この先は文字がかすれて読めない)。



 タブーへの入口はこの本から


怪談、実話、都市伝説、ブラウザクラッシャー、グロ系など”検索してはいけない言葉”のまとめからはじまり、世界と日本の禁忌の物語を、実際にあった出来事とからめて紹介。
地方の凄惨な風習や、謎めいたフェイクニュース、後味の悪い事件など、さらに「検索」して調べたくなるトピックが満載です。

以前の記事(最近読んだ「怪談・都市伝説」本5冊)で紹介した、伝説のフェイクドキュメンタリー↓「放送禁止」を制作した長江俊和さんの新書です。「放送禁止」シリーズの裏話もアリ。
参考文献が豊富で、次々と関連本を読んでいく”芋づる式読書”の起点ともなる1冊です。

くねくね、コトリバコ、トミノの地獄、ソニー・ビーン事件、エド・ゲイン、御船千鶴子、高橋貞子……などなど、押さえておくべき有名なお話がたっぷり。
タブーに興味がある方は、まず本書から♪

放送禁止 DVD封印BOX
放送禁止 DVD封印BOX
posted with amazlet at 19.07.29
ポニーキャニオン (2006-08-25)
売り上げランキング: 50,435

 読めば精神に異常をきたす



見知らぬ部屋で目をさました記憶喪失の青年。彼はある事件と大きな関わりがあるらしいが……。
読めば精神に異常をきたす、とまことしやかにウワサされているミステリです。
いえ、「ミステリであろうとしている何か得体のしれないモノ」というのが正確かも。

”精神に異常をきたす”は、べつに根も葉もない話ではなくてね。
本書のなかに、まさに「ドグラ・マグラ」という架空の原稿が登場して、

これを読んだものは最小限、二、三回は読み直させられているようです。そうして、やっと全体の機構がわかると同時に、自分の脳髄が発狂しそうになっていることに気が付いたと言っております。
『ドグラ・マグラ(上)』より


と説明されます。
この「ドグラ・マグラ」だけでなく、大量の作中作が入れ子構造になっていて、そのどれもが主人公の青年や事件について書かれている(と思われる)つくりになっています。

「空前絶後の遺言書」はとくに長くて、途中で映画がはじまったり、”作品内作品内作品”という迷宮の様相へ。
一体なんの話だったっけ……と思った頃に、

 ハッハッハッハッ……。
 ……どうです諸君。面喰いましたかね。
 これが吾輩の遺言書の中の最重要なる一部分なぞいうことは、もういい加減忘れて読んでいたでしょう。
『ドグラ・マグラ(下)』より


と(笑)。

チャカポコいいながら七五調で精神病を語る「キチガイ地獄外道祭文」
唯物論的な科学を終焉にみちびく論文「胎児の夢」

など、とにかくぶっとんでいますが、しっかり伏線を回収する”解決編”にあたる部分があります。あるといえばある。でも……。
ひそかに本書を愛読しているアーティストも、ジャンルを問わずとても多い印象。
日本三大奇書(※)のトップを飾る、魅惑のラビリンス。

※ 日本探偵小説三大奇書。『ドグラマグラ』、小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』の3作品。竹本健治の『匣の中の失楽』をくわえて四大奇書とする場合も。

 愛か狂気か


恋人の遺体と7年間暮らした医師のノンフィクション。実話です。
『検索禁止』でも紹介されていました。

両親に反対されながらも熱い求愛をやめないフォン・コーゼル。徐々に信頼をよせていくエレナ。
主人公が飛行機を製作していたり、恋人が結核におかされていたり、前半はまるでジブリ映画の「風立ちぬ」を連想させるラブストーリーなのですが。

エレナが命を落としてから、トーンが一変。
ホルマリン、義眼、オーデコロン……”花嫁”に「処理」をほどこす”花婿”の様子がこまかく描写されていきます。
凄惨ではあるのですが、彼の「愛」もとても強く感じられて、なんだか純愛物語のようにも読めてしまう。

実際の裁判でもフォン・コーゼルに同情的な意見がたくさんあったようです。
正直にいうと、私もこの物語に、おぞましさよりロマンティックさを強く感じました。

 ロミ

悪食大全
悪食大全
posted with amazlet at 19.07.16
ロミ
作品社
売り上げランキング: 312,477


”突飛なるものの歴史家”ロミ氏の奇書です。

上は古代から現代にいたるまでの美食、淫食、大食いのエピソードを集めた1冊。
ひたすら牡蠣を食べ続ける皇帝、客を罵倒するレストラン、サソリやヘビを食す猛獣使いたちの饗宴……。
おもにフランスの、豊かなグルメの世界を味わえるお腹いっぱいの珍書。

下は「おなら」にまつわる逸話を蒐集した、奇書ちゅうの奇書。ジャン・フェクサス氏との共著です。

わたしたちの本の主題が「おなら」であることがお判りいただけたと思う。だが、それだけでなく、「透かし屁」にも紙数を費やしている。
「前書きにかえて」より


……。
どうでもいい!

カルダーノは、研究対象をおならにまで拡げ、それを四種に分けられると考えた。すなわち、「鋭き屁」「重々しき屁」「熟慮せる屁」「自由なる屁」。
「14……悪魔をおならで追い払ったマルチン・ルター」より


……激しくどうでもいい!(笑)

訳者の「後書きにかえて」でも真剣に日本のおなら事情が語られます。
どこを読んでも面白く、イラスト資料が盛りだくさんの楽しい1冊。
パリの事例が多く、ちょっとオシャレな雰囲気もありますv
(私信。ついに読みました。すごい本を教えてくださってありがとうございます><)

ちなみに、このロミさん、↓ほかの本も奇書・珍書だらけです。

『突飛なるものの歴史』
『乳房の神話学』
『娼館の黄金時代』
『でぶ大全』
『自殺の歴史』


 マルタン・モネスティエ


カニバリズム(食人)にまつわる記録や考察を集め、人間を食べるという行為の本質に迫っていく。
ひと口に食人といっても、歴史や文化をみていくと様々な「意味」があって。

たとえば、食糧難から起こるものもあれば、グルメの対象だったり、薬としてだとか、儀式や呪術にまつわる食人も。
供養や復讐、裁き、愛としての食人もあるし、腹におさめて消滅させてしまわなければ”敵を倒した”ことにならない……など戦争や政治にかかわる人食いもあったそうです。

ラカン(※)を援用して、食人の意味を「想像の領域」「象徴体系」「現実」の3つの分野から考える……など、とてもアカデミックな手つきですすんでいく。とはいえ、題材が題材だけにやっぱり異形の書。

※ ポスト構造主義に多大な影響を与えたフランスの哲学者、精神分析家。

絵画や閲覧注意な写真もたくさん掲載されていて、読むのにちょっと勇気の要る本です。
(私信。こちらも、すごい書き手を教えてくださってありがとうございます(゚Д゚;))

このマルタン・モネスティエさんの本↓も奇書・珍書だらけです。

『図説 奇形全書』
『図説 死刑全書』
『図説 児童虐待全書』
『図説 自殺全書』
『図説 乳房全書』
『図説 毛全書』
『図説 ハエ全書』
『図説 動物兵士全書』
『図説 決闘全書』
『幼き殺人者全書』
『図説 世界三面記事全書』
『図説 排泄全書』


 都市伝説の生まれかた


あるブティックの試着室にはいった女性が、こつぜんと消えてしまう。
神隠しか。いや、どうやら誘拐され、その身や臓器を売り飛ばされてしまっているらしい……。

そんな話を耳にしたことがあるかもしれません。
各地でいろいろなバリエーションが広まっている、いわゆる”都市伝説”なのですが、いちばん有名なのがフランスの「オルレアン」の事例。

本書は綿密な調査をとおして、うわさが”神話化”していく力学をあばく、社会学の本です。
ほんとうは何も起こっていないのに、さまざまな層を惹きつけて爆発的に広まっていくのはなぜか。
学問的な手つきだけでなく、ときには”調査者の主観”さえ用いて、このうわさの「根源的な魅力」にアプローチしています。これぞフィールドワーク。

綾辻行人さんの『人間じゃない』という短編集でも援用されている、うわさ研究・都市伝説分析の名著。

 フリークス

フリークス [DVD]
フリークス [DVD]
posted with amazlet at 19.07.19
ジュネス企画 (2004-03-25)
売り上げランキング: 38,719

本10冊とはべつに、いっこだけ映像作品を。
見世物小屋の舞台裏を描いた、白黒映画です。

シャム双生児や、小人、小頭症、下半身欠損などの俳優たちが出演しています。
はじめて見たときは「CGかな?」と思ってしまったくらい。ストーリーもちょっと悪辣で、こういう映画が存在していることが驚きでした。
1932年の作品です。当時でもかなり物議をかもしたそうです。

観てはいけない映画の代表。
ただ、マイノリティに対してひたすらフタをしていく方向っていうのもなんだか違うと私は感じていて。
目をそらすよりは、目を向けていきたいな、と想っています。

 戦後SF最大の奇書


無念の死をとげた男がある日、墓場からよみがえる!
その復讐心はとどまるところを知らず、東京じゅうを殺戮の恐怖におとしいれる!
彼は、アルコール類を採ると身体が巨大にふくれあがる醗酵人間――別名、ヨーグルト・マンなのだ!

……こんな感じで、トンデモなストーリーがノンストップで展開していくのが、「戦後SF最大の奇書」の異名をもつ『醗酵人間』
銀幕やキャバレーなど、レトロ感たっぷり。古き良きモノクロの特撮映画を観ているみたいです。
怪人の出自や被害者の背景などもこまかく設定されていて、濃厚なエンターテイメント。

発表は1958年。原本はとても希少でほとんど幻の書なのですが、↑「ミステリ珍本全集」に収録されたことで誰もが読めるようになりました。
「醗酵人間」のほか、「改造人間」「台風圏の男」と「短編傑作選」も収録しています。

俺か? 俺は醗酵人間だ。
(中略)
醗酵性の液体とか植物、鉱物の類を口中に投ずれば、たちまち悪の芽が醗酵を起こし、身体中が悪事をしたい、人をなぶり殺しにしたい衝動でふくれ上がるのだ! 判ったか!
「九里魔五郎氏の誕生」より


どうだ、判ったかっ!

 読んじゃダメ、ゼッタイ。


あまりの衝撃に「絶対読んじゃダメ!」と言いたくなるくらい。
フィクションですが、いわゆる小説とはちょっと違う形式です。
手記などで進んでいく、映画でいう”フェイク・ドキュメンタリー”風味。

事前の知識なく読むのが理想ですが、ちょっとだけレビューをしてしまうと。
主人公は、デイケアの現場で老人医療にたずさわる医師です。
彼が、介護者の負担軽減と、なにより患者本人のQOL(人生の質)向上のために開発したのは……「Aケア」。
動かなくなった腕や足を切断してしまう療法です。

というと、ひどい、って感じるかもですが、麻痺して重たいだけの身体をとりのぞかれた患者は笑顔で感謝したりもしているのね。
なかには、江戸川乱歩の『芋虫』のように、両手両足を「ケア」された患者さんもいて。彼の”人生”もちゃんと良くなっているようにみえたり……なんだか、考えさせられるシーンが多い。

語り手を編集者に変えて展開する後半は、それまでの世界がひっくりかえります。
読んじゃダメ、ゼッタイ。
(私信。まさに衝撃の1冊でした>< 徹夜本!)

 変態ホラーワールド



かわいい表紙にダマされてはいけない。
この娘々(ニャンニャン)以外は、ジジイとババアと妖怪と変態しか出てこないのだから……。

漫☆画太郎先生の伝説のギャグマンガです。
妖怪に襲われた村を助けるため……いえ、あらすじを紹介してもイミがないかもこれは(笑)。

流血をともなうツッコミの迫力!
伝奇から秘密結社ものへの超展開!
脈絡カンケーなく出てくるバアさんの群れ!
はうあ! ぶべら! ズコー!

そんな感じ。
”満月の夜にハエ殺し機に変身する赤飯”を大家さんが差しいれてくれる物語「ばばあのちえぶくろ」(どんな話だw)は必読。なにか、常ならざる世界への扉がひらきます。
漫☆画太郎大先生の「変態ホラーワールド」へようこそ♪
(私信。読みました! はうあっ!)

 取扱い注意


ラストは岡本太郎さんの本を。
世界と、そして己と戦いつづけたアーティストが、真に生きるとはどういうことかを問う。

生きる――それは本来、無目的で、非合理だ。

ほとんどの現代人は己の存在のなかの芸術家を圧殺している。

芸術は呪術である。
ともに「第4章 あなたは常識人間を捨てられるか」より


迷ったら危険な道をとれ。挑め。みずからを殺せ……。
ひとたび本書に”感染”してしまったら、もう、読む前の自分には戻れなくなってしまう。

あなたのなかにある”芸術家”を目覚めさせる、魂の書。
取扱い注意! です。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a

(冒頭の写真は調布市深大寺の鬼太郎茶屋です)

【関連記事】

最近読んだ「怪談・都市伝説」本5冊
【超心理学】真冬に読みたいオカルト本10冊【ノンフィクション】
最近読んだ「世界観がダークな」本10冊
最近読んだ「世界観が独特な」本10冊
【フェテイッシュ】ジャケットがアングラすぎるトーキングヘッズ叢書10冊【マニアック】
カテゴリ:読書術





posted by akika at 23:02| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月28日

今月(2019年6月)もっとも売れた本は『樹木希林のことば』(返り咲きΣ(・ω・ノ)ノ)


今日のなぞなぞ
「2019年6月の月間ベストセラーは?」



6月28日(2019年)、「今月日本でもっとも売れた本」が発表されました。
(日販調べの月間ベストセラー(総合・ビジネス・フィクション)を末尾の「付録」のコーナーにまとめます

「付録」へ飛ぶ

去年(2018年)の年間ベストセラーは↓こちら。
(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
先月(2019年5月)のランキングは↓こちら。
今月(2019年5月)もっとも売れた本は『おしりたんてい かいとうとねらわれたはなよめ』(`・ω・´)
最新のランキングは↓こちら。
カテゴリ:ベストセラー




 『樹木希林のことば』がトップに返り咲き



出版取次会社の日本出版販売(日販)によると、
6月のベストセラーは、『一切なりゆき 樹木希林のことば』

4ヶ月連続で1位を独走していたものの、先月ついに『おしりたんてい かいとうと ねらわれた はなよめ』にトップの座をあけ渡した本書。
今月はふたたび1位に返り咲きましたΣ(・ω・ノ)ノ。
亡くなった名優、樹木希林さんが遺した言葉を集めた1冊です。

『おしりたんてい かいとう〜』は今月は2位。

4位は、おなじく樹木希林さんの『120の遺言』
6位は、『おしりたんてい カレーなる じけん』です。

おしりとキリンのおおいなる戦い。





4月9日に発表された「2019年本屋大賞」の受賞作、瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』は、今月は7位に顔をみせています。



----------
2019年本屋大賞

大賞
瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』
2位
小野寺史宜『ひと』
3位
深緑野分『ベルリンは晴れているか』
4位
森見登美彦『熱帯』
5位
平野啓一郎『ある男』
6位
木皿泉『さざなみのよる』
7位
三浦しをん『愛なき世界』
8位
知念実希人『ひとつむぎの手』
9位
芦沢央『火のないところに煙は』
10位
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』

翻訳小説部門

1位
アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』
2位
トーン・テヘレン『きげんのいいリス』
3位
陸秋槎『元年春之祭』

本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/

----------


また、今月は161回芥川賞・直木賞のノミネート作品が決まりました。
受賞作の発表は7月17日(2019年)の予定です。
今月は、直木候補の朝倉かすみさん『平場の月』が、フィクション部門10位にエントリしています。

追記)
7月17日、築地の新喜楽でおこなわれた選考委員会で両賞の受賞作が決まりました。
芥川賞は今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』
直木賞は大島真寿美さんの『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』が受賞しました。
おめでとうございます♪




----------
第161回芥川龍之介賞候補作品

(受賞!)今村夏子『むらさきのスカートの女』「小説 TRIPPER (トリッパー) 2019年春号」に掲載)
高山羽根子『カム・ギャザー・ラウンド・ピープル』「すばる 2019年5月号」に掲載)
古市憲寿『百の夜は跳ねて』「新潮 2019年6月号」に掲載)
古川真人『ラッコの家』「文學界 2019年1月号」に掲載)
李琴峰『五つ数えれば三日月が』「文學界2019 年6月号」に掲載)

芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/

----------
----------
第161回直木三十五賞候補作品

朝倉かすみ『平場の月』
(受賞!)大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
窪美澄『トリニティ』
澤田瞳子『落花』
原田マハ『美しき愚かものたちのタブロー』
柚木麻子『マジカルグランマ』

直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/

----------


 ビジネス書は『Think clearly』がニューエントリ



ビジネス書部門では、ロルフ・ドベリさんの『Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法』が6位にニューエントリしています。
生きること全般をテーマに、ジャンルを問わない知見を集めた壮大な1冊。

今月は、ほかにも2冊新着本がありました。
9位の門田隆将さん『新聞という病』と、
10位の森新さん『アウトルック最速仕事術 年間100時間の時短を実現した32のテクニック』


余談ですが、最近は「〜という病」がタイトルの新書等が目立っていますね♪
すこし前は、『家族という病』がベストセラーでした。
(もっと前は「〜の品格」という本のリリースラッシュもありました)

次はどんな病の本がでてくるだろうと楽しみv
それから、自分で企画を考えるときの足がかりにもなったりするので、いろいろとブレストしてみるのも面白いかも。


「風邪という病」
……そのまんまだ。

「健康という病」
……えっ、どういうこと? 健康ブームへのアンチテーゼ?

「おしりたんていという病」
……。
今後も意外な「病」がベストセラーになるか!?


関連記事:
3歳児が飲んではいけない2億本の缶コーヒー〜アイディア出すならバカになれ!



1位は先月と変わらず、SHOWROOM 前田裕二さんの『メモの魔力 The Magic of Memos』
2位も変わらず『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』
3位は『学びを結果に変えるアウトプット大全』でした。






 フィクションは『ノーサイド・ゲーム』が新着1位



フィクション部門では、『ノーサイド・ゲーム』が1位に新着しています。
7月から放映が予定されているドラマの原作小説。
半沢直樹、花咲舞、下町ロケットの原作でおなじみの池井戸潤さんの、新作書き下ろしです。


関連記事:
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい



2位には『俺、つしま 2』がニューエントリしています。待望の続編!
新刊効果で6位には『俺、つしま』、1巻もリエントリーしています。
つーさんの愛らしさに溺れよ。

3位は本屋大賞受賞作の『そして、バトンは渡された』
4位は川村元気さんの『百花』がジャンプアップしています。





日販のサイト(http://www.nippan.co.jp/)で各ジャンルのトップ10が確認できます。この記事では取りあげていない「ノンフィクション」「実用」「文庫」「ゲーム攻略本」などのランキングも。
ぜひ”一次情報”にもあたってみてくださいね。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a

※ ↓付録の「〜位」の横の記号は、先月からの順位の変動をあらわします。
△ …… ランクアップ、= ……変わらず、▼ …… ランクダウン


【関連記事】

(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
今月(2019年5月)もっとも売れた本は『おしりたんてい かいとうとねらわれたはなよめ』(`・ω・´)
3歳児が飲んではいけない2億本の缶コーヒー〜アイディア出すならバカになれ!
『下町ロケット』は少年ジャンプで漫画化されると思う
【徹夜本】半沢直樹・下町ロケットの進化形――池井戸潤『七つの会議』のサスペンス効果がすごい
【深い】大人になったあなたが読みたい絵本10冊【美しい】

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/
芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/

【付録】


 2019年6月の月間ベストセラー 総合

(日販調べ。「全集」「文庫」「ゲーム攻略本」を除く総合ランキング。6月28日時点)

1位 △

2位 ▼

3位 △

4位 △

5位 △

6位 ▼

7位 ▼

8位 △

9位 △

10位 ▼


 2019年6月の月間ベストセラー 単行本ビジネス
(日販調べ)

1位 =

2位 =

3位 △

4位 =

5位 ▼

6位 △

7位 ▼

8位 ▼

9位 △

10位 △


 2019年6月の月間ベストセラー 単行本フィクション
(日販調べ)

1位 △
『ノーサイド・ゲーム』
2位 △
『俺、つしま 2』
3位 ▼
『そして、バトンは渡された』
4位 △

5位 △

6位 △

7位 ▼

8位 △

9位 △

10位 △
posted by akika at 22:52| ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月27日

ぜんぶAIが決めてくれる世界ってどう思う?〜人工知能社会での「選択」と「自由」を考える本10冊


今日のなぞなぞ
「決めたい? それとも決めてほしい?」

P1240572done.jpg

AIは私たちが「統計的存在」であることを突きつけてくる。

”これがほしいんでしょ?”とアルゴリズムが提示してくるものは、
じっさい私の好みにとても合っていて。
喜んで受けいれていいのか、それとも立ちどまるべきなのか、あやふやな気持ちにさせる。


進路もパートナーも、着るものも食べるものも、観る、聴く、読むものも。

自分の歩く道は自分で決めたい。
そうも思う。

一方で。
すべて人工知能が最適化してくれるのならば、
ちっぽけな頭で考えるよりずっと合理的で幸せな未来を、私たちは歩むことができるかもしれない。


ぜんぶ、機械が決めてくれる世界。
これって、どうなの?



以前の記事(「PSYCHO-PASS(サイコパス)」はノベライズから先に読んでもいいかもしれない)で扱ったテーマですが、もはや物語のなかだけの話じゃなくなってきている感触です。


今日は、”人工知能がすみずみまで浸透していく社会”を生きるうえで、指針となる10冊をレビューしていきます。

決めるのと決めてもらうのはどちらが幸せなのか。
なにを根拠に、人はそれを選ぶのか。
あなたが決めたことは本当に「あなたの選択」といえるのか。

目に見えるものが真実とはかぎらない!(コンフィデンスマンJP風に)


唯一の正解があるテーマなわけではないので、フィクション作品もまじえつつ。
未来を生きるための10冊をど〜ぞ〜♪



 フィルターバブル


検索結果やショップの画面はひとりひとりに「パーソナライズ」されている。
この最適化によって、自分と関係の薄い情報がどんどん見えなくなっていく構造が「フィルターバブル」。

Google、Netflix、Facebook……。
それぞれのサービスが行なっているフィルタリングを紹介しつつ、パーソナライゼーションは今後さらに強力になっていくと予測。
気づかないうちに思考がかたよってしまう可能性や、政治的な意図で利用されてしまう(されている)リスクにも言及しています。

たとえコンピューターの前から離れてもフィルターバブルが消えない時代に入りつつある。
「第七章 望まれるモノを――望むと望まざるとにかかわらず」より


行きつく先は「楽園」なのか「タコツボ」なのか。
末尾の佐々木俊尚さんの解説もふくめ、考えさせられる1冊。

 新たな検索ワードを手に入れる旅


グーグルは、あなたが知りたいであろうことさえ予測する。
与えられた検索ワード=他者が規定してきた<私>を裏切るために、東浩紀さんが提示する処方箋は、身体の移動……つまり「旅」です。

というと、ネットを捨てろみたいな話に聴こえるかもしれませんが、本書の主張はまったく逆。
その場にとどまっていては考えることもなかった、”新たな言葉”を検索窓に打ちこむための「旅」。

台湾、インド、福島、アウシュヴィッツ、チェルノブイリ、韓国、バンコク、東京……。
各地をめぐりながら思索をつづる、旅行エッセイです。

↑冒頭であげた、”統計的存在であることの切なさ”に対して、力強い反論がありました。

統計からわかることは、もし何回も何回も人生を生きることができるとしたら、確率的にその選択がもっとも利益が大きいよ、という話でしかありません。一回かぎりの「この人生」については、統計はなにも教えてくれないのです。標準とは統計の操作によって現れるものでしかなく、本当はそのとおりの人生を生きているひとなどひとりもいません。
「7 老いに抵抗する 東京」より(太字は原文ママ)


 「選択」と私たちの絶妙な関係


選択にまつわる人間のふるまいについて、実証的なデータを示しつつさまざまな角度から論じていく。
一般に、なにかを自由に選べるのは良いことだと思えるけど、本書の研究をみていくと、そう単純に一刀両断できないことにも気づきます。

たとえば結婚相手を自分で選べない「取り決め婚」だと、相手への恋愛感情が徐々にあがっていく傾向がある、など(「恋愛婚」だと逆に低下していく)。
じゃあ選択を手放せばいい、みたいな話ではもちろんなくて。裁量権を持ちつづけることが心身の健康や意欲につながる……といった事例もあります。

著者自身も「選択の力」を信じていて、選択は「芸術である」という。
なにかを決めながら生きているすべてのひとに。
ハッとさせられる指摘が満載の良書。

 自由からの逃走


『選択の科学』でも紹介されている、古典的名著です。
近代に確立した<個人>や<自我>が得た「自由」は、”孤独”とふかく結びついている。
この不安にたえかねて、人はみずから自由を捨て、服従へと「逃走」する。
含蓄のあるカッコイイ金言がたっぷりでオススメですv

(マゾヒズム的倒錯で)しばしば求められるのは現実の苦しみや苦痛ではなく、肉体を縛られたり、助けて貰えない弱い状況におかれることによっておこる興奮や満足である。
(中略)
幼児のように取りあつかわれ、話しかけられ、あるいはさまざまの方法で叱責をうけ、はずかしめられることによって、「精神的に」弱くされることである。
「第五章 逃避のメカニズム」より


……なっ。緊縛&赤ちゃんプレイ(*ノωノ)
(どこを引用しているんだ私は(笑))

本書では宗教改革やナチズムの例をあげていますが、”逃走先”となる対象はなんでもありうる、とフロムは言い切っています。
神でも恋人でもアイドルでも、会社でも政府でも、たとえ人工知能でも……なんに対してもひたすら身をゆだねてしまう性質が、私たちのなかにはある。

 理由なんてない。決まっているからそうするだけ


……。
なんでいきなりイスラム?

えっと、イスラム教って、とてもこまかな戒律があって守らなきゃいけないじゃんね。
でも「守らなきゃいけない理由」はとくにない。
豚を食べちゃいけないのも、毎日5回祈らなきゃいけないのも、神がそう言ってるから従うだけ。
人間が”神の考え”を理解しようなんて、おこがましいわけだ。

↑で紹介した『選択の科学』では、こういった制約こそがうつ病を遠ざけるという驚きのデータが出ていました。

原理主義に分類された宗教の信徒は、他の分類に比べて、宗教により大きな希望を求め、逆境により楽観的に向き合い、鬱病にかかっている割合も低かったのだ。
(中略)
制約は必ずしも自己決定感を損なわず、思考と行動の自由は必ずしも自己決定感を高めるわけではない。
『選択の科学』「第2講 集団のためか、個人のためか」より


気になったので、入門書であらためてイスラムの世界にふれてみました。
移民のフィールドワークの経験から、イスラムを通してヨーロッパ全体を見渡す。
中東情勢のお話もあります。

イスラム教徒に対する誤解や偏見をていねいにほどこうとする語り口に好感v
読みやすい文章で、現場があざやかにみえてくる良書です。

近代以降の西洋社会が、神から離れることで人間が自由を得ていくと考えたこととは、まったく、違う考え方です。イスラムは、神とともにあることによって自由を得るのです。
『となりのイスラム』「第5章 ほんとはやさしいイスラム教徒」より


 「主体性」がなくなる怖さ


「ビック・ブラザー」率いる党が人々を支配する、全体主義を描いたディストピア小説です。
ニュースも歴史も都合のいいように改変され。
”裏切り者”がいないかどうか、互いが互いを監視する……。

反体制を象徴する人物をひたすら罵る「二分間憎悪」
みなにおなじ動きを強制する「一斉体操」
なにかに疑問を持つ気持ちを封じる「二重思考」

など、支配を維持する仕組みがたくさん出てきます。
なかでもいちばん怖いのは、党が「ニュースピーク」という公用語を開発し普及させようとしている点。

ニュースピークの語彙はわずかであり、さらにそれを削減する新たな方法が絶えず考案されていた。
(中略)
選択範囲が狭まれば狭まるほど、何かを熟考しようとする誘惑が小さくなるからである。
「附録 ニュースピークの諸原理」より


自由という言葉が辞書から消えてしまえば、人は自由という「概念」に想いを馳せることができなくなる。
この小説に人工知能が登場するわけではないけれど、今日のテーマととてもつながりの深い物語。

 ほんとうに「あなたの選択」なのか?


『一九八四年』は主体性がなくなっていく怖さを描いていましたが。
ここですこし切り返して”主体性ってほんとにあるの?”という視点へ。
本書は脳がいかに「自動操縦」によって動いているかを、神経科学者が解きあかしていきます。

Jで始まる名前の人はJで始まる名前の人と結婚する可能性が高い。
・車線変更の後ではハンドルを”逆方向に切っているはず”なのに、言われるまで人はそれに気づかない
・右手と左手がべつべつの”意思”を持って動く「他人の手症候群」
・身体を動かそうと意識するよりはるか前に、ひとりでに意思決定をしている脳……。

指を上げるという素晴らしいアイディアが生まれたというニュースを私たちが受け取る前に、脳は裏で始動している――神経の連合を築き、行動を計画し、計画を採決する――ようだ。
「第6章 非難に値するかどうかを問うことが、なぜ的外れなのか」より


犯罪行為の”責任”をどう扱うのか、という難しい問題にもアプローチしています。

私たちはみな、自分でなにかを決めたと”思いこんでいるだけ”のNPC(※)なのかも。
信じていた世界がひっくり返る衝撃の1冊。

※ ノン・プレイヤー・キャラクター。ゲームで、人ではなくコンピューターが操作しているキャラクターのこと。

 9Sは2Bを愛しているか?

ニーア オートマタ ゲーム オブ ザ ヨルハ エディション - PS4
スクウェア・エニックス (2019-02-21)
売り上げランキング: 90

本10冊といいながらも、いっこだけゲームソフトを。
アクションRPGです。

舞台は「機械生命体」が支配する荒廃した地球。
人類がつくったアンドロイド兵士による「ヨルハ部隊」は、地球を取りもどすため、今日も戦いに明け暮れる……。

登場するのは機械ばかりなのですが、この機械たちの「心」がとてもこまかく描かれています。

愛する者のために美しさを求める歌姫。
哲学書を読み、平和を願うロボット。
仲間を失い、狂気のなか復讐を誓うアンドロイド。

ものすごく感情をゆさぶられるストーリーです。
……感情?
データとアルゴリズムで動いている機械たちのお話なので、彼らが悲しんでいるように「見える」だけなのだけど……。
そういえば人間だって、なかでなに起きているかぜんぜん解明されていない「脳」ガアヤツル自動人形ダッタヨネ……。

物語、映像、音楽、すべてが美しすぎる名作♪

 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?


脱走した8人のアンドロイドを狩るバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)が主人公。
生き物がとても希少で、高価な本物の動物を飼うことが一種のステータスとなっている独特な世界です。
生き物を養うことは、感情移入できる=人間であることの証。

あらゆる感情を体験させてくれる「情調(ムード)オルガン」
坂をのぼる老人のビジョンを通して、他人との一体感を得る「共感(エンパシー)ボックス」

など、小道具も凝っていて、主人公をはじめ人間たちがほとんど強迫的に「人間らしさ」を求めているのが奇妙です。
まるで”私は人間だ”と証明しつづけなくてはならないような……。

目の前の相手は人かアンドロイドか、みたいなスリリングな面白さもあるのですが、SFであると同時にかなり”文学”していて、後半〜終盤はめちゃ読みごたえがあります。
あらゆるSFや、ほかのジャンルにも多大な影響を与えつづけている不朽の名作v

 スーパーインテリジェンス


超絶知能(スーパーインテリジェンス)が誕生したら、我々はそれをどうコントロールできるか。
ここでいうスーパーインテリジェンスは……

ありとあらゆる関わりにおいて人間の認知パフォーマンスをはるかに超える知能
「第2章 スーパーインテリジェンスへの道程」より


で、究極的には……

人間の知能がゾウやイルカやチンパンジーの知能よりも質的にすぐれているのと少なくとも同程度に、人間の知能よりも質的にすぐれている
「第3章 スーパーインテリジェンスの形態」より


くらいの、人類とはまったく異質なレベルの知性のことです。
本書は、いわゆるマシンAIだけでなく

全脳エミュレーション(人の脳を模倣するソフトウェア)
生物学的認知エンハンスメント(知能の高い遺伝子を何世代もかけあわせる)
ブレインコンピュータ・インタフェース(人間の脳とマシンの直結)
巨大知(人やコンピュータネットワーク全体による集合知)

などの方法で知能爆発が生まれる可能性も考慮しています。
スーパーインテリジェンスは”人類に害をなす”こともありうるので、じゃあどう制御していけばいいのか、が主題。


この本は小説ではないけれど、あえてたとえるならば、”起こっていないかもしれない事件”に対して、あらゆる可能性を検討し推理をかさねるミステリ、みたいな味わいかな。

仮定のうえの仮定の議論なので、ある意味ではとてつもない空中戦。
だけど、かりに超絶知能が実現したなら、ほかのどんなことより優先して対応しなくちゃならない問題だし、起こってから考えるのでは遅すぎる。

ひろく科学の知識がある方は、めっちゃ面白く読めると思いますv
(告白すると、私にはじゃっかんハードルが高めでした><; でもがんばった)

「人類全体の未来」を他人ごとだと思わない感性をお持ちなら、読むべし('◇')ゞ




ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a

(冒頭の写真は埼玉県のムーミンバレーパークのエントランスです)

【関連記事】

「PSYCHO-PASS(サイコパス)」はノベライズから先に読んでもいいかもしれない
最近読んだ「未来の社会・経済を予測する」本10冊
「フェイクニュース」にだまされないための小説3冊と新書2冊
心の時代を生きるための本10冊
最近読んだ「幸せについて考える」本10冊〜三大幸福論を中心に〜



ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来 (上)(下)巻セット
ユヴァル・ノア・ハラリ
河出書房新社
売り上げランキング: 10,784



posted by akika at 23:03| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月31日

今月(2019年5月)もっとも売れた本は『おしりたんてい かいとうとねらわれたはなよめ』(`・ω・´)


今日のなぞなぞ
「2019年5月の月間ベストセラーは?」



5月30日(2019年)、「今月日本でもっとも売れた本」が発表されました。
(日販調べの月間ベストセラー(総合・ビジネス・フィクション)を末尾の↓「付録」のコーナーにまとめます


去年(2018年)の年間ベストセラーは↓こちら。
(2018)今年の年間ベストセラー本20冊

先月(2019年4月)のランキングは↓こちら。
今月(2019年4月)もっとも売れた本は『樹木希林のことば』(4ヶ月連続Σ(・ω・ノ)ノ)

最新のランキングは↓こちら。
カテゴリ:ベストセラー


※ この記事は毎月末に更新している、ベストセラー本の「定点観測」です。ある分野を定期的に観測することで、ちいさな変化にいち早く気づくことができる。これはジャーナリストの池上彰さんも推奨している、未来予測の方法です(『見通す力』)。

もちろん売れている本がすべて良書とは限らない。ベストセラーリストを眺めながら、今の(今後の)”時代の空気”を一緒に感じてみましょ。というのが、このエントリの意図です。よかったら、何らかの「発見」を持ち帰っていってくださいねv





 『おしりたんてい』新作が1位の快挙



出版取次会社の日本出版販売(日販)によると、
5月のベストセラーは、『おしりたんてい かいとうと ねらわれた はなよめ』

新刊が出るたびにチャートに顔をみせていた常連シリーズが、ついに。
アニメの人気や書店での「なぞときイベント」の盛りあがりもあいまって、月間1位の快挙。
どんな事件もププッと解決いたします♪
令和最初のベストセラーは、『おしりたんてい』でした(`・ω・´)


ちなみに、今月の4位は同シリーズの新刊『おしりたんてい カレーなる じけん』です。
おしりたんていがヒットチャートを埋め尽くす日は近い。


関連記事:
【深い】大人になったあなたが読みたい絵本10冊【美しい】



4ヶ月連続でトップを走っていた樹木希林さんの『一切なりゆき 樹木希林のことば』は今月は2位。




3位は、4月9日に発表された「2019年本屋大賞」の受賞作、瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』です。
また今月は、同大賞で2位に輝いた小野寺史宜さんの『ひと』が、フィクション部門の3位にニューエントリしています。



----------
2019年本屋大賞

大賞
瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』
2位
小野寺史宜『ひと』
3位
深緑野分『ベルリンは晴れているか』
4位
森見登美彦『熱帯』
5位
平野啓一郎『ある男』
6位
木皿泉『さざなみのよる』
7位
三浦しをん『愛なき世界』
8位
知念実希人『ひとつむぎの手』
9位
芦沢央『火のないところに煙は』
10位
伊坂幸太郎『フーガはユーガ』

翻訳小説部門

1位
アンソニー・ホロヴィッツ『カササギ殺人事件』
2位
トーン・テヘレン『きげんのいいリス』
3位
陸秋槎『元年春之祭』

本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/

----------

 ビジネス書は『父が娘に語る〜経済の話。』が3位



ビジネス書部門では、『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』が3位。
先月8位のニューエントリから大きくジャンプアップしました。

今月の新着は2冊です。
小池浩さん『借金2000万円を抱えた僕にドSの宇宙さんがあえて教えなかったトンデモナイこの世のカラクリ』が8位に。
堀江貴文さんの新刊『疑う力 「常識」の99%はウソである』が10位に新顔をみせています。





1位は先月と変わらず、SHOWROOMの前田裕二さんの『メモの魔力 The Magic of Memos』
2位も変わらず『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』

メンタリストDaiGoさんの『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』は4位です。

関連記事:
最近読んだ「好きを仕事に」する本10冊





 フィクションは『ひと』が2位に新着



フィクション部門では、前述のとおり本屋大賞関連の『ひと』が2位にニューエントリしています。
二十歳にして両親を失った「僕」の、めぐる”運命”の物語。

1位は本屋大賞受賞作の『そして、バトンは渡された』
本屋大賞、つよいね。
2位は西尾維新さんの「物語」シリーズ新作『余物語』

関連記事:
最近読んだ西尾維新5冊――メタフィクショナルな西尾試論



以前の記事(最近読んだライトノベル10冊〜恋愛・ミステリ・異世界〜)で紹介した「転スラ」の新刊『転生したらスライムだった件 14』は今月は8位。

9位は、記事(最近読んだ「幸せについて考える」本10冊〜三大幸福論を中心に〜)でレビューした『すぐ死ぬんだから』でした。







日販のサイト(http://www.nippan.co.jp/)で各ジャンルのトップ10が確認できます。この記事では取りあげていない「ノンフィクション部門」などのランキングも。
ぜひ”一次情報”にもあたってみてくださいね。


それでは、「付録」にて。
今月の総合・ビジネス・フィクションのベスト10をど〜ぞ〜♪


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪


あきか(@akika_a


※ ↓付録の「〜位」の横の記号は、先月からの順位の変動をあらわします。
△ …… ランクアップ、= ……変わらず、▼ …… ランクダウン

【関連記事】

(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
カテゴリ:ベストセラー
今月(2019年4月)もっとも売れた本は『樹木希林のことば』(4ヶ月連続Σ(・ω・ノ)ノ)
【深い】大人になったあなたが読みたい絵本10冊【美しい】
最近読んだ「好きを仕事に」する本10冊
最近読んだ西尾維新5冊――メタフィクショナルな西尾試論
最近読んだライトノベル10冊〜恋愛・ミステリ・異世界〜
最近読んだ「幸せについて考える」本10冊〜三大幸福論を中心に〜

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/

【付録】


 2019年5月の月間ベストセラー 総合

(日販調べ。「全集」「文庫」「ゲーム攻略本」を除く総合ランキング。5月30日時点)

1位 △

2位 ▼

3位 =

4位 △

5位 △

6位 ▼

7位 △

8位 ▼

9位 △

10位 △


 2019年5月の月間ベストセラー 単行本ビジネス
(日販調べ)

1位 =
『メモの魔力 The Magic of Memos』
2位 =
『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
3位 △

4位 ▼

5位 ▼

6位 =

7位 =

8位 △

9位 ▼

10位 △


 2019年5月の月間ベストセラー 単行本フィクション
(日販調べ)

1位 =
『そして、バトンは渡された』
2位 △

3位 △

4位 △

5位 △

6位 ▼

7位 △

8位 ▼

9位 ▼

10位 ▼
posted by akika at 22:40| ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
ブログパーツ アクセスランキング