2022年07月31日

紫禁城の歴史がわかる本5冊


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「紫禁城の歴史がわかる本5冊」をまとめました。
取りあげた書籍は……

『紫禁城―清朝の歴史を歩く』
『北京 故宮博物院展』
『蒼穹の昴』
『紫禁城の黄昏』
『わが半生』



順に、

読みやすい新書
博物院となっている現代の紫禁城(故宮)のガイドブック
浅田次郎さんの歴史小説
清朝最後の皇帝の家庭教師・ジョンストンによる手記
清朝最後の皇帝・溥儀の自伝

です。
本とはべつに、溥儀の生涯を描いた映画『ラストエンペラー』も紹介しています。


清の時代がまさに終わろうとしている”黄昏時”。
ジョンストンは、こんな言葉を残しました。

シナには近代欧米的な意味での国家は、かつて存在したことがなく、いろいろな王朝があっただけである。


明から清へ。近代まで中国王朝の歴史を支えた紫禁城。
紅い墻壁と黄色い瑠璃瓦は美しく、数々のドラマや映画の舞台にもなっています。

今なお世界じゅうの人々の惹きつけてやまない、
故宮・紫禁城の魅力を味わいつくす5冊をど〜ぞ♪



紫禁城



かつての紫禁城――故宮博物院を歩きながら、明朝〜清朝の歴史をひもといていく。

大和殿と保和殿のたたずまいに、まだ少年であった康熙帝の即位と親政をしのび。
後宮の改造された西六宮に、西太后の”強運”を見出し。
寧寿宮の九龍壁に、乾隆帝の審美眼をみる……。

”場”と”歴史”が同時に詳しく解説される文章は、歴史ロマンそのもの。
本格的なガイダンスを聴きながら故宮を散策している気分になれる、オススメの良書です。

故宮博物院展



故宮博物院展――日本でおこなわれた故宮博物院の展示会のガイドブックです。
日中国交正常化10周年記念……と、かなり古い本ですが、内容が濃く、写真も解説も素晴らしい。資料としてオススメです。

前半は、写真をふんだんに掲載し、故宮の様子と歴史を解説。
後半は、「陶磁器」「漆工芸」「玉器」「絵画」「書と文房具」のジャンルに分け、博物院に収められた文物を紹介しています。

希少本ではありませんが、重版はなく、現在手にできるのは中古品のみ。
40周年↓のときにも同様のパンフレットが作成されました。



蒼穹の昴



『蒼穹の昴 2』
『蒼穹の昴 3』
『蒼穹の昴 4』

浅田次郎さんの小説です。
科挙に受かり出世していく梁文秀と、糞拾いから宦官になった同郷の少年・李春雲のふたりを軸に、時代に翻弄される人物たちを描き出しています。
語られるのは清の光緒帝の時代。戊戌の政変(変法)(1898年)の前後まで。

以前の記事(後宮が舞台の小説10冊)で紹介した『テンペスト』とおなじように、懸命に生きる個人が”歴史のうねり”に取りこまれていってしまうのがとても哀れ。
終盤は涙なしには読めない名作です。

歴史小説なので、もちろん実在の人物がたくさん登場します。
光緒帝や西太后をはじめ、康有為、袁世凱、李鴻章……。
清朝の宮廷画家・郎世寧(カスティリオーネ)や日本の伊藤博文まで、有名な人物がいきいきと動きまわるさまは圧巻。
(梁文秀と李春雲のふたりは架空の人物ですが、実在の梁啓超と小徳張がモデルだともいわれています)

舞台となる紫禁城や、離宮の頤和園の描写も精緻。
タイムスリップして清国をみてきたかのような、すごい小説です。

↓「蒼穹の昴」シリーズとして、新たな作品が続々と上梓されています。
最新の『兵諫』では、西安事件(1936年)までが描かれます。

『珍妃の井戸』
『中原の虹』
『マンチュリアン・リポート』
『天子蒙塵』
『兵諫』

紫禁城の黄昏




清朝が倒れゆくさまをみてきたように……というか、みてきた人が語る。
著者は、最後の皇帝・溥儀の家庭教師、ジョンストンです。

史料ともいえる1冊ですが、訳がよく、読者を引っぱりこむような展開力も素晴らしくて、ぐいぐい読まされてしまう。
人物解説、年表、系図、地図、写真……と掲載資料が豊富で、細部の理解を助けてくれます。

メインは宣統帝・溥儀の時代。でも本書が語りはじめるのは西太后の時代、戊戌の政変から。なので、ちょうどの『蒼穹の昴』続きを読んでいるような感覚になります。
蒼穹→黄昏の順に読むのもオススメ。

皮肉をまじえ、鋭い批評眼で時勢を分析するジョンストン。
ですが、皇帝のことを語る文章は一転して敬愛にあふれています///

中国王朝最後の「黄昏」の時代。
名作映画「ラストエンペラー」とセットでどうぞ♪

ラストエンペラー



というわけで、本5冊とはべつに映画「ラストエンペラー」を紹介。
紫禁城と満州国を舞台に、中・伊・仏・米が共同で製作した歴史映画です。
作曲家や役者として、日本の坂本龍一教授も参加しています。

幼帝として即位し、実権を失った皇帝として紫禁城で育つ溥儀。
やがて紫禁城を追われ、流されるように満洲国の皇帝となるも、満州国は崩壊。
ソ連軍にとらわれ収容所へ……。

こんな、三行でまとめるだけでも壮絶な、愛新覚羅溥儀の一生が描かれます。
ちなみに皇帝が政権を失った”黄昏時”の紫禁城は「清室優待条件」という決まりごとによって、皇室や使用人たちが生かされている状態。
年金をもらって暮らしている感じです。

形骸化した城でコオロギと遊び、自転車を乗りまわし、宦官とたわむれ、皇后や側室を愛する”少年皇帝”溥儀。
誰よりも当事者なのに、誰よりも蚊帳の外にいて力のない皇帝の描写がなんともいえず切ない。

家庭教師ジョンストンと溥儀の友情や、”第二夫人”であることに葛藤をおぼえていく側室の文繡など、様々なテーマが内包しています。
名作なので、まだ観ていない方はぜひ♪

↑で紹介した『紫禁城の黄昏』も、収容所の取り調べのシーンで登場しています。

わが半生




ラストはその”最後の皇帝”の自伝。著者は宣統帝・愛新覚羅溥儀です。
「ラストエンペラー」の原作本でもあります。

↑で紹介した『紫禁城の黄昏』を歴史評論にたとえるならば、『わが半生』は一人称小説。
復辟を願いながらも周囲の思惑に巻きこまれていく溥儀の、怒りと悲しみが綴られています。
皇帝の視点で歴史の激動を見つめる貴重な1冊。
(下巻の「制作経過」をみると、溥儀以外の手もかなり加わっているようですが)

『黄昏』では描かれなかった、ジョンストンと離れた後の話ももちろんあります。
もうね、『黄昏』とセットで読むと、ふたりの師弟愛にあてられてしまう。

私の目には、ジョンストンのすべてがもっともすばらしく、彼の服の樟脳の香りさえかぐわしく思われるようになったのである。

ジョンストンはすでに私の魂の重要な一部を占めていた。
ともに「第三章 紫禁城内外」より


……樟脳の香り!
同時に読むと、色々とはかどると思います。何が。

いえ、まじめな話。おなじ出来事が表裏で語られていたりするので、復習にもなるし、多視点で史実を味わえて興味ぶかい。
年表など『黄昏』に掲載されている資料は、本書を読むときにも役立ちます。一緒にどうぞ。

情報量がとても多く、皇室や紫禁城の細部など、ほかの本ではみられない内容がたっぷり。
”キャラ読み”もできる名著です。



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a

(冒頭の写真は川越熊野神社、期間限定の「恋手水」です)

【関連記事】

【神仙】中国の土着・民間信仰を知る本10冊【道教】
後宮が舞台の小説10冊







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2022年06月01日

上半期(2022年)のベストセラー本は『人は話し方が9割』๐・°(৹˃ᗝ˂৹)°・90%๐



出版取次会社の日本出版販売(日販)およびトーハンは6月1日、「2022年上半期に日本でもっとも売れた本」を発表しました。
(日販調べの上半期ベストセラー(総合)のトップ20を記事末尾↓にまとめています




上半期1位は『人は話し方が9割』


2022年上半期のベストセラーは、日販調べでは……

永松茂久『人は話し方が9割』

昨年(2021年)の年間ベストセラーとなったコミュニケーションスキルの本が、上半期もトップを守り抜きました。

関連記事:
(2021)今年の年間ベストセラー本20冊(1位は人は話し方が9割、2位はスマホ脳)



トーハン調べでは……

『WORLD SEIKYO vol.2』

ベストセラー常連、聖教新聞社による宗教出版です。




2位は、日販・トーハンともに『同志少女よ、敵を撃て』
「2022年本屋大賞」の受賞作品です。戦争を丁寧に描いた作風が偶然にも時流にマッチし、大ヒットとなりました。

本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/




3位は、日販では厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』
お笑い芸人の厚切りジェイソンさんによるマネーリテラシー本です。Why Japanese people!

トーハンでは、大川隆法『メシアの法 ー「愛」に始まり「愛」に終わるー』
幸福の科学出版の宗教出版です。





4位以降にも話題の本が続々。
第166回直木賞を受賞した米澤穂信さんの『黒牢城』もチャートインしています。

直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会
https://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/





今期は厚切りジェイソンさんをはじめ、「お金」に関する本が複数チャートいりしています。
インフレーション等の影響で、マネーリテラシーについて意識せざるをえない時代なのかもしれません。

ちなみに。金融リテラシーの本の紹介は当ブログの看板カテゴリでもあります。
気になる記事↓があればどうぞ♪

関連記事:
最近読んだ「金融を学べる」本10冊
最近読んだ「投資力を鍛える」本10冊〜金融リテラシーをぐんと高めるために
マネーのスペシャリスト3氏(竹中平蔵・竹川美奈子・勝間和代)のオススメ本7冊
投資をはじめる前に読みたい15冊
日本の財政破綻やハイパーインフレに備える3ステップ
最近読んだ仮想(暗号)通貨関連の本10冊




全体の結果を受け、日販も「コミュニケーション」「お金」「英語」がテーマの本が多いことに着目し……

人々が生活や生き方を振り返り見つめ直す機会が増え、それぞれの心の内にある興味・関心、そして不満や課題をより具体的に自己認識したのではないかと推測する。



と分析しています。


☆★☆


ニュースで目にする「ベストセラー」の情報ソースは、出版取次会社の日本出版販売(日販)やトーハンのニュースリリースです。
日販やトーハンのサイトで誰でも閲覧することができます。
ジャンル別のランキングなどもありますので、ぜひ”一次情報”にもふれてみてくださいね。

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
TOHAN website
http://www.tohan.jp/


それでは2022年の「上半期ベストセラー」20冊をど〜ぞ♪

 2022年の上半期ベストセラー

(日販調べ。「全集」「文庫」「コミック」を除く総合ランキング。集計期間=2021年11月22日〜2022年5月21日)

1位

2位

3位

4位

5位

6位

7位

8位


9位

10位

11位

12位

13位

14位

15位

16位

17位

18位

19位

20位



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a

【関連記事】

(2021)今年の年間ベストセラー本20冊(1位は人は話し方が9割、2位はスマホ脳)
(2021)上半期(2021年)のベストセラー本は『推し、燃ゆ』(o・▽・)σ(炎▽炎)
最近読んだ「金融を学べる」本10冊
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マネーのスペシャリスト3氏(竹中平蔵・竹川美奈子・勝間和代)のオススメ本7冊
投資をはじめる前に読みたい15冊
日本の財政破綻やハイパーインフレに備える3ステップ
最近読んだ仮想(暗号)通貨関連の本10冊

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
TOHAN website
http://www.tohan.jp/
芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会
https://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞|公益財団法人日本文学振興会
https://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/
本屋大賞
https://www.hontai.or.jp/
posted by 姉崎あきか at 15:23 | TrackBack(0) | ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月31日

【神仙】中国の土着・民間信仰を知る本10冊【道教】


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今日は「中国の土着・民間信仰を知る本」の特集です。
以前の記事……

【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】
【民話伝承】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(中編)【フォークロア】
【記紀神話】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(後編)【古神道】


では、日本の土俗の信仰をまとめましたが、
今回はその中国版。

中国の人々や社会に根づく風習や民俗宗教をみていきます。


前半は、あやしげな(?)呪術から風水、そして神話伝説
後半は、道教です。道(タオ)老荘・神仙思想がわかる本や小説、漫画を紹介します。


異国情緒にあふれながら、日本人の感性とも深くつながっている。
お隣、中国の”精神性”を知る10冊をど〜ぞ♪





呪術



台湾の祠廟の紹介から、道士や童乩(タンキー)の呪術、宗教団体の実態、祭り、雷法、呪符の書き方まで。
ちまたで信じられている様々なものを蒐集した貴重な1冊。
概説もありますが、どちらかといえば実際の廟や行事をつぶさにみていくフィールドワークの本です。

以前の記事(【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】)でもみたような、民間信仰ならではのあやしさやカオスは中国でもおなじ。
儒・仏・道……習合やアレンジが重なって、もはや何の宗教だ! という事態になっちゃっている儀式も。

四日目の放水燈の行列は、竿燈を載せた車や、後ろでショーを行っている車、音楽を流している車など、すべて自動車で構成され、電球で飾られた車も多いため、夜になるとエレクトリックパレードという趣になる。
「第一部 民間宗教者と呪術儀式」より


↑台北の霞海城隍廟でおこなわれる祭祀の様子です。もう何がなんだか。

写真や図表の資料も豊富で、イメージがわきやすい。
民俗学が好きなひとにオススメですv

宇宙観



中国で生まれ、東アジア全域に影響を与えている思想哲学や世界の見方……宇宙観(コスモロジー)を丁寧に解きほぐしていく。
膨大な数の文献を渉猟し、解説されるのは……

四季のめぐりとリズム。趨吉避凶。陰陽や五行の理論。八卦。本草学。「未病」を治す養生法。孔子の説く治世や処世。老荘思想。

などなど。
ちょくちょく耳にするけれど、細かくは知らなかった中国思想の数々が網羅されています。
さらに、それらが日本にどう受容されていったかにも筆が割かれていてユニーク。
易や風水好きにとくにオススメな良書です。

人気の神様たち



関帝、八仙、西王母、東学大帝、西遊記でおなじみの斉天大聖(孫悟空)、封神演義の二郎神……などなど。
民間信仰系・道教系・仏教系の3カテゴリから人気の神々を紹介しています。

解説だけでなく、中国でどんなふうに人気なのかが書かれていて面白い。
”日本では知られていないけど、現地では一般常識レベル”の神さまの多いこと多いこと。
新書らしいとっつきやすさで、中国の神話・伝説を学ぶことができます。
入門はここから。知っているようでほとんど知らない、神仙の世界へようこそ♪

神獣・幻獣



当ブログでもおなじみ、新紀元社の「Truth In Fantasy」から1冊。
こちらは神様といっても人の姿のものではなく、幻獣や神獣、霊獣です。
中国の神獣やあやかし、精霊や鬼を、ステキなイラストともに紹介しています。

龍、麒麟、天狐、人虎。
幻想の動物たちともふもふしちゃってくださいねv
……いえ、なかにはおぞましい姿のものや、もふもふできそうにない魚や鳥もいるけれど。

ちなみに「幻想世界の住人たち」のシリーズは全4冊。
1は西洋。2は中近東等。3↑は中国。4は日本。
世界の神話・伝説にどっぷりとひたれる濃ゆ〜いシリーズです。どれもオススメ。

幻想世界の住人たち
幻想世界の住人たち(2)
幻想世界の住人たち(3)
幻想世界の住人たち(4)


山海経の神獣・悪鬼



人を食う妖怪。疫病神。災禍を招く獣。逆に災いを退ける神。
異形の悪鬼。恵の鬼神。縁起のよい善獣や瑞獣……。

中国の地理書『山海経』を中心に、さまざまな妖怪や神獣にまつわる説話を蒐集しています。
本草学にもページをさいていて、病気や懐妊などに効く(迷信ぶくみの)生薬も紹介。

情報量は多いですが、ただの羅列ではありません。説話が生まれる下地となる世界観(民俗学的な意味での)を考察しています。
人の暮らす「内なる世界」と、大自然の危険に満ちた「外なる世界」。妖獣は<外>の生き物だ。

ちょっぴり学術的ですが、写真や図版の史料も多く楽しい。民俗学や説話文学好きにはたまらない1冊です><

☆★☆


ここからは道教関連の本を。
儒教とならぶ中国土着の思想哲学、道教。
実在しないともいわれる老子を祖としながら、中国の民間信仰のすみずみにまで影響を与えている宗教です。

頭ではなく”心”や”肚”で、タオの世界を感じるように読んでみてくださいねv

道教



青土社の「シリーズ世界の宗教」より1冊。
本書では道教の起源や発展、教義や歴史とのかかわりを学ぶことができます。教科書的な1冊。

道(タオ)と一体化し、神仙となって不老不死をめざす。
……というと、何かストイックな求道的なものに思えるけれど、老子や荘子が大事にせよと説くのは勤勉さではなく「無為」や「無用」。

しなやかに生きるのが推奨される「風の時代」ともいわれる今。時代ととても相性のよい教えかも、と個人的に感じています。

「世界はそれを放置する人によって獲得されるであろう」
「2 道家の起源と歴史」より

この言葉、好きv

関連記事:
心の時代を生きるための本10冊
最近読んだ「幸せについて考える」本10冊〜三大幸福論を中心に〜


タオの神々



「Truth In Fantasy」シリーズからもう1冊。
タオ(道、道教)で信仰される神々を「天界神」「文・武・財神」「教祖・始祖神」「自然神」「医神」「生活神」「神仙」のカテゴリに分けて紹介。
70柱を超える神々の特徴やエピソードがつづられています。

辞書的の使うのもいいし、読みとおすことで道教の世界に詳しくなれます。
神だけでなく、タオの思想やアイテム、修行法などの解説も。
もちろん、このシリーズならではのステキなイラストも添えられています。
中国神話ファンは手もとに置いておきたい、密度の濃い1冊です。

老子



なんつータイトルだ。
タオイスト、加島祥造さんが道(タオ)の精神を語る本……なのですが。
本書がメインに扱っているテーマは、なんと英米文学です。

ロレンス、フォークナー、マーク・トウェイン。彼らの作品に息づく”タオっぽさ”を加島祥造さんならではの視点で探っていく。
その解説が道教そのものを深くえぐるような内容になっている。

まるで違う場所にカメラを向けながら、ぜんぜん別の物事の本質を語る。私の好きな手口(!)ですv

無為とは何もしないことじゃなくて
していることだけを喜ぶことだ。
「終章 タオの山脈の連なる解放区へ」より


タイトルの「おっぱい」は”あらゆる恵みをもたらしてくれるタオ”をあらわした比喩。加島祥造さん自身が訳した「老子」↓からの引用です。
ついでに紹介しますね。


『老子』を意訳し、詩集として現代によみがえらせた奇跡の本。
本書はすごい。原文からとことん離れた意訳でありながら、老子と深くつながっていて。
詩の力が、いやおうなく心や身体を浄化する。

これは形のない形だけの在るところ、
無いものだけの在るところ、すべてが
捉えがたい抽象でできてるとも言える。
「第一四章 形のない形だけの在るところ」より


脳の奥にじかに波を伝えてくるような、頭でなく心で読む、不思議な読書体験をもたらしてくれます。
知識としてでなくスピリチュアルな経験として、読んでみてくださいねv

関連記事:
非二元(ノンデュアリティ)の本は「読んでも読まなくてもかまわない」?
精神世界の名著4冊


仙人になる方法



子供向けの学習まんがです。
仙人になるため、李白少年が師匠のもとで修行を積む物語。

食べものを制限して気を整える「辟穀」
体内に気をとどめる呼吸法「導引」
不老長生をもたらす気をつくる「胎息」
体のなかに仙薬をつくりだす「存思」

……などなど、修行法は実際の史料にもとづいて詳しく描かれているので面白い。
じっさいにやったらキケンだよ! みたいな注釈も(笑)。
児童書ですが、さくっと読める仙人入門書としてオススメv

仙人小説



ラストは小説です。
時は唐代……玄宗皇帝の頃の中国。現役をしりぞいた父のもと、毎日を遊んで暮らす王弁は、あるとき仙人と出逢い弟子になる。
仙人の名は僕僕。白髪白髭の老人かと思いきや、なんと美少女だった……。

”仙人小説”らしく中国の神話や伝説に関する逸話が多く面白い。
天界の神仙たちや神獣も、キャラクターとして登場します。
かと思うと、玄宗皇帝の蝗害対策が物語にからんできたり。
王弁と僕僕のかけあいは、ライトノベルふうの甘〜いラブコメだったり。

恋あり、歴史あり、神仙ありの極上エンターテイメント。
どこを楽しむかは人それぞれ。
続編↓も次々とリリースされている人気シリーズです。

薄妃の恋 僕僕先生
胡蝶の失くし物 僕僕先生
さびしい女神 僕僕先生
先生の隠しごと 僕僕先生
鋼の魂 僕僕先生




ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a

(冒頭の写真は横浜中華街で撮った関帝です。恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ)!)

【関連記事】

【奇習邪宗】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(前編)【民俗神】
【民話伝承】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(中編)【フォークロア】
【記紀神話】日本の土着・民間信仰を知る本10冊(後編)【古神道】
心の時代を生きるための本10冊
最近読んだ「幸せについて考える」本10冊〜三大幸福論を中心に〜
非二元(ノンデュアリティ)の本は「読んでも読まなくてもかまわない」?
精神世界の名著4冊
後宮が舞台の小説10冊







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2022年01月31日

ゲームのシナリオライター志望者が読むべき10冊



「ゲームのシナリオライター志望者が読むべき10冊」をまとめました。

↓リストは、以前の記事(【映画/ドラマ】「脚本・シナリオの書き方」の本10冊【漫画/ゲーム】)でとりあげた『ゲームシナリオライターの仕事』の巻末で「参考文献」として紹介されている10冊です。
(短いレビューはこのブログのオリジナルです)

本書はゲームに特化したシナリオの書き方の本。
ハリウッド映画をお手本に”起承転結”を身につけ、90年代の名作RPGを題材にして、ゲームならではの物語づくりを学ぶことができる良書です。

「参考文献」では、本書で言及されたゲームソフトや書籍、DVDがまとめられています。
今日はそのなかから書籍を紹介。


シナリオやゲーム関連だけでなく、仕事術やアイディアの作り方、インタビュー術など、バラエティ豊かな文献リストになっています。
この業界で生きていくためのオススメ本、といった雰囲気。

『キャラクター小説の作り方 』など、当ブログで扱ったことのある本もありますねv


執筆や勉強のおともに。
ゲームのシナリオライティングに役立つ10冊をど〜ぞ♪



 1.


シナセン(シナリオ・センター)創設者の新井一さんが、とことん技術的にシナリオづくりを教えてくれる名著。
本書を読めば脚本執筆のすべてがわかる……大げさでなくそう断言できるほど。網羅性がすごいです。
シナセンに入学したつもりでじっくりとつきあいたい、教科書のような1冊。

本書後半の「シナリオ診断学」は、脚本の悪い所を直し(治し)、面白くするための処方箋。心得ておくべし。
1980年代の本ですが、今日も色あせない、シナリオ創作指南書の定番です。

『ゲームシナリオライターの仕事』は、映画や小説など他の分野の方法論を援用しながらゲームのシナリオを語っています。その一環の参考図書です。

 2.


大きくくくれば、ライトノベルの執筆指南ではありますが、実践を超えて、このジャンル全体にたいする批評としても意義深い。

キャラクターやストーリー、世界観をつくるために考えるべきことを教えてくれます。
ただ凝った設定をすればいいわけではなく、キャラや世界は作品の”テーマ”と深く結びついている。

以前の記事(【評論】ライトノベルを「学問として」研究するための19冊【論文】)でも紹介した本です。
文学が描く「私」さえ、キャラクターのひとつだ。
なんど読んでも学ぶところの多い1冊。

記事(【ワナビ】作家志望者が読まなければいけない「小説の書き方」本10冊【公募】)で推した『キャラクターメーカー』『ストーリーメーカー』とセットでどうぞ♪




 3.


オタキングこと岡田斗司夫さんが”オタク文化”のルーツと系譜を概説。
アニメ、漫画、映画、ガレージキッド……熱がこもりすぎて火傷しそうなほどの語り口。マニアックさに圧倒されます。
近視眼的に細部を熱く語ったかと思えば、ぐっと広い視野でそれぞれのカルチャーの影響関係を指摘する。
黎明期のオタクカルチャーに興味があるなら必読。イッキ読み必至です。

 4.


企画、アイディア出しに使える”考えるためのツール”21コを紹介。その21コとは……

カラーバス/聞き耳を立てる/ちょいメモ/フォトリーディング/臨時新聞記者/アイディアスケッチ(手描き)/ポストイット/マンダラート/マインドマップ(アイディア)/アイディアスケッチ(PC)/連想ゲーム/オズボーンのチェックリスト/ブレーンストーミング/5W1Hフォーマット/タイトル/ビジュアライズ/マンダラート(企画)/企画書/アイディアマラソン/問いかけの展開

以前の記事(【私的メモ】アイディアを”強制的”に生み出す「オズボーンの73質問」)で紹介したオズボーンさんのリストもありますねv
無からアイディアが生まれる道筋を明確に教えてくれる名著です。オススメ♪

 5.


ライターとして数多くの人へのインタビューを重ねてきた永江朗さん。
インタビューの”方法論”と、インタビュー本や対談・鼎談本の”読み方”を語ります。
永江朗さんは強調します。たとえ、取材して書かれた本だとしても、必ず「編集」が入っている、と。

書籍や報道にふれる際のリテラシーを高めてくれる貴重な1冊。
末尾にはブックガイドを付録。インタビューにまつわる本が大量に挙げられていて、読書案内になります♪

 6.


映画脚本の方法論を使って、ゲームシナリオのあるべき姿を考えていく。
「ドラマとは何か?」「悪とは何か?」など、哲学的な問いを立てている章もあり、全体に学術的な香りがただよっています。評論を読んでいる感じに近いかも。

ゲームのシナリオの理想形を示したあとは、歴代のドラゴンクエストやファイナルファンタジーのストーリーを”講評”。
かなり仔細にわたって物語が分析されます。両シリーズのファンは歓喜♪
(……なのですが、この分析、賛否両論ありそう><)

付属の「創作支援プログラム ドラマ・ファクトリー」は必携!
ワークシートの質問に答えるだけでプロットができあがる。めっちゃ便利なツールです。

『ゲームシナリオライターの仕事』では挙げられていないのですが、続編↓も出版されています。


「選択肢学」の視点を導入し、ゲームシナリオのさらなる可能性を探る。
前著以降にリリースされたドラクエ・FFシリーズの分析も♪

 7.


あらゆるシナリオ指南書がこの本に言及している。
……そう想うほど、定番中の定番。映画におけるドラマや登場人物とは”何”なのか、その本質を学ぶことができます。

主人公の人生はどのように変わるのか書きなさい……みたいな”練習問題”をたくさん収録しています。
読みとおすというより、実際に手を動かしながら脚本術を身に着ける実践本。
構想中のストーリーやキャラクターを用意して、ワークショップに参加する感覚で”履修”してみてくださいね。

さまざまな本で言及されるのは↑一冊目のみですが、続編↓もあります。



 8.


「モノづくりは人づくり」をモットーとするトヨタ。
社員の仕事術や心構えを解説しています。
失敗はOKだけど凡ミスはNG。力技でなく頭を使え。目標は高く持て……。ゲームやシナリオというより、働き方全般についての啓発本です。

『ゲームシナリオライターの仕事』では、「桃太郎電鉄」の生みの親、さくまあきらさんへのインタビューのなかで本書に言及しています。
さくまあきらさんは「この本を読んでいない人とは仕事したくない」とまでおっしゃっています><

 9.


脚本術の著作が有名なシド・フィールドを特集したムック。
優れた脚本を書くための練習帳である”ワークブック”を収録。ほか、さまざまなシナリオライターさんへのインタビューも。

若干手に入りにくいので、代わりにシド・フィールドの脚本術3部作↓を読むことを推奨します。
とても実践的な良書。ぜんぶ読むのがオススメ♪
件のワークブックも、2作目の『素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック』でチェックできます。




 10.


「特殊資料」(商品や顧客など、プロジェクトにまつわる個別の情報)と「一般資料」(幅広い知識)を収集して

集めた資料を整理、咀嚼し

すべてを放棄、問題を心の外に追いやり

ひらめいたら

具体的に磨いていく


それだけ。
ジャンルを問わず、アイディアを生む極意を、これ以上ないほどシンプルに教えてくれます。
手にとるとその薄さにびっくり。100ページ弱。しかも半分は、まえがき・あとがき・解説です。

広告業界や企画マンの間でほとんど神格化されている、有名な1冊。
『ゲームシナリオライターの仕事』では、↑の『考具』とともに、アイディア出しのおともとして推奨されています。名著♪



ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a

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posted by 姉崎あきか at 00:03| 10冊シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月01日

(2021)今年の年間ベストセラー本20冊(1位は人は話し方が9割、2位はスマホ脳)



出版取次会社の日本出版販売(日販)およびトーハンは12月1日(2021年)、「今年日本でもっとも売れた本」を発表しました。
(日販調べの年間ベストセラー(総合)のトップ20を記事末尾↓にまとめます)




 年間1位は『人は話し方が9割』


年間ベストセラーは日販調べでは、

『人は話し方が9割』

トーハン調べでは、

『秘密の法 人生を変える新しい世界観』

でした。
『人は話し方が9割』はコミュニケーションスキルについての実用書。
『秘密の法 人生を変える新しい世界観』は幸福の科学による宗教出版です。



2位は、日販・トーハンともに『スマホ脳』
スマートフォンの使いすぎや依存に警鐘を鳴らす翻訳本です。



3位は、日販・トーハンともに『推し、燃ゆ』
2021年上半期のベストセラーにも輝いた、第164回芥川賞の受賞作。
推し(他人に”推”薦したいほど好きなアーティストやアイドル)を”推す”ことについて考えさせられる純文学です。



4位以降も、本屋大賞受賞作の『52ヘルツのクジラたち』や、ひろゆきさんの『1%の努力』など、話題の本が続々。
「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「おしりたんてい」等、人気アニメの関連本もチャートインしています。


全体の結果を受けて、日販は……

2021年は昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症が社会全体に大きな変化を与えた1年であり、社会環境の変化による自身の生活への影響や対処法について関心が高まったと考えられる。



と分析しています。

 昨年(2020)の1位は?


ちなみに、去年(2020)年の年間ベストセラーは、日販は『鬼滅の刃 しあわせの花』トーハンは「THE WORLD SEIKYO 2020年春号」でした。

来年はいったいどんな本が頂点に立つのでしょう。




関連記事:
(2020)今年の年間ベストセラー本20冊(1、2位は鬼滅、3位はどうぶつの森)
(2019)今年の年間ベストセラー本20冊(1位は希林、2位はおしり)
(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
(2017)今年もっとも売れた本〜2017年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)
(2016)今年もっとも売れた本〜2016年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)



テレビのニュースや新聞で目にする「年間ベストセラー」の情報ソースは、出版取次会社の日本出版販売(日販)やトーハンのニュースリリースです。

以前の記事(今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方)でもお話ししたとおり、日販やトーハンのサイトで誰でも確認することができます。
ジャンル別のランキングなどもありますので、ぜひ”一次情報”にもふれてみてくださいね♪

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
TOHAN website
http://www.tohan.jp/



それでは2021年の「年間ベストセラー」20冊をど〜ぞ♪

 2021年の年間ベストセラー


(日販調べ。「全集」「文庫」「コミック」を除く総合ランキング。集計期間=2020年11月24日〜2021年11月21日)

1位

2位

3位

4位

5位

6位

7位


8位

9位

10位

11位

12位

13位

14位

15位

16位

17位

18位

19位

20位


ノーリスク・ハイリターンの投資は"読書"♪

あきか(@akika_a

【関連記事】

上半期(2021年)のベストセラー本は『推し、燃ゆ』(o・▽・)σ(炎▽炎)
(2020)今年の年間ベストセラー本20冊(1、2位は鬼滅、3位はどうぶつの森)
(2019)今年の年間ベストセラー本20冊(1位は希林、2位はおしり)
(2018)今年の年間ベストセラー本20冊
(2017)今年もっとも売れた本〜2017年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)
(2016)今年もっとも売れた本〜2016年の年間ベストセラー(ニッパン調べ)
今年もっとも売れた本〜年間ベストセラーの調べ方

【関連リンク】

日本出版販売株式会社
http://www.nippan.co.jp/
TOHAN website
http://www.tohan.jp/
芥川龍之介賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/akutagawa/
直木三十五賞(公益財団法人日本文学振興会)
http://www.bunshun.co.jp/shinkoukai/award/naoki/
本屋大賞
http://www.hontai.or.jp/





posted by 姉崎あきか at 17:27| ベストセラー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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